昔中国に珍兄弟という盗賊がいた。珍大、珍小と名前も伝承されているが、大小が年齢を指しているのかちんちんの大きさを指していたのかは判明していない。正史には現れない、歴史の闇に埋もれた幾万の盗賊の一組であった。彼らの名前が稗史の上で一瞬輝くのは、虐殺対象となった相手のちんちんを切り落とした、という特徴のためである。首や耳ではなくちんちんを選んだのは、宦官として徴用するつもりだったとか、珍兄弟のコンプレックスによるものだとか言われている。
つまり珍兄弟の一味は男しか殺さなかったと見て、フェミニズムの元祖と受け取る人もいれば、彼らはただの男性器コレクターであり、猟奇的な殺人者であったに過ぎない、と断じる者もいる。私は第三の説を採用したい。それはちんちんの解放である。今も当時も中国という国は広大な土地を持っているが、耕作地帯は限られており、農村で暮らす男手が全て職に就けるわけではなかった。職にあぶれた者たちが生きるために盗賊となり、人々を脅かした。珍兄弟はそれらの行為が根本的な解決になるとは思っていなかった。家柄、土地、才能、それらに恵まれなかった者で、恵まれている者たちを襲ったところで、根本的な解決になりはしない。しかし飢える者たちを全て救えるほどの力は珍兄弟にはなかった。
人々を苦しみから解放することは不可能だ。それならばせめて、ちんちんだけでも解放してやろう。珍大が残した「せめて少しばかり解き放ってやらなければ」という言葉を私はそう解釈した。珍小はそれを受けて「私のちんちんは既に解き放たれております」と答えたという。これが珍小は既に自らを去勢していたと取るか、あまりにも小さいちんちんだったがゆえに、肉に埋もれて見えなくなっていた、と取るかで説は二分しているが、ここでも私は第三の説を提案したい。解放されたちんちんたちの先導者となって、珍小のちんちんはちんちんの国を建設するために旅立っていたのだ、と。
旅だったちんちんの群れはどこに行ったか。海を渡り、新天地に辿り着き、そこで繁栄した。つまり我々日本人の祖先はちんちんであった、そう結論づけるのは何も暴論ではあるまい。
【18禁】ちんちん小説集
盗賊ペニス
参考文献「中国の大盗賊・完全版」(講談社現代新書)
※参考文献中に珍兄弟の記述はありません。
※参考文献中に珍兄弟の記述はありません。