Neetel Inside 文芸新都
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【18禁】ちんちん小説集
散歩するペニスたち

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 ふさふさの陰毛をまとったちんちんの飼い主に「触っていいですか」と確認してから、僕らはちんちんを撫でまわした。ちんちんは喜んで腹を見せてくる。「喜んでるねえ、ありがとう」と飼い主さんも言ってくれた。

 昔は犬や猫というペットがいたという。それらが絶滅してから、人々は代わりにちんちんを飼い始めた。ちんちんは昔の人間の雄についていた性器だったという。雌雄をなくした現在の人類には不必要となったちんちんは、ペットとして生まれ変わった。大型ちんちん、小型ちんちん、室内ちんちん、警察ちんちん、と各方面でちんちんは活躍している。女性器であったまんまんは公的にはペット化されていないが、先祖返り手術をした大金持ちの間で密かに飼われているという噂もある。

 ペット化されて改良されたちんちんには雌雄があり、雄のちんちんには小さなちんちんが生えているし、雌のちんちんにはまんまんがある。学校の校庭に野良ちんちんが入り込んできて交尾をしているのを見たこともあった。先生は「あれが人類が失った性行為というものですよ」と無表情で語っていた。

 僕らのよく遊ぶ公園は、ちんちんたちの散歩コースにもなっている。ちんちんにも個体差があり、人懐っこいちんちんもいれば、怖がりですぐに縮んでしまうちんちんや、すぐに汁を飛ばして威嚇してくるちんちんもいる。
「うちもちんちん飼いたいって親に言ったんだけど、そんな余裕はないって」と僕が言った。個性豊かなちんちんたちと違い、僕らはみんな同じ顔と姿かたちをしているから、誰もが「僕」であった。
「僕のところはペット禁止のアパートだから」と僕も言った。

 ちんちんがちんちんの匂いを嗅いでいる。僕は昔の本をよく読んでいるけれど、宗教とか政治とか恋愛の話が始まるとよくわからないから読み飛ばす。
「また明日」と僕は言う。
「あ、撫でさせてくれるちんちん」と僕が言う。
 最後に長めにちんちんをわしゃわしゃと撫でたから、家に帰る時間が少し遅くなってしまった。子ども向けの小説では、そんな時親に怒られることになっている。だけどもちろん親役として一緒に暮らしている年長の「僕」には怒るという感情なんてないから「おかえり」と淡々と言うだけだ。

 わしゃわしゃして欲しいな、と思う時がたまにある。
 だけど僕らの身体には、ちんちんも体毛もない。

       

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