白痴・殴殺
まとめて読む
天から等しく降り頻る雨の中、拾って下さいと丁寧にマーカーで書かれた段ボールに、流行病となった“獣化”した少女が捨てられていた。
流行病の特色として、三つ具体例が挙げられる。
一つ目としては猫や犬のように全身に毛、体毛や耳・しっぽなどが生える。短毛の少女もいれば長毛の少女もいる。猫のような少女もいれば熊のような少女もいる。
二つ目としては、流行病を患うのは十四歳から十八歳の少女であること。
三つ目としては、人間としての言語化機能が失われることである。
少女が獣化する病が流行った結果、全世界の少女の大半が獣化とした。
最初の頃は処女だと獣化しないなどというデマが流行ったが処女でも獣化するという事案がつい三ヶ月前に出た。初期症状はただ髭が生えてくるだけで、どこでどうやってこんなにも少女が獣化するかは未だ現代の科学では不明らしい。
不明だからこそ人々は獣化した少女を忌み嫌った。だから嬲った。だから目の前で獣化した少女が捨てられている。
自分は運良くこの流行病に左右されなかった。だからこそ獣化した少女に単純に興味があった。
少女たちはどうやって生き延びるのか。
獣化した少女に手を貸す。すると少女はごろごろと喉を鳴らした。
少女は人間よりも上の頂に存在しうる物なのか。
純粋な知識欲に自分は勝てなかったのだ。
一日目。
獣化した少女に名前をつけることとした。
自分が昔雑種の犬に付けていた名前、ポチ、と名付け
た。
雨に降られて水が滴るポチを風呂に入れた。最初は切られていない爪に引っ掻かれはしたが次第に落ち着
いたのか僕のベッドで寝た。
くーくー、と柔い寝息を立てるポチ。何を与えればい
いか分からなかったからYahoo知恵袋に聞くと獣化した物にはご飯を与えなくとも死なないと回答があった。
死なないのか、そうか。
ポチのために買ったドッグフードをゴミ箱に捨てた。
今日から獣化した少女を観察する日記を記そうと思う。
二日目。
ポチが勝手に蛇口から水を飲んでいた。冷蔵庫を勝手に開けてご飯を食べていた。獣化した物は食事など必要としなかったのでは? ポチに首輪とリードを付けて柱にリードを括りつけた。ポチは最初呻いたが僕が寝る間際になると泣きそうな声で鳴き、尿を漏らして
いた。排泄行為はする。
もしかしたら獣化した物でも欲がある? 興味深い。
三日目。
獣化した少女に繁殖能力はあるのか。
それを題材とし、ポチを観察しようと思う。
通販で女性が自慰行為の際に使うものを買っておいた。あとポチが暴れないために拘束具をつける。バイブのボタンを押すとぶんと振動をする。試しにポチの乳をまさぐる。
ポチは体を反らせ何かに耐えるかのような表情を浮かべ、次第に生殖部にあたるものは粘度のある液を滴らせる。それを見て興奮をしたのか自分の股間にあるものは凛として勃っていた。
射精を促すために手のひらで上下に擦る。
はぁはぁ、と息が上がっていき理性を封じこめていたブレーカーが一気に落ちた。ポチの蕩ける穴に肉棒を突っ込んだ、するとポ
チから甘い吐息が溢れると同時に破瓜をした。
ほらやっぱり処女でも獣化するんだ。
腰を振る、すると簡単に果てた。
白濁とした液体がポチの中で弾ける。
ポチの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。それを見て自分は更に己の欲に負け果てる。
いつの間にかポチの中は僕の精子ではち切れそうになっていた。粘度のある甘い透明な液体はいつの間にか腐った肉の臭いがツンとする白濁としたものとなっていた。
それをポチの顔に向かって射精した。
ポチの愛らしい顔は僕の精子まみれになっていた。
加虐欲。みすぼらしいポチの姿を見て自分はまた勃起をしていた。
四日目。
ポチが尿と便を漏らしていたせいか獣臭が部屋中臭
う。
「なに漏らしてんだよ」と僕はポチの顔を殴った。するとポチは泣きながらウーウーと鳴いた。汚い。
もう一発殴った。すると鼻から血が出て顎下まで滴り、顔が腫れた。
なんて可哀想なんだ。まぁ獣化したら人間じゃないと定義されてるから人間として扱わなくてもいいか。ははは。
殴った。
ポチの整った顔立ちはパンパンに腫れ上がり見る影もなくなった。
たのしー。
五日目。
今日はポチを散歩に連れて行こう。
首輪をちゃんとつけリードが外れないかを確認するためにギュッとリードの紐を引っ張るとポチは苦悶に満ちた顔をし呻いた。
ちなみに、獣化した少女を散歩させることはまだ禁じられてい
ない。むしろ街中を歩いていたら散歩をする男が視界から溢れんばかりに存在する。
だから僕は間違ったことをしていない。大丈夫。
四つん這いになり住宅街を這うポチ。
そうだなあ、家帰ったらご褒美におやつでもあげよう。
六日目。七日目。八日目。九日目。
特に無し。
十日目。
ポチの毛が脂ぎってきた。汚い。
十一日目。
ポチは人間と喋られない。だからメモで僕に対して
『生理が来ない』と文句をつけてくる。
鬱陶しいな。鬱陶しいなあ…… 。
ポチの腹目掛けて、殴った。殴った。殴った。殴っ
た。殴った。殴った。殴った。殴った。殴った。殴っ
た。殴った。殴った。殴った。殴った。殴った。殴っ
た。殴った。殴った。殴った。殴った。
するとポチはヒュゥヒュゥと浅い息を繰り返し始めた。
鬱陶しいなあ………… 。
「鬱陶しいなあ」
殴った。
殴った。
殴り殺してしまった。
ポチは死んでしまいました。ポチを殺したのは誰ですか?
僕。
僕が殺しました。
そこにあるのはポチの死体。
弧を描くような曲線美の肉体は痣まみれであった。
声を掛けても反応はない。
十二日目。
ポチってこんな味するんだ、と舌鼓を打ちながらコップになみなみと注がれた血を飲む。
あぁ、美味しいなあ。
美味しいなあ…… 。
さて。
次はなにしよう。
なにをどうすれば僕の欲は収まる?
( 収まることは二度と無いであろう。
お前は獣化した少女を殺したのだ。
お前の手で。
お前の欲を満たすためだけに。
お前はもう救いようがない。
欲に負けた人間は何も得られない。
なんて素敵なことでしょう。
だってお前は白痴なんだから。)