Neetel Inside 文芸新都
表紙

終焉の銀河へ
軍隊へ……

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地球温暖化問題はとうとう実現した。

大陸という大陸は沈み、大きな山脈などはかろうじて沈まなかった。

生き残った数万人の人類は、そこに新たに都市や畑を作った。

一部の地球人は宇宙に出ようとするが、宇宙人という未確認の生命体により阻まれてしまう。

地球人が自らの生命を維持するために宇宙人と争う表明をし、
地球連合宇宙対抗軍―通称、地球連合軍と呼ばれる―を組織し、宇宙人を牽制した。

そんな時代に、運のいい男がいた。

そいつは地球を救えるのか……?

     

「黒に全額賭ける!」
「おい……リュウヤ。大丈夫かよ?金がいるからって、無一文はきついぞ?」
「残念ながら俺は絶対に負ける気がしないね」

ディーラーの手から離れた玉は、黒のポケットに吸い込まれていった。

「ほらな、マサト」

マサトは驚きのあまり声が出なかった。リュウヤは倍になった所持金を抱え、相棒を見る。

「こんな世の中になったがこれで生きていけるな……」
「あぁ……だが、お前はかなりの金がいるんだろ?」
「そうだな、こんな年じゃ雇ってくれないし……大変な時期なんだから別にいいだろうが」
「まったく大変なんだな……俺よりお前の方が」
「今大変じゃないやつなんていないさ。すべては地球温暖化を馬鹿にしてた連中のせいさ」

リュウヤはこぶしを握り締め、天を仰ぐ。

「確かにな、温暖化により水面上昇するという情報はしっかり入っていたはずだ」
「それを知りながら俺らの先祖は、やりたい放題し尽くしてきた……」
「それで俺らがとばっちりかよ……。やってらんねぇよ」
「リュウヤ、早くその金もって病院行けよ……待ってんだろ?」
「……ありがとう、マサト。じゃあまた明日な」


「リュウヤ・コバヤシ……肝が据わっていて意思もしっかり持っている。逸材かもな」

     

「で、その軍に入れたい奴とはどんな奴なんだ?ササキ少佐」

ササキは自分より遥かに偉い人を前に固まっていた。
ただ階級が上だからではない。その人が放つ威圧感からもそうなってしまっているのである。

「はい……きっと彼の運と度胸があれば、きっと軍もいい方向へ行くと思います」

元帥の階級を持つ老人は、自身の長く蓄えられたひげを触りながら答える。

「……お前がそう言うなら、なかなかの奴だろうな。ふむ、一応実力が知りたい……ためすぞ」
「はい……きっと彼なら、閣下もお気に召すと思います」
「……わかった。彼の情報をまとめて提出してくれ」
「はっ!ただいま」

ササキはきれいな敬礼をし、部屋を出ていった。

「コバヤシ・リュウヤ。一応、調べておく必要があるな。ミナコ大尉!」
「……お呼びでしょうか。ケンゾウ閣下」

敬礼をした金髪の女性が、自動ドアをくぐり元帥の前に立つ。

「二つ頼みたいことがある……そのうちのひとつは君自身に頼みたい」
「と、いいますと?」
「ギャンブルだよ……ある男と勝負してくれればいいだけだ」

その瞬間、ミナコは目の色を変える。

「承知いたしました……。もうひとつの方は?」
「それはだな……」


「ユウカーお見舞いにきたぞ。ほら、ユウカの好きな苺だ」
「ぁ、お兄ちゃんっ。ありがとう」

ベットに横たわりながら精一杯の微笑みを見せる。
リュウヤは横目で医師を見、状況を察知した。
ユウカの体には点滴が繋がっており、酸素マスクもしている状態だ。
医師が何か言いたそうにしているのを確認し、病室を後にした。

「もう長くないんですか?」
「はい……この病院だともう精一杯なんです」
「この病院では?」
「はい、地球連合軍の病院ではもっといい治療ができるんです」
「軍……それって不公平じゃないですか?」
「軍に入っていることは、名誉なんです。だからそういった処置もあるんです」
「なら、軍に入れば……ユウカは助かるんですね?」
「そうですね……軍医がなんとかしてくれますよ」
「軍に入るのは簡単だったですよね?」
「昔はね……でも今は、採用試験みたいなものがあるみたいです」
「ありがと、今月分のお金置いときますね!」

リュウヤはお金を机に置き、廊下を走っていった。

「ぁ、このことは内緒ですから!」
「廊下は走らないでね……あと、大声も」

       

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