Neetel Inside 文芸新都
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守るべきもの
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日に増して汚くなる家を尻目に白門哲雄(しらかど てつお)は、職業案内用紙を漁っては、
ため息が付くような動作ばかりをくりかえす。
哲雄は所謂世間体で言うニートで、まぁ探しているだけましとも思えるが、しかし現実は厳しいもので中々取り扱ってはくれないのであった。
「時々でいいからおいしいものが食べたいよ・・・・・」
そう本音がこぼれるのも無理はなかった。
なにせ家賃は3ヶ月滞納しているし、主食といえばパン屋で余ったパンの耳を貰って食べる始末で、このままだと職業に付くのが先か救急車で運ばれるのが先かを争っているようなもので、よく言うニートのような仕送り生活ではなく、本当に切り詰められた。
アパートホームレスに近いものがあった。
「金がないっていうのは、本当にいやなものだなぁ・・・・・。今は金より米の方がほしいけどねぇ・・・・・」どっかに米俵一俵でいいから落ちてないかなぁなんて本気で思っている俺は確実にきているのだろうな・・・・・。
すると不意にボロアパートのドアの方から、ドン!ドン!ドン!っとノックが聞こえた。
思い当たる節は2つしかない。
勿論サラ金とかそういう類の事ではないけどね。
一つは坂城雅人(さかき まさと)まぁ所謂腐れ縁友達だな、28歳で俺より一つ年上なのだが、こいつもニートだったりする。
まぁ親に仕送り貰ってる時点で俺よりランクは絶対上だという核心があるけど、
よく怪しい職業系のバイトを俺に誘ってくる。大抵はやばそうで断るけどな、
もう一つは佐伯真由(さえき まゆ)はっきり言って俺の生命線だ、いや、もう命の恩人ぐらいの域に達しているかもしれない。介護の仕事をしていて俺より収入は当然いいし、先月は半年分未納だったアパート代を全額出してくれた。しかも現金で、
ショートヘヤーでいつもニコニコ笑ってくれる。その時だけは世の中のいやな事をすべて忘れられるような気がする。ただひもになるのは勘弁だ、流石にねぇ・・・・・あんないい奴に金払わせて一生生きるぐらいならいっそ自殺した方がましだ。
話が反れたがこの音はきっと前者だろうなぁとすぐに分かった。何せ音が違いすぎる。
真由はこんな荒っぽいノックはしない。「おーい、哲雄―!いるなら出ろよー!」
荒っぽい声と同時にノックがまた数回、ドン!ドン!ドン!と鳴った、
ドアを開けると、割と筋肉質の男である坂城が顔を出してきた。
「おい、ところでこれを見てくれ、こいつをどう思う?」
「お前いつからそういう趣味だったんだ・・・・・幻滅したぞ・・・・・」
「うほ!いいおと」っと言い終わらないうちに言葉を潰しに右腕でアッパーを食らわした。
「すまんすまん、だが本気でちょっとみてほしいものがあるんだ。」
「見せたいもの?」
続く

     

「そうだ、これだ」
「ん?どれどれ」
特定物の保護アルバイト
【仕事内容】指定された委託物の保護、または輸送
【待遇】制服貸与、交通費支給
っと
ここまでは割りと普通だったのだが、
【時給】18000円
どうみても怪しい、怪しい過ぎる。
「ただし、どうやら三次試験まであって色々と大変らしいんだけど、受けてみないか?」
怪しい、だが時給18000円・・・・・これには流石に驚く
仕方なく俺は坂城に言われるがまま、面接を受けてしまった。
一次面接はすぐに終わった。っというよりも緊張する暇もないほどで、10秒ぐらい顔や体を見て、「はい、次の方」
え?もう終わり!?
まぁ一次試験だから無理もないかなと、それに合格した訳だからまぁそれはどうでもいいのかもしれない。
続く二次試験はなんというか、高校生以来のスポーツテストと若干似ている感じもした。
正確にはこの二次審査は『苦痛の伴う試験』っという事で自己申告により途中で無理だと思ったらやめてもいいらしい、
あまりにも理不尽だと思われるスポーツジムなどに置かれているランニングマシーンの速度を×3ぐらいにしたような所で30分走らされ、ここで過半数が落ちてしまった。何せ運動向けではない人ばかりが来ていたし、言うまでもないだろう。
俺も何度か脚をよろけそうになったが、ギリギリの所でクリアした。
これはもはや試験ではなく試練だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
続く第二の試練はロッククライマーのようなもので上に上ればクリアだという。
但し命綱は支給されていない。ここでもまた過半数が上る前に辞退、そして僅かだが落下した人もいて、それを見て何を思ったのか途中で辞退する者ももいた。
続く第三の試練は辛い物、ハバネロ果汁100%のジュース200ccだそうだ。
辛い物は一人暮らししている最中にある程度鍛えていた為に平気だったがここでも大半が途中でリタイアし、坂城も相当悲鳴を上げていたがギリギリ二人でクリアし
その後の第四の氷部屋、第五の炎部屋の試練も何とかクリアして、二次審査をクリア
二次審査の最後までたどり着いたのは坂城と俺を含めても、数えるほどしかいなかった。
途中で耐えられなくなる者や、馬鹿馬鹿しいと思っていなくなってしまう者、さらに実力不足でやむ終えず失格の者や、中には途中で気絶してしまう者までいた。
その後の三次審査の通知を待った、が待っても待っても来ない。

       

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