Neetel Inside 文芸新都
表紙

ラスベガスへ行こう
第1回「アンケートをしよう」

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舞台は春。
高校。
1年生の教室。
休み時間。
どんな奴と仲良くなろうか・・・と誰もが考えている。
・・・と思っていた。

「あなたは今、信用している人がいますか?」

可愛らしい女子の声だった。
手元の文庫本から目を離して声の方へ振り返る。
名前がまず分からない。次に何を言っているのかが分からない。

「ええと、何?」
「あなたは今、誰かを信用していますか?」
「それが・・・え? どういう事?」
「いいから、答えてください。」

顔もなかなか可愛い子、だった。

「かーちゃんとかとーちゃんとか・・・は信用してると思うけど・・・たぶん・・・」

彼女はふむふむ、と手元のメモ帳に何か書き込んでいる。100円均一に売っていそうな、飾り気の無いメモ帳とシャーペン。
っていうかこんなこと聞いて、何がしたいんだ?

「何書き込んでんの?」
「アンケートの結果」
「あんけーと? ・・・何の?」

メモ帳から顔を上げると

「地球人が何考えてるのか分からないから、調査」
「お前は地球人じゃないの?」
「はい、私は俗に言う宇宙人です」
「・・・何星から来たの?」
「日本語に置き換えられません。っていうかそもそも呼称を付けるって概念がありません。でも、宇宙人って言われたらだいたい想像つくでしょ」

つかないつかない。想像つかないよ宇宙人さん。

「それでは質問を続けます。」
「俺に拒否権は無いの?」
「晩御飯のメニューを、何日くらい前まで思い出せますか?」

え?

「え?」
「いやだから、昨日の晩御飯、一昨日の晩御飯・・・っていう感じで」

昨日はたしかシチューで・・・一昨日は焼き魚だったかな・・・?
あれ、天ぷらだったかも知れない。あれ? 思い出せない。
・・・と10秒くらい考えていたが、その間中ずっと期待のまなざし見つめられていた。
そんな目で見られると変に脳がオーバーヒートしてしまうではないか。

「一昨日の分が微妙だな。焼き魚だったか天ぷらだったか」
「えらく脂っこいですね」
「そこに口出すのかよ。・・・・まぁ、言われてみればたしかにそうだな」
「塩分の取りすぎにはご注意を」
「え・・・き、気をつけます」
「気をつけてくださいね」

今日の晩御飯は何なんだろうか
また一生懸命メモしていらっしゃいますけどあなた、本当に何がしたいんでしょうか。

「次の質問です。」
「いくつあんの?」
「え? ええと・・・できるだけやります」
「俺以外にも聞いてんの?」
「ふえ? んんっと・・・・女子の方一人だけですね。サンプリングは男子女子1名ずつで十分ですから」
「じゃあ、このアンケート結果は何に使うかだけ教えてよ」
「はい?」
「何の目的で質問してるのかくらい聞かせてくれても・・・」
「それはアレです、多分好奇心です。ほら、興味はあるけどよく分からないものって突き詰めて知りたくなりません?」

さぁ、俺には分からんが。

「じゃあお前は俺に興味があんの?」
「いやいや、あの、個人的な~とかじゃなくて、ホントに、ホモサピエンスの動向の調査が私の目的なんですよ、ぶっちゃけ。」
「じゃあ人間で、男だったら誰でも良かったの?」
「いやぁそうじゃなくて、ええと、説明を始めると長くなっちゃうんですけどぉ・・・・・あっ」
「あ」

休み時間終了を告げる鐘。もうすぐ先生が教室に来るだろう。
彼女は少し恨めしそうな顔をすると、自分の席に帰っていった。
まぁ、確信犯なんだけどな。
面白い奴だし、もっと話していたくて休み時間まで粘ったわけだが・・・こうも上手くいくとは。
次の休み時間も詰問しに来てくれる事を祈りつつ、授業の準備をすることにした。

     

「時間稼ぎするなんてひどいですよ!」
「ごめんごめん」

思い通り! ・・・とか言うべきなのだろうか。彼女は次の休み時間にも俺の席へと来てくれた。
引っ掛けたつもりも毛頭ないしな。ってか、あれ? 俺怒られる理由なくね?
なんというか、慣れた手つきだ。左手だけで器用にメモ帳を開くと、右手に持ったシャーペンでセミロングの髪の頭を軽く掻きつつ

「もうその手には乗りませんから覚悟しておいてくださいね」

口を尖らせている、という表現がいかにも似合いそうな表情だ。
可愛いな畜生、好きになるぞゴルァ。

「じゃ、じゃあ、アレなの? 地球侵略とかに来るの?」
「へ? なんで?」
「いやほら、資源云々とかで攻撃しようとしてるけどもしその星の住人が良い人だったら攻撃しない~みたいな展開とかよくあるじゃん」
「よくあるって、どこに? 駅前のマックとかに?」
「いやいやいや、具体的な場所じゃなくて、『どこにでもありそうな話』って意味で・・・」

というか、マクドナルドをチョイスしたのは何故。

「・・・っていうかまた私に質問させないですか」

ばれたか。

「ばれたか」
「じゃあ質問します。」
「ど、どうぞ」

今まで気づかなかったが、チラチラ周りの奴らからの視線が突き刺さっていた。
無理もないだろう。入学そうそうこんな電波話を繰り広げてるんだからな。
出身中学も違うのにあいつらなんであんなに仲いいんだ? ・・・みたいに思われてるのだろうか。
それともただ単に話の内容に興味があるのだろうか。

「兵隊さんは何人いますか?」
「何そのものすごく抽象的な質問」

ボケか? こいつなりのボケか?
本当は乗らずに早く突っ込んでほしいのか?

「いいから、答えてください」
「兵隊さんて、どのくらいの規模よ」
「んー・・・だいたいでいいよ」
「いやだから、日本の自衛隊員がどれくらいいるか~とか、世界中に戦争に関わってる人間は何人いるのか~っとか」
「その辺もお任せします」

えらくフリーな調査もあったもんだ。

「・・・・60億人強!」
「多っ!」
「なぜなら! 人間誰しも毎日が戦争、人生こそが壮大な戦争なのだよ!」

俺良い事言ったんじゃね? ものすげぇ名言じゃね?

「おおっ!」

なんか盛り上がってる、宇宙人さんも盛り上がってるよ。
若干メモ帳に走らせるシャーペンの速度が上がってるがこれはどういうことなんだろうか。
相変わらず周囲からの視線は変わらない。なんだか皆さん戸惑ってらっしゃるみたいで・・・。
だろうな。だろうよ。だと思う。俺にも正直、展開がつかめない。

「じゃ、じゃあ次の質問!」
「よしこい!」

なんだこれ・・・。

「今までに、人を殺したことはありますか?」
「え?」
「だから、その手で、人の命を奪ったことがありますか? ときいているんです」

あれ?

「・・・あるわけないじゃないか」
「本当に?」

宇宙人の目の色がさっきとは少しだけ違っていた。なんというか、すごくいやな目だ。
今まであった光が、突然失われたみたいに見える。

「本当」
「わかりました」

メモ帳から目を離してこちらを見たときには

「では次の質問、今日学校に何冊の本を持ってきたかぱっと答えられますか?」
「ん・・・ええと・・・」

その光は戻っていた。

「・・・・・・・」
「チッチッチッチッチッチッチッ・・・」
「10冊!」
「多いよ!」
「え?」
「え?」
「いやだって、ノートも含めるとそれくらいになるだろ?」
「重くなるからもって来なきゃいいのに」
「ええええ?」
「ええええええええ?」

なんだこれ。

     

次の休み時間にも彼女は来た。

「クスリとかやったことはありますか?」
「風邪薬が関の山だな」
「関の山ですか」
「関の山です」

メモ。

「今熱中していることはありますか」
「ネッチュー? ・・・んー特に無いな」
「そりゃあ良くない傾向だよお若いの」
「どんなキャラだよお前」

メモ。

「今思っていることを正直に答えてください」
「『次はどんな質問されるんだろう』だな」
「即答ですね」
「ですねー」

メモ。

「死後の世界とか信じますか」
「天国とか地獄とか?」
「そういうニュアンスで答えていただけると幸いです」
「あるね」
「言い切りやがった」
「だめかよ! ってかお前が質問したんだろうが!」

メモ。

「次の授業は何ですか」
「え? 国語だろ?」

メモ。

「友達は出来ましたか」
「しいて言うならお前か」
「マジですか」
「違う?」
「・・・」

メモ。

「ホラー映画とか好きですか」
「大嫌いですね」
「ほほう、大嫌いですか」
「あんなの好き好んで見る奴の気が知れんよ。驚かされてうれしいとかどこまでマゾヒストだよ」
「ええ~そのスリルがいいんじゃないですかぁ~」
「そんなのはスリルと呼びません。映画監督と言う名の悪魔が生み出したエデンの林檎だ」
「なにそれ」
「ごめん、超適当」

メモ。

「この質問いつまで続くんですか」
「ノーコメンツ」

えー・・・。
さすがにそろそろ新しいクラスメイト達も打ち解け始めたようで、なんかもうパッと見ただけでグループが出来上がっている。
特に女子の方々の作り出すグループの数といったらそりゃあもうなんというかね・・・。
なんでこんなにビジュアルのレベルが揃うんだよ、と。
男子の方は大体二つに分かれている。明と、暗といったところか。
文化系と体育会系(完全に俺の主観だが)にほぼきっちりと分かれている。
教室はざわついているが、俺と宇宙人に話しかける輩は不思議と居なかった。視線は感じるが。

「周りが気になりますか」
「気になりますな」
「安心してください」

何を? と質問しようとしたが、その必要は無かったようだ。

「あなたに私以外の友達を作らせない」

彼女の黒い髪が揺れている。

     

次の休み時間。

「もう一回だけ聞いていいか」
「はい?」
「この質問とかっていつになったら終わるんだ?」
「あなたが死ぬまでです」

やっぱりか。

「『今までに人を殺したことはありますか?』という私の質問に、あなたは『NO』と答えましたね?」
「・・・ああ」
「ダウト」
「なんで言い切れる」
「証人がここに居るからです」
「・・・誰のことかは聞かない方がいいか?」
「私です。」

ありえない話だ。
周りの視線はもう不思議と気にならない。
断言できる。俺はおかしくなっている。

「そんなお前の口先だけじゃ・・・証拠にならない」
「証拠など最初から存在しません。」
「・・・・・・質問じゃなくなったな」
「あなたが全て消したからです」

これじゃ尋問だ。

「消した、とは?」
「あなたは私と私の家族を殺しました」
「断定なのね」
「事実ですから」

事実ねぇ。

「私の顔、覚えていませんか?」

夜だったしな。

「夜だったしな」

宇宙人の表情が少し柔和になった気がした。

「10日前の夜中、あなたは私の家へ押し入り、殺人を犯し、金品を盗んで逃げましたね?」
「9日前だ」
「9日でしたっけ」
「9日前だ」
「まぁいいや」

いいのかよ。

「逃げたよ? それが何? 化けて出てきてくれたの? 今から俺を殺してくれんの?」
「そんなことできないよぉ~。死んでんだもん」

そうか、とうとう俺の頭にもお花畑が構築されたわけか。

「目的は何だ」
「あなたを不幸にすることです」
「無理だね」
「えぇ~なんで?」
「えぇ~? じゃねぇよ、お前死んでるんだろうが」
「あ、いきなり口調が悪くなりましたね」
「うっせ」

さりげなく隣の席の奴を見てみる。
一度目が合うと、すぐに目をそらした。
なるほど、こいつらから見たら俺はさっきから空中に向かって独り言を、それも会話するように話していたわけだ。
そりゃチラチラこっちを見たくもなるし、話しかけようともしたくならないわな。

「・・・・・」
「一言どうぞ」
「やっちまったなぁ~って感じ」

メモ。

     

昼休みになった。

「お弁当一緒にいいですか」
「宇宙人でもメシって食うの?」
「死人に口はありませんが、宇宙人には口はあるんで」

わけのわからん理屈をこねて、

「ところで、今日のおかずは何ですか?」
「俺?」
「私のお弁当のオカズをあなたが知ってるわけないじゃん」
「普通に、買い弁です」
「つまんねー」

つまんねーって、あなた。

「あれ? 俺の今日の昼飯とかはメモしないの?」
「しませんよ? してほしいですか? メモ」

なんでそんな当然のごとく答えるのかなぁあなたはまったく。

「なんでそんな当然のごとく答えるのかなぁあなたはまったく」
「しょうがないじゃないですか」
「ほんとにお前俺に殺された恨みを持って化けてきたのかよ・・・」
「化けていませんよ、現に、ほら、この人間のすがたですし」

あれ?
こいつ俺に殺されたのが恨めしくて化けて(?)出てきたんだよな?

――――『女子の方一人だけですね。サンプリングは男子女子1名ずつで十分ですから』

俺を詰問したいなら俺一人だけで十分じゃないのか?
女子ひとり? どいつだ。そして何故だ。俺の単独犯だったはずなのに。

「足だってほら、ちゃんとありますし」

スカートを太ももの半ばあたりまでめくって、右足を上げたり下げたりしながらそんな事を言ってらっしゃる。
きわどい。っていうか見えそう。
あれ? こいつ履いてるのかな。

「女の子がそんなことをするんじゃありません。はしたない」
「うっせー殺人鬼」
「うっせー宇宙人」

そんなことを言いながらも裾をぎゅっと下げる辺り、好感を持てるなぁ畜生。

「同じような質問を女子の一人にもしてるって言ってたよな」
「唐突ですね」
「唐突です」
「しましたよ。っていうかしてます」
「え? 現在進行形?」
「アイ・エヌ・ジーです」
「アイ・エヌ・ジーですか」

じゃあ、俺の目の前にいるあなたは誰なのよ。

「じゃあ、俺の目の前にいるあなたは誰なのよ」
「ふふん、宇宙人に不可能はないのです」

なんで自慢気? なんで自慢気なの?

「私に実体は無いんです。無いから、何でもありなんです」

目に見える、ということは質量も存在するのだろうか。
・・・・・・あー・・・質問しても無駄なんだろうな、こいつに、こういうことは。

「食べないんですか?」
「・・・・食べます」
「シャケ弁っすか」
「悪いか、お魚好きで」
「悪いっていうか、ほれ」
「おおっ」

可愛らしいホワイトとピンクのハンカチに包まれた宇宙人の弁当の中身は、俺がコンビニで買ったシャケ弁のシャケより二周りほども大きなシャケが入っていました。

     

「それにしてもなんで宇宙人?」
「何が」
「何が、じゃないだろ。幽霊! とか ゴースト! とか名乗ればよかったじゃん」
「どっちも一緒じゃないですか。・・・まぁ」

とワンテンポ置いて、

「最初にネタバレすると答えてくれなかったかもしれませんからね」

なるほどねぇ。

「答えてもらう必要はあったのか? ってかそもそも、質問の意味ってあったのか」
「宇宙人の秘密ですよ、そこは」
「そんな秘密知りたくもならねぇや。なんならもっと生産的な質問をすりゃあいいのに」
「お!? なにか爆弾発言出ますか!? 出ますか!?」

ごめん、そんな無茶振りされて笑いを誘えるようなボキャブラリーは無いわ。

「俺の名前とか、誕生日とか」
「自分を殺した奴の名前なんざ知りたかねーよ」

怖い怖い、あなたが言うとなんだか冗談に聞こえませんよあなた。

「えらく怖いな」
「あはは、ホラー苦手なんでしたね。ごめんなさい。もっとやります」
「黒っ! っていうか先に宣言しちゃったら怖がれ無いじゃん!」

というか、名前は聞きたく無いのに俺の食った飯は聞くのかよ、て話になるからな。

「ツッコミはげしすぎ」
「え? あ、ごめんなさい」
「許します」

許しちゃうのね。

「宇宙人は、メシの味とか感じるの?」
「感じるよぉ~。このシャケ塩味がきついな」
「なるほど、こんどシェフに口を出しておこう」
「あら、あなたウチのシェフと面識がございますの?」
「マブってヤツっすよ、マドマーゼル」

少しの沈黙。

「真剣な話、そのメシって誰が作ってんの?」
「お母さん。毎朝早起きして作ってくれるの」
「・・・」
「え? なに? 変なこと言ったかな?」
「・・・・その、なんだ、お母さんも宇宙人化してんの?」

なんとなく、視線を合わせられなくなる。

「そりゃあもうドシドシジャンジャンだよぉ」

わけわからん。

「家族全員宇宙人。ホント、マジで。」
「マジで?」
「マジで!?」
「イギーも」

あぁ。
そんな名前が書かれた犬小屋があった気がする。
吼えられるとかなわないから先に・・・いや、やめておこう。

「イギーもかぁ~」
「うん。食欲旺盛」
「ペットフード?」
「当たり前じゃん。人間のご飯は犬によくないんだよ~」
「塩分とかが多すぎるんだっけ」
「味付けも濃いしねぇ~。ドッグフード食べたことある? めちゃくちゃ味薄いよ?」
「食ったの!?」
「食ったよ!」

あいにくと我が家は犬を飼えない家庭でドッグフードはございません。

「案外お前の死因ってその辺にあるんじゃねーの」
「あ、不謹慎! 今の発言めちゃくちゃ不謹慎!」
「ご、ごめんなさい」
「いいや、許さないね。化けて出てやる」

正直、そこまで今さらな報復も初めてだわ。

「正直、そこまで今さらな報復も初めてだわ」
「マジですか」
「マジです」

すでに化けて出て来られてるしな。

     

「そういえばさ、ウチの家族をやる以前の前科ってあるの?」

なんというか、頭痛が痛そうな質問ですね。

「無いな。正直、おまえが初めて」
「なるほどなるほど」

メモ。
っていうかまだ続いてたんですね、アンケート。

「さっきも聞いたけどそのメモ、何に使うの?」
「心配ありません。個人情報とかは守る派ですから」

鐘の音。

「じゃあ席に戻りますね」

こいつに席なんてあるのだろうか。
なんとなくうしろ姿を目で追うと宇宙人は、俺の席から数えて4つ目くらいの席の辺りで消えた。
その席に座っていたのは女子。出身中学も違うから顔も知らないヤツだった。
童顔。
ポニーテール。
入ってきた教師を熱心に見つめている。
ああ、真面目な子なんだな、というのが彼女の第一印象。

先生と新入生の自己紹介!! ・・・なんてくだらない定例行事をぐだぐだこなしているだけなのに。
それにしてもどうしてこう、自己紹介というのは強制的に全員が行わなければいけないのか。しかもほぼ全ての教科で。
・・・・この質問に、宇宙人なら、何と答えるだろう。

もうすぐ順番が回って来る。
緊張はあまり無い。
が、しかしまぁ、ボケに転じられるほどには気も緩んでいない。

(名前と、趣味と・・・あと何を言えばいいのだろうか)

前の席の男子が自己紹介を終えた。
ひとしきりの拍手の後、俺の番がやってくる。
やってきた。
教師からの期待のまなざし。
俺は立ち上がった。

       

表紙

モルスァ 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha