Neetel Inside 文芸新都
表紙

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世界は立方体だ

比喩でもなんでもなく これが真実だ

私は世界の中心に立っている

正面の壁は白い

見上げる 天井は白い

俯く 床は白い

振り向く 白い

監禁か 実験か

違う こういう世界なのだ

私はこの世界に 生れ落ちた

私以外の生命は いない そういう世界だ

生命が私だけの 縦ニ十メートル 横ニ十メートル 高さニ十メートルの 世界

私は ここで ただ死を待つ

それが生命に与えられた義務だからだ

意味なんてない 神の気まぐれでもない 神なんていない

もしかすると 私が神なのか

意味のない世界に生れ落ちた 無力な神

私が生まれてから何分が経っただろうか

私の手はすっかりしわだらけだ

しわだらけなのだろうか よくわからない


かつて 私は願った

白い壁の一部分が 切られたかのように開くことを。

なぜ願ったのだろうか

私はこの世界を肯定してはいない いないんだ

なぜ 肯定できないのか

疑問を持ってしまったのか

持てるのか

……

私はここで生まれて ここで死んだ

私の一生に意味のない事は知っている

ただ

私はこの一生に 納得はしてはいない

いなかった

       

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