Neetel Inside 文芸新都
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寄せ集め
旅立つ理由

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旅立ち

僕がまだ故郷の町で、夢もなく生きていたときのことだ。
ある日僕は図書館で暇をもてあましてペンをいじくっていた。
僕はいきたくなかったのだが、友人が「調べ物がある」と言って聞かなかったのだ。
その友人と言えばカウンターに座っていた同年代であろう少女に話しかけていた。
最初からそれが目的じゃないのか?とはそのとき思いはしたものの。
僕は図書館の雰囲気は嫌いじゃなかったので気にしなかったのを覚えている。

あの時僕は誰も寄り付かないようなハードカバーの本が並ぶ棚の前をふらついた。
いつの時代かもわからないような古語で書かれた本や。
もう読むことも、いや触ることもままならないような本もあった。
その中で僕の視線を一瞬にして奪った本があった。
背表紙に何も書いてないのだ、真っ白の背表紙が古びた本の中にポツンと存在するのだ。
僕はその本がむしょうに気になりその本を借りることにした。

僕がそれをカウンターに持っていくと初老の男が座っていた。
友人を探すが既に友人はいなかった、少女とどこかで楽しくやっているのだろう。
僕は少しイラッとしながら本をカウンターに置いた。
すると初老の男はこの本はうちの本じゃない、もっていってくれていいというのだ。
僕は少し迷ってから礼を男にいいその本を持って僕は外に出た。

僕は家に帰ってその本を開いた。
本を開くと大きな文字で「旅する日記」と書いてあった。
ページをめくると呆れるほど簡単な日記が書いてあった。
その中にはこの本を手に取った人へのメッセージも書いてあった。
しかし、驚くほどに・・・見事な三日坊主だった。
一日目から二日、三日と少しずつ行は減っていき、三日目にいたっては一行だった。

僕はふっと使命感のような、いやそんなたいしたもんじゃない。
ただたんに僕は下らない毎日から逃げたかっただけなのかもしれない。
だから僕はこの日この日記だけを理由にして旅に出るのをきめた。
決めて旅に出るまで僕は三日とかからなかった。
親には置手紙しか残さなかった、怒られる?帰らないと分っていたから気にしなかった。
両親は悲しんだかもしれない、でも手紙だけは出した、返事は返ってこないけどね。
でも僕にとって旅っていうのは一瞬にして憧れになったんだ。
それぐらいあの日記は魅力的で、楽しかった、だから僕は決心できたんだ。
え?本の内容?・・・・それはまた別の話・・・。
END

       

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