Neetel Inside 文芸新都
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にわか文学掌編集

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ごめんね、いや、誰に自分はごめんねといっているのだろうか?


この前、宝くじを買ってみたんだ。まあ、ちょっとした運試しみたいなものだよ。今まで自分は、汗水流しながら必死に働いてきたけど、それも今日でおしまい。
そう、当たってしまったんだ。宝くじ。たしか、3億円位だった気がする。当選発表を見て、自分の番号と合ってるか何度も確認して、間違いない、これは当たりだ、3億円だ!と喜び、すぐさま1枚の紙切れを3億円に換えてきた。これで、今まで苦痛だった仕事ともおさらばだと、すぐに退職届を上司に出してきた。いままで、上司には幾度となく怒鳴られ、同僚の女にはキモイと罵られ、後輩にも馬鹿にされる始末。こんな生活とおさらばだぞ?うれしくない筈が無いじゃないか!そうして自分は、無職になったんだ。

まず、このお金をどうしようかと悩んだんだ。ベンツ買うか、マンション買うか、それとも趣味につぎ込むか。いくら使ってもなくならないんだ!3億円だぞ?何でもできる!そう思ってたんだ。まあ、それが違っていたことは、もっと後になったら分かったんだけどね・・・。とにかく、そのときの自分は訳が分からなくなったんだと思う。とりあえず、風俗行ってきて、童貞捨ててきたよ。

3ヶ月くらいたって、お金を使うことを覚え始めた自分は、今までの生活とはかけ離れた生活をするようになったんだ。とりあえず、高級マンションに引っ越して、憧れの外車であるベンツを購入して、大量の漫画やゲームを買い込んだんだ。すごい、ほしいものが何でも手に入るぞ!自分が、この世界の神になったような気にもなれた。世の中お金でできている、金は、まるで光り輝く宝石のようだった。いや、その宝石よりも価値があるんだ!俺は、神だ!今まで散々な目にあわせてくれた上司、女、後輩!この俺様に跪け!頭の中は、常に興奮状態だった。

それからさらに時間がたつと、自分の行動はさらにエスカレートしていき、もはや普通じゃなくなっていたんだ。普通じゃなくなった自分は、人の道を踏み外していったんだ。風俗に通いこんだり、酒を、吐くまで大量に飲み続けてみたり、ついには、麻薬にまで手を染め出したんだ。普通じゃないからね。ああ、ここから自分はだめになったんだ。お金というのは、使えば無くなるもので、当たった3億円は、驚くほど早く、底をついてしまった。もう自分は普通には戻れなかったんだ。その後、借金をした。そして、その金を、女に、酒に、ヤクに、つぎ込んだ。自分の頭の中では、もう間に合わない、今すぐ元の生活に戻れ!と警笛を鳴らし続けていたけど、そんなことできるわけ無いじゃないか。

今、自分は、マンションの屋上にいる。自分は、もうだめだ。自分のものは、借金取りに次々と奪われ、ヤクを買う金も借りることができず、絶望した。1年位前は、辛くても、普通の人間だったのに。もう、こんな腐った社会のゴミは、消えるべきだ。そう思い立ち、気づいたらこんなところにいた。昔の人間は、こんな言葉を作った。タイムイズマネー(あってるかは知らない)、時は金なり。たくさんお金があっても、愛と時間は買えないんだよ。ああ、昔の自分には愛が足りなかったんだ。なぜ、自分は誰にも愛されなかったのだろう?やっぱ顔がキモイからだろうね。ごめんね、さようなら。自分は今、消えてなくなります。


「ニュースが入ってきました。昨日未明、一人の男性が道路で血を流しているのが発見されました。その男は、―――

       

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