Neetel Inside 文芸新都
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鮫島
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 なにしていたのだろう。
何をするともなく、ただぼぉっと、一点を見つめていた。
大学生活の半分を終え、現在は夏休みに入り何もやることもなく、何もやる気のおこらないわたしは、今日も何もすることもなく一日を終えようとしていた。ふと、朝から点けっ放しにしているテレビをみると離島特集などをしている。そのまま、なんの気もなしにテレビを見ていると、休みを利用して離島にいくのも悪くないという気になってきた。
先月辞めたアルバイトの給料がどのぐらい残っているか、日程はいつにしようかなどと考えていたのだが、小一時間ほど考えていると、ある問題に気づいた。行き先はどこにするか、長期休暇のせいか頭の働きが本当に鈍っていたらしい、旅行などろくにしたことのないわたしは手ごろな離島がどこにあるのか、そもそも日本国内に旅行にいける離島があるのか、ということすらわからなかった。
こんな時間、旅行代理店も開いているわけもなく、わたしのことだから開いていたとしても多分面倒くさくて行かないだろう。
「まあ、現代はパソコンという便利なものがある。」
 ぼそりと、誰かが見ていたら確実に気持ち悪がるような独り言を言いながら、ノートパソコンを開いた。

     

 このパソコンは半年ほど前に大学のレポートの作成に役立つと思い購入したのだが、プリンタがないとレポートの印刷ができないということにはあとになって知った。
少し考えれば当たり前のことなのだが、プリンタを買いに行くのも面倒なので、そのまま放ったらかしにしていた。
比喩ではなく本当に埃をかぶっていたため使えるかどうか少々不安であったが、電源をいれるとパソコンは何の問題もなく動作した。
パソコンの購入時に電気屋の店員に勧められるままにプロバイダに加入したので、インターネットは問題なくできる。
ただ、どのように調べればよいのかさえ、よくわからなかったので適当にネット上の旅行関係の掲示板で「旅行にお勧めの離島はありませんか?」などと書き込んでみた。反応は、想像以上に早かった。

「鮫島がいい」

「鮫島はやめておけ」

「タブーには触れるな!」

 「やめておけ」と、いうものやよくわからない書き込みが多かったが、鮫島という島について触れている書き込みが多かった。
どうやら、昔何かしらの事件が起きたらしいのだが、そんなものは別にたいした問題でもなく、そもそも他に行く旅先も思い浮かばないのでわたしは旅先を鮫島にきめた。

       

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