Neetel Inside 文芸新都
表紙

タイトル未定
まとめて読む

見開き   最大化      

1

我ながらワケの分からないバイトを選んでしまったと思う。後悔はあまりしていないけど。
暇は十分過ぎる程あるけれど、金は全く無いから取り敢えずバイトでもしないとなって。そう考えてて。全然立派な考えでない。でも悪くはないだろって思ってるんだけどどうなんだろうか。
暇を持て余していて、家に居てもしょうがない。日光でも浴びてくるかと散歩しているときに、町内会だかの掲示板に張り出されていたのが今のバイトの求人広告。
「年齢不問。時給900円。内容:軽作業。その後にインクが滲んでいて読めない文字が続き、~したい方!○△研究所 ℡○○○-○○○○」
研究所か。新薬投与だろうか。でも軽作業って書いてあるな。時給900円だし、そんな大したことやらないだろうな。
軽率な俺は電話番号をメモして、家に帰ったら○△研究所とやらに電話していた。
受話器の向こうで喋っていた相手は機械的な声で、「では明後日の午後2時にうちに来てください。履歴書はいらないんで」とだけ言って電話を切った。
履歴書いらんのか。まあ出費が無くて良かった。明後日はなるべく真面目そうな格好で行くとしよう。

翌々日。俺が持っている少ない服の中から比較的真面目そうに見える服を選び出した。
ネイビーのカーディガン、一体何の動物なのか分からないシルエットがプリントされたTシャツ、カーキのチノパン。やけにくたびれたショルダーバッグ。鏡の前に立ち、あんまり真面目そうじゃねえなって思ったが、これが一番手持ちの服で真面目そうに見えないことはない組み合わせである。落ちたら落ちたで他のバイト探せば良いかと半ば自棄になり、ボロアパートを後にした。

○△研究所は家からはバスで行くのが楽だが、自転車で行くことにした。
近所にこんな山があったのかと驚きつつペダルを漕ぐ。外れ掛けたカゴががしゃがしゃと音を立てる。家を出て約20分。漸く○△研究所に着いた。

一見廃墟に見える、ずんぐりした灰色の建物である。え、ここかよって思ったが、研究所ってのはこんなんもんだろって無理矢理思うことにした。敷地内に入り、駐輪所に自転車を停め、研究所に入っていった。

       

表紙

無し 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha