Epilogue
「リアクター1出力良好」
「バランサー調整 0003だス!」
「いかりをあげるだス。」
「反重力プラントチェック。1,2,3番OK!!」
「セイル解放、ソーラレベル288!」
「キルビーが接近して来ましたっ!何か奇妙な飛行物に乗っています!!」
「な、んだあれ…は…!?」
艦内がざわつく。
レーダーに映っているのは一点。今まで多勢を相手にしてきた彼等にとっては、相手が無能なのか。それとも、それに足る戦闘能力を有しているのかという疑問を解消するだけの素材が無かった。
それが乗っているのは自身より大きい、人の肌に血が滲んだ様な色をしていた。頭と思われる部分は頭部へ行くほど先細り、生き物だと思われるが、それには口が無かった。今まで見てきた生物のどれにも当てはまらない。全身に奔るでこぼこの血管は今にもはちきれそうだった。
「これは我等と怪物との戦争だ」
周囲の真剣な顔は総指揮官である彼に目を向けられている。誰もが死に瀕したことがあった。それでも、彼等は戦う。偉大な目的の為、家族の為、友人の為、愛しい者の為。しかし、彼等に共通していたのは、それらが故人であることであった。
「これの計画が上手くいけば、我等の故郷を魔の手から救うことが出来よう!私から一つ命令がある。…死んではならないということだ」
この戦いは、誰しもが恐怖する存在を倒す為ではない。己の祖国の為の狼煙である。
天の光が西に沈みかける頃。一対数千の戦争が幕を開けた。
Legend of Metaknight
Prologue
つい数週間前の出来事である。
「さぁて、今日はこの辺にしておくべかなぁ」
平和な光景。
夕日にを見つめながら満足気に背伸びをする四十半ばの男。
比較的優れた軍事力を有すこの国で農家の仕事をしている彼にとっては、外国の情勢等は気にすることも無い。日が昇って、起き、仕事をして、日が沈んで、家族と戯れ、寝て、日が昇って…の繰り返しであった。
殺人等は滅多に起こらない平和。政権は、一部に握られている王政とはいえ、国民はとても裕福に暮らしていた。しかし、この日は彼の生命の火を消される日であるとは、他の誰にも、本人でさえ知りもしなかった。
ガサガサ
草陰から音がする。
「なんだべか?」
その地獄は、覗いてはならないものだった。
そこには横たわった妻がいた。
顔は恐怖に歪んでいる。しかし、そこに意識というものは存在していない。人間だった物。そう称するに相応しい。乾燥しきっていない赤黒い血が滴る。
「ひっ、ひぃぃぃ!!!」
尻餅を付いたのでは逃げられない。妻だった物の中で蠢く物体からは。
サッカーボールぐらいの大きさ。丸い身体。不釣合いな大きな目。不釣合いな大きな口。
それらはある目的の為にしか存在していない。
喰。
血を浴びて赤色に染まった其れはこの世のものとは思えない。動いていることでさえ疑問を抱く容姿と状況。男に選択しを選ぶだけの力と運命はなかった。逃げようとした。叫びながら、必死に、もがいた。だけど遅かったのだ。
飛び掛ってくる其れは、男の顔面に着地した。生々しい音を立てながら、男は痙攣を起こす。
夢にも思わぬ状況。妻の死。抗えないと本能で悟った自分への死。
目の前が真っ暗になった。
今日日で彼の生命の灯火は消え去った。
「さぁて、今日はこの辺にしておくべかなぁ」
平和な光景。
夕日にを見つめながら満足気に背伸びをする四十半ばの男。
比較的優れた軍事力を有すこの国で農家の仕事をしている彼にとっては、外国の情勢等は気にすることも無い。日が昇って、起き、仕事をして、日が沈んで、家族と戯れ、寝て、日が昇って…の繰り返しであった。
殺人等は滅多に起こらない平和。政権は、一部に握られている王政とはいえ、国民はとても裕福に暮らしていた。しかし、この日は彼の生命の火を消される日であるとは、他の誰にも、本人でさえ知りもしなかった。
ガサガサ
草陰から音がする。
「なんだべか?」
その地獄は、覗いてはならないものだった。
そこには横たわった妻がいた。
顔は恐怖に歪んでいる。しかし、そこに意識というものは存在していない。人間だった物。そう称するに相応しい。乾燥しきっていない赤黒い血が滴る。
「ひっ、ひぃぃぃ!!!」
尻餅を付いたのでは逃げられない。妻だった物の中で蠢く物体からは。
サッカーボールぐらいの大きさ。丸い身体。不釣合いな大きな目。不釣合いな大きな口。
それらはある目的の為にしか存在していない。
喰。
血を浴びて赤色に染まった其れはこの世のものとは思えない。動いていることでさえ疑問を抱く容姿と状況。男に選択しを選ぶだけの力と運命はなかった。逃げようとした。叫びながら、必死に、もがいた。だけど遅かったのだ。
飛び掛ってくる其れは、男の顔面に着地した。生々しい音を立てながら、男は痙攣を起こす。
夢にも思わぬ状況。妻の死。抗えないと本能で悟った自分への死。
目の前が真っ暗になった。
今日日で彼の生命の灯火は消え去った。