「エピローグにしてプロローグ」
「これで終わりだっ!キング・ドーン!」
護は高く飛び上がり、魔王キング・ドーンの脳天に二本の剣を打ち下ろした。
「ぐうおおおおお!?」
護の剣が魔王の頭を割り、更にうろこで覆われた胴体をまるで紙のように両断していく。
「そんな、この俺が・・・この俺があああああああああ!!」
魔王キング・ドーンの最期だ。人々を苦しめ、地獄の底へと突き落とした魔王は今、
自らの住処である地獄へ帰ることも叶わず、剣の力によって光のかけらへと変わりつつあった。
「かは、かはははははは」キング・ドーンは・・・笑いだした。自らの死を前にして。
「何がおかしい!」護は怒鳴った。
「俺を倒せば終わりだと思ったか?甘い、甘すぎる。
俺は、死んでも、必ず俺に代わるものが、貴様たちを…!」
奴はその言葉を最後まで言うことはできなかった。
奴の体から、光の粒が立ち上る。その光に包まれ、今・・・
魔王はこの世界から、そしてあの世界からも完全に消滅した。
しばしの静謐。だれもしばらく声を出すことができなかった。
「勝った・・・」腑抜けた声で、護が呟く。
そう、あたしたちは確かに魔王キング・ドーンを倒したのだ。
戦いの激しさを物語るように、完全に吹き飛んだ天井。
天井の代わりにはいま、どこまでも広がる青空が広がっていた。
すべては終わった、はずだった。
だけどそれから一年後・・・魔王の言葉は、最悪の形で実現することになってしまった。