Neetel Inside ニートノベル
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或る夏の物語
1週目

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●1週目


僕はいわゆるモテナイ男だった。

小学校からの片思いは数え切れず。一度も告白した事は無かった。
容姿に自身が持てず、喋りも上手くない。告白する勇気すら無かった僕が、恋愛下手になるのは至極当然の結果だろう。


そんな僕が生まれ変われたのは(或いは、そう思っていたのは自分だけかもしれないが)
ネットに出会ってからだった。

ネット上では醜悪な容姿を晒す事も無く、滑舌の悪い言葉もMSゴシックの魔力により美麗な日本語に変換された。
真にネットは僕の救世主だった。



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「神様にだって出来ない事はある……」
AA略とでも言われそうな言葉を、僕は噛み締めていた。

「出会いチャット」に入り浸っていた僕だったが、その戦果は芳しく無かった……惨敗である。


いくらチャットで盛り上がろうとも、ネット恋愛をリアル恋愛に昇華する事が出来ない。
結局、リアルでの恋愛下手が足を引っ張るのだ。


もう恋人なんか一生できないんじゃないか……

新たな恋愛ツールに絶望してた頃、君と出合った。



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僕はいつものようにチャットの小部屋に入り浸っていた。

チャットの小部屋は4人用で、それ以上は入室出来ないようになっている。
大部屋は複数の会話が入り乱れているので慣れないからだ。


今日は、そんな小部屋のひとつで盛り上がった。
内容は良く覚えていない、他愛の無い話だったように思う。

話題がコロコロ変わり、入退室を繰り返す小部屋で4人が意気投合するのは珍しい事だった。


しかし退室時間が近づく。そろそろチャットを抜けなくてはならない。少し惜しいなと思っていると参加者の一人が僕の心を代弁してくれた。

「このメンバーで新しい部屋を作ろうよ」


ここのチャットは話題毎に部屋が分かれているが、ユーザーが新たらしい部屋を作る事もできる。それを作ろうと言うのだ。
もちろん皆が賛成した。



こうして初期メンバーの4人……
さんた、ぼく、くみ、どらみの集まる「さんたマンションの部屋」が出来たのだった。



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