幼いころ、拙い絵を描いた。
『みんなが思う、未来世界を描いてみましょう』
先生が陽気に言った。
無知で純粋な僕らは、こぞって、手に汗握りながら、一生懸命白いキャンバスにクレヨンを走らせる。
何かに急かされるように、殴り描いてゆく。
僕も描いた。
みんなと同じように、全力で、自分の想像力をキャンバスにぶつけた。
宙を自由に飛び回る自動車。とてつもなく高いビルの群れ。空を飛ぶロケット。人間と仲良く手を結ぶロボット。そしてニコリと笑っている僕自身と、家族。友達。
楽しかった。
明るい未来を想像するということは、僕らにとって、とても楽しいものだった。少なくとも、あのときの僕は間違いなくそうだったと思う。
できたものは、羨望の塊。未来への希望だ。
『よくできましたね』
あのころ、僕はそんな未来を疑わなかった。
あるべき事実だと夢想した。
しかし、そんな僕の希望は叶うことはなかった。裏切られた。
世界が歩む未来はあまりにも進歩なく、リアルで、今日も僕を失望させる――