Neetel Inside ニートノベル
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トマト人間
一話 その2

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「と、いうような文面の手紙が妹に幾度となく送られた、というわけだ」

僕の座っているイスに手を置きながら、吉田は言ったのだった。
「それで菊蔵って人は今どうしてるのさ」
そう僕が聞くと吉田は嫌そうな様子で僕にこう答えた。
「生きてるよ」
「…そうか」
たいして興味のある話ではなかったので、僕は吉田がいつもやっている通りに、話を軽く流した。僕と吉田の間に一定の沈黙の時間が流れた後、
僕はあの話を切り出そうとした。僕が引っ越しをする話だった。
「あのさ…」
まで言うと、吉田はさっき僕がやった通りに、いやもっと酷く、僕の話を聞き流す様子をみせた。これは本当にひどい。
ことがことだけに、ひどすぎる。吉田、おまえは僕が引っ越しをしてもなんにも思わないのか?もしや僕が引っ越しすることを喜んでいるのか?

「おい吉田、これは重要な話なんだ。ちゃんと聞けよ」
そう言うと吉田は面倒くさそうな顔して、そらしていた目線をこっちに向けた。
「本当に本当に、これは重要な話なんだ」
「引っ越すことが決まったんだ」
「えっ…」
だが言葉とは裏腹に、吉田は全然動揺していなかった。なぜなら…
「その話は昨日くらいに、苗ちゃんから聞いたよ」
「えっ…」
「今さらかよ…」
そう言うと吉田は、「じゃあな」という顔をこちらに向けたあと、チーターのように教室を後にしていった。

       

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