Neetel Inside 文芸新都
表紙

噂の魔王
九尾の憂鬱

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雀の鳴き声で目を覚ましたリリィは少しの間ぼっーとしていたが自分が服を着ていないことに気づき深い溜息をついた。
周囲を見渡すがどこにも魔王の姿は無い。自分が今さっきまで寝ていたベットも魔王のもののように無駄に大きいものではない。普通のサイズのベットだ。机と椅子にベット。不必要なものはどこにも無いただ寝るためだけの質素な空間。
どこをどう見ても自分の部屋だった。
「はぁ……またか」
どうやら自分はまた魔王の夜伽の途中で失神してしまったらしい。きっと魔王が気を利かせて部屋まで運んでくれたのだあろう。
リリィは小さく嘆息を漏らした後急いでいつもの巫女装束に着替え魔王の部屋へと足を運んだ。
魔王の部屋の前まで来るとリリィは少し息を吸い大きな声を出した。
「魔王朝だぞ」 
三秒程待つが返事は無い。
リリィは今度は大きく嘆息を漏らしドアを開けた。
「魔王、朝だぞ」
声をかけるが魔王は無駄にでかいベットの上で掛け布団もかけずに大口を開けて寝ていた。
はたして本当にこれが魔王なのかと疑いたくなる格好だった。
白いタンクトップと黒のトランクス。見た目は人間と何ら変わらないのだから尚更である。
しかも隙だらけ。自分が使い魔として召喚されていなければいまここで魔王をすぐに殺せるような状況だった。昔おばあちゃんに"魔王にだけは逆らっちゃ駄目だよ。特に今年家督を継いだ二十七代目の魔王は歴代魔王の中でも一番の魔力を持っているからね"といわれたが正直信じがたい。
だけれどもこの私が魔王の結界に傷一つ傷つけることが出来なかったのも事実なのだ。
しかしいつもながらこの馬鹿みたいな寝顔を見ているとふつふつと殺意が沸いてくる。
しかもこのような姿を晒す事で"どんな状況でも俺は勝てる"主張しているような気がして腹が立つ。しかも自分が全力を出しても魔王には勝てないだろうと思うと尚腹が立った。
仕返しにどうにかして魔王を驚かす事ができないだろうかと思案する。前に焔でベットごと燃やしてみたが魔王におしおきされ肉体的にも精神的にも追い詰められ危うかった。
色々考えをめぐらしたが結論無いと言うことが判明し大人しく起す事にする。
「起きろ魔王」
ベットの上にのり魔王を揺らす。
だが目を覚ます気配は無い。
「起きろったら」
さらに強く揺らしてみるが全然効果が見られない。
仕方が無いので魔法で銅鑼を取り出して力強く何度も鳴らした。
ジャーン! ジャーン! 孟徳も真っ青な響きである。
しかしリリィの健闘空しく魔王はうるさそうに寝返りをうつだけだった。
心身共に疲れきったリリィは肩で息をしながら魔王にもたれかかって呼びかけた。
「頼むから魔王、起きてくれ」
瞬間抱きしめられた。

     

「なっ!」
咄嗟に逃げよとしたがそれを上回る速さと力で抱きしめられさらに密着する事になってしまった。
「このっ離れ、ひっ!」
魔王に狐耳を舐められそのまま咥えられる。
耳は外に出ている部分で最も敏感な部分だ。触れられるだけでも多少反応してしまうのに舐められたりでもしたら声が出てしまうのは仕方ない事だった。
なんとか魔王を離れさせようともがくが元々体力が無いのにさっきの行為の所為で疲れきってしまったリリィには大した抵抗と言う抵抗も出来ず結局なすがままだった。
「くっ、やめっ……んっ……んんッ!」
リリィの抵抗などお構いなしに魔王は執拗に耳を攻めつづける。
魔王に耳を甘噛みされて尚声を出すまいと押し殺すリリィに征服欲が沸き、元から無いと言ってもいい魔王の理性が爆発した。
リリィの唇に自分の唇を押し当て抵抗される前に素早く舌をリリィの口内に入れた。
最初こそ少しは抵抗したものの段々と表情がとろていった。
やがてリリィも自ら積極的に舌を伸ばし魔王と絡めあった。
「んぅ……んっ……んむッ……」
息苦しくなって唇を離すと、すかさずリリィが手を伸ばして頭を抑え口付けを終えようとしない。
少しの征服感を感じた魔王はリリィを突き飛ばし覆い被さる。
リリィから求めるならもう平気だろ。
魔王は乱暴にリリィの中に挿入し、朝っぱらからなんども求め合ったのだった………。

     

二度寝真っ最中の魔王背を向けて裸のリリィ。
またやってしまった。そんな後悔と自責の念がリリィの思考を支配している。
嫌なはずなのに段々と自分から求めて最後は魔王のされるままになってしまう。しかもそれを自ずと求めている自分がいる。
魔王を起すと言う目標すら達成できず、堂々と二度寝までされるとは。
「んー、シヴァ……」
しかも自分との事後だと言うのに他の女の夢を見る。
妙に屈辱的だ。いや、むしろ殺意と言ってもいい。
「今に見ていろよ………必ず……」
リリィは密かに決心して部屋を出た。
必ずや今度こそ魔王に仕返しを………と。

       

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