Neetel Inside 文芸新都
表紙

会社でお姉さんと仲良くなったのに凹られた
〜お買いものイベント発動!ずっと鉄火のターン!!〜(3/19うp)

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>さて、もう残業おわりにして帰るよ
>今日は疲れたから速攻風呂入ってネンネするよ
>姉さんとメールしながら、レスするよ
>また後で進行状況れすするよ


先ほどまで繰り広げられていた「鉄火に置いてけぼり事件」の報告を会社で終え
俺はこれから自分がどういう人生を送ることになるのか、などと考えながら家路についた。
帰るなりPCを起動し、パー速を見られるようにしておいた専ブラを立ち上げ住人の反応を見る。
>>お疲れさん!ゆっくり休め

>>乙!メール報告楽しみなんだぜ?

>>なんで二人で行かないんだよおおおおおおおおおおおおおおお

>>姉さんにさっき聞き忘れたことあるってmailしろよ。
>>聞くのはもちろんスリーサイズな

「ああ、まだまだ対人スキルが備わっていない俺にはどちらの助言も越えられない壁に見える。
 だが住人、いつかおまいさまがたのその指令は、俺が完遂してみせるさ。」

根拠のない自身と共に俺は助言に相槌を打ち、ログを読んでいく。

>>溶材屋の俺としてはTIG男のせいでTIG溶接のイメージが悪くなって嫌だな。
>>つーか、登場人物の名前きめない?

「なるほど、確かにいつまで経っても俺は>>1のままなんだな。
 そろそろ俺という人物に愛着を持ってもらう為にも名前でも公募するとするかね。」

自分なりにイメージっぽいキーワードを羅列したり、
住人との雑談で自然に生まれるであろう名前に期待しつつ、
俺はそろそろ書き込みはコテで名乗ろうかと思った。

そして住人にVIPの名スレやVIPから生まれた名言などを教えてもらい、それらを読む。


親切な住人の勧める「悪魔の実を食ってみた」や「痴漢男」の漫画などを読んでいるうちに
俺は永眠(※1)してしまい、結局自分のコテなど決まらないうちにその晩は寝てしまう。

そんな俺にコテが付くのはもう少し後のことなのである。


(※1)永眠・・・主人公が寝落ちしてしまったときに使う言葉
         そのうち普通に寝ることを永眠と呼んだりするようになるが
         ある出来事により彼はその言葉を一時封印することになる。
         スレ主が悲しむ要因になる為筆者もこの用語を使うか悩んだが
         スレ主のクヲリティを尊重して使用させていただきます。

     

 昨晩延々と「痴漢男」のマンガを読んでいたため、非常に目覚めが悪かった。

「こんな日は早めに帰ってご飯済ませてから御握りしまくって気分を静めるか」

俺はそんな事を考えながら朝食と朝御握りを済ませ、賢者モードで御出勤する。
会社に着くと今日も向井は余所余所しい。全くもって不愉快な女の子だ。

>>向かいの席の姉ちゃんがよそよそしいには以下のどれかだろ
>>1.TIGに何か吹き込まれた
>>2.PC見ながらにやにやしている1が気持ち悪い
>>3.実は1のこと好きで現場のお姉さんに協力を依頼中
>>3なら飲み物の好みの情報源はこいつ
>>それと今度のデートに友達連れて行こうかと言った誘う相手もこいつ
>>4.現場姉さん、TIG、事務姉さんでドッキリ企画進行中
>>(良心の呵責に耐え切れなくなった感じでよそよそしい)

昨晩書かれていた住人の書き込みを思い出し、イラッとする。
「まあ、御握りの具くらいには使ってやるかな、向井君」
そんな蔑視を纏ったような捨て台詞を心で吐き、俺はタイムカードを押す。


始業後、工場に入ると鉄火と眼が合った。
鉄火は俺の方に近づいてくる。今日も豊かな胸だ。是非そのツナギの中に飛び込ませてくれ

鉄火
「おはよ、昨日は本当にごめんね。寒かったでしょ?」


「いえいえ、俺も聞きちがえてたかもしれへん」

鉄火
「へへっ、今日は寒いねー」


「うん、寒い」

鉄火
「今日はみぞれ鍋でもするっかなぁ、小さい鍋あるし」


「ええなあ、俺なんかどんべえや(家に誘ってくれ)」
「(むしろ今度作ってやるよ!なんて言ってくれ!)」

鉄火
「寂しいなあwそれwじゃあね」


「orz」



人間期待すると思い通りに行かなかった時に気分がパンクするので
やはりあまり期待などして人生を過ごしていてはいけないものだ。
今まで通り、今まで通りに何にも期待せずに過ごしていたならば
今こうしているように落ち込むこともなく、
またひょいと舞い込んできたタナボタ的な幸せに狂喜乱舞出来るのだから。


自嘲気味に笑った後、こちらを睨みつけるTIGの視線に気づいた俺は
こそこそと逃げるように事務所へ向かった。



「さて、今日は大したイベントも起きないようだし、コンビニに居るあの可愛い姉ちゃんの顔を見て、
しっかり脳内コピーした後は家で脳内zipを解凍して、御握り祭りと洒落こむかね」

独り言を言うのにも躊躇うことはない。ここはグラインダーの音が鳴り響く鉄工所
誰も俺の言葉など聞こえはしないし、聞こうとする者もいないのだから。


     

 俺は会社からの帰り道にあるコンビニに寄り、そこに勤めるある女の子の姿を探していた。
彼女の名はビニ子、コンビニに居るのでビニ子、安易だがスレ内ではこう呼ぶことに決めていた。

俺より少し若いくらいか。白い肌に映える青色のストライプのユニフォーム。
客に媚びず、あくまでビジネスライクであることを誇示するかのようなその笑顔。
そしてぽってりとした赤い花弁のような唇から発せられる「ありがとうございました」の言葉
そして俺の想像力を著しく刺激する、背後から拝見したときに視覚的に硬度が限りなく0に近づく、
つまり異常に柔らかそうなそのヒップ。全てが俺を刺激する。

彼女の立ち居振る舞いを横目で見ながら俺は少年ジャンプを立ち読みする。
途中、バイト小僧が俺を排除すべくフロアポリッシャーの機械を俺と本棚の間に割り込ませてくるが、
人にどう思われようと気にしない俺はそんな事にはまったくめげない。むしろ構って貰えて好感触。
さあ、今日もその美声を俺に聞かせてくれビニ子よ。


ビニ子
「~円のお返しになります、ありがとうございました、またお越しくださいませ~」

彼女の美声を脳内にレコーディングを済ませた俺は家路に付き、
ビニ子について住人と語り合いながら夕食を摂る。

>~って言っても殆ど彼女の事知らないし、言葉も一日2.3回交わすくらいのもんだし
>姉さんはだんだん姉さん感が大きくなってきてもっと甘えたい感じ
>まあ結局どうもせず終わるのが俺のお決まりのパターン
>さっきも憧れの娘に会ったけど進展ない罠、当然だけど

>>好きな人いるのかよ…

>>なんか話がややこしくなってきてないか?wwwwww

>>タゲは姉さんじゃないのか・・・

>>把握、お姉さんと仲良くなってお姉さん伝いでターゲットの子と接触
>>仲良くいんぐりもんぐりという流れだな?
>>個人的には、そのままあの子と上手くいかずにお姉さんに慰めてもらってセクロス
>>→元気でがんばれよ!的な別れを期待
>>無論、お姉さんともふもふな仲になるルートにも期待してる

>>好きな子はどういう関係?


やはり、ここでリアルで憧れている女性について語るのはタブーだったか、
何より住人は鉄火に俺が恋していると思っているんだものな。
だが俺自身、この少しばかり充実してきたこの事態に
何をどう行動に移せば良いのかもあまり分からないのは事実なのだ。

>いやいや、あくまであこがれなだけで、今更どうしようという気も無いけど毎日コンビニイッテル
>姉さんは、ケンコバ好きっつうくらいだからごついのがいいのかな
>とか思うと自分の貧弱さに泣けてくるし。
>あああ解らん、俺もわからん
>ちょっと本屋行ってくる

俺自身、自分が何を考えているのか分からない。誰を好きで、これから誰と仲良くなりたいのか。
ただ、これだけは言える。

はやく、アイシールドとブリーチとネウロが読みたい。

     

 今晩はコンビニに行った後二つ失敗をした。
その顛末はこうだ。


コンビニで立ち読みを済ませた俺は今週号のジャンプの展開に軽い興奮を覚えていた。
足取りも軽く、気分も良い。こんな夜はランニングなどする振りをしながら帰るのが気持ちいい。

「デビルバットゴーストゥ!」

時にピッチを上げて全力でダッシュする。並んでいる街灯が次々と俺の顔を照らしていく。
周りの風景も俺のダッシュに合わせて勢いよくスクロールしていく。
途中、会社帰りであろうOLのお姉さまと出会い頭にぶつかりそうになり、

「ヒィヤアァァ!」

という悲鳴を上げられたものの、ジャージのの裾から俺のお息子が顔を覗かせているわけで無し、
何も動揺することはない。ただ

「イヒィイ、す、すんません!よそ見していて俺が悪かたっでsっす!」

と冷静に対処することで事なきを得る。さすが俺だ、今日も今日とてスマートさ。
鼻歌混じりにアパートの階段を上がり、鍵をポケットから出す。

「魔界777つ道具、イビル・・・・・・・・・鍵」

とっさに思いつかなかったので独り言も控えめに。これ集合住宅に住む者のマナー
これから独り暮らしをしようかという方は覚えておくように。

部屋に入り携帯をチェックすると鉄火からの着信があった。
急いでかけ直し鉄火との更なるコミュニケーションを構築せねばならない。

着信履歴から鉄火にメールする。
まるでなりたての恋人同士が行うようなウブなコミュニケーションに軽く興奮する。

俺メール
「ご飯終わったんかな?」

鉄火メール
「うん、終わった。今からお風呂入るんだよ。
今日はご飯が時間的に遅かったからあまり食べられないし
すぐに食べ終わってメール待ってたんだけどね(笑)」

俺メール
「お風呂か、ごゆっくり」

鉄火メール
「覗くなよ(笑)  (警察の絵文字)呼ぶよ(笑)」

俺メール
「覗かん、まだ覗かんよ!」

ここで漫画は好きでもアニメとか見ない俺でも分かる某セリフで
ガンダム耐性をチェックしようとしてみたのだがいまいちな反応

鉄火メール
「いつやるのよ(笑)普通に男だね、>>1
風呂行ってくるよー」

ふふ、これはまさに友達以上恋人未満な展開、こういうのも悪くない、悪くないぜ。
PCを立ち上げすぐさま報告、しかし住人の指摘に俺は衝撃を受ける。

>>「メール待ってたんだけどね(笑)」
>>次は、こーゆうのにはちゃんと反応してあげて

な、なんということだ、普通の人たちはこういう所にまで気を行き届かせて
フォローのセリフなどを送信したりするということなのか?
普通そんな所まで気を使うの?どうなの?俺死ぬの?
だとしたら人とのコミュニケーションというものは俺にはとても難しいことなのじゃあないのか。

とはいえ、失敗をしたのは事実、真摯に受け止める振りをして住人と雑談していた。
やがて鉄火からの電話が鳴る。


鉄火
「やあ、まだ起きてた?」


「んーまあ、起きてました。」

鉄火
「あ、そうだ。週末って三田のイオンとアウトレットに行きたいんだけど、それでいいでしょ?」


「いいですよ、それで」


買物イベントの場所も決まり、時間や待ち合わせの方法なども確認したりしていたが
やがて会話を何とか続かせようとした俺はつい調子に乗ってしまい、アホな質問をしてしまう。







「~姉さんって細身やけどナイスなボディラインやもんね、どんぐらいあんの?」






鉄火
「・・・・」









俺は一気にアイスエイジにご招待されてしまい、これこそがKYなのだと実感する。

鉄火
「あのねー、私、あなたの恋人ではないんだけどねーww」


「すいません、もう言わんです」

鉄火
「ははっ!ほんと君は素直だわ、嫌いじゃない」

恋人にすらなっていないのにこの質問、俺は取り返しのつかないことをしてしまった。
だがそれも会話が途切れてしまった俺を彼女がフォローしたため、とりあえず事なきを得る。

短時間で二度の失態を演じ、とてつもない後悔の念に苛まされながら俺は通話を終了し
今週号のジャンプが面白かったことなどアンドロメダの彼方に消え失せ
失意と共に御握りを済ませ、早々に永眠した。

     

昨晩は素敵ではあるが妙なな夢を見た。
早速会社に行き、VIPPERに相談すべき事案だぞ、これは

>おはようVIPカウンセラー達
>昨晩鉄火姉さんとコンビニ娘の両方を夢に見た俺は欲張りなんだろうか

>>3Pなのかwwwwwwwwwwwwww

>>おはよう             もげろ

>>ぶっちゃけコンビニ娘ルートって接点少なすぎて難しくないか?

>>ちんこもげろ

>>二兎を追うものは(ry


まあなにかい、やっぱり夢とはいえ羨ましいかね、俺は誇らしいぜ。
俺はほくそえみながらレスを読んでいく。
中には当然というか奇特というか、こんな俺にマジのマジレス将軍マジレスな回答もチラホラ
有難く拝聴する

>>お前の問題点はスキルも無いのに眠ってからも「妄想」して
>>それをここに書いて喜んでいる点だwwwwwwwwww
>>しかもどっちつかずwwwwww
>>お前はどうししたいんだと昨日から聞かれてるだろうが
>>アドバイス受けたら実行に移してお前のクォリティを高めるんだ

えええ?そんなの訓練なしで俺にはどうしていいものかも分からんぞ。

>>しかしコンビニの子ってプライベートの付き合いないんだよな?
>>ってことは 人として距離が近いのは鉄火姉さんの方か

ああそうさ、はっきり言ってビニ子とはフランクに話したことはない。
俺のフランクを食べさせる夢なら昨晩拝見したがな・・・・。

>>今日の昼休みにでも鉄火姉さんに行きつけのコンビニに好きな子がいるんだけど、
>>どうしたらいい?と恋愛相談を持ちかけるんだ。
>>多分おまいは気付いていないだろうが、
>>母性本能をくすぐるオーラをおまいが出してるみたいだから、
>>よし!私が協力してあげよう
>>とノリノリで可愛い?後輩の恋愛キューピットを買って出るだろwwwwww
>>もし、脈が無さそうなら、あー今の>>1じゃムリムリみたいな事になるかもしれんが。
>>(この場合、本当に無理かそれとも>>1に鉄火姉フラグ?かのどちらかだww)
>>さぁ、レッツトライ!

む・・・・・無茶言うな・・・・・
だが、俺としても非常に興味深いもんがあるな、何よりビニ子は俺にとっての一目惚れ
上手くいったらおなぐさみ、鉄火ルート消滅の可能性もアリアリだが、
このレスに妙な説得力のようなものを感じた俺は、すっかりその気になる。

>>ってかビニ子に彼氏がいるかどうか
>>それが問題だ

・・・・・そ、それをどうやって把握しようっていうのかい、え?

>>今北
>>鉄火姐のメールや態度を見る限り、確かに今のところ>>1に対して脈薄だとは思うんだが
>>可愛い弟っぽく思ってた → 意外と頼りがいがある? → 恋愛対象に格上げ
>>ってのはよくある話なんだよな
>>姐さんタイプってのはしっかりしているように見えて脆い一面を持ってる
>>その上、強そうで実は弱い部分のある男とくっつくんだよな
>>>>1は母性本能くすぐるタイプっぽいし、これから逞しさを見せていけばいいだけの話
>>買い物にまで誘われておきながら、はじめから諦めるのは
>>勿 体 な い ぜ ?
>>お前が諦めたらせっかく拾ったチャンスを捨てることになるんだ
>>高嶺の花だと思っていたり、よく知りもしないコンビニ女にうつつをぬかしてないで、
>>まずは鉄火姐がどういう人だかじっくり付き合って見てもいいんじゃないだろうか
>>コンビニ女は鉄火姐に振られてからでもいいじゃまいかwwww

うああああああ!!今度は順序的に逆のレスかよ!!俺はいったいどうすればいいって言うんだ!?
だが俺は思った、色々アドバイスや選択肢を住人から頂いたところで
結局全てを決定するのは俺なのであるということ。
その結果が見えないからこそ、VIPカウンセラー達は親身になり、時には面白がりながら
俺に助言をくれているのだ。俺は、動かなければいけない。
昼休み突入と同時に急いで書き込みを行い、俺は鉄火の元へ急いだ。


286 名前:1 ◆oyDR7bB8tg投稿日:2008/02/07(木) 12:20:57.27 ID:MsPoIESO
鉄火んとこ行ってくる

     

 俺は昼休みを利用して、鉄火の休憩している定盤(※1)の所へ向かおうとした。
向井が何やら俺に声をかけようとしていたがとりあえず無視、
いや聞こえなかった振りをしてダッシュする。
工場に入って鉄火の元へ急ぐと鉄火は定盤の上に発砲スチロールを曳いて寝ていた。
ガサツな性格のようだが、寝顔だけは見せないようにタオルを顔にかけ、腕を重しにしている。
ツナギの上からでも分かるそのボディライン、俺には最高のお握りの具材だぜ・・・・。


とにかく寝ているのなら仕方ない、と俺は立ち去ろうとしたが
不可抗力とはいえ溶接機のコンジットケーブルに足を引っ掛け大きな音を出す俺はお約束野郎だ。
更に俺は不可能を可能にする男さ。鉄火はその音で目を覚ました。

鉄火
「ン~?」

なんというセクシーな声、俺はもうその声だけでお握り4回はいけるぜ。
鉄火は眠そうに頬を掻きながら

「ごめん、来てくれてたんだ、まあ座りなよw」

と言い、俺に椅子を勧めた。
俺はにやにやしながらその椅子のほうに歩んでいったが、体がすぐに硬直する。
そう、この硬直を与える相手は一人しかいない。TIGだ。
TIGはすぐそばの定盤に腰掛け、先ほどから俺の様子を伺っていたらしい。
彼は俺が鉄火に歩み寄ったこと、そのはちきれんばかりのボディラインを
俺がいやらしい目つきで視姦していた一部始終をじっと見ていたのだ。

俺の草食動物的な固まる動作を見ていた鉄火は俺の視線の先を見、TIGに聞こえよがしにこういった。

鉄火
「ほっときなよ、醜いねえ男の嫉妬ってww、只の友達なのにね」

友達・・・・そうか、俺は友達か・・・
友達と呼んでもらえた微かな嬉しさと、友達程度に留まっている自分への評価に対する悲しさで
俺の心は複雑に高鳴った。

とりあえずビニ子の事を話してみたが、鉄火の食いつきがが俺の想像を遥かに超えて良かったのは
一体どういう意味なのだろうか。とりあえず鉄火に言われるまま彼女について説明をしていった。

鉄火
「はは・・・コンビニ店員かあ~それはいつまでたってもゴールが見えない感じだな~ww」
「で、どこの娘なのよ?」

鉄火は肘で俺をウリウリとにじりながら、ニヤニヤつつも俺を質問攻めに遭わせる。
どこのコンビニかを説明すると、鉄火はパァッと明るい顔で

鉄火
「ん~見てきていい?」

と俺にウィンクした。


「ドゾー」

彼女はバイクのキーがポケットに入っているかを確認しながら、バイクの所まで走ろうとした。
途中、何かを思い出したように立ち止まり、俺のほうを向きなおす。

鉄火
「ねえ、>>1!! はちごーごーよんはちよん!」

俺は彼女の口から突然発せられた謎の暗号に少々面食らったものの、

「あ、はいはい、ほな午後もがんばって」

というなんとも間の抜けた返事をし、彼女もなにやらガクッとするポーズをした後再度走っていった。
こうして彼女の発言の意味するものを理解しないまま俺の昼休みは終了した。

事務所に帰ってくると向井がなにやら怪訝な顔をしてこちらを見ていたが無視、
俺には関係ない娘だと思ったが、彼女の軽く開いた胸元を見た瞬間、
俺の血液と思考が急激な速度で逆流する感触に襲われた。
先ほどの暗号の意味するもの、それは・・・・・


スリーサイズ



今頃把握し、しかも記憶に残るその数字を反芻しながら彼女のシルエットをイメージしようとしたが
彼女がなんと言っていたかをド忘れしてしまい、
俺は彼女のスリーサイズを再度聞くために定時を待ちながら悶々としたのである。




(※1)定盤・・・鉄工所等で使う作業台(のようなもの)
       

     

定時後、俺は鉄火に会おうと速攻でタイムカードを押し、伝票にハンコを押してから帰ってぇなあ、
という向井に「あー、明日朝イチでな」と生返事、工場に走った。
またもTIGとすれ違いそうになるが、材料を吟味する振りをし、
いそいそとした様子を見せないように努める。
こういうところで俺の小動物的な本能が発揮されるとはTIGも思いもしないだろう。
だがいつまでも材料とにらめっこしているわけにもいかない、鉄火の元へ急がないと。

鉄火の定盤のあたりまで来ると、鉄火がビールケースを用意していた。
ビールケースを踏み台に、棚の上の材料を取ろうとしているようだ。
だが見ているとあと数センチというところなのに、
取りたい材料が奥まったところに置いてある為届かない。
その様子と彼女のやわらかそうなヒップを眺めていた俺だが、
もたもたする鉄火がやがて俺に気づいた。

鉄火
「ねえ、いいところに来たじゃんwちこーっとだけこっちに来てくれない?」

ちっ、せっかくバックから撮影されたプリプリと踊るお尻の様子を
俺様の高精度USB接続脳内HDDに保管しようとしていたところなのに・・・。
とはいえ折角の鉄火の申し出だ、これを断る手はあるまい。
俺が鉄火に近寄ると、彼女はそのふっくらとしたお尻を俺に再度向け、
腰の辺りをチョイチョイと指差しアピール。腰を支えろということらしい。

俺は思わず手のひらを作業ズボンでゴシゴシとこすりつけ、汚れていないかをチェック。
彼女のツナギの腰の辺りを緊張と共にがっちりホールドする。
この感触・・・・・いまだかつて触った事の無い柔らかさだ。

いや、いまだかつてはいうものの俺自身女性の体に触れた事自体ほとんど無い訳だが。
なんといっても中学校のフォークダンスで女生徒と手を握ろうとしたものの
ほぼ全員といっていいほどに手を触れるのを拒絶された位だから。
とにかくいまだかつてない感触に俺は心躍らせた。

ふと、昼間聞いたもののド忘れしていた彼女のスリーサイズの事を思い出し、
彼女にあの暗号をもう一度教えてもらおうと思った。
そして俺が口を開こうとしたその時

鉄火
「だいじょうぶ?じゃあっ・・・!!」

鉄火がビールケースの上で爪先立ちになり、棚の上に手を伸ばす。
彼女を支えながら、俺は事務所勤務ならではの非力っぷりで
彼女を鼻息まで荒くさせながらサポートする。

そして彼女が更に背を伸ばそうとしたとき、
彼女の爪先がビールケースの角を思わず蹴り出した為、
ケースはギチギチという音と共に俺のほうへズリ出てきてしまった。
それにより彼女の両足は完全に中空に遊んでいる状態になり、
今、彼女を支えているのはこの俺の細腕二本のみとなる。正にヘブン状態。
俺は聞こえても構わないと彼女の腰を掴んだまま

「フンガッ!」という声と共にフェイスバーストモードを開放
するとほんの少しだけ鉄火が持ち上がり、彼女の嬉しそうな声が聞こえた。

鉄火
「やった!取れたよ!ちょちょちょ!やっぱ怖いから早く降ろしてww!!」

最後の圧縮粒子を搾り出し、怪我をさせないようにゆっくりと彼女を降ろす。
彼女は手をパンパンとはたきながら俺にビニール袋に入れられた冊子を手渡す。


「?・・・なにこれ?」

鉄火
「出してみて」

手渡された袋の中身、それは鉄火の大人びた字で書かれた一冊のノートだった。

『各鋼材、用途に合わせた溶接技術と電圧、電流の覚書き』

鉄火
「ここ来た時に無くしちゃってたんだ、今日必死で探したんだよw良かった見つかって」


「・・・?」

鉄火
「?いらない?この前ずっと私の溶接見てたじゃん、勉強したいのかなと思ってさ」


「あ、おう、そやね、勉強、してた」

鉄火
「今度溶接教えてあげるよ、工場長に話してみるから」


「あ、うん」

俺は彼女の『溶接虎の巻』に掛かった埃を丁寧に払い、下を向いた。
こういう時、どういう返事をすれば良いのかも分からないのだが、
この俺に沸いてきた感情が何なのかは分かっているつもりだ。

人の優しさや思いやりに触れるって、ありがたいものだな、と

     

 鉄火から溶接教本を有り難く拝借した俺は鉄火と共に駐車場へ歩いていた。

鉄火
「~だから半自動溶接はTIG溶接(※1)よりも簡単って言われてるのよ」


「ほぇ~」

彼女に溶接の種類や難易度のランキングを教えてもらいながら俺は相槌を打つ。
既に事務所で工場長に教えてもらっている内容だが、色々と教えてもらってる身としては
「知ってますよ、それ」なんて言えやしない。まあ、会話が続かない俺には丁度いい。
そしてスリーサイズの件をしつこく聞いた結果、B85、W54、H84だという事も判明。
ゴクリ・・・・・俺には到底高嶺の花だぜ、並クラスのおっぱいですら拝んだことがないってえのに。
「恥ずかしいからもう言わないからね、二度と聞くなよw」
そう言った彼女の顔は、奇しくもスリーサイズを教えてしまうという黒歴史を塗りつぶすかのように真赤だった。だがそれがいい。

ポケットからキーを取りだし、車のオートロックを解除、
ヘルメットを被ろうとする鉄火のお尻を眺めながら車に乗り込む。
彼女は小回りの利くTT-Rを鮮やかにターンさせ、俺の車の横につける。
何かを言おうとしてるのかと俺は車のパワーウィンドウを開けた。

鉄火
「ねえ、今日さ、ウチでご飯食べない?いやお互い一人だしさ、ホレ、たまには二人でと思って。」
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「教唆、ウチで誤判食べない?嫌男互い一里だしさ、ホレ、多摩には二里でと主って」

「今日さ、うちで鉄火巻き食べない?いやお互い独りだしさ、これなら二人で握って」

「今日さ、うちで鉄火食べない?いやお互い寂しいしさ、惚れたら握りあいっこして」

「今日さ。うちで私食べない?いや私寂しいからさ、惚れたし御握りしてあげたいの」

「今日さ、セクロスしない?寂しいのよ。惚れた男には御握り奉仕してあげる」(この間0.5秒)












おれ  の もうそう の ほうそく が みだれる!!






一瞬で俺の顔はバファリンを静脈注射しなければならないほどに放熱する。
駄目だ、熱い、顔が熱い、何を言い出すんだこのお姉さまは。
俺の精神の割れ目に的確に、かつ豪快に楔を打ち込んできおってからに。
俺はかつてないほどの興奮と恥辱、いやここで恥辱という言葉をなぜ使ったか。
その鉄火の一言で俺のお息子はいじらしいほどの硬度をキープしてしまったからである。
とにかくこの場を離れたい、その俺の思いは俺の妄想を鮮やかに裏切り


「いや、バイクのパンク直すから、いいです」

という言葉を発せさせるのだった。


(※1)TIG溶接・・・溶接の種類。効き手で溶接トーチを動かし、逆の手で溶接棒を供給する
            作業を要するため、片手で溶接棒供給とトーチの運びを行う半自動溶接より
            難易度は高いとされる。その反面溶接跡が非常に美しく仕上がり、
            一般に外装などの接合に使われる。
            >>1の宿敵「TIG」が得意とする溶接。彼の名もここに由来する。

     

 帰りに車を運転しながら携帯で報告をしていた俺は、
鉄火がビニ子を見に行った事に関する彼女の感想を聞くの忘れていた。
せっかくだからその件も住人に報告しておくとするか。


>あれ?鉄火のビニ子の総評がきけなかった件について‥
>私は反対ということだろうか、俺、考え過ぎ?



矢継ぎ早に住人からのレスが付く。俺は興奮気味になってきたのと
丁度ビニ子の勤め先であるコンビニのあたりまで来ていたので
ビニ子勤務のコンビニに車を停め、レスを読んでいく。



>>鉄火姐の3サイズ、はちごーごーよんはちよん だろ?
>>むちゃくちゃナイスバディじゃねえかwwwwwwwwwww
>>うほっwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
だろう?俺もかなり漲ってるぜ、股間がな。
そりゃあツナギの上からでもホルンホルン揺れるんだもの。


>>おまっ…せっかくの誘いを…
だってwwwwwwみwwwwなwwぎwwwってwwwきたwwwんだもん、股間が。



>>おじゃましてビニ子攻略の相談すればよかったのに
あ・・・・・それはアリだったかも。



>>あああああああああイライラ巣るぅぅぅぅぅぅううううう!!!
>>激フラグ立ってんじゃねーか>>1ぃぃぃいいいいい!!
>>残るはビニ子ルートとトイメン(向井)ルートか・・・
>>週末挽回汁
いやいや、パー速民の諸君、俺のルートは無限に拡がってんだぜ?
それこそけもの道さながらさ。


>>フォローのメールだけはしとけよ。
おーけーまかせな、俺はいつだってクライマックスさ。



>>鉄火姐がやたらに積極的な件
あるあるwwwwwそんな経験ねーよw比較対象もないから積極的なのかもワカランのだよ。



>>いや、多分鉄火の読みはこうだww
>>コンビニの娘、見てきたけどたいしたことないなー。
>>まぁ、>>1の相談に乗って玉砕したら、私が慰めてあげるかーww
>>失恋に効く薬は新しい恋って定番だもんねーww
>>ふふっ、モチロン玉砕するようにアドバイスするんだ♪
・・・・・・鉄火はそんな事言わない

>>俺が変わりにねぇねぇのとこ行って飯いただいてくる
いや待て早まるな


>>いやいや、オレが
だから早まるなって、それよりもおまいさまがた盛り上がりすぎだ。股間が。


>>どうでもイイからビニ子に連絡先でも渡して来い
・・・な、なんだってーーーーーーーー!!


>>↑渡した時点でフラグ破壊な気がするのは気のせいだろうか
>>1を応援してやりたいがなんというか接点が少なすぎるww
そ、そんな事言うなよう・・俺は一応本気なんだぞ。


>>夜、食事でもしながらゆっくり話そうと思ってたかもしれんぞ
勿論その後は・・・・・分かるな?


>>誘いを蹴る方が失礼。
>>せっかくのチャンスを何で不意にする?
>>フォローしとけよ
ああ、任せとけ、俺はいつだってクラ(ry

>>フラグたってるやん
え?そうなの?どの辺がなのさ。


>>お前の優柔不断ぶりに全俺が泣いた
だって優柔不断も何も俺達付き合っても突きあってもいないじゃないのさ。


>>フラグも何もないだろう。
>>ただの片思い。それで進めばそれでいい。
>>まず望めないが
いやそこまで言われると逆に落ち込むわけだが。


>>ああなるほど、これからフラグを立てていかなきゃいけないんだもんなww
>>だがそれにも順序というものをだな
>>既に常連にはなってそうだからまずは差し障りない軽い会話から
>>・・・やっぱ無理くせぇwwwwwwwwwwwwwwww
おまいさまがたは俺の味方なのかね?敵なのかね?
敵にすると恐ろしいことだけは分かるのだが。



住人のレスに対し車の中で独り言を言いながら携帯をいじる俺
おそらく外を歩く人々は白い目で俺の事を見ていただろう。
そんな事を気にせずレスを読んでいた俺だが、一つ気にかかることがあった。

俺がフラグを折ったというレスが非常に多いという事に

はて、俺の行為のどこに落ち度があったというのだろう。
確かに俺は彼女のお誘いを丁重にお断りした。だが、それが恋愛フラグの破壊にどう作用したと
言うのだろう。よく分からない。
俺は確かにお断りはしたが、俺の華麗な嘘「パンク修理」という名目があった為に彼女は
「じゃあ仕方ないね」とおとなしく引き下がったんだ。つまり信用してくれたということさ。
予定があるのに後から来た予定を挟める訳がないじゃないか。おかしいな。
・・・俺がおかしいのか・・・?
こういうものの考えかたをしているから、俺はKYと呼ばれているのだろうか。

だがそんな事を考えていても仕方がない。
住人がフラグを折った折ったと言い張っておくんなさると言うことは、次に進めということだな?
なるほど、これはおあつらえ向きに俺が居る場所はビニ子ンビニではないか。
好機来たりと俺はカコカコと携帯で書き込みをする。

>じゃあそこまでフラグ破壊とか言うなら一歩進んでやるぜ!
>今からビニ子に声掛ける。
>あわよくば終わるまで待つ。
>鉄火の会話トレーニングは生きてるはず!では突入しまーす


機を読まずに動き出すのは俺の悪い癖
この悪い癖が、後に俺のルートを救ったり乱したりすることになるのであるが
それはもっともっと後の話になるのである。
俺は車を降り、コンビニのドアをそっと押した。


















360 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします
投稿日:2008/02/07(木) 21:02:14.21 ID:Z394nb2o
ま、待て!早まるな!
それは絶対タイーホフラグだ・・・


     

 コンビニのドアをまず突破した俺は、ついついいつもの癖で一番窓よりの通路に足を運ぶ。
歩いていくと右手側の棚には週間少年VIPや月間コミックニート、
今日発売のヤングVIPまでもが平積みされている。よ・・・読みたい。だが俺には指令がある。
まずはレジの方を見てビニ子の存在を確認する。居た。やはり木曜日は絶対に出勤らしい。

居たのを確認すると俺は彼女をバイト上がりに誘い出そうという作戦に打って出る。
よくよく考えれば、住人に誘い出し文句などを聞いてから特攻すべきだったのかも知れない。
自分のお息子をお握りする時も、こうやっていざ告白という時ですらも早漏な自分に全く乾杯さ。

妄想1
『(レジを済ませる俺)あの・・・もし良かったらなんやけどバイト上がりにファミレスでも・・・』

妄想2
『から揚げちゃんと肉まん、それと・・・レジのお嬢さんを一人』

妄想3
『俺の名前はロックオン、おまいさまの心を狙い撃つぜぇ!!』

いくつか掴みの台詞を考えてみたが、ほれ見たことかどう考えても全て却下だ。漏れなくキモい。
そんな事を考えながらビニ子をチラチラ見ているうちに、胸が早鐘のようになっていることに気づいた。ど、どうしたというのか。何故俺はそこまで緊張する。
バクバクと鳴る心臓、この時間帯でありながら客が次々と入ってくる店内。
緊張がピークにさしかかろうかという時、俺の耳が賑やかな店内の様子を鋭敏に拾い集め始めた。
ああ、人間が極度のストレスや緊張状態に入ると知覚神経が研ぎ澄まされるという奴か、これが。

(店内)
-ビニ子「811円のお返しになりまーす、レシートは(ry」-
-ビニ男「お弁当は温めますか~?」-
-金髪女子「どうしてここにいるのよ!」-
-優男「どうしてここにいるんだ!」-
-巻き毛少年「俺がガンダムだ!」-
-ロック青年「何個か硬さとか形 色んなの買っといたから使いやすいの使ってみると良いよ」
-女子高生「ありがとー」-

ええい!ここにきてこのような集中力など要らないのに、むしろ鈍感になれ、俺。そうしないとビニ子へのお誘い文句など出てきやしないだろうに・・
とりあえず俺は何か買い物をと思い、とりあえず俺の大好物であるボン兵衛大盛りを手に取る。
選択肢は妄想1で行こう、無難かつ様子を見やすいお誘い文句だしな。
俺はレジに向かい、ボン兵衛をカウンターにポトリと置く。ビニ子がそれを手に取り、顔を上げる。
俺も顔を上げた。

ビニ子
「いらっしゃ・・・」

彼女の営業スマイルが俺を補足し、あの愛嬌ある顔を俺だけのために送ろうとし、
俺が誰なのかを認識した瞬間、彼女は一時停止をクリックされたようつべ動画のごとく固まった。


「・・・・!!!!」


ビニ子
「しゃいませぇ~」

しかめっ面でビニ子が再起動する。
そしてせわしなくもう一人のバイト店員である男の方をチラチラと見る。
男性店員が彼女の目配せに気付き、「あ~ぁ、うんうん」という表情をしたあと、彼は「レジ休止中」の札を彼の担当するカウンターに置き、彼女の傍にやってきた。
そして俺はビニ子に急いで話しかけようと精一杯ニッコリと笑い口を開こうとした。


「あの・・ビニ・・」

ビニ男
「ハイレジかわりま~~~~す!ビニ子さんからあげちゃん作るの頼みま~す!!」

彼は俺がビニ子に話しかけようとするのを遮る様に大きな声で彼女にレジ交代を命じる。
俺はその雰囲気に飲まれてしまい、ボン兵衛の会計はビニ男によって済まされてしまう。

「仕方ないか・・・今日は諦めよう」

俺はボソボソと独り言を言い、何事も無かったようにレジ横の給湯ポットに向かい、ボン兵衛のパッケージを開けていく俺。どうしようもなく情けなく、情けないほどにどうしようもない。
スープの袋を開封し、パッケージに粉スープを投入する。ここからはレジ内の様子が良く見える。
カウンターを挟んだ向こうには、俺を横目で白眼視するビニ男が居た。俺は彼の視線にTIGのそれを感じてしまい、慌てて下を向く。
俺には見えていた。彼に脅え下を向いたままでも。
ほっとした様子でこぶしとこぶしをコツンと合わせ、彼女の小さな拳が彼の腰骨を叩き、その後優しく互いにその掌を握り合わせる様子を。

そうか、そういうことだったんだな。

湯を注いで後は5分待つだけのボン兵衛をカウンターに残し、俺はコンビニを出た。
冬の終わりが来ているというのに、今日はやけに冷え込む気がする。
2月の寒の戻りというやつの所為か、告白もしてないのに失恋した所為か。
嫌われるのには慣れてるというのに、どうしてこんなに切ないんだろう。追い討ちに雨まで降ってきた。徹底的だな。


車に乗り込んだ俺はパキンと携帯を開いた。
俺にとっての原動力、GNドライブである住人にウソ偽り無く失恋を報告しようと。

     

 377 名前:1 ◆oyDR7bB8tg投稿日:2008/02/07(木) 21:39:44.96 ID:MsPoIESO
  らん、らんらららんらんらん
らん、らんらららん
らんらん、らんらららんらんらん、らららららんらんらーん
orz

住人がこの書き込みだけで理解してくれたのは幸いだった。
つい今まで繰り広げられていたレジ前の攻防の詳細を携帯で書き連ねるには、今の俺はあまりにダメージを受けすぎている。
ありがとう住人さまがた。


>>よ!ハートブレイカーwwwwww

>>ワッキーが…

>>なんという壊れ方をするんだwwwwwwwwww

>>ぎょぎょぎょ玉砕か~?

>>レス更新して不覚にもフイタ

>>これはwwwwwwwwww

>>スレ住人の期待にたがわず、鉄火姉√が着々と進行しているようだww
>>ハイ、枝√ひとつ消えたー!

>>住人の全員が無理だと思ったに違いない

>>俺はほんのちょっとだけ期待してた
>>ほんとにちょっと

>>ナウシカ?

>>予想通りすぐるwwwwwwww
>>あんまり落ち込むなよwwwwww


そう、そうやってもっと草を生やしてくれ。そうされると何故か救われる気分だよ。
住人に笑ってもらえたら、俺が恋に破れたのもそんなに悲惨にならない気がするから。
少し平静を取り戻した俺は車を走らせ自宅へ向かう。
自宅に到着した俺は、部屋の電気も点けずにすぐさまPCを立ち上げ、住人との会話でこのささくれた気持ちを落ち着けようとし、ギコナビを起動しその後のレスをチェックする。


>>まぁ、予想通りというか、何というか・・・

>>そう、おまいは今まさに雨に濡れた子犬となったのだwwwwwwww
>>鉄火姉から暖かいご飯でも食べに来る?と返信来たら逝って来いwwwwwwwwwww

>>鉄火が
>>「ざまみろ(笑)私のところに来ていればもっと相談にのってやったのに、先走りやがって。今からでもご飯食べにくるか?あったかいスープ作ってやるよ」
>>みたいな展開を妄想してもうやばい勝手にRomanticが止まらなくなってきた

そこで鉄火から俺の心を察知したのかメールが入る

鉄火メール
「パンク直ったか?」



独りにしてくれ・・・・・・・・



>>m9(^Д^)
>>さ、遠慮なく鬱憤をこのスレで晴らしていこうや
>>個人情報以外ならなんでも書き込め、ここはお前のためのスレだ

>>鉄火姉に「ふられたよ」メールだ
>>気持ちは察するが、とりあえず姉さんに返事だ。スルーは良くないにょろ。

>>食べ物を粗末にしちゃいかん。
>>メール返信しようぜ。

>>そうだメールだ ドラえも~んみたいな

>>鉄火姐、すげー良いタイミングでメールくれてる事に気付け

>>鉄火姉にメールしろって
>>そして会ってこい
>>展開次第じゃもふもふまでいけるぞ 絶対
>>1は鈍感すぐる

>>1人でふてくされたって好転はしないからな

おまいさまがたはどうやっても俺を色恋沙汰に引き込みたいってえんだね・・・・
今日振られたばっかの俺がどんな顔して鉄火と会えばいいっていうのか。
とはいえ、折角俺に優しくしてくれている女性に邪険にするのも豪儀な話だ。
鉄火に何らかのメールを送らなければ、と・・・・・ン・・・?なんだ・・・・?

真っ暗な俺の部屋のカーテンに、外側から丸い光が当たっているのが見える。
その丸い光は俺の部屋の窓にクルクルと円を描いたり、縦に横にゆっくり動いたりしている。
おそらく懐中電灯の光だろう。

少し驚きはしたものの、誰かが悪戯しているんだろうと思い、スレにその報告をした直後、
鉄火からのメールが大音量で鳴り響き、今度は本当に驚いてしまう。


鉄火メール
「今家に居るのかー?寒いよ~」

バクンッ・・・・俺の心臓が締め付けられるような感覚に襲われ一瞬混乱したが、俺は立ち上がり部屋の窓に向かい、ばっとカーテンを開け、外を確認した。
外は未だに小雨が降っている。俺が視線を下にやると、路地沿いの街灯の下に一台のオフロードバイクが見える。更にその傍には俺の良く知る人物が。

鉄火だ

俺の姿を確認した彼女は寒そうにポケットから手を出し、
彼女はいつものごとく掌ををヒラヒラさせ、俺に愛嬌を振りまいている。

寒そうな彼女の姿を見た俺は、急いでタオルを持ち、玄関へと走っていった。


     

 窓から鉄火の姿を見た俺の胸は、何故か混乱するでもなく妙に落ち着いていた。
ビニ子に告白ことなく玉砕したという、説明にも納得にも難い気持ちを誰かに理解してほしかったのか、それとも独りで居ることを良しとするこの俺の心に「寂しさ」というものが芽生え始めているのか。
そんな事を自らに問いながら、雨にぬれた鉄火に渡そうとクローゼットを開け、タオルを取り出す。
慌てて階段を駆け下り、鉄火の元へ俺は急いだ。

俺が一階に下りると、俺の部屋の窓の真下で彼女はバイクに横乗りで腰を掛け、胸に何かを抱えていた。
俺を見つけると彼女はイョッ!というポーズを取り、更ににっこりと俺に微笑む。
俺は彼女の元へ駆け寄り、タオルを手渡す。

鉄火
「ン?ああ、ありがとw なんだwそんな気の利かせ方も出来るんじゃんw」

彼女はタオルを受け取り、代わりに胸に抱いている大きな新聞紙の包みを俺に手渡す。
新聞紙に包まれたそれは、俺の腕の中で柔らかな熱を発し、食欲をそそる香りを放出している。
どうやら土鍋が入っているようだ。
俺がその包みを開けようとすると鉄火がそれを制止する。

鉄火
「あーーーーーーーー、開けちゃダメw まだまだwwホレホレ、寒いから中入ろうよ」

彼女の顔を見ると、その美しい顔に似合わない透明の液体が彼女の鼻からしずり落ちている。
は・・・・鼻水だ。
俺がそれを拭おうと自らの親指を彼女の顔に近づけると、彼女はそれを察知したのか俺の手を払いのけ、こぶしで拭いながら鼻をすすった。

鉄火
「早く上がろうよw寒いから鼻が出るんだってw」

俺の家なのに俺が何故招待されているような感じになるのか、
俺の疑問を無視したまま、彼女は階段に向かっていく。もう一度言うがここは俺の家だ。




何度か「家に入ろう」⇔「いやだ」を繰り返しながら、階段を上がっていく。
彼女が寒いのは分かっている。寒いのは俺も同じだ。
出来ることなら彼女にお茶の一杯でも飲ませてあげてから帰してあげたい。だが、俺には今日は
いや今日はというより絶対に他人には俺の部屋には入られたくない理由がある。

俺の部屋には自称非オタク系のマンガ本やエロ本、
あげくはお握りに使用したティッシュの安置されたごみ箱等が所狭しと散らばっているからだ。
そんな部屋、女の子どころか友達や家族にすら見られたくない、というのが本音だ。
俺はこの状況を如何にして打破するかを必死に考えていた。

鉄火
「だからさ、早く部屋に入れてよ、もうここまで来てるしさ、しかも手土産付きなんだよ?
ここまで嫌がるのってのには何か理由があるの?・・・・・ハッ・・・!」

彼女は芝居めいた顔で何かにひらめいたような表情をし、言葉を続ける。

鉄火
「さてはビニ子ちゃんがもう既に家に居るとか?ってそれはないかーーーw」

俺が「ビニ子」という言葉に一瞬狼狽したのを鉄火は見逃さなかった。
彼女は俺の手が土鍋で塞がっているのを良いことに、体を摺りつける振りをすることで女性に免疫の少ない俺を更にたじろがせ、その隙にドアを開け、玄関にその細い体を滑り込ませた。
俺は、彼女が「トランザム・・・」とでも囁いた気がしてならなかった。
そして急いで彼女の後に続く俺を、彼女の笑い声が迎撃する。

鉄火
「あっはっ!きったない部屋じゃん!マンガばっかwwwwwwwww」

や、やめろ、馬鹿にするな
土鍋をキッチンに置いて部屋を物色する彼女を制止しょうとした俺だが、彼女は既に片付けを開始してしまっている。まさに電光石火、いやこの場合電光鉄火か。
更に彼女が座布団をめくったその瞬間、彼女と俺の目に艶やかな表紙の雑誌が飛び込んできた。

「ニートピア エロとスト―リーで読ませる 2大巨匠復活特集号」



住人よ、俺をさっくりと殺してくれ



     

 鉄火にエロ本が見つかってしまった。
まずい、駄目だこの部屋、何とかしないと。いや何とかしないといけないのは俺の散らかし癖か。
とにかくこの場を取り繕わないと俺のこの数日間の「友達作るぞ矯正プログラム」がフイになってしまう。
俺は恐る恐る鉄火の顔色を伺おうと上目遣いに彼女を見た。
そんな俺のおびえた様子を見ていたのか、鉄火は苦笑いをしながら俺に語りかける。

鉄火
「いひひwいじめたい所だけど見なかったことにしてやるよw」
「それよりはやく開けなよ、今日頑張って作ったんだから」

俺は薦められるままに新聞紙に包まれた土鍋を開けた。
蓋の奥から湯気が巻き上がり俺の顔を一瞬包み、湯気はそのまま蛍光灯に吸い込まれるように昇っていく。
手元の鍋の湯気の向こうには様々な具とうどんが見える。
更に出汁に大根おろしを使ってあった。これはみぞれ鍋だ。


「あ・・・・おいしそう」

鉄火
「でしょ?今日帰りにスーパーで大根安かったんだw全部食べてね」


「鉄火は?食べへんの?」

鉄火
「だって私、夜食べないじゃん。朝たくさん食べるから夜は要らないの」


「あ、そうなん?」

鉄火
「飲み会とかなら夜も食べるんだけどね。」

彼女の(俺にとって都合の良い)プロポーションの秘密を知り、俺はなるほどと思った。
茶碗とコンロを台所から運び、俺は鍋を温めながらテーブルを挟んで彼女と向かい合った。
しばらく無言でTVのチャンネルを廻したりしていたが、やがて鍋がふつふつと再沸騰し始めた。
そして俺がみぞれ鍋のうどんを茶碗に移し、口に運ぼうとした正にその時、
彼女の顔が若干の緊張を含んだ顔色に変わり、ぼそりと呟いた。

鉄火
「今日コンビニ行ってきたじゃん私?」

あまりに唐突に突きつけられた話題に、俺はリアクションすら取れずに呆然とする。
うどんが口内で俺の舌を焼いていたが、そんなことどうでも良いかのように俺は思考停止してしまった。

鉄火
「あの子見てきたよ。かわいい子だね」

俺は今日起こったビニ子とビニ子の彼氏との接触の顛末をありのもままに話すしかなかった。
そうか、その事を聞きたくて彼女は今日ここに来たのか。

鉄火
「いや、無理なの知ってるし。あの子彼氏居るよ、私もよくあそこ行くけどその彼氏、あそこの店員だし。バイト上がったあとで手繋いで帰ってるよ」
「でもまあ、気にしない方がいいよ、大体コンビニ娘に一目ぼれしたってさ、接点少ないから難しいよ」
「それに男の子は恋に破れた数だけ女の子に優しくできるんだよ?」

俺が聞いている聞いていないに関わらず、彼女は黙々と鍋を食べる俺を励まそうと延々と話していた。
だが先ほどまで暗く落ち込んでいた俺が、今こうして比較的明るい気持ちでご飯を食べられているという事を考えると、やはり彼女が居て良かったと考えるべきなのかもしれない。


「鉄火、なんで来てくれたん?こんな寒いのに」

鉄火
「え、だってパンク直ったかってメールしたのに返事ないんだもん
 今も寒い中ゴリゴリ針刺して直してるのかと思ったよ
 だからあたたかいもんでもと思ったんだけど、迷惑だった?」

そうだった、俺は彼女にパンクを直すと嘘をついて彼女の手料理イベントを辞退して、今こうしているのを忘れていた。もし彼女がそのことに言及していなかったら、俺はパンク修理などしていなかったということをベラベラと話すところだった。
とはいえビニ子に告って(告ってないが)撃沈されたという事件の事は話しているので同じことか。
だが一応話は合わせておくことにしておこう。


「いーやあすごい嬉しいわ、でもチューブタイヤやで、FTRは針は刺さへん」

鉄火
「それなら!手伝い出来たのに、TTもチューブだからタイヤレバーとか友達に借りてきてあげたのにさぁ。」

友達って男なの?ねえ、男なの?かっこいいの?俺死ぬの?という身勝手なヤキモチを焼いた俺だが
それを口に出せず(当然だが)、むしろ嘘をつかれてるのにも関わらずとても献身的であった彼女に、俺は一種の罪悪感を感じ、言葉が続かなくなってしまった。
彼女についてスレの中で「大事な友達」というような表現をしているのに、自分のやっていること、言っていることときたら・・・・と思うと自分に嫌気がさしてしまうのだ。

やがて彼女は俺が鍋をきれいに食べ終わるのを確認すると、
黙ってテーブルを立ち、散らかった部屋の片づけを再開した。

鉄火
「何このメイドの表紙wなんなのハチワンダイバーってw」

更に彼女は彼女なりに俺に気を遣っているのかもしれない。そう思うと先ほどまで振られて(告ってないけど)ささくれていた気持ちが和み始めた。やはり彼女はいい人だ。

鉄火
「まあ落ち込まないで、元気出してよ、お姉さんもいるじゃん!」
「ひょっとして買い物も行きたく無くなった~?私のお友達もくるよ~?」

そう言いながら俺の漫画コレクションを笑いながら山積みにする鉄火
彼女の優しくも儚げな背中と肩のラインを眺めながら、俺はようやく笑った。









バイクに跨ったままヘルメットを被り、鉄火が口を開く

鉄火
「じゃ、急に来て悪かったねwいや・・急に来たからこそいいもの見れたかもw?」


「ええもんって何よ」

鉄火
「メイド漫画w」

「ちょwww」という顔をした俺に向かって掌をヒラヒラさせてターンを切り、鉄火は去っていった。
単気筒独特の排気音を響かせ、路地を曲がって彼女は見えなくなった。


部屋に戻り鍋の残り汁で雑炊を炊き、それを楽しみながらパー速に「鉄火 襲来」を報告し、
恒例のお握りを済ませた後で鉄火にメールを送る。

俺メール
「今日はありがとう、いろいろな意味で救われましたーーーっと
明後日、ほんとは恥ずかしかったけど、今は楽しめそな気がする」

鉄火返信
「そうかいそうかい、それは姉さんも嬉しい。鍋は洗ってくれよ(笑)」





コーヒーのコップ、洗わずに返されたのやっぱり気にしてたのか・・。
これからはもう少し人に気を遣って行動するとするかね。
携帯をパキンと閉じ、俺は再度住人とコミュニケーションを取るべくギコナビを起動した。

     

 鉄火の帰宅後、俺はギコナビを立ち上げ、住人に残りの報告をしようとしていた。
「残りの報告」というのも、先程彼女が俺の部屋に上がり込んだ直後に、彼女が襲来していることを携帯からリアルタイムでスレに報告していたこともあったからだ。
オーディエンスをヤキモキさせてはいけない、俺の協力者にはありとあらゆる報告を、これが俺のスレ内での最低限のルールでありモラル。寝落ちしない限りは協力者に情報を。

>442 名前:1 ◆oyDR7bB8tg投稿日:2008/02/08(金) 00:28:03.45 ID:zsWtX6SO
>ふふん、帰った。これでオーケーだ。
>みぞれ鍋の残りは今から俺が責任持って雑炊にしてやるぞ
>もう食ってるけど。
>鉄火姉、料理うまいじゃん
>後でログ見るね



>>他のスレに浮気してたらなんという展開

>>おいちょっと俺によこせ一口でいいから間接キスさせろぉぁあああああああああああ

>>気もない男の所に急に来るとは思えないなぁ。
>>好きかどうかはともかく、ほっとけない存在なのは確かだと思う

>>あーあ帰しちゃった
>>あとで後悔するがいいさ・・

>>家がどれくらい離れているのか知らんが
>>女性一人でこの時間に帰したのなら・・・ありえない。
>>送ったよな?

「そうか、君たちはこの俺の事が羨ましいんだね?いくら俺がKYだとしても、文面からその意識がにじみ出てるよ。いやけっして馬鹿にしたのではない、俺自身も嬉しいのは確かだし、今まで不遇だった分たまにはこんな気分にくらいさせてくれてもいいじゃないか。」


住人のレスにニヤつきながら画面をスクロールさせていく。
だが次第に俺の行動がおかしいと指摘する住人が現れ始める。

>>>>1よ、おまえちょっとこそ座れ
>>こんな時間にやってきた女性を追い返すとは、おまいは一体何様だ!
>>しかも、今日食べに来なかったからご飯持ってきてくれたんだろ?
>>帰すなら帰すで、せめて近くまで送ってやれよ。
>>とりあえず、うまかった!ってメール送れよ?
>>んで、お礼に土曜にご飯奢るか、別の日にデートに誘うんだ!

>>鉄火姉の事どう思ってるんだ?
>>やってることが冷たすぎやしないか?

>>>>1が何をどうしたいのか全くわからんのだが。

>>1よ、スレは放置してもいいから
>>ちゃんと鉄火姉を応対しなきゃ。
>>憧れってのが嘘臭く聞こえる。

>>今からでも遅くないのでは?

>>女性がこんな時間に男の部屋にあがるってことの意味を考えろ!
>>わかんなきゃググレ

>>あれか?鉄火姉は高嶺の花とかいって本当は好みじゃないとかなのか?
>>おまいの行動の意味がわからん

>>>>1は色々とおかしいぞ
>>なぜ自分からフラグ折りに行くんだ?


「ちょ、ちょっと待ってくれ。なんでそうなる。別に俺は今鉄火と付き合いたいわけじゃあないんだ。ただあのエロい体のお姉さまと仲良くなって友達を増やしたいだけさ。ただなのにそこまで言われなくちゃあいけないのさ・・・。しかも俺は今日ビニ子に振られたばっかりなんだぞ?なぜ俺をそこまでの急ピッチで行動させようとするのさ。」

言い訳じみた独りごとを言いながら俺はレスを返す。

>458 名前:1 ◆oyDR7bB8tg投稿日:2008/02/08(金) 00:49:39.80 ID:zsWtX6SO
>ちゃんと御礼は言ったよ。なんぼ俺が会話脳力なくともそれくらい言うのは解るよ
>みんなに言っておくけど、俺一応今日ビニ娘に脈無し応対されてんよ?
>俺に即日姉さんルート確保してほしかった?
>あっちが無理だからこっちでムハーはないだらうに。
>姉さんはいろんな意味で大事な人だから今の関係を壊したくないって気持ちもわかるだろ?
>アドバイスはめちゃめちゃ感謝してるけど
>まずは疲れた、お茶沸かしてくる

ひとまず席を立ち紅茶をマグカップになみなみと注いだ後、こぼさないように無事机に戻る。
眼を閉じ、素数を数えた後一息をつきマウスを握る。
そしてスレをDL

>>手を出せと言ってはいなくて、邪険にしすぎでは?と
>>会社での良好な関係も壊しかねないし

「なるほどそれは一理あるかもだな。会社絡みの人間関係だからこそ大事にしないといけないって話か」


>>いや、別にヤレって言ってるんじゃ無いよ。
>>追い返したって言葉に引っかかっただけだ。釣られただけさ。
>>ちゃんとお礼も言って、お返しとかも考えてるんなら良いじゃないか。
>>とりあえずおつかれ。

「そうか、そういう書き方をするから勘違いされるんだな、反省すべきは俺の報告か」


>>あれだな中途半端な情報を端的にだすから
>>類稀無い妄想力をもつおれらが妄想で>>1が叩かれるんだな

「なるほど上のレスにある通りだ。ほうれんそうは大事だな。気を付けよう」


>>そう思うのもわかるが鉄火姉側に立って考えてみないか?
>>こんな時間に家にきたのに1はフラグ折りまくりなんだぞ?
>>会話になれるということは人を思いやるということだ

「・・・・人を思いやる、か・・・」


>>1にとって姉さんは会社での拠り所だから
>>もし告白して駄目だった時に今の関係がなくなるのが怖いんだろ
>>だから無意識に憧れとか言って気持ちを封印してるぽくね?
>>でもどちらにしても 男と女の友情なんてねぇぞ!
>>今のままの関係を長く続けるのは無理だからどうするか腹をくくるしかないと思われる

「すごい図星だ・・・・今の状況をフイにするのはすごく躊躇われるからこそ「憧れ」という言葉を使ったのがなんで分かったっていうんだ?」


>>鉄火が昨日>>1を誘った理由ってそれだったんだな
>>すげぇあねさん肌だ。
>>>>1は、相手が女だからって変に構えることはないと思うよ
>>部屋に誘われたって、友達としたら普通でしょ?
>>部屋に上げてくれたり、上がってくるのは
>>少なくともお前さんの理性で考えられる人って信用してるんだよ
>>お前さんが あっちがダメならこっちにいくのは~って考え方は分かる。
>>この中にはエロゲ脳のやつも結構いるから、お前さんの気に食わないアドバイスする人もいるかも知らん
>>ただ孤男だったお前さんが友達が出来る喜びを知ったわけで
>>部屋誘ったり、遊び誘ってくれるってことは友好関が良好になってるわけさ
>>それを大事にしたら良い
>>部屋上がったとしても、手出さないでしょ?
>>部屋に上がるからセクロスOKだとか言うのは 基本獣脳だからな。
>>それにお互いフリーなんだし、家上がるのとか
>>体面的にも問題ないことだしょ
>>気楽に行って欲しいな
>>今は気軽に遊べる友達ゲトできたことを大切にしてホシス
>>お互い部屋に行ったり、来たり・・・いい友達関係じゃん
>>と、マジレススマソ


独りごとを交えてレスを読んでいた俺だが、自分の足りないところや俺の深層心理まで抉るような「読み」を働かせる住人達に俺は敬意を払う。
・・・・・・みんな優しいな。こんな俺の為にちゃんとレスを返してくれている。
さて、もう一回DLしたら今日はもう寝よう。明後日はいよいよお買いものイベントも発動するわけだし。

そしていよいよ俺の運命の日が迫ろうとしていた。

     

 新聞配達のカブの排気音と下半身の異様な冷たさによって、俺は目を覚ます。
・・・確か昨晩は鉄火が来訪し、その件とビニ子に振られた(告白すらry の件をを何度も寝落ちしながら住人さまがたに報告し、スレ内ではその後俺は寝たということにいたんだが。

・・・・・・そうか、その後お握りしがらにして永眠してしまっていたという訳か。

時計を見ると午前5時。眠いはずだ。そして眠いにもかかわらず目が覚める程寒いはずだ。
起きるには少し早いが、途中で中断されたであろうお握りを早々に済ませ、熱い日本茶を入れた。


>>握りすぎww誰をおかずにしたんだ、あぁん?ww

>>よこしまな気持ち時はオナヌーすれば
>>一時的に賢者思考になれる
>>家にいるときなら試すべき


今日は寒いので家を出る前に、住人さまがたにも暖かくして出るようにと助言し会社に向かう。
朝礼を終え、現場の見回りを行うと今日もTIGが睨み付けてくる。
当然のごとく目を逸らし、通路のぎりぎり端を歩くことで少しでもTIGから遠ざかろうとしたが、
「業務連絡じゃ、ちょー(ちょっと)来い!」と俺は彼に呼ばれてしまう。
俺がTIGに近づくと自前のキャップを浅く被った彼は掌を上に向けた状態で人差し指でチョイチョイと俺を招く仕草をした。
「え?何すか?」というとぼけた顔で更に彼に近づくと、TIGは振り向きざまにみかん箱ほどのプラスチックケース一杯に入ったスクラップを俺に手渡す。

TIG
「オラ!これ昨日お前の取ってきた仕事で出たスクラップじゃ。スクラップ場に持って行っとけ」

俺はそのケースの重さに耐え切れずに、すぐさまその場に降ろしてしまう。

TIG
「なっさけないの~(情けねーなー)?これやから事務所の奴は嫌いなんじゃ」

なんとでも言うがいいさ。俺はパソコン使って仕事してるんだ。とでも言いたかったが、そんな事を言う度胸も無い上に、言ったその後の展開が余りに用意に想像出来てしまうので俺は黙っていた。
黙ってその場を立ち去り、代わりに台車を持ってきてケースをスクラップ場まで運んだ。

「これぞ人類の英知、力だけが自慢のチンパンジーには分かるまい」

鉄屑を放り投げながらその程度の独り言を言うのが俺には精一杯だった。

昼前に鉄火と話す機会があったが、TIGのいじめの件は黙っておき、
明日の買い物について話した。俺自身とても緊張している事を伝えたかったし、連れの人間が女性なのか男性なのかという事を聞きたかったからだ。
鉄火は困った子ね、という笑い顔を俺に向けながら

鉄火
「ああ、心配しなくていいよ。私も男の人と買い物なんて滅多に行かないしある意味緊張してるからw
 それと連れの子ってまだ何も聞いてないの?向井ちゃんよ?」

>>なんという超展開
>>まさに両手に華、後門にTIGのアナル強襲フラグおめでとうアッー!

・・・・どういうことなんだよ鉄火姉ちゃん?向井は絶対に俺のこと嫌ってるんだぞ?
鉄火は、絶対俺が普段事務所で向井からどういう扱いを受けてるかということを、知らないに決まってる。だから向井なんぞを一緒に誘ったりするんだ。

とりあえず事務所に急いで戻り、苦手な向井を対面に臨みながら、「向井は苦手だ」という旨を住人に向けて書き込む。
幸い俺を横から監視できる位置に座っている工場長は今は外出中だ、向井からも当然俺の画面は見えない。さあ、住人さまがた。俺はどうするべきかね?

>>そこで普通の人並みの行動が取れれば
>>あれ、意外と>>1って普通の人だったんだ、誤解してたなー
>>という展開もアリだだだ
>>お話できる相手がお姉さん以外に増えるかもしれない要素を減らす必要はないと思うぜ

>>好きだったんだけど、どうアプローチしたらいいかわからなくて、ツンツンしちゃってた。
>>    ↓
>>このままじゃいけないと思い、鉄火姉に相談。
>>    ↓
>>鉄火姉が>>1に近付く。
>>な可能性も。

>>不覚にもフイタ
>>なんつー駄目な子だww
>>そうなってくるとますますお向かいさんもご一緒させるべきじゃないか?
>>後日お向井さんからお姉さんに>>1の挙動の報告とかいくかもしれないし
>>「意外と普通だった」って言わせられるくらいになってれば
>>お姉さんとのトレーニング効果も出てきてるってもんじゃないか
>>どっちにしろお姉さんの厚意を無下にするのはよくないと思う
>>少しずつコミュニケーションの輪を広げてこうぜ

>>>>1の事嫌ってる人がいくら鉄火姉さんの誘いでも一緒に買い物にはこないと思うよ。
>>女の子だってちょっと格好いいなぁとか可愛いなぁとか思って意識し過ぎしちゃうと
>>その人の前で普通に話せなくなったりするんだよ。
>>反対につっけんどんな返事したりして、後ですっごく後悔したりするの。
>>きっと>>1と鉄火姉さんのやりとり見てて、
>>いいなぁ、私も>>1と普通に楽しくお話したり買い物行ったりしたいなぁって
>>思ったかもしれないよ。
>>もし、>>1の事好きだったらどうするの?断ったりしたら傷つけちゃうかもしれないよ。

駄目だこのGNドライブたち(※1)、実は擬似太陽炉じゃないのか?
向井は俺のこと嫌ってるに決まってるというのに、どうしてもフラグを立てたいらしい。
しかもダメな子って言うな住人さまがた。
もう楽しめそうな気がしなくなってきた俺は、昨晩までお洒落してこうと決めてたけど、
ジャージで行ってやろうかという悪意に満ちた発想までスレに垂れ流していた。

>>何かこんだけフラグ折りまくってる>>1が逆にかっこよく見えてきたんだがww

>>なんかログ見てたら>>1が弧男だった理由がわかったwww




(※1)GNドライブ・・・「ジーエヌドライヴ」と発音される「太陽炉」。
             機動戦士ガンダム00に登場する動力炉の名称であり、
             ガンダムの動力機関として使われている。
             トンデモ技術でトンデモ年月をかけて作られた半永久機関なので
             世界に5基しか現存しないトンデモ動力炉。
             主人公>>1が自らを動かしてくれるエネルギー源、と住人を評し始めた頃
             に彼が住人のことをそう呼び始めた。
             
             またそれに対し擬似太陽炉とはGNドライブの技術を基に作られた模倣品
             で、活動時間の有・限界や人体に及ぼす毒性もあることから
             >>1が自分に賛同してくれない住人の事をそう呼んだりもしたことがあ
             る。

     

 さて、いよいよ明日はお買物イベントだ。今日一日頑張って、気持ちよく明日を迎えよう。
まだ気温の上がる気配が全く感じられないが、俺は爽やかに眼を覚ました。

昨晩住人と「向井が来るのは嫌だ」⇔「このヘタレが」のやり取りを続けていたのだが、
皆の意見を聞くことで、素直に冷静に自分に起きている状況を理解することが出来た。

まず、俺の目的は「友達を作る」という事だった訳で、恋愛フラグがどうとか、
御握りの具はどちらにすべきか、などと言ったことは枝葉末節の問題だということだ。
鉄火や向井とのフラグ関係の話題を住人が焚きつけたからと言って、
俺がその通りに動かなければならないなどというルールはスレ内には無く、
つまらない今の人生を変えることが出来たなら、
スレ的にも俺的にも問題ないのではないのかと思ったからだ。

更に昨日までの俺の悪かったのは、向井が来る、ということに過敏に反応し、彼女と殆ど関わったことが無いにも拘らず、「向井はきっと自分を嫌ってる」と決め付け、イベントをなおざりにしようとした事だ。
いつまでも「どうせ俺なんて・・・」とぐずっていても何も始まらない。
まずは向井“とも”仲良くなる努力を怠らず、人間関係も一歩下がって見られるくらいの人間にならなければ。
いつまでも鉄火に頼ってても俺の成長には繋がらない。

>>おkwwwwwwwwwwその意気だwwww


その上で全ルート制覇することを想像しながら御握りすれば幸せにもなれるだろう。

>>ちょ、向井でいいのかww

>>客観的意見の重要性に気付けたなら問題ないだしょw
>>原点に気付いてよかった。がんばって友達作るんだ
>>恋愛なんてそれからでいい


ともあれ著しいまでの自己完結に酔いしれつつも、俺は会社に到着し、明日に向けて今日は早く帰らなくては、と俺にしては珍しく黙々と仕事をこなす。
途中、例の如くTIGにこき使われるが、何とも思わない。イベントパワー恐るべしといったところか。
そして昼休みになり、俺が弁当を持ち車で昼食を取ろうとしたところ向井に声をかけられ、俺は戸惑いと共に振り返った。

向井
「お昼今日も一人なん?今日工場長居れへんから私も一人やねん。一緒に食べます?」

な・・・・・・・・・・・何それ。なにその突然の申し出。
一瞬「彼女は俺をダシにして陰で笑ってる」などという妄想に取り憑かれたが、昨晩から今朝にかけての決意を思い出し、激しく妄想をかき消す。
彼女はよく事務所で工場長と二人で、給食屋の弁当を取って食べているのだ、今日は工場長が出張で居ないから、独り飯は寂しいので俺を誘ったんじゃないか。
独り飯の「寂しさ」は、「楽しさ」に変わるまでに時間と決意が多く必要になる。
彼女にそんな思いをさせても可哀想だ。俺は彼女と昼食を取ることにした。

向井
「・・・・・・・・・・・・・・はいしょうゆ」


「!!はっ・・・・うん・・・」

向井
「・・これおいしい」


「・・まじすか」


リア充と呼ばれる方々に聞きたい。基本無口な女性とのランチって楽しめるのかと。
それとも俺のあまりの気持ち悪さに食と口数が異常に減ってしまっているというのか。
拷問に等しい15分を彼女と過ごし、食後のお茶を飲んでいると
彼女が小さく折りたたまれた紙の切れ端を机に出し、指先でツイ、と押し出しながら俺の方に差し出した。

向井
「・・・・はい。これ」


「何この折り紙」


彼女が俺の表現の稚拙さにようやく笑い、
そのアヒルのような口角の吊り上がった口で俺にぼそりと言った。

向井
「・・・めあど」


俺がその「折り紙」を開くと、彼女のメールアドレスが可愛らしい文字で綴られていた。
一見幼稚にも見える彼女のヘタウマ文字だが、「登録しといてください」という文章だけは丁寧な楷書で綴られていた、達筆だ。
そういえば鉄火の字は見たことあるが酷かったな。
つっけんどんな雰囲気の向井の意外な一面と、彼女の日本的な女性の美しさのようなものを見せられ、俺は少々浮かれながら昼食を終えた。
勿論メールアドレスはきちんと彼女の目の前で四苦八苦しながら登録したし、彼女に空メールもきちんと送っておいた。さすが俺。


>>メアドくれたってことは、嫌われてはいないんじゃないか?
>>順調じゃないか

>>は?何その好感触、ふざけてるの?

>>いい感じじゃないww向井も嫌ってないみたいだし。嫌ってたらまず教えない。

>>実は1はイケメソなんじゃないか?自分で気が付いてないだけで。

>>実は俺もそんな希ガス
>>キモ面にメアドは渡さんよなぁ

>>イケメンでも雰囲気の悪いヤツもいるっしょ。
>>鉄火姐さんのおかげでそれが取れつつあるとか?



・・・・・そうだろう?リアルでみなぎってこないかね、住人さまがた?

とりあえず昼食後はそそくさと車に直行し、何事もなかったかのように優雅な孤男タイムを満喫し、
昼休憩の後も、イベントが俺を待ちうけているという事実が俺の仕事への意欲を刺激したのか、午後の仕事は思ったよりはかどり、俺は定時で帰宅することが出来た。


明日のイベントに向けて住人さまがたに色々と指南を受け、失敗の無いように明日を迎えなければ。
祈りにも似た使命感を持ち、俺は帰宅後すぐにPCの電源を入れた。

     

 俺のGNドライブよ・・・おまいさまがたはどうしてそんなに対人シミュが完成しているんだ・・・。


>>女の子二人と買い物に行くんだ。次の事は覚悟しておけww
>>買い物がむちゃくちゃ長い>>→よくあることだ。待ちくたびれない方法を考えておけww
>>文庫本(マンガもおk)一冊持って行くかなんかシルww
>>鉄火姉&向かい子の好みの品をチェックするのもよし。
>>好きな色、デザイン、買うとしたらどれ?みたいにさり気になww
>>(後でプレゼントとかに活用できるからだww予算は考えろよww
>>高い物で買うならどれ?とかやるとおまいの懐が痛いぞww)
>>荷物を持たされる
>>→よくあることだ。むしろ自分から荷物持つよと買ってでることで
>>のちの会社でのおまいの評価うpが期待できるだろう。
>>「>>1さんてみかけによらず頼もしくていい人だな~。」とかなww

>>会話についていけない
>>→よくあることだ。女の子同士の話題で花がさくと止まらない。
>>絶対に拗ねたりするなwwそういう時はにこにこしてひたすら待てww
>>おまいに気付いてくれたら「終わった?そういうのよくわからないから
>>話終わるの待ってた。」位返しとけwwこれも高感度うpにつなげろww
>>週末はさわやか、高感度な好青年を目指していこうwwww



>>↑よくあること過ぎて吹いたわw
>>追加だが、買い物中に似合うか似合わないかを聞かれる事がある。
>>しかし油断は禁物!
>>女が欲しいのは批評ではなくて同意のみ。
>>取り敢えず「かわいいと思うよ」と言う魔法を唱えれば切り抜けられるw
>>心してのぞめw


>>↑の言うとおりだww
>>あとは鉄火姐or向井が>>1に質問してきたら、
>>素直に自分の考えを言ったあと、必ず2人に 平 等 に 聞きなおせよ
>>「自分は●●と思うけど向井はどう?」とかなww
>>女ってのは妙に平等なことを望むからなぁ
>>質問されたからって、質問された相手だけと話してると好感度ダウソだから気をつけて

住人の指令にに真面目にレスを返していく俺、なんだかんだ言ってこの時間が最も楽しいのかも知れない。顔も見えない相手との濃厚なカンバーセーション、これぞネットの醍醐味。

まず、待ち時間が長いことに対してだが、これは問題ない。
とりあえず買い物を楽しむ二人の尻をいやらしい妄想と共に視姦しておけばいいわけだ。
携帯をいじる振りをしながら・・・・だ。あとは・・・分かるな?

更に女の子の買い物に対して行うのは批評ではなく、同意 か。なんとなく分かるような分からない様な・・・つまりは俺個人の意見はしまっておいておいて、無難な同意をしておくことこそがベストオブ評論って事なんだろう。
また、
「複数の女の子と話す時は片方を過疎らせない努力も行わなければ機嫌を損ねます。」(取説風)
・・・・・・・なんてややこしい生き物だ。

まあワッキーに似てると言われた俺が彼女らに対してどこまでやれるのかは知らないが、出来るだけの事はやるのが男ってものだろう。俺はおまいさま方の進言、忘れないぜ。
・・・・だが孤男にとってはなんというハードルの高さ、不覚にも俺は溜息をつく。

とそこへ鉄火からのメールが届く。

鉄火メール
「おつ!明日楽しみだねぇ~おしゃれして来なさいよ~^^」

俺返信
「無理、でもがんばる」

鉄火メール
「がんばれがんばれ(笑)姉さん達を楽しませて見なさい」

ふと、そこで思いついたダジャレを交えて俺は彼女に返信する。

俺メール
「お床の中の男ですからがんばる」

彼女の返信はそこで途絶えた。


>>下ネタはだめじゃろwwwwwwwwwwwwwwww







     

その後の住人のツッコミと、彼女の下ネタへの耐性の無さに俺は不可視の涙を流す。

>>フラグクラッシャー乙wwwwwwww
>>好感度ダウンな気配~ww

>>下ネタがダメなのかただ忙しいのか
>>どちらにせよ>>1は無駄な頑張りを出すなwwwwww

>>頑張る方向性が明らかに間違ってるなww
>>シモネタに走るのはもっと仲良くなってからにしとけ
>>現状じゃ空気読まないオヤジギャグと同じレベルだぞww

把握、俺は無駄にボケようとするとこういう地雷を自ら設置、さらにセルフサービスで踏んでしまうという運命にあるらしい。人を笑わせるというのは今の俺にはまだまだハードルが高いらしい。
お得意のボン兵衛カップうどんを食しながら、TVを見ながら住人と会話していると鉄火からメールが届く。
嫌われてしまったと思っていた俺は、プラス面マイナス面の両方で胸を弾ませながら携帯を開く。

鉄火メール
「プッ!笑ったけどあんたらしくないな(笑)
まあそれを向井に言うとウケナイことウケアイ
いま、寒っ!って思ったでしょ、君がメールで送ったのはそういうことだよ(情けない顔の絵文字)」


>>親父ギャグのレベルは1の方が高いな。

>>↑それは面白さ的な意味なのか
>>それとも寒さ的な意味なのか

>>そんな事よりも明日関東は雪なんだがそっちの天気は?
>>お出かけに影響はないのか?

それが問題なのだよGNドライブさま、どうやら全国の住人が言うには、明日は記録的な寒さらしく、
東海、関東、近畿までもが雪に覆われるらしい。
生憎俺は天気を変えるようなスタンドも邪気眼も念も才もない。あるのはお握りアビリティのみ。
鉄火が腰が痛いとも言っていたのもあり、俺はバイクで行こうと言っていたのを激しく後悔した。
なにより向井と鉄火は二人乗りでくると言っていたし、明日の行先は山間部にあるアウトレットモール、
もし雪で転んだりしたら彼女らのテンションも下がってしまう。

彼女らとの楽しい買い物を目指している俺は、バイクでの移動はやめ、車で現地に向かおうという提案のメールを鉄火に送っておいた。
再び住人との会話に没頭しようとしていた所に、今度は向井からのメールが入った。


向井メール
「お疲れ、仕事終わりました?」

俺返信
「ふふん、男には一人になりたい時もあったりする、パソいじってる」

>>ちゃんと喋れてるじゃないか(;´Д⊂)
>>メールだけど。

>>あれ、向井>>1のこと気にしだしてる?

>>いつも一人だろwwwwwwってツッコミがきそうだなww

>>その無駄に気取ったしゃべりかたやめれwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>お姉さんにはともか向井さんにはもうちょっと普通にしとけよww

向井返信
「なるほど(ニコニコ顔)ね!PC好きやもんね!!明日着ていくの?>>1は寒がりだからやっぱり云々」


彼女のファッションに関する質問がそこから続いていたのだが、俺には理解しがたい言葉や意味不明な用語が羅列していた為、思わず「日本語でおK」と送りそうになっていた。
だがあまりにつっけんどんな返信をしてしまうと明日に響くかもしれない。それにこれは明日へのシミュレーションだと思えば良い、こういえば彼女もがっかりしないだろうという返信を送る。
これでどうだ。

俺返信
「へえー、一杯知っとるね、俺にはわからんけど楽しみにしてるわ」


>>返信が雑だなwwwwwwwwwwww

>>めんどくさいかもしれんが女には少しでも興味があるそぶりを見せてやれ

>>すげー素っ気無く見える
>>興味なくても、もう少し食いついてけよww
>>相手が返事を書きやすいメールを心がけろww


なんだ、俺が折角盛り上がってきて夢が広がりんぐな期待を秘めて皆に報告してるってのに・・。


>>妄想は広がってるかもしれんが夢は狭まってる気がしないでもないww

>>向井さんに嫌われてるかもってのはおまいの妄想だなWW
>>若干1を気にかけてる(風な)メール内容だ

>>>>1が会社の連中や向井に嫌われてるというより、相手の方に
>>「自分は>>1に嫌われてる」って思わせるような態度が>>1に多いんじゃなかろうか?

>>まぁ、嫌われるチャンスなんか山程あるが、仲良くなるチャンスは数少ないぞ
>>友達が欲しいんだろ?たかがメール1通でも今は全力で返信しろ


>>他人に興味がないんだろうな、とは思うよ
>>レスしてるだけでも感じるもの

>>>>1は、
>>人の話に興味なさそうに見えるメールを打ってる感じだな。
>>少しでいいから、相手に興味を持っているようなメールを書くとか、
>>気を使うようにしたほうがよさげ。
>>向井のメールを見る限りでも、(おそらく>>1のことをよく知らないから)
>>共通の話題として服装のことをわざわざ振ってきてくれる感じだし、
>>脈が全く無いわけでもないと思うけどね。

>>>>1が向井に興味を持ってることを探ろうといろいろメールしたとして
>>その返信されると>>1だって萎えるだろ


随分な言い草だな、俺は俺なりに必死で生きてるって言うのに。
俺の行動に後出しジャンケンを出された気になった俺は少々苛立ちを見せ始める。
確かに皆が皆俺の行動に対して否定的意見ではないのは分かる。
現にそこからどうすべきかという事まで進言してくれている住人もいる。
だが、自分でも言われて初めて気付く欠点、俗に言われる「図星」を突かれた気になってしまい、レスは返さなかったものの不満が残った。


>>やっぱ皆同じこと感じてたんだなww
>>狐男である原因がわかったことで一歩前進できるといいんだが・・・
>>人はそう急に変わるもんでもないしな、少しずつ問題ある部分を直していってほしいぜ
>>目標は遠いように思えるけど、
>>目の前のできることちょっとずつやってけば結構なんとかなるもんだしな
>>明日、向井さんに対する態度は要注意だぜ
>>お姉さんに対するそれよりも重要だと思ったほうがいいぜ


駄目押しか・・・だが心に染み入るよ。ありがとうGNドライブ達。俺はまだまだ成長してみせるよ。
俺は感謝もこめて住人にレス

>これでも頑張ってるつもりなんだがもっと感情表に出したら
>変な文章書きそうでそれで嫌われるのが怖いんだよな


>>はっきり言ってしまうが、もっと感情曝け出して変な文章もバンバン書き込めと言いたい
>>そうした方が問題点、修正点がはっきりしてくるし、対策も練り易い、
>>というか面白い(これが本音
>>あと、できることなら皆のアドバイスは心に留めておいてくれ
>>VIPのままなら無茶振りもしまくるだろうが、パー速だとかなり紳士な対応もしてくれるから

>>もっと本音だしてこーぜ!おまえを嫌いにはならないよ>>1
>>俺たちみんな友達じゃないかwwwwww

>>まず変わりたいと思うなら、今の自分自身を把握する事からはじめないといけない
>>そういう意味で、上の指摘を辛くとも真摯に受け止められる>>1は十分見込みがあると思うぞ


ありがとう俺のGNドライブ達、俺は明日、決して妙な失敗はしないことを宣言するよ。
鉄火から明日の交通手段の変更に関して了解メールを受け取った俺は、
彼女から借りたCD「橘いずみ」を聴きながら布団に入り、
期待と妄想に胸と股間を膨らませながら永眠した。

     

 おはよう住人さまがた。
昨晩は割と早めに就寝する事が出来たにもかかわらず、俺の心は暗く沈んでいる。
ビニ子が俺のレム睡眠に出演し、
夢の中で向井と鉄火を使って俺にドッキリ企画を喰らわせようとしていたからだ。

起きた時は胸が早鐘のように鳴り、寝呆けては居たもののこの世の全てを信じられない位の猜疑心で胸を一杯にし、恨みのこもった眼で布団の中から点けっぱなしのTVを睨んでいた。
だが、鉄火が今まで俺に優しくしてくれた事、向井が慎ましやかにメアドを渡してくれた事等を思い出し、
いくらなんでも彼女達がそんな事を楽しんでする訳がない、何よりビニ子と彼女らに接点が無いなどと
しばらく自問自答を繰り返して居たが、5分程経った後に、俺はトイレにティッシュの塊を放り投げながら

「そんな事は、どちらでもいいんだよ。」

と涼やかな顔で呟いていた。


さて、鉄火の世話好きにも困ったものだが、いよいよお買物の日が来てしまった。頑張らねば。
服装をキチンとチェックし、髪型、口臭もチェック済、視界、オールグリーンですう。

不愉快な夢に悩まされはしたが、俺はこのイベントをしっかりと楽しんでくるよ住人さまがた。
天気予報通り西日本では強烈な低気圧が傍若無人なTIGの如く暴れまわっているが問題ない。
俺のハートウォーマーな会話テクニックで彼女たちの心を生温くケアしてあげよう。

車のガソリンもほぼ満タンだ。これで何も心配することは無い。
最後にパー速に書き込みを行い、送信ボタンを押し、俺はジャケットを羽織り、
家を「いぃやっほぉぉおぉぉぉぉう!!」と飛び出した。


646 名前:以下、VIPにかわりまして・・・投稿日:2008/02/09(土) 09:44:20.33 ID:8Vl9pMSO
うひゃひゃwwwwすげえ雪w
車で行く様打診したらオーケーづた
じゃーあ行って来る!



>>きをつけてなー

       

表紙

Mothotio 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha