蓋を開けてみれば、この体たらくである。
言わんこっちゃない。
荷が重かったのだ、僕「ら」には。
どいつもこいつも、だ。揃いも揃って、自分には荷が重過ぎる責任を、或いは背負わされ、或いは自分から進んで背負って、そしてもがいている。挙句の果て、性根の探り合いすら出来ずに、このザマである。
板垣さんは言っていた。「これはある種、喜劇とも言える」と。
お説ごもっとも。これは喜劇以外の何物でもない。いや、演劇ですらない。
大きな声で、身振り手振り、表現するのが、演劇だ。
雁首揃えて自分の中でだけウジウジネチネチと燻って、このザマだ。自分が観客なら、「金返せ」と空き缶の一つくらいは投げつけてやる。
「本当に……本当に、愚かだ。今となっては、謝ることすら出来ない。このような状況になってしまった以上、僕はもう二度と、ハユマに会うことは叶わないのだろう。会えたところで、見せる顔は無い」
何とも無しに。
まるで、天啓を得るように、延岡都は。
「ああ、この為か」と、すべてを理解した。
「言えよ」
ノマウスが、微かに首を傾げる。
「アンタの本音。謝らなくてもいい。それは無意味だし、今更謝られてもしょうがないだろう? だから、アンタの本音を聞かせろ。ハユマには言えなくても、僕には言える筈だ」