かみがみのたたかい
ものがたりがはじまりました
「おはよー健」
「おはよー、髪切った?」
僕の名前は田中健、ごく普通の高校生だ。
隣に居るポニーテールの女は小池栄子。 剣道一筋5年でインターハイにも出た事がある。
「切ってねぇよwwwwwww昨日と何ら変わりねぇだろwwwwww」
「いやとりあえず毎日言っとけば無難かなあと」
「そんなんでいざ言われても嬉しく思うかボケwwwwww」
と言いながら鞄で僕の尻を思いっきり叩いてくる。 痛い。
ちなみ草生やしてる事からも解るとおりこの女VIPPERである。 きもい。
「それよりどうしよ、テスト勉強ちゃんとやった?」
「全然」
「またまたそうやって予防線張っちゃってー、本当はきっちりやったんでしょー?」
「そこそこは」
「いいよなー頭いい人は。 私なんて文字見るだけで眠っちゃうから勉強もロクに出来ないよー」
そしてゆとりである。
「あーもー、学校なんて無くなっちゃえばいいのに。 剣道一筋に生きたい」
「部活もなくなるぞ」
「それは……困るな~。 あ! 授業だけ無くしちゃえばいいんだ! 私アッタマいい~!」
類を見ないゆとりである。
所謂この女とは幼馴染……と言うより腐れ縁と言った方が正しいだろうか、そんな関係で小中高と一緒に過ごしてきた。
今では数々のゆとり発言もほぼスルー状態、ゆとりと会話しててもちっとも楽しめないのだが登下校時間が合う時は大抵一緒になっている。
彼女としては、僕と一緒に居ると落ち着くらしい。
僕の方は特別そんな事もない。 寧ろB型特有の一方的に話したい事だけ話す様にスルーを決め込んでても時折イライラしてしまうし、聞き流しに徹し過ぎるとそれに気付いて怒ってくるのもまたうざい。
「あ、やば、靴紐解けてるし~」
そんな苦痛でしかないこの女と過ごす登下校の、唯一の楽しみがこれである。
彼女が靴紐を結び直すために屈めば、必然的に、胸の谷間が僕の視界に現れる。
頭に栄養が回ってないお陰でこの女……高校生の割には随分と育っておられる。
「おっしレッツゴー!」
靴紐を直し終えた白く味気ないブラが無駄に元気に立ち上がる。
今日はおっぱい女にとって憂鬱なテストの日なのに、この無意味な元気さは何処から来るのだろうか。
あ、もしかしたらテストって事自体忘れてるのかもしれない。
うん、きっとそうだ、ゆとりだし。 うん。
てな感じで今日一日がはじまりましたとさ。