Neetel Inside 文芸新都
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満足

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シー博士は大学の医学部を首席で卒業し、その後もさまざまな論文を提出し
権威ある学者になっていた。しかし博士は本当にやりたいことをやっていなかった。
博士が本当にやりたいこととは人間の寿命を測る機械を作ること。その夢は子供の
ときからあった。しかしその機械を発明するのは容易ではないことが医学を研究するに
つれ分かり、博士は別の分野の研究をすることになった。しかし博士は結構な年に
なったときその夢を実現したい気になった。博士にはさまざまな人脈がある。
大学時代の友人に声をかければ、さまざまな分野の研究者を紹介してくれるかもしれない。
また博士は権威ある学者だ。企業もまさか博士が金を持ち逃げするなどは思わないだろう。
また国も援助してくれるかもしれない。それに大学には博士の研究室もある。
しかし実際は研究はなかなか進まなかった。何回も試作を重ねたが実際に成功しているかは
その後研究対象を追跡調査しなければ分からないのだ。しかし莫大な費用をかけだんだんと
装置は完成へとつながっていった。まず小動物での実験に成功。そのあとだんだんと
人間に近い動物へと実験対象は移っていった。博士は連日徹夜で研究した。
そしてついに人間でも成功。この機械の精度は非常に高かった。もうすぐ死ぬ人間には
数分単位で時間が表示される。盛大な祝賀会が行われた。博士は祝賀会をおえ自宅に
帰ってきた。久しぶりの帰宅である。何しろずっと研究室に引きこもって研究を
していた。博士は完成した機械を眺めてあの部分が大変だったとか、あそこは
誰が開発したということを思い起こしていた。何しろ博士はずいぶん前からこの
機械に関わってきた。博士は何気ない気持ちで機械を作動し、自分の寿命を
測定してみた。そこには意外な結果が…。

翌朝ずっと無遅刻無欠席だった博士が無断欠勤したのを弟子が不審に思い自宅を訪問。
そこには倒れている博士の姿があった。息はすでになかった。博士は独身だった。
すぐにほかの弟子たちや関係者が呼ばれた。死亡したことについての書類は弟子たち
が書いた。葬儀屋が来るまでの間弟子たちと関係者は博士を眺めていたがみな感想は
一緒だった。博士の表情は本当に満足しているようだった。

       

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