Neetel Inside 文芸新都
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ショートショート集
乞食

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 男はいつものように支度をして、仕事場へと向かった。男の家と仕事場への道の間には公園がある。その公園の中には朝早いというのに乞食たちが集まっていた。最近男は乞食が増えているように感じていた。男は乞食に対する労働省の政策に対して怒りを感じていた。なぜならば労働省は乞食を減らすことができず、やったことといえば寝るところを提供したぐらいだったからだ。だがしかし、乞食にも原因があるかもしれない。労働省はいろいろな手を打った。が、乞食たちは働こうとしないのである。そんなわけで最近は裏では乞食は社会の最下層で当然だ。という人々も現れてきていた。しばらく歩くとヤンキーたちが乞食を蹴飛ばしていた。ヤンキーたちは実に楽しそうである。乞食は薄汚れた格好をしていような臭いを発していた。男は無視して、通り過ぎながら俺はああなりたくないと思った。その直後
「やめろ」
 という声が聞こえた。振り返るとまじめそうな男がヤンキーたちを止めようとしていた。
男は金持ちたちや上流階級の人間たちが最近乞食を救う運動を熱心にやっていることを思い出した。まったくもって男にはそのようなことをする意味が分からなかった。が、しかし連中にはそれが楽しいのであろう。だから流行っているのであろう
 そんなことを考えているうちに男は自分の仕事場である、科学省の第三課につくとすぐに課長が声をかけてきた。
「君、辞令だ。第八課に移動してくれ」
 男は驚いた。
「それは急な話ですね。第八課といえばロボットを研究するところでしたっけ」
「そうだ。君は理工学部を出ただろ」
「そうですが……。そんなに専門知識はありませんよ」
「大丈夫だ。簡単な仕事だが人手が足りないらしい」
「はあ。」
 男はもしかして左遷かなと思った。その少し後に第八課の係長がやってきた。
「まず君に我々が生産しているロボットを見せたいと思う」
 そういって可聴は男を倉庫に連れて行った。係長がさまざま操作をして倉庫の鍵を開けた。そこにはなんと乞食たち、いや乞食ロボットたちがいた。驚いた男は係長に質問した。
「これは乞食形のロボットですが」
「そうだよ」
 乞食ロボットたちは実に人間そっくりだった。が、そこに男が驚いたわけではない。驚いたのは乞食のロボットだったからである。なぜこのようなものを作るのか理解できなかったからである。男は続けて聞いた。
「何でこんなものを作ったんですか」
「最初に見たやつはみなそのことを聞く。町に出すのさ。こいつらを。人間そっくりの動きと会話ができ費用は大してかからない」
 男の疑問は尽きない。
「なぜそんなことを」
「まあ理解できないだろうな。でもきちんとした理由がある。まずは大衆の不満をそらすためだから最下層に乞食ロボットを作ってやったのさ。乞食よりはましだとみな思うだろ。
そしてああならないように努力する。また危険な連中も乞食を蹴り飛ばすことによってストレスを発散できる。また折を見て逮捕することができる。人間じゃないから別に損害は出ない。人間を傷つけられたらたまらないからな。それに金持ちどもは乞食たちを救う活動をすることによって優越感を味わう。正義感のある連中が乞食を助けることによって政府が裏でやっている悪事もばれにくくなる。本当にいいもんだよ。乞食ロボットは」

       

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