「なんで誰も私の事、分かってくれないの?」
俺の隣で彼女は悲しげに言った。
この女は俺に面倒くさい事ばかり言う。
この女は面倒くさい女だ。
だから俺は心の中では彼女を「面倒くさい女」と呼んでいる。
「ねえ、私の彼氏でしょう。少しは慰めてよ。」
そう、
この面倒くさい女は俺の彼女である。
つきあい始めた理由は
よく覚えていない、ただ
「遊びの関係」のつもりで、つきあい始めた事だけは覚えている。
だが、きっと面倒くさい女は
この事に気付いていない
俺もそれなりに気を遣っているからだ
面倒くさい女の面倒くさい発言に
適当に相槌ちを打つ
そんな事をしている内に、
1週間、1ヶ月、そして5ヶ月が経ってしまった。
どうしてこんなに続いているのだろう、
なんだかんだで心を惹かれてしまったのだろうか。
「みんな、影で私の事、馬鹿にしてるのよ。」
「考えすぎだよ。」
相槌ちを打つ
「本当に?本当にそうかなあ?」
「ねえ?」
この言葉を言ってしまおうか、
少しためらった。
「・・・面倒くさいよ、面倒くさい女さあ、考えすぎなんだって、彼氏相手にならなんでも言って良いと思ってんの?」
言ってしまった。
彼女の顔が
強ばるのが分かった。
「…ごめんね」
少しドキッとした。
「…俺も言い過ぎたよ」
こういう時面倒くさい女は
ヤケに素直だから気にくわない
なかなか離れる事の出来ない理由が
少し分かった気がする
いや、多分気のせいだろう。