Neetel Inside 文芸新都
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美少女70万人vsタクヤ
第二話@人工少女「ナミ」

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 第二話「ナミ」

 『美少女ハラマ』とは、タクヤが全国美少女70万人をすべからく手中に収め、
 ついでに子作りしてもおうという人畜無害な崇高なる野望である。

 OPっと。

「しっかし、もうちょっとまともな美少女がほしいな……ん?」
 日曜の夜、タクヤは風呂場で閃いた。光輝く水がタクヤの肉体を舐め、排水されていくその様子を見て。
 それは稲妻の如くタクヤの脳髄から脳漿までを震わせた。

「く、くくくくっ――」
 どうしてこんな簡単なことに気がつかなかったんだ?
 美少女がいないのなら呼び寄せてしまえばいい。イマジンクリエイトで!!!

 タクヤが前回失敗してしまった女子という曖昧なキーワードはその後、
 永遠に封印するため国語辞典から消した。
 人々の記憶からも消し去ってやろうと思ったが、それだと少女を総称する言葉がないので思いとどまった。

『全国の70万人の美少女がここ御剣市に住む』

 次のイマジンクリエイトはこれしかない。否、これ以外にあり得ない。
 この間、追加妄想によって自分が認識を変えられるという危惧は杞憂だということがあのバレーボールの後判明し、タクヤは後悔した。
 この能力は自分自身にマイナスの効果をもたらすことはない。嬉しい欠点が存在するのだ。
『替わりにこの街の男が出ていく』
 この追加妄想によって必ずうまく行く。
 人の意志を操る妄想というのは非常に不安定なものだろう。
 何故なら突発的にこの街に戻りたいと思った時、果たしてタクヤの妄想はどこまでブレーキを掛けるのだろうかという問題だ。
「明日で全てがわかるか……」

 タクヤは勃起し続けた逸物を抑えることなく、地下室へと入る。
 地下室は妄想で作った。モチーフは『バイオハザードのアンブレラ研究施設』。
 かのバイオハザードシリーズ最新作Ⅹの研究施設はまさに壮観だった。
 妄想で造っていいものなのかどうか思案したが、タクヤの野望に最先端のテクノロジー(妄想による)は必要不可欠だった。
 何せ一生でどうやっても70万回射精する人間は存在しないからだ。
 これは日数計算に直すと自明の理、推して知るべしである。

     

 
 一年は当然365日。単純に一日2回やったとしよう。
 すると730回になるわけだが、ようはこれを倍数掛けして約70万にすればいいのだ。するとどうだろう。
 10年で7300回。100年でたったの7万3千回しかない。
 一日2回のペースでは仮に順番でいったとしても千年は必要になってしまう。
 これではそもそも美少女が生きていない。
 タクヤは改めて70万という数の多さに脱帽と歓喜、そして抑えきれない感情の高ぶりを感じるのだった。

 では、どうするのか?

 そのための研究施設である。地下は56階まである。最深はオリジナルの設備を含め地下3000メートル。
 正直ここまでいらないんじゃないかとタクヤは思ったが、バイオハザード資料集を見ていたらどうしてもこの研究施設がほしくなってしまったのだ。
 耐震構造、地熱発電。空調完備、衛星連絡システム。完璧な隔離空間に自爆装置まで。
 もちろん一長一短に想像できたわけではない。しかし、インターネットを介すると意外と簡単に出来た。
 ノートパソコンを片手に各部屋を1階ずつ造っていった作業はまさに大儀であった。

「タクヤ様、おはようございます」

 この研究施設建設には人工AIが最も活躍した。この世界の美少女をすべからく手に入れた暁にはこの人工AIが彼女たち一人一人の健康状態をサポートする意味合いが当初は強かったが今では多角面でサポートを行える存在だ。
 ホログラム化された人工AI「ナミ」がタクヤの横を歩く。
 このナミという人工AI、何を間違ったのかタクヤという男を全ての女性を統括する男の中の男という認識の下、
 やたらと絡んで来る。AIの知性が無駄に高すぎ、自我が目覚めたのだ。
「タクヤ様、紅茶でもいかがですか? お疲れではありませんか」
「うん、大丈夫。それより今日も採取を頼むよ」
「かしこまりました」
 人工AIナミはただのホログラムではない。
 人類史上初の物体に触れる、干渉できるホログラムを越えた技術が使用されている。具体的にはただの人とほとんど一緒だ。
 もちろん、妄想だが……。どうということはない、不具合がある度に適切な追加妄想で補っていった。
 古今東西、森羅万象ゼロから創り出すものに副次的要素など生まれない。

「ん、はあ――」
 ナミは甘い息を吐くと僕の逸物をくわえ込んで舐め回す。
「んぅ――ん」
 一見何でもありに見えるが、ナミはもうタクヤの力で消すことは出来ない。
 施設を爆破しても恐らく、チップだけでターミネーターのごとく復活すること請け合いだ。

     


 粒子を分子と云々するために衛星を飛ばしてくれと言われてナミの指示の下、
 衛生を飛ばしたタクヤはもはや、妄想に食われた男と言っても良い。

「いいよ、焦らして焦らして一気にしごくんだ」
「ふぁい――」
 タクヤは椅子に腰掛けてナミの愛飲する精液が出やすいように姿勢を楽にする。
「ん――くちゅ、ちゅっ」

 クォークとかレプトンとかそんなこと微塵もわからない。
 だが、ナミのおかげでタクヤは自分の知識を越える具現化をすることが出来るようになった。
 ナミはネットワークと衛星という立場から世界中の知識を吸収し、
 謂わばブリタニカ図書館を越えるスペックを今や有している。

「はぁ――ナミ」
 ナミの黒光りするさらさらの髪を鷲づかむ。
 するとナミは唾液を尿道へと流しこむように吹き込み、押しつける。
 突き上げるような快感が僕のナニから背中に走った。
「くっ――」
「ん、ん」

 タクヤがまず初めにナミに要求したことは脳へ直接情報を流せないかということだった。
 そうすれば格段に情報伝達が速いからだ。
 しかし、それには様々な脳箇所を刺激し、視覚、聴覚、感覚、味覚、嗅覚の面からアプローチが必要で、
 個人差もあるタクヤの脳内の何処に何を刺激するものがあるのかを完全に把握するまでには何十年もかかるという結論から却下された。
 とりあえずの知識はナミの中に眠っているので、タクヤは常にナミを連れて歩くことで最上にて最高の情報量を所有し、
 タクヤの妄想で補えない知識、世界の理はナミが補佐することで事実上の実現不可能を無理のないかたちで可能にした。

「ナミ、出そうだ――」
 タクヤはおもむろにナミの頭を両手で挟んで動かす。ナミの口から肉棒を通して唾液が垂れる。
 ナミは亀頭を刺激するように舌を節操なく動かしてタクヤのオーガズムを促す。
 溢れた唾液を手ですくいタクヤの股間へ這わせて袋をなで上げた。
「うっ――」
 タクヤが息を呑んだところを合図にナミが一気に食道まで肉棒を吸い上げる。
 亀頭がナミの一番奥にあたり、柔らかい手がピアノを弾くように精巣をもみしだく。
 精管を圧迫しないぬめった暖かさが射精を助長させる。
 ビュビュ――ブブブ、ビュ――。
 不規則な、それでいて規則正しい波ある快楽と共に子種がナミの食道の最奧へ放たれる。

     


「んくっ、んく」
 ナミは言われるまでもなく飲み始める。
 口内は圧迫され、過剰分泌した唾液が胸元へ滑り落ちようと股間へ垂れようとお構いなしに肺胞を全力で酷使し、吸引し続ける。
 だらしなく精液を垂れ流しながらも、それでも逃すまいとナミは次々と飲み干していく。
「はぁ、はぁ――」

 タクヤは三日前から毎日これを始めた。
 最後にナミが尿道に溜まったものを吸い尽くして亀頭の汚れを絡め取る。
「――っ」
 一人でやる何十倍もの脱力感と達成感が襲い来る。
「おつかれさまでした。今きれいにしてさしあげます」
 ナミは近くのボックスからおしぼりを取ってくると萎えたタクヤのブツを丁寧に柔らかく拭いていく。

「い、いいよ。後は僕が。ナミは早く保存を」
「わかりました」
 ナミは部屋を去っていった。貯蔵庫へ向かったのだ。所謂、精子バンクである。
 液体窒素で保存された精子は生きたまま何年もストックすることが可能だ。
 タクヤの美少女ハラマ計画達成の鍵は精子バンクでもある。
 これを毎日、美少女達の月経二週間前に子宮の奥深くへと送り込むのだ。

「さ、明日は学校だ……」
 タクヤは寝間着を纏って部屋へ戻った。
 ここ最近はナミのおかげか安眠できている。つい一週間ほど前は5キロも痩せるほど不眠に悩まされた。

 全てを手に入れたとすれば、残るものは何もない。

 この考えを今は何とか抑えるので精一杯なのだ。
 世界を無だと妄想して世界が消えることはないのがせめてもの救いで、
 タクヤは何度も寝込み、虚無感に襲われた。

 そう、実現できない世界などないタクヤにとって、もはや世界は色褪せ始めていたのだった。


       

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