それは晴れ晴れとした、とてもいい天気の日のことだった。
僕は公園のベンチに座り、風にそよぐ木々の声に耳を傾けながら、本を読んでいた。その公園はあまり子供の姿も目立たず、とても静かでいい場所だった。
読書にもあきてきたので、しおりを挟んで鞄になおし、空を見上げた。光に満ちた青い空が、ときどき白い雲を交えて、どこまでも広がっていた。
しばらくそうやってぼんやりと眺めていると、突然少女が話しかけてきた。
「すいません。あたしの胸をもんでくれませんか?」
かわいらしい感じの子だった。
透き通るような大きな目が印象的で、まだ幼さが残る顔立ちは中学生くらいに思えた。肩まで切りそろえられた髪が柔らかな風で微かに揺れている。その髪の匂いが風に運ばれてこちらまで漂ってくるようだった。
「ど、どうして? いきなり、そんな……」
僕は突然の事態にひどく動揺して、しどろもどろにそう答えたが、すでに僕の両手は彼女の胸をもんでいた。思春期というのはまず行動のほうが先に出てしまうものなのだ。
「いえ、あたし、その、胸小さいから……んっ」
なるほど確かにあまり大きくはない。だが小ぶりながらいい形をしている。僕はさらに力強く彼女の胸をもんだ。彼女は紅潮した顔をうつむかせ、体を震わせながら、ときどき耐え切れないように甘い声を漏らす。
彼女の胸はどんどん大きくなっていく。僕は興奮してしまい、彼女の「もう、十分です。やめて……」という訴えも無視してさらに荒々しくもみ続けた。
気がつくと彼女の胸はすでに僕の体の倍くらいの大きさになっていた。「しまった」と思い手を離すと、彼女の胸は風船のように浮き上がり、彼女とともに空へと消えていった。
それ以来彼女の姿は見ていない。
だから僕はとても天気のいい日には彼女のことを思い出す。透き通るような瞳を、あの柔らかい胸の感触を、そして空に消えていったときにちらりと見えたイチゴ柄のパンツを。
そして思うのだ。
「ああ。もう一回でいいから彼女の胸をもみたい」
もちろんそれはかなわない夢で、そもそもあの出来事自体が夢のようなことだったけど、それでも僕はそんなことを思いながら空を見上げ続けるのだ。