これでおしまい。
私は京螺ちゃんに区切りをつけた。
その後見回りに来た看護士さんに見つかりそうだったのですぐにその場から立ち去った。
燕尾くん……
「ぶぇっくし!!」
大きくくしゃみをしてしまう。
「大丈夫ですか?」
心配してくれるラミアには感謝している。
それでもいつかは別れがやってくる。今はそうじゃないとしても。
きっと今の俺の心境などとっくに花梨は気づいている頃だろう。何をしてくるか分かったもんじゃない。
だけどそれに逆らえるはずも無い。権力などないのだから。
「あぁ、大丈夫。そろそろ寝よう」
「わかりました。おやすみなさい」
そういって自分の部屋に入っていった。
その後、すぐに携帯から電話がかかってきた。
「もしもし」
『もしもし? 私』
言うまでも無い、花梨だ。
「何か問題があったの?」
平然といつもどおりを装った。
『まさか、私と燕尾の間に問題なんかあると思ってるわけ?』
「いや、そんなつもりは無いけど……」
なんだ? この予感は? 嫌な感覚だ。
「それより、用事があるからかけてきたんだろう? なんだよ?」
『あらあら、なんだか食いついてくるような言い方ねぇ。まぁ、いいわ。明日、お父様とお母様に会ってもらうわよ』
「はぁ!? なんで!? 確かにもう少しだけど早すぎないか?」
『いいじゃないの。早くて何か問題でもあるわけ? それともあのラミアって言う子に惚れたから別れてくれって言うつもり?』
「………」
やはりわかっていたのか。
いや、それでもいい。
自分がやってはいけないことだと区切りをつけるためだ。
「わかった」
嬉しそうな声が携帯から漏れてくる。
『やっぱり頭の回転が速いわね。賢い子は好きよ』
「ありがとう」
無機質な声でそう述べた。
「うん。そうそう。じゃあ、明日」
私は切った。
「……大樹。夕方にラミアを連れて行くのよ? わかった?」
「わかってますよ。そのくらい」
「……そう」