〜Pandora Box〜
不純なことはありません
夜。今日もボクはここへ来ていた。そう、図書室だ。
別に眠れないとか悪い夢をみたら嫌だとかじゃない。だって遊園地にいった後だ。ボクも疲れているに決まっている。
でも気になった。あの本が。
ガラガラ
「やぁ。今日もきたのか? キミは暇なんだね」
いた。あの人だ。
「こんばんは。先輩こそダメじゃないんですか? 一応生徒会長でしょ?」
そういいながらボクが向かった先は絵本がおいてある場所。そこに手にしたものは『おねえちゃんがくれたもの』だった。
「一応とは失礼だぞ。愁夜はいつだって皮肉を込めるな」
また一ページめくる。
「質問なんですが、なんで先輩はボクの本当の苗字を知っているんですか?」
「そりゃあ、一応私も生徒会長だ。全校生徒の名前くらい知っているさ」
まるで暗記は大得意といわんばかりに胸を張った。
「そうなんですか」
そっけない返事に少しむくれた生徒会長を尻目にボクは静かに読書を始めた。
別に眠れないとか悪い夢をみたら嫌だとかじゃない。だって遊園地にいった後だ。ボクも疲れているに決まっている。
でも気になった。あの本が。
ガラガラ
「やぁ。今日もきたのか? キミは暇なんだね」
いた。あの人だ。
「こんばんは。先輩こそダメじゃないんですか? 一応生徒会長でしょ?」
そういいながらボクが向かった先は絵本がおいてある場所。そこに手にしたものは『おねえちゃんがくれたもの』だった。
「一応とは失礼だぞ。愁夜はいつだって皮肉を込めるな」
また一ページめくる。
「質問なんですが、なんで先輩はボクの本当の苗字を知っているんですか?」
「そりゃあ、一応私も生徒会長だ。全校生徒の名前くらい知っているさ」
まるで暗記は大得意といわんばかりに胸を張った。
「そうなんですか」
そっけない返事に少しむくれた生徒会長を尻目にボクは静かに読書を始めた。
ぼくのおねえちゃん
ぼくのおねえちゃんはほんとうのおねえちゃんじゃありません。
だけどそんなのきにしません。だってぼくはおねえちゃんがだいすきだから。
ぼくはおねえちゃんさえいればいいとおもいました。
あるひ、ぼくはおもいびょうきにかかりました。なんでもほかのひとのしんぞうがいるそうなのですがぼくのしんぞうとおなじようなしんぞうがありませんでした。
しばらくしたらしんぞうがみつかりぼくのしんぞうととりかえっこしました。ぼくはげんきにたいいんしました。
おうちにかえるとおねえちゃんはいませんでした。
おかあさんにきくとおねえちゃんはぼくのしんぞうにてをあて「おねえちゃんはここにいるよ」とはなしてくれました。
おねえちゃんはいまでもいきています。
ありがとう。おねえちゃん。
ぼくのおねえちゃんはほんとうのおねえちゃんじゃありません。
だけどそんなのきにしません。だってぼくはおねえちゃんがだいすきだから。
ぼくはおねえちゃんさえいればいいとおもいました。
あるひ、ぼくはおもいびょうきにかかりました。なんでもほかのひとのしんぞうがいるそうなのですがぼくのしんぞうとおなじようなしんぞうがありませんでした。
しばらくしたらしんぞうがみつかりぼくのしんぞうととりかえっこしました。ぼくはげんきにたいいんしました。
おうちにかえるとおねえちゃんはいませんでした。
おかあさんにきくとおねえちゃんはぼくのしんぞうにてをあて「おねえちゃんはここにいるよ」とはなしてくれました。
おねえちゃんはいまでもいきています。
ありがとう。おねえちゃん。
読み終える。
なんだろうこの感覚は。
「? どうした? 愁夜大丈夫か?」
ツーとボクの頬を伝う暖かくもすぐに冷たくなっていく水。
「あれ? あれれ?」
どうしたんだろう。ボクはひょっとして泣いているのか?
視界がぼやけて会長の顔がよく見えない。見えないけどきっとおろおろしているんだろ。
「だ、だいじょうぶか? な、泣くなっ。泣くなよ、愁夜っ」
「だ、大丈夫、です。すぐ、泣き止みますから」
そうはいっても一向に泣きやむ気配はない。むしろどんどんあふれていく一方だ。
どうしたというのだろうか。今のボクはちょっとでも押せば多分ガラスのように綺麗に散っていくみたいに自分が弱く見えた。
「??」
急に真っ暗になる。
いや、もちろん夜なのだから暗くなるのは当たり前だけどいい匂いがするし、それに、とっても心地よい温かさがあった。
「どうだ? 少しは落ち着いたか?」
「かい、ちょ、う?」
少し鼻声になりながらも聞いてみる。
「ん? なんだ?」
キュッと締りが強くなる。
あぁ、そうか。会長の懐にいるんだな。
そう思うと懐かしい匂いとともに安心感と急激な眠気に襲われた。
――いやだ。もう少し、このまま感じていたい。会長の腕の中に…………
そう思うボクの気持ちとは裏腹に静かに眠っていった。
なんだろうこの感覚は。
「? どうした? 愁夜大丈夫か?」
ツーとボクの頬を伝う暖かくもすぐに冷たくなっていく水。
「あれ? あれれ?」
どうしたんだろう。ボクはひょっとして泣いているのか?
視界がぼやけて会長の顔がよく見えない。見えないけどきっとおろおろしているんだろ。
「だ、だいじょうぶか? な、泣くなっ。泣くなよ、愁夜っ」
「だ、大丈夫、です。すぐ、泣き止みますから」
そうはいっても一向に泣きやむ気配はない。むしろどんどんあふれていく一方だ。
どうしたというのだろうか。今のボクはちょっとでも押せば多分ガラスのように綺麗に散っていくみたいに自分が弱く見えた。
「??」
急に真っ暗になる。
いや、もちろん夜なのだから暗くなるのは当たり前だけどいい匂いがするし、それに、とっても心地よい温かさがあった。
「どうだ? 少しは落ち着いたか?」
「かい、ちょ、う?」
少し鼻声になりながらも聞いてみる。
「ん? なんだ?」
キュッと締りが強くなる。
あぁ、そうか。会長の懐にいるんだな。
そう思うと懐かしい匂いとともに安心感と急激な眠気に襲われた。
――いやだ。もう少し、このまま感じていたい。会長の腕の中に…………
そう思うボクの気持ちとは裏腹に静かに眠っていった。