Neetel Inside ニートノベル
表紙

スロースターター
まとめて読む

見開き   最大化      

1A.prologue



━━━━━━━━━━あり得ないなんてあり得ない!

そう感じたなら、きっとそうなんだろう。


人の考え方や文化なんて、それこそ千差万別だ

今、何を思う?

人の寿命なんておおよその秒数に換算してしまえば、それこそ少なく感じる
だが、長いと呼ばれる人生を生きた人間も居れば、所謂「激動」の中を一瞬で駆け抜けた人間だって居る

君はどっちだ?

何を望む?

三つ子の魂百まで。人間そう簡単に変われたら苦労なんてしない

だから変わろうとするだろう


きっと

変われると思えば変われるのだから━━━━━━━━━


     

2B.Start Up


「あー・・・週末か・・どうするかな・・」
ふつーに小中高と学校行って、でちょっと人生プラン(仮)が崩れ、現在こうして仕事が終わり週末の事を考えている

仕事は辛くは無い。まだ入ったばかりで知らないことも多いが、特に苦労する事も無く、日々この工場で働いている

「俺には事務職なんて向いて無かったしな、まぁ良いだろ。」


このとても毎日が楽しそうには見えないしかめっ面をした男は、そう俺、中村悠太だ。

ガキの頃には鬼の様に暴れまくり、中学では周囲にあわせなければならないということを知り、高校では眼を輝かせること無く日々を過した




就職なんて遠い昔の話だと思ってたし、夢も無かった。
ただ流れのままに、日々を作業として何の感動もなく過していた

就職先はそこそこ大きな工場である。なんでも、今作っているモノは明日を担う新素材を使用した飛行機の羽だとか・・・。
「正直・・・何がなんだか分からん・・・」

あんまり色々難しい事を考えるのは好きじゃない。だって・・・



━━━━━━━━━━お前、友達なんか居ないだろ。



━━━━イラつく面だな・・・お前



━━━━━━━━━生まれてきてごめんなさいじゃね?




・・・・っ


・・・


・・






「ふう・・・帰ろ」


過去の事がフラッシュバックする、だが一瞬だ。すぐに気持ちを持ち直せる

なんか良い事が起こる前兆だろう・・・きっと。と頭で思い込む。






自分でも、妙にポジティブだなぁと思う事がある

これまでの人生と、現状だって決して楽しいなんて思えるモノでは無いのに。



いつも思う・・・・自分はつくづくつまらない人間だなぁ、と━━━━━━━━━

     

3.C Me

私の言っている事、やっている事はすべて正しい━━━━━━━━!!


なんて私は普通に思っている。が、口には出さないし、行動は控えめで誰かに合わせている。

それが一番なんだ。



女は御しとやかに、と小さい頃から厳しいバカオヤ・・・いや父親やお母さんに言われてきた。
そして段々年を重ねて行くごとに「御しとやかさ」という上っ面が出来たのだ。

だけど、私自身いきなり席を立って、どこぞの地獄ミュージシャンよろしく、「うお``お``おおおおおおお」って叫びながら蟹股で
学校中を走りたい・・・は、無いか。さすがに

「だけど・・・私が素の私のままに生きる事が出来たのなら・・・」

その考えを、常識という名の足枷が私を留める

「うわっ、ちょっと私痛い子だ。あり得ないあり得ない。」



━━━━━あり得ない。それが私の口癖。


あり得ないと私が心で思ったなら、それはありえないのだ。

だって、信じたって何にも起きないし、それに・・・・・


「━━━出来ないことは・・絶対出来ないじゃん・・・」



出来ないことと思ったらそれは出来ないし、ありえないと思ったらそれはあり得ないのだ。


そうして私、林日和の平凡な午後の授業時間は過ぎていく・・
「なんか、小説でも書こうかな・・・それはない・・・か。」

ぼーっとしていると、まるで何かに導かれたように━━━━━

「林!この漢文の律詩で必ず対句にしなければならない聯はなんだ!」


?・・・?

「は、はい!司馬遷です!」


・・・・・?

「お前・・寝てたな?・・ほか、は・・・・・、っ、斉藤!」


クスクス、っふふふ

クラス内がちょっとした笑いに包まれる。


私はそんなキャラじゃないっつーの。



あー、━━━━━━━あり得なーい。

     

4.D Literally collision

「とりあえず俺の愛器・・・レスポールを磨こう・・ふふふ・・」
このフヒヒ、と聞こえてきそうな笑い顔を浮かべながら車を運転しているのは根が暗く、


変にポジティブな「中村悠太」そのものである。



実はこの中村悠太は、族に言う「初心者」である。
免許を取って2~3ヶ月の、駆け出しから、少しレベル(?)が上がったモノで


「怖かったら言えよ・・・すぐスピード落とすから」

なんて某漫画そのものの台詞をこぼし、調子に乗ってスピードを上げ

「インベタのさらにインに描くラインを辿る!」
なんて、ストレートから狭い十字路に入った後にバカやって前後左右を確認せずに


4速→2速から高速シフト。当然そんなにスピードは下がらず35キロぐらいで曲がり・・・
出会い頭の自転車に乗った女子高生を避けて家地に・・・・


・・・・・


着けなかった。


車からすぐに降りて、道に横たわる女子高生に駆け寄る
「ありえなーい・・・」
なんて言葉あとにブツブツ何か言っているが

「大丈夫か!怪我は!」と大きな声で言う。

少し虚ろな眼でこちらを見た女子高生、そして




「あー多分大丈夫!こんな怪我オラにとっててえしt・・」

?・・空気が固まった

「ごめん・・いまなんt」
「わ・・うはあ!大丈夫、大丈夫だから!!大丈夫です!!」

なんていきなり女子高生は立ち上がり、いきなりスクワットを始めた

う・・・うわ、この子事故のショックで・・なんて思ったが、事故とか良きせぬハプニングは人間はとても弱く、
思いもよらない行動を取ってしまう場合もあるらしい。

この子もそんな感じだろう・・って思ってたら

「そ、それじゃ失礼しまーす、バイバイ!」

なんて、こちらの謝罪なんか聞かずにその女子高生は行ってしまった



「一応・・いろんな意味で救われた・・のか」
とりあえず自分の車がそんなに傷付いていないことと、女子高生が元気だったのに安心しつつ

「用心するか・・」と売って変わって死んだ目の安全運転で悠太もその場からゆっくりと家へ帰った

     

「今日は災難だったな・・・」
今日も顔を顰めて考え事をしている、中村悠太であった。
部屋のベッドで寝転がり今日の出来事を振り返っているようだ
「頭○字○ばりの運転して、スピード下げずに曲がって・・・で、ううううううあああ、ついてねーなぁ!」
あの孫悟空よろしく・・・元気な女子高生は何処も怪我無いだろうか。
「一応・・・何も無かったか聞いて見るか・・・」
あそこで待ってれば、多分来るだろうか、そのとき元気かの確認と・・・・連絡先だけ教えとこう
「律儀すぎか・・・ストーカーじゃないけど、そこまでする必要も・・・まぁ、」
結構、かわいかったし。
きっかけ作れたら、なぁなんて甘い考えを持つ年齢≠彼女居ない暦の男であった。

スロースターター 第ニ章 君には赤に、俺には緑に

道幅が確保されている割は入り組んでおり、車の通りもあまり多くないこの道通り。
悠太は車を道路脇へ止め、車に凭れ掛り外で携帯を弄る動作をしながら辺りを見回す
「普通に通れば絶対ぶつからねぇよな・・・」
結局、双方どちらもボケっとしていた事が分かり安心する。
・・・が、相手は自転車でしかも少なからず倒れたのだ。それをいい事に漬け込まれたら・・なんて
その時だった、正に昨日接触事故を起こした(起こされた)あの女の子が自転車に乗って走ってくる
「っ・・来、た・・・」
「包帯なんかは・・・してないな、よし」
こちらの視線に気が付いたのか、女の子もこちら側をさり気なく視線を投げかけて此方へゆっくりと自転車で近づいて来る
「おーい!昨日の事に付いてだけど!」
自転車が自分から1.5m先ぐらいでストップし、自転車を降りそれを押して女の子はこちらへ来た。
「昨日は動転してたと思うんだけど、大丈夫?骨折とか、縫ったとか」
縫ったはたぶんねーよなぁ、と自分にツッコミを入れつつ相手の出方を伺う
「あ、昨日の。こんにちは」
また・・・随分とさっぱりとして・・
とりあえず負けるかという気持ちで「うん、こんにちは」と挨拶を反す。
「昨日の事なら大丈夫ですよ、怪我も無かったですし、何処か出血したなんて事も無かったです。」きっぱり。
フラグも糞もねぇな・・と思いつつも、悠太は昨日の事を尋ねる
「随分あれなんだな・・昨日は、オラこんな怪我平気だ!とか言ってた気がするが」
「あ・・」
赤くなった。
「ちょ・・・」
青ざめた。
「あれは・・」
また赤くなった。
ちょっとかわいいと思ったが、らちが空かないので
「まぁ気が動転してたらどうしたなんて分かんないだろうな!」とフォローをする。

「どうせ私はそっち系だ、悪いか!名言とか格言とか好きなんだよ!アニメの!」
なん・・・だと・・?
と、聞いてもいない事を喋り出した。
「あんただってアニメぐらい見るでしょ!それと同じよ!」・・さらに喋る。
よくもまぁアレだけの質問でここまでに成れるなぁと関心しつつ
「元気そうだな・・・良かった。」
自然な感じで言えたと思う
「あ・・・」自分の勘違いだと気が付いて、女の子の顔がまた赤くなる。
前もって用意しておいたメールアドレスと番号を書いたメモ帳をポケットから取り出し
「自転車、少し拉げてるから自転車を預かって修理に出させて下さい」
そう頼み、メモ帳を渡した。
・・・自転車修理はちょっと財布が痛いが、実は口実である。
「あと、なにかあったら電話かメールで。」
女の子は澄ました顔でこちらを少し見た後、メモを受け取り
「わかりました、そこまで言うなら自転車、直して貰います」
「今日はこれで帰りますが、今日中に電話しますから。」
彼女はそう言って自転車に跨ると、澄まし顔のまま、行ってしまった。
「まぁ・・・、こんなんだよな。現実だと。」
そのとおりと自分にも同意をして貰い、悠太も車に乗り込み
「まっ、自転車ぐらい3000円もあれば直るだろ!」
自転車さっさと直して・・・「俺のレス・・ポール・・」
買ったばかりのギターで、練習練習。

       

表紙

LetsNote [website] 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha