ある日僕は博物館で女の子の
剥製に恋をする。
奇病を患い この世を儚んで
みずから命を絶ってしまった少女
というような文章が
彼女の横にある看板に書かれている。
どこが奇病なのだろうかと不思議に思いながら
彼女の美しい顔を見つめていると奇妙な所があるのに気づく。
まぶたがないのだ。
更によく見ると首の所にはエラがあり
指には薄い膜がはっている事にも気づく。
どうやら魚になってしまう病気だったらしい。
少しづつ魚になっていく自分が嫌になって
死んでしまったのだろうか?
だとしたら なんて繊細で自尊心が強い女の子なんだろう
と思いながら僕は大きな吸盤が生えた自分の手を見つめる。