Neetel Inside ニートノベル
表紙

Nightmare
3話-危険な世界

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まだだ、
まだ終わるわけには行かないんだ・・・

++
「うー・・・ん」
ねむい。寝れてはいたはずなのに。
「ん・・・」
・・・*・・・
気配を感じた・・・
「ッ!」
「起きろ寝ぼすけッ!」
腹に拳が突き刺さる。
「ぐ・・・ぅ・・・」
なんつぅことをするんだ。
鑑。
「起きたか?はっはぁ!」
・・・
「ぐぅー」
寝たフリだぜっ
「てんめェ!わざと寝んなッ!」
また拳。
わかっていたからこそかわせるものさ
「ッ!」
わき腹に痛み。
膝が決まってた。
「そりゃな~。
 2回も同じことするかってんだ!」
いや。その前にだ。
「もうちょっと優しく起こさないか・・?」
「居候は黙って働くっ」
なんというツンデレ。
あ、違うか。
「ささ、飯の用意手伝いなっ」
鑑ときたら・・・
「人使い荒い」
居候がサボっててもなんだが。
「そうさ、いい雑用だろ?はっは!」
最初からそのつもりだったんじゃ・・・
とてとてとキッチンについていきながら考えた。
今日は鑑の手伝いと
戻る方法探し。
この世界の調査。
"まったく、長い一日になりそうだ。"
++

**
人が忙しいときに
まったくあいつはのんきだな。
こっちは朝から呼び出されて
デスクワークだというのに。
「まったく。ついてねぇよなぁ。」
「知りません、いつものツケでしょう」
頼れる相棒も今日は素っ気無い。
いつもだが。
「珈琲。甘めで頼む」
いつもなら一つ返事なのだが今日は
「甘えないでくださいね。
 淹れてきますけど1杯だけです。
 次はご自分で」
うーむ。
ツンな性質は持たした覚えなかったのだがなぁ。
でも1杯いれるとこはデレか・・・って、
そんなこと考えている場合ではない
デスクワークというのは私は嫌いだ。
机にむかってカリカリと書類に記入する。
同じ内容を10回も20回も。
こんなもの・・・
「はぁ・・・"唯可(ゆいか)"がやってくれればいいものを・・・」
「甘えないでください。2回目ですよ。
 石川は甘えすぎです。
 私(わたくし)が出来る人間だからといって
 甘えていると駄目人間になりますよ。
 人間失格に。
 いいですか?」
最後に妙な怒気を感じたが・・・
そしてなんという自信だろうか。
「あらかた、いいぞ。
 たぶん」
さて、
"唯可"こと"新琴唯可(にいごとゆいか)"
私の自称優秀な助手の一人だが・・・
というか
助手は他にいないのだが。
デスクの書類とのにらめっこに飽きたな。
ふと隣の水晶へと目をやると・・・
「ん・・・?」
デスクワーク+"心境観察(マインドウォッチ)"
つかれるったらありゃしない。
部屋も暗いことだし。目が痛い。
「"唯可"」
「なんです?」
呼んだのはふとした異常を感じたからである。
休憩がてらに見た水晶が休憩をなくしてくれそうだ。
「見てくれ」
「えーっと。
 私(わたくし)ではいまいち理解できませんが・・・
 "何か"が近づいているって事ですか?」
彼女も気付いたらしい。
水晶は紫の色を映していた。
勘が鋭いのはいいことだ。それでこそ助手。
勘が鋭い・・・だけならだめか。
「ああ、それも強力な"力"を持っていそうだ。
 彼を放って置くのは会議で決まってしまったなぁ。」
彼女は気付いているようだ。
「ええ、ですねぇ」
だが、この使命を課していいものか・・・
「あなたらしくも無い。
 命令してくだされば、向かいます」
まったく。
これだから優秀な助手は。
「優秀な助手を持つと・・・
 苦労するよ・・・」
「全くですね。優秀なオペレーターさん」
珈琲をぐいっと飲み干して
「たのむ。彼を守ってくれ。極秘に、だ。
 ある程度の指示はだす」
ここで断るのは絶対にない。
なぜなら
「了解」
俺らはお互いに必要としているパートナーだからだ。

"まったく、長い一日になりそうだ。"
**

##

さて、ショータイムだ。

##

++
「鑑、お前一人暮らしなんだな」
柄にも無く朝食のスクランブルエッグなんか作りながらいった。
「おうよ。もう慣れたがな」
「てことは、元はそうじゃないってことか?」
両親はどうしたのだろう。
聞いちゃまずかったか・・・?
いまさら遅いが。
怪訝な顔をしていたのだろう。
鑑は
「はっは!気にするなってよ!
 両親は別に無事無事。
 ただの一人暮らしだぜ~。
 いつまでも居たって詰まらなかったからなっ」
と言った。
一人暮らしってのは楽しそうなのだがな。
苦労も多いだろうに。
「それだって俺が望んで手に入ったものさ。
 諦めもつくだろうよ~。
 割と、それすらも楽しみになってくるもんだぜ?」
炊事洗濯はだるいけどなっと付け加える。
ふむ。
今の俺の状況は望みだったが・・・
楽しくは無い・・・のか?
軽く楽しんではいるが・・・
本当に大丈夫なのだろうか?
そのときだった。
・・・*・・・
「んッ!?」
違和感だ、あの時とほぼ同じ!
「どうした?霧徒?」
鑑が聞いてくる。
「なんか・・・胸騒ぎ・・・っていうかな」
「ふむ。構えることはないさ、
 多分"こっち"に慣れてないからだろう?」
だが俺は確信があった
「違う。断じてそれはない。
 確かにあったりはする。
 今のこれとは違う!」
"力"を使う準備は万端だ。
思い浮かべればいい。描けばいい。
さぁ。出てこいよ。
誰かいるんだろう?
++

##
勘付いただと?
有り得ない。
こいつは何者なんだ?
##

++
そうだ。
俺は思い立った、
「"力"を試してみるか」
鑑はまだ不思議そうだ
俺のスクランブルエッグの事ではないだろう。
「心配ないんじゃないか?」
周りを見ながらいう。
どうも俺の勘違いだと思っている
そりゃそうだろう。
昨日来たばっかだからな。
「・・・・・・っ!・・・・」
イメージどうりに視界が切り替わる。
出来た。"気配察知(レーダー)"
そいつは家の裏手で
ひっそりとこちらを見ていた。
++

##
いかにするべきか。
撤退でもいいのだが
"奴"からの命令はないからな・・・
##

**
鑑真(かがみまこと)
表札を確認する。
「この家・・・ですか?」
《ああ、間違いない》
彼との"無言伝令(テレパシー)"は隠密の基本だった。
「"敵"とみなすべき目標は何処です?」
《ちょっと時間を》
「はい」
彼はデスクワークのようにして
今頃"広域観察(ワールドウォッチ)"をしてくれている
《裏手だ。中では鑑と彼がキッチンに。
 キッチンは裏手から入ってすぐだ
 ひょっとしたらひょっとするかもしれない。
 裏から回って様子をうかがっていてくれ》
要するに止めに入れる位置で待機、ってとこでしょうか。
「了解。攻撃許可は?」
これは万が一の場合のために
《捕獲目的としてなら許可、だ》
よし。これで準備はできたはずです。
「わかりました、幸運を・・・」
《幸運を・・・》
"幸運を・・・"
これは互いに命令などの終了を表しているので、
要するに此処からは私(わたくし)一人での仕事です。
「さて、参りましょうか」
彼らが無事だといいのですが・・・
**

++
「行くぞ、鑑!」
キッチンから裏手へのドアの前で俺らは構えていた
「ただの人だったらどうするんだ?」
まだ疑っている
「土下座、よし、これでいいか?」
「お前だけ、な」
いいさ。じきにお前も考えるだろう。
このときの俺が正解だったと。
「まかせとけ。相棒」
「いつから相棒だ。この野郎っ!」
いがいと鑑は楽しんでいるようだが
そんな場合じゃないのだとおもった
「はぁッ!」
"力"を使う鑑。おれも
「・・・ッ!・・・」
ドアを開けたときに奇襲するつもりだ、
水をまた浮かべている。
行くときだ、
「はっ!」
掛け声ともにドアを勢いよく開く。
ドアの向こうでは驚いた様子は無かった。
++

##
なっ!?
いきなり何をするんだ!?

・・・おちつけ。
ただの餓鬼だ、
動揺を見せるな。
##

**
「んなっ!?」
ドアを開け放ったのは彼らだろう。
《どういったわけだ??》
「わかりません。しかし彼らは"襲撃者"に気付いているようです」
全く。彼らはなぜ知ることが出来たのだろう。
鑑という少年はたしか"肉体強化(エンチャント)"を得意とし
"状況観察(リサーチ)"系は苦手のはず・・・
だとしたら・・・
「彼の仕業でしょうか」
《有り得ないがそうとしか考えられないな》
これは・・・
どうなるのでしょう?
**

++
「いっけええええぇぇぇ!!!!」
掛け声に合わせ水を飛ばす。
その途中でまた"力"をかけ・・・
「んなっ!!!!」
驚いて出てきたのは潜んでいた奴だった
「ク・・・ッ!」
予想外に年をくっている
っていうかおっさんの典型例みたいな奴だった。
彼もまた"力"を使い瞬時にその場を離れた
元いた場所には氷の矢が突き刺さっていた。
「いけッ!鑑ッ!」
相手は芝生にしゃがみこんでいる。
「おうっ!よ!」
加速した鑑は奴へと一直線に蹴りを放った
ふと俺の目線に見たことのある女性が止まった。
「・・・あんたあの時の!」
声に反応したのは奴だった
間一髪鑑のけりをかわしていた。
「・・・他にもいたのか、後ろとは驚いたな」
そして声をかけられた彼女は
「お久しぶりです。
 私(わたくし)"唯可"と申します。
 以後、お見知り置きをっ」
そういうと"唯可"さんは
奴の真下を指差した
そして
「はぁッ!」
指を振り上げると
奴の足元から鉄の檻が・・・
「温いッ!」
奴はまたも瞬間移動。こんどは・・・
「よぅ。ボウズ。やってくれたな?」
俺の目の前だ。
「はっ。冗談だろ?これからだぜッ!」
氷を飛ばす。
が、横に跳んでかわされる、
少し掠った。頬から血が滲む。
よし、次を・・・って水が無い・・・
まじかよ!?
「ふんっ!」
俺の体が宙に浮いた。
ふわりと、何の抵抗もなく。
「んなっ!」
予想外であわてる俺に
「よくもやってくれたな!吹っ飛べッ!」
奴はやすやすと俺を吹き飛ばした
「うわぁぁッ!」
俺はそのまま吹っ飛ばされた。
++

**
まずいですね。
《彼を守りながら、は無理か?》
「"力"がありすぎます。」
《仕方ない。自分優先でいいぞ》
「はい。」
私(わたくし)の不甲斐なさにイライラとしますね。
全く。どうしてくれましょうか
ッと・・・
**

##
「はっ!何よそ見してんだッ!」
私は彼女をあいつと同じように浮かべた
「くっ・・・油断しました・・・」
ざまぁない、さすが"石川"の助手だ
「吹き飛んどけ」
そういうと"力"を込めた
「あああぁぁっ!」
彼女もまた、抵抗できずに
あいつと同じ方向へと吹き飛ばされるのだった。
そして。
「次はお前だな。
 はっ!」
今度は何の予備動作もなく
残っていた少年を吹き飛ばした。
##

       

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Neetsha