中学三年生にもなれば当然恋をしたことがあるやつが大半だ。そう今の目の前にいる西本武も恋をしている。
「なぁ~祐樹は好きな人とかできる可能性ないのか?」
俺は一瞬の間も置かずに答える。
「お前ふざけてるのか?この俺佐藤祐樹はしない!恋など絶対にしない!」
「なんでそう言い切れるかな~?前から言ってたけど、本当にメリットが無いと思ってるのか?」
武とは小学生からの付き合いだからそろそろ学んでも良いのに・・・・俺は頑固だ!一度言ったことは絶対に曲げない。
いつも自分が正しいと誇りを持って生きている。他の者とは違って決意が固いのだ。どうだ?すばらしいだろう?
「メリットなんてないよ。ムダに時間をとられるだけじゃないか?実際に今恋に悩まされ、時間を取られすぎて困っている人間が目の前にいるのは気のせいか?」
「確かにそうだけど・・・・・祐樹って本当に嫌なやつだな。そんなこと言ってお前が恋の悩みを相談しに来たら蹴り飛ばすからな。」
「お前のバカ力で蹴ったらお前が少年院に行く羽目になるぞ。何度も言うが、神に誓って無いな。あんな女というウザイ生き物に興味が出る理由もわからない。」
大きな声で言ったもんだから周りの目がこちらに集まってきた。
「お前声デカ過ぎ!黙れ!」
武に口を押さえられ、黙り込んだ。
「お前はもう少し回りを気にしろ!今は昼休みだ。みんなの目があるだろ?お前俺より頭いいんだからわかるだろ?」
「それとコレとは別だ。俺がどうでもいいと思っているだけの話だ。」
本当に呆れる。自分以外のものがどう思おうが知ったことではない。それによって自分が被害を被るというなら話は別だが、そういうわけでもない。
それならいいではないか!自己中で!
自己中とは一見悪い言葉のように思えるが、実際はそうでもない。『自分のとこを一番大切にできる』そういう意味も含まれているのだ。
なぜみなはそんな簡単な事にも気づかないのだろうか?俺の話に少しでも耳を傾ければ理解できるのに。
しかし、そうなれば俺も現代版孔子状態だな。悪くないな・・・
みなが俺を慕い、ひれ伏す。それを壇上から見下ろす俺。そして俺に助けを請うて来る。俺の助けの言葉「金は命より重い・・・!」この一言により、みな感涙極まるのだった・・・・・・
そんな妄想を脳内で繰り広げながら始業のチャイムを聞いた。