Neetel Inside 文芸新都
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新・拾遺集
人生を変えた除霊

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昔々あるところに籾山哲男という男がいた。
男は毎日パソコンの向こうの相手との交流にいそしみ、
全く労働する事はなく、とにかくぐうたらな生活を続けていた。

ある日の事であった、男は突然コーラが飲みたくなった。
「あ~オラむちゃくちゃコーラのみてえだ~。でもここは田舎じゃけえ、
 自販機もコンビニもねえ。隣町さ出かけるしかねえっぺ。」
そこで男は山二つ分向こうにあるコンビニへコーラを買うために出かけた。

山を一つ越えた時、男は自宅に愛用のSH901iSを忘れた事に気づいた。
急いで帰ると年老いた母が不敵な笑みを浮かべ、察したように携帯を差し出した。
携帯はダイヤルロックが解かれ電池残量が1になっていた。
母が暗黒のの受信送信フォルダを見た事は火にも明らかだった。
「母ちゃん、もしかしておらの電子手紙さみたべか?」
「んだ、みてねえ。母ちゃん携帯の使い方さまっだくわがんねえもん。」
「だどもおら、出かける前番号施錠だけはしていっただ。おがしいんべ。」
男は適度な力をこめて母を蹴った。そしてまた出かけた。男は内弁慶であった。

2つめの山も中盤に差し掛かった時、男は不思議な人に出会った。
その人はタートルネックのシャツを顔半分くらいまで被っていた。
「こんな人生、嫌でしょ?」
「ん?」
「こんな人生嫌でしょ?」
「なんだおめーは、突然そげな事言われでも、おらなんのこっちゃさっぱりわがんね。」
「私は上野と言います。今あなたを霊視させて頂きましたが、
 あなたはホーケイ霊に取り浸かれていらっしゃる。早急な除霊が必要です。」
「ホーケイ霊・・・?よぐわがんねけんど、その除霊とか言うのやっでぐれんのかえ?」
「はい、キャッシュで157,500頂ければ除霊いたします。」
男は幸いにも母から奪った20万があったので、それを支払った。
上野氏は20万を受け取りそのままホーケイシュジュツと呼ばれる除霊法に取り掛かった。

「籾山さん、籾山さん、除霊は終わりましたよ。」
「・・・ハッ、もうおわっだのが。オラぐっすり寝てただ。」
「成功して、事後処置も完璧ですので、もう大丈夫です。」
「そがー、ありがどな。まだどごがであったらよろしくなー。」

人生が完全に昔と変わった。
男は上野氏と分かれまたコンビニへ向かったのだが、
コンビニでスカウトされ、芸能界デビューを約束された。
そして帰ってくるまでに約30名の女に逆ナンパされ契りを結んだ。
さらに母親に厚く孝行をするようになり、パソコンとも決別した。

男の家の隣の重村光弘という男はこれを不服に思い、自分も上野氏に会いに行った。
しかし重村はそこで上野氏ではない除霊料金の安い除霊師に出会い、
20000で除霊してもらったが、セイカンタイセツジョと呼ばれる除霊中のミスをなされ、
その後完全に没落した人生を送り除霊の3年後に自殺した。

人生に成功し年収5億タレントに成長した男はこう語っている。
「男が100人いたら65人はホーケイ霊に取り付かれています。
 そのうち70%、45人の男性は結局除霊を行っています。
 取り付かれたまま一生を送る人は100人中わずか20人にすぎないのです。
 もしあなたが取りつかれたのままだとすると、その20人の中に入っているわけです。
 上野さんは昼夜を問わず過去20万人以上の除霊を実施してきました。
 上野さんはが親身になってまじめに除霊してくれます。」

       

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