Neetel Inside 文芸新都
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銅鐸の時間
プロローグ

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プロローグ

なぜ僕に仕事ができたか、今でも解明出来ていない不可思議な事のひとつだ。
僕の仕事場は地下にある、窓からは小学生が書いたような青空と太陽と虹が、季節も時間も問わずに飾られている。誰が書いた物かはしらないが、僕がここに来た時からあったので、以前にこの部屋を使っていた人の趣味だろう。

僕が今回の事件を記録するに当たって、まずもって人に読ませる為の文章を書く機会に今までそれほど恵まれておらず、どういった形で記述するべきかは手探りであると言う事をいい訳風味で書いておこう。

とりあえずは『事件』としておこう。

まずは始点、この話が始まったのは『彼女』が現れてからなのは間違いないだろう、そもそもそれ以前の僕に物語が始まる要素は一つとしてなかったはずだ。

薄暗い地下の研究室で、何も選ばず何も求めないから何も無い、登場人物表に名前も載らないような僕だったはずが。

突然現れた『彼女』は

本物の青空と

ハリボテのヒーローと

愛すべき悪役と

血生臭い惨劇と

避けては通れない選択をまとめて用意して

僕にいつもの調子で質問をするんだ。

「ねぇ、君は正義と悪どっちが正しいと思う?」

「その質問に答えるには、『正義』と『悪』と『正しい』と『君』の定義を教えて下さい」

「じゃあさ、正義と悪どっちがカッコイイと思う?」

「僕のカッコイイと言う評価が、どれ位世界に影響を及ぼすのかが未知数です」

「うーんと、正義と悪どっちが私に似合うと思う?」

「貴方にはどちらも不十分です」

「じゃあね。じゃあね・・・」

これは多分彼女の物語だ、彼女の為の物語だ、だからせめて精一杯のユーモアと特殊効果と更にVFXとかも駆使したりして、僕のできうる限りの演出で、今回の『事件』を残したいと思う。

       

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