DAYS
4話「強まる絆」
目を開けると、そこには見慣れた景色があった。
俺の部屋の白い天井、それをベッドから見上げる形の、一日の始まりを告げる景色。
「・・・なんだったんだ?」
昨日の記憶は、ほとんどが鮮明に残っている。
華菜の病気や、楼牙の転生。
あと、夕焼けやその後の剣との一悶着。
ただ、ひとつだけ覚えていないことがある。
「あいつ・・・誰だったっけ」
俺の横にいつもいた女。
やさしい笑顔を、涙を、俺に向けてくれた女。
「ん・・・誰だ・・・アイツは」
思い出のインベントリには多数書き込まれていたヤツのはずだった。
しかし、俺はそいつの顔・名前・姿まですべて覚えていなかった。
唯一、「想い出」だけを残して、思い出せない。
「誰か・・・知ってるかな」
俺は、身支度を済ませ、親のいない家から学校までの長い道のりを
着々と攻略していった。
「おーはよっ、恵一!」
あぁ、おはよう・・・って、何してるんだお前。
「おはよう、恵一」
そこには、俺たちと同じ制服を着た楼牙の姿があった。
「あぁ、今日から転校生になるんだよね、楼牙ちゃん?」
いやいや、なんかおかしくないかそれはw
「正しくは、この学校に転入する、だな」
そうそう、それだ。
ところで、だ。
「何?」「何だ?」
お前ら、俺の横にいた女を知らないか?
「ん・・・恵一の横に女の子なんていたっけ?私知らなーい、楼牙はどう?」
「悪いが、私は期待に添えないな」
ほら、俺の横にいた、楼牙を助けたヤツだよ!
「私は、昨日まで風邪で寝込んでたけど?それが何か関係あるのかな?」
「私の家には恵一以外来なかったよー?」
・・・なんてこった。
この2人はアイツの存在さえ知らないときたもんだ。
いったい、何なんだアイツは・・・?
「ったく・・・誰も覚えていない?どういうことだ・・・」
そんなことを言う自分さえも覚えていない。
歯痒さを感じながらも家路につく俺。
いつもの帰り道。
いつも隣にいたヤツは今はいない。
忘れているハズ、なのに感じる違和感。
なんなんだ?これは・・・。
「・・・ん?」
ふと空を見ると、何か大きな光がそこにあった。
「ん・・・ぇ?」
その光はとても大きな光となって、この町を包み込んだ。
『ぎゃぁぁぁ!』『わぁぁああ!』などの叫び声があちこちから聞こえる。
「何なんだありゃあ!?」
人が、バタバタと倒れていく。
俺はその中を、光に向かって走っていく。
そんな時だ。
俺の頭にひとつの疑問が浮かんだ。
「なんで、俺だけ平気なんだ?」
一直線に走る。
走った先は、
山の頂上の一本杉。
俺は、なんとなく走ってきた。
何か無いかと思い、ここへ来た。
「・・・ああ!?」
何かあった。
そこには、この世界ではいまだ存在し得ないような生物がいた。
「うぇっ・・・気持ち悪い」
その生物のスペックをあげてみよう。
体長は1mくらいで、
たぶん、地面のヘコみ具合から考えて5tは軽く超える重量だろう。
まるで芋虫のような外見で、
芋虫とは違う、手も足もあった。
ただ、その手と足の量が尋常じゃない。
ムカデとかゴカイとか、そんなの比じゃない。
体中が手足で埋め尽くされているのだ。
隙間無し、体毛のように生えている手足からは、
時々黄色い汁が噴射されていた。
「な、なんなんだよぉぉ!」
俺は、その場から逃げようとした。
振り返った、その瞬間、
目の前には光が見えた。
「こいつ・・・か?」
たぶん、・・・多分、こいつがあの光を放っているんだろう。
いや、こいつ、じゃない。表すなら、コレだろう。
うん、コレを始末すれば、あの光は消えるはずだ。
どうやって始末する・・・?
「こいつ、動かないのか・・・?」
何分間か凝視してみても、ほとんど動く気配はない。
黄色の汁はいまだ噴出されているが。
「何か・・・何かないか?」
『ムダだよ。人間などにそいつは破壊できない』
背後から声が聞こえた。
『振り向くな!振り向けば、お前は死ぬ』
俺は、言われるがままに硬直していた。
『初めまして、主人君。僕の名前は―――
俺の部屋の白い天井、それをベッドから見上げる形の、一日の始まりを告げる景色。
「・・・なんだったんだ?」
昨日の記憶は、ほとんどが鮮明に残っている。
華菜の病気や、楼牙の転生。
あと、夕焼けやその後の剣との一悶着。
ただ、ひとつだけ覚えていないことがある。
「あいつ・・・誰だったっけ」
俺の横にいつもいた女。
やさしい笑顔を、涙を、俺に向けてくれた女。
「ん・・・誰だ・・・アイツは」
思い出のインベントリには多数書き込まれていたヤツのはずだった。
しかし、俺はそいつの顔・名前・姿まですべて覚えていなかった。
唯一、「想い出」だけを残して、思い出せない。
「誰か・・・知ってるかな」
俺は、身支度を済ませ、親のいない家から学校までの長い道のりを
着々と攻略していった。
「おーはよっ、恵一!」
あぁ、おはよう・・・って、何してるんだお前。
「おはよう、恵一」
そこには、俺たちと同じ制服を着た楼牙の姿があった。
「あぁ、今日から転校生になるんだよね、楼牙ちゃん?」
いやいや、なんかおかしくないかそれはw
「正しくは、この学校に転入する、だな」
そうそう、それだ。
ところで、だ。
「何?」「何だ?」
お前ら、俺の横にいた女を知らないか?
「ん・・・恵一の横に女の子なんていたっけ?私知らなーい、楼牙はどう?」
「悪いが、私は期待に添えないな」
ほら、俺の横にいた、楼牙を助けたヤツだよ!
「私は、昨日まで風邪で寝込んでたけど?それが何か関係あるのかな?」
「私の家には恵一以外来なかったよー?」
・・・なんてこった。
この2人はアイツの存在さえ知らないときたもんだ。
いったい、何なんだアイツは・・・?
「ったく・・・誰も覚えていない?どういうことだ・・・」
そんなことを言う自分さえも覚えていない。
歯痒さを感じながらも家路につく俺。
いつもの帰り道。
いつも隣にいたヤツは今はいない。
忘れているハズ、なのに感じる違和感。
なんなんだ?これは・・・。
「・・・ん?」
ふと空を見ると、何か大きな光がそこにあった。
「ん・・・ぇ?」
その光はとても大きな光となって、この町を包み込んだ。
『ぎゃぁぁぁ!』『わぁぁああ!』などの叫び声があちこちから聞こえる。
「何なんだありゃあ!?」
人が、バタバタと倒れていく。
俺はその中を、光に向かって走っていく。
そんな時だ。
俺の頭にひとつの疑問が浮かんだ。
「なんで、俺だけ平気なんだ?」
一直線に走る。
走った先は、
山の頂上の一本杉。
俺は、なんとなく走ってきた。
何か無いかと思い、ここへ来た。
「・・・ああ!?」
何かあった。
そこには、この世界ではいまだ存在し得ないような生物がいた。
「うぇっ・・・気持ち悪い」
その生物のスペックをあげてみよう。
体長は1mくらいで、
たぶん、地面のヘコみ具合から考えて5tは軽く超える重量だろう。
まるで芋虫のような外見で、
芋虫とは違う、手も足もあった。
ただ、その手と足の量が尋常じゃない。
ムカデとかゴカイとか、そんなの比じゃない。
体中が手足で埋め尽くされているのだ。
隙間無し、体毛のように生えている手足からは、
時々黄色い汁が噴射されていた。
「な、なんなんだよぉぉ!」
俺は、その場から逃げようとした。
振り返った、その瞬間、
目の前には光が見えた。
「こいつ・・・か?」
たぶん、・・・多分、こいつがあの光を放っているんだろう。
いや、こいつ、じゃない。表すなら、コレだろう。
うん、コレを始末すれば、あの光は消えるはずだ。
どうやって始末する・・・?
「こいつ、動かないのか・・・?」
何分間か凝視してみても、ほとんど動く気配はない。
黄色の汁はいまだ噴出されているが。
「何か・・・何かないか?」
『ムダだよ。人間などにそいつは破壊できない』
背後から声が聞こえた。
『振り向くな!振り向けば、お前は死ぬ』
俺は、言われるがままに硬直していた。
『初めまして、主人君。僕の名前は―――
―僕の名は、如月勇希』
・・・あぁ、誰だ。
『もう、振り向いていいよ』
振り返る。
振り返る直前、あの生物は跡形もなく消え去ったようだ。
少しの悪臭を残して。
「・・・お前は、誰だ」
「おーっとぉ、わかりやすい質問どうも」
おどけた様子で、両手をあげる。
ちょうど、ホールドアップの姿勢だ。
そのままの姿勢で、そいつは話す。
「そうだね、君は・・・誰だか思い出せない少女を知らないか?」
あぁ、知っているよ。
こいつが誰だか教えてくれるのか?
「あ、教えてやるけど、わかるかなぁ~?」
・・・シバくぞ?
「・・・もう喋っていい?」
あぁ、いいが。
「単刀直入に言うとね、その女の子。その子は、如月勇希」
ちょっと待て。
お前も如月勇希だったよな?
「うん、だから・・・」
同姓同名か?
「話を聞く力を身につけてほしいな」
・・・あぁ。
「なんで僕も如月か・・・」
衝撃の真実って言えばいいのか?
「如月勇希は、一人じゃない」
・・・どういう意味だ?
「簡単に言っちゃうとね、如月勇希っていうのは、ある人間を
ベースに作られたクローンなんだ。
君は、その女の子が言ったことを覚えてるかな?」
・・・。
(どうするつもりもありません。ただ、神の指示によってあなたの監視および保護を
命じられた。それだけです)
こんなことを言っていた。それが?
「なぜ、君が守られているのか、考えたことはあるかい?」
・・・ないなぁ、生憎だけど。
「それじゃ、なぜ君が守られているのか、わかるかい?」
・・・わからん。
「つまり、こういうことだよ」
2度目の衝撃の真実が語られた。
「その、ベースになった人間。それは、君のお兄さんなんだ」
・・・お前、俺の過去を知ってるのか?
「あぁ、生憎だけどね」
俺は覚えていないんだ。10年前から前の記憶がない。
「・・・僕がこれから言うことは、天界では超機密事項だから」
独り言・・・か?
「うん、そういうこと」
言ってみろ、俺の過去をな。
「君は、一人っ子だと思っていたかもしれないけど、
双子のお兄さんがいたんだ――――
恵一は、新しい事実を突きつけられた。
俺に、兄がいた?
「そう、君にはお兄さんがいた。
疑問がある?」
俺に兄貴がいたなんて話は聞いたことが無い。
「そうだよ。君の親も知らないんだ。
君が知ってるはずないじゃないか」
・・・どういうことだ?
「こういうこと。
僕らは、ベースとなる人間を探していたんだよ。
そして、人間界を巡ってようやく発見したのが、君のお母さんだ」
・・・で?
「君のお母さんのお腹の中には、君がいた。君のお兄さんもね。
双子って言ったよね?
でも、お兄さんは死に掛けていたんだよ。
君のお母さんはまだ君たちがお腹にいることを知らなかった。
だから、ちょっと拝借したのさ」
つまり、お前らは俺の兄貴を勝手に持っていった、とそういう事か?
「そう、そういうこと」
・・・てめぇっ!
俺は、かなわないと分かっていてもそいつを殴らないと気がすまなくなった。
案の定、軽く避けられて勇希マークⅡは空へと昇る。
「ははっ、君が何と言おうと、もう終わったことなんだ!
あの「裏切り者」の勇希と仲良く、余生を楽しみな!」
・・・「裏切り者」?なんのこっちゃ。
勇希マークⅡは、そのまま上空で光に包まれ、消えた。
・・・あぁ、誰だ。
『もう、振り向いていいよ』
振り返る。
振り返る直前、あの生物は跡形もなく消え去ったようだ。
少しの悪臭を残して。
「・・・お前は、誰だ」
「おーっとぉ、わかりやすい質問どうも」
おどけた様子で、両手をあげる。
ちょうど、ホールドアップの姿勢だ。
そのままの姿勢で、そいつは話す。
「そうだね、君は・・・誰だか思い出せない少女を知らないか?」
あぁ、知っているよ。
こいつが誰だか教えてくれるのか?
「あ、教えてやるけど、わかるかなぁ~?」
・・・シバくぞ?
「・・・もう喋っていい?」
あぁ、いいが。
「単刀直入に言うとね、その女の子。その子は、如月勇希」
ちょっと待て。
お前も如月勇希だったよな?
「うん、だから・・・」
同姓同名か?
「話を聞く力を身につけてほしいな」
・・・あぁ。
「なんで僕も如月か・・・」
衝撃の真実って言えばいいのか?
「如月勇希は、一人じゃない」
・・・どういう意味だ?
「簡単に言っちゃうとね、如月勇希っていうのは、ある人間を
ベースに作られたクローンなんだ。
君は、その女の子が言ったことを覚えてるかな?」
・・・。
(どうするつもりもありません。ただ、神の指示によってあなたの監視および保護を
命じられた。それだけです)
こんなことを言っていた。それが?
「なぜ、君が守られているのか、考えたことはあるかい?」
・・・ないなぁ、生憎だけど。
「それじゃ、なぜ君が守られているのか、わかるかい?」
・・・わからん。
「つまり、こういうことだよ」
2度目の衝撃の真実が語られた。
「その、ベースになった人間。それは、君のお兄さんなんだ」
・・・お前、俺の過去を知ってるのか?
「あぁ、生憎だけどね」
俺は覚えていないんだ。10年前から前の記憶がない。
「・・・僕がこれから言うことは、天界では超機密事項だから」
独り言・・・か?
「うん、そういうこと」
言ってみろ、俺の過去をな。
「君は、一人っ子だと思っていたかもしれないけど、
双子のお兄さんがいたんだ――――
恵一は、新しい事実を突きつけられた。
俺に、兄がいた?
「そう、君にはお兄さんがいた。
疑問がある?」
俺に兄貴がいたなんて話は聞いたことが無い。
「そうだよ。君の親も知らないんだ。
君が知ってるはずないじゃないか」
・・・どういうことだ?
「こういうこと。
僕らは、ベースとなる人間を探していたんだよ。
そして、人間界を巡ってようやく発見したのが、君のお母さんだ」
・・・で?
「君のお母さんのお腹の中には、君がいた。君のお兄さんもね。
双子って言ったよね?
でも、お兄さんは死に掛けていたんだよ。
君のお母さんはまだ君たちがお腹にいることを知らなかった。
だから、ちょっと拝借したのさ」
つまり、お前らは俺の兄貴を勝手に持っていった、とそういう事か?
「そう、そういうこと」
・・・てめぇっ!
俺は、かなわないと分かっていてもそいつを殴らないと気がすまなくなった。
案の定、軽く避けられて勇希マークⅡは空へと昇る。
「ははっ、君が何と言おうと、もう終わったことなんだ!
あの「裏切り者」の勇希と仲良く、余生を楽しみな!」
・・・「裏切り者」?なんのこっちゃ。
勇希マークⅡは、そのまま上空で光に包まれ、消えた。
ドサッ、と後ろで音がした。
・・・何だ?
「・・・ぅ・・・」
女の子が倒れている。
何だ、これは・・・。
何かが溢れてくる。
感情?違う、これは・・・記憶だ。
俺はこの女の子を知っている。
俺は、無意識のうちにある名前を言っていた。
「・・・勇希!」
「・・・私は・・・えっ?」
そいつは、呆然とした顔で俺を見ている。
えっ?じゃなくて、ほら、何かこうアッー!とか、そんな反応は無いの?
「ありません」
いや何で即答だよ。
「ふふっ・・・久しぶり、かな?」
いや、どうだろうな。
俺は記憶を失ってたから、分からないぜ?
「元気だった?」
勇希は、眩しいほどの笑顔を向けてくる。
「あぁ・・・元気だったさ」
俺も負けじと笑顔で返す。
返した・・・はずなのだが。
「どうしたの、顔怖いよ?」
引き攣ってるのか?俺の顔は。
俺は、無意識に勇希へともたれ掛かっていた。
「えぇ、何、ちょっと恵一?」
疲れた。
あぁ、疲れた。
「疲れた、って・・・何してたの?」
いろいろ、だ。
俺は、正直安心した。
勇希のことを「忘れていたこと」を、忘れていた。
想い出だけが残っていて、
そのほかは何も残っていなかった。
勇希、という名前すら出てこなかった。
その時俺は、「もう想い出せなくてもかまわない」と思ってた。
でも、この心から溢れ出す気持ちは何だ?
勇希を見た瞬間から、ずっと心に在る、この気持ちは?
「どうしたの?」
いや・・・なんでもない。
「ふぅん、何かあるでしょ?」
ないったらない。
「そう・・・あっ!」
勇希は空を見上げて、一声あげる。
何があった?
「ほら、あれ!」
何々、あれは・・・光?
「何か光ってるよ!」
向こうの山の頂上、一本杉。。
勇希が見上げているのは、空ではなかった。
太陽のように光る、真っ赤な光。
これは・・・覚えているぞ。
今、俺がいる山に現れた、あの怪物。
奴は金色の光を出していた。
あそこにいる怪物は、赤い光を出していた。
「あそこ、何かいる!!」
勇希は、山の上にある赤い物体を指した。
その時だ。
あれの光が出た時と同じ、人々の叫び。
「早く、どうにかしないと!」
あの時、勇希Mk2はこう言った。
『人間などにそいつは破壊できない』って。
これなら破壊できるんじゃないか?
俺は、ただ一つの可能性を見つけた。
これをやるのは久々だが、これしかない。
俺は、覚悟を決めた。
勇希!
「うん!」
俺達は、ほぼ同時に叫んだ。
『武装連結(アーマーコネクト)!!』
・・・何だ?
「・・・ぅ・・・」
女の子が倒れている。
何だ、これは・・・。
何かが溢れてくる。
感情?違う、これは・・・記憶だ。
俺はこの女の子を知っている。
俺は、無意識のうちにある名前を言っていた。
「・・・勇希!」
「・・・私は・・・えっ?」
そいつは、呆然とした顔で俺を見ている。
えっ?じゃなくて、ほら、何かこうアッー!とか、そんな反応は無いの?
「ありません」
いや何で即答だよ。
「ふふっ・・・久しぶり、かな?」
いや、どうだろうな。
俺は記憶を失ってたから、分からないぜ?
「元気だった?」
勇希は、眩しいほどの笑顔を向けてくる。
「あぁ・・・元気だったさ」
俺も負けじと笑顔で返す。
返した・・・はずなのだが。
「どうしたの、顔怖いよ?」
引き攣ってるのか?俺の顔は。
俺は、無意識に勇希へともたれ掛かっていた。
「えぇ、何、ちょっと恵一?」
疲れた。
あぁ、疲れた。
「疲れた、って・・・何してたの?」
いろいろ、だ。
俺は、正直安心した。
勇希のことを「忘れていたこと」を、忘れていた。
想い出だけが残っていて、
そのほかは何も残っていなかった。
勇希、という名前すら出てこなかった。
その時俺は、「もう想い出せなくてもかまわない」と思ってた。
でも、この心から溢れ出す気持ちは何だ?
勇希を見た瞬間から、ずっと心に在る、この気持ちは?
「どうしたの?」
いや・・・なんでもない。
「ふぅん、何かあるでしょ?」
ないったらない。
「そう・・・あっ!」
勇希は空を見上げて、一声あげる。
何があった?
「ほら、あれ!」
何々、あれは・・・光?
「何か光ってるよ!」
向こうの山の頂上、一本杉。。
勇希が見上げているのは、空ではなかった。
太陽のように光る、真っ赤な光。
これは・・・覚えているぞ。
今、俺がいる山に現れた、あの怪物。
奴は金色の光を出していた。
あそこにいる怪物は、赤い光を出していた。
「あそこ、何かいる!!」
勇希は、山の上にある赤い物体を指した。
その時だ。
あれの光が出た時と同じ、人々の叫び。
「早く、どうにかしないと!」
あの時、勇希Mk2はこう言った。
『人間などにそいつは破壊できない』って。
これなら破壊できるんじゃないか?
俺は、ただ一つの可能性を見つけた。
これをやるのは久々だが、これしかない。
俺は、覚悟を決めた。
勇希!
「うん!」
俺達は、ほぼ同時に叫んだ。
『武装連結(アーマーコネクト)!!』
久しぶりに武装連結したのはいいが、
剣か、マズいな。
「何で?」
あの光に近づくとダメージを食らう、そんな感じだろ?
接近戦用の剣じゃあモロに突っ込んで終わりじゃないか。
「ひとつだけ方法があるよ」
何だ、言ってみろ。
「大砲」
大砲だって?
「うん、砲装連結」
連結ってことは、武装連結と同じか?
「だよ」
やってみる価値はありそうだな。
俺達は、叫ぶ。
『砲装連結(キャノンズコネクト)!』
途端、剣先が4つに割れた。
その中から砲身のようなものが飛び出し、
分かれた4つの剣先はリボンのように周りを周っている。
「これって・・・遠距離砲だよね?」
いやお前が一番分かるだろ。
変身してる本人はお前だろ。
「・・・だよね」
そんな事をしてるうちに、赤い光は膨らみ街を覆っていく。
「早くしないと、みんな死んじゃうよ!」
わかってる。
ふと砲身を見ると、何やらレールのようなものが付いている。
俺は、何故か使い方が分かった。
いや、「頭に浮かんだ」。
照準・・・OK。
「いくぞっ!」
俺がトリガーを引く。
リボンのようなものの先端が光る。
と同時に、それは砲身に巻きついていく。
リボンの先端の光が昇る。
トリガー付近まで昇った時、弾は放たれた。
正確には弾じゃなく光なのだが、似た形をしているのであえて弾と呼ぼう。
目に見えないスピードで飛んでいく光は、
どうやら怪物に命中したようだ。
「命中・・・したよね?」
しかし、何も起こらなかった。
と思っていた。
数秒後、辺りの空気が着弾点に凝縮されていくような、不可解な突風が巻き起こった。
あまりに強く、傍にある木を持っていないと飛ばされそうな程。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
飛ぶ飛ぶって。
その後、突風が止んだと同時に、
とてつもなく大きな爆発が起きた。
爆発の後、俺達が目を覚ました時には、そこはいつもと同じ風景。
元に戻っていた。
怪物だけが消し飛び、他はまったく異常無し。
空には星が浮かび、月が昇り始めていた。
「・・・いってぇっ、勇希、大丈夫か?」
「いや気絶したの恵一だけだし」
今、何時だ?
「8時過ぎ、かなー」
そこで俺は気づいた。
草の上に寝ているはずなのに、枕が置いてあるような感じがする。
膝枕?
俺・ザ・赤面。
「うわぁっ!?」
俺・ザ・飛び退く。
「お前、いつの間に膝枕とか、っていうかやめてくれっ!」
「何で?」
首をかしげ、ポカーンという表現が当てはまるような表情をしている。
本当に何も思ってないのか、こいつ。
「いや・・・そのー」
俺・ザ・赤面2。
「別にいいじゃーん、恵ちゃんは、膝枕嫌い?」
「いや嫌いとかそういうのじゃなくていろいろと問題あったりなかったりって
俺何言ってるんだっていうかとにかくやめてくれっ、恥ずかしくないのかっぁ!」
その後予想外の返答。
「別にー、私は恵一好きだよ?」
返答の仕方として間違ってる。そこは恥ずかしくないか答えるところだと思うんだが。
・・・俺は、勇希に何も言えなかった。
君達はどうだろう、目の前にいるなかなか可愛い女に、突然何の気無しに「好き」と言われたら。
固まるだろう。
「・・・そうか、帰ろうか」
俺には、こう言うのが精一杯さ。
文句なら他をあたってくれ。
「うん、お腹すいたー」
「それじゃ、走って帰るか?腹減らすとメシが美味くなるぞー」
「うん!」
俺達は、俺の提案した通り走って帰った。
いつからか知らないが、
俺の手を勇希が掴んでいた。
俺も、躊躇いもなく掴み返していた。
剣か、マズいな。
「何で?」
あの光に近づくとダメージを食らう、そんな感じだろ?
接近戦用の剣じゃあモロに突っ込んで終わりじゃないか。
「ひとつだけ方法があるよ」
何だ、言ってみろ。
「大砲」
大砲だって?
「うん、砲装連結」
連結ってことは、武装連結と同じか?
「だよ」
やってみる価値はありそうだな。
俺達は、叫ぶ。
『砲装連結(キャノンズコネクト)!』
途端、剣先が4つに割れた。
その中から砲身のようなものが飛び出し、
分かれた4つの剣先はリボンのように周りを周っている。
「これって・・・遠距離砲だよね?」
いやお前が一番分かるだろ。
変身してる本人はお前だろ。
「・・・だよね」
そんな事をしてるうちに、赤い光は膨らみ街を覆っていく。
「早くしないと、みんな死んじゃうよ!」
わかってる。
ふと砲身を見ると、何やらレールのようなものが付いている。
俺は、何故か使い方が分かった。
いや、「頭に浮かんだ」。
照準・・・OK。
「いくぞっ!」
俺がトリガーを引く。
リボンのようなものの先端が光る。
と同時に、それは砲身に巻きついていく。
リボンの先端の光が昇る。
トリガー付近まで昇った時、弾は放たれた。
正確には弾じゃなく光なのだが、似た形をしているのであえて弾と呼ぼう。
目に見えないスピードで飛んでいく光は、
どうやら怪物に命中したようだ。
「命中・・・したよね?」
しかし、何も起こらなかった。
と思っていた。
数秒後、辺りの空気が着弾点に凝縮されていくような、不可解な突風が巻き起こった。
あまりに強く、傍にある木を持っていないと飛ばされそうな程。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
飛ぶ飛ぶって。
その後、突風が止んだと同時に、
とてつもなく大きな爆発が起きた。
爆発の後、俺達が目を覚ました時には、そこはいつもと同じ風景。
元に戻っていた。
怪物だけが消し飛び、他はまったく異常無し。
空には星が浮かび、月が昇り始めていた。
「・・・いってぇっ、勇希、大丈夫か?」
「いや気絶したの恵一だけだし」
今、何時だ?
「8時過ぎ、かなー」
そこで俺は気づいた。
草の上に寝ているはずなのに、枕が置いてあるような感じがする。
膝枕?
俺・ザ・赤面。
「うわぁっ!?」
俺・ザ・飛び退く。
「お前、いつの間に膝枕とか、っていうかやめてくれっ!」
「何で?」
首をかしげ、ポカーンという表現が当てはまるような表情をしている。
本当に何も思ってないのか、こいつ。
「いや・・・そのー」
俺・ザ・赤面2。
「別にいいじゃーん、恵ちゃんは、膝枕嫌い?」
「いや嫌いとかそういうのじゃなくていろいろと問題あったりなかったりって
俺何言ってるんだっていうかとにかくやめてくれっ、恥ずかしくないのかっぁ!」
その後予想外の返答。
「別にー、私は恵一好きだよ?」
返答の仕方として間違ってる。そこは恥ずかしくないか答えるところだと思うんだが。
・・・俺は、勇希に何も言えなかった。
君達はどうだろう、目の前にいるなかなか可愛い女に、突然何の気無しに「好き」と言われたら。
固まるだろう。
「・・・そうか、帰ろうか」
俺には、こう言うのが精一杯さ。
文句なら他をあたってくれ。
「うん、お腹すいたー」
「それじゃ、走って帰るか?腹減らすとメシが美味くなるぞー」
「うん!」
俺達は、俺の提案した通り走って帰った。
いつからか知らないが、
俺の手を勇希が掴んでいた。
俺も、躊躇いもなく掴み返していた。