Neetel Inside ニートノベル
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DAYS
間話「それぞれの思い」

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――――第二客室内

「まぁぁ~だぁぁ~かぁ~なっ?」
黒いローブを羽織った四人組の中の一人が、楽しそうに呟く。
「いや、まだだろう…あと30分は待たないとな」
横にいた一人が、冷静に返答する。
彼らは、その時を待ち続ける。一人は楽しみに、一人は悲しそうに、一人は野望を眼に秘めて、
そしてもう一人は――――――、
「……にひっ」
快感に身を震わせながら。




――――第五客室内

「彼らの動きは掴めましたか?」
「いえ、それがまだ…」
「早くしなさい。大変な事になるわよ」
老夫婦と、ガードの一人が対話している。
「全力を尽くして調べていますので…もう少々お待ちを」
「わかりました。ニルグ、頑張ってくださいね」
男の方は優しそうな笑みを浮かべ、ガードを励ます。
老夫婦はあるモノを求めてこの列車に乗り込んだ。
――――――――貨物室の中に、目的の品はある。




――――車上
「んぁ?なんだこれ?」
少年の中の一人が、列車の屋根で不思議なものを見つけた。
「うわっ、なんか熱いよこれー」
もう一人が駆け寄っていき、それを奪い取ってまじまじと見つめる。
「…爆弾?」
もう一人は、静かに呟く。
「んなわけねぇだろ!」
その横の一人が、頭をはたく。
「ほらほら、みんな黙って。私達は一応無賃乗車してんですよ」
もう一人は全員を纏め上げようとしている。
「……」
もう一人は口を閉ざし、全員の動きを確認する。
「あーっ!お前ら自分勝手に動くな!!」
リーダー格の一人が、叫ぶ。
「点呼!ペッツ!」「はい!」「ジーン!」「あーい」「キャロ!」「…うん」
「バルゴ!」「おう!」「アイリス!」「はいっ」「ミリア!」「……(コクッ」
「よーっし、行くぞ!」
彼らは屋根の上を真っ直ぐに、最後尾の貨物車両へと一直線に進む。



――――貨物車両
「っ…!ぜぇ…っ…!…ふぅ」
そこには、ダリアと…原住民らしき服装をした男達がいた。
「オレサマ、ミンナ、マルカジリ」
その言葉だけを発しながら、ただただ貨物車両に何かを仕掛けている。
ダリアは、今手を出すと危険だと悟ったのか、そのまま前の車両へと飛び移っていく。



――――食堂
「っはー、食った食った!」
晃が、フィアの前に並んだ皿の山を見て一言、
「…バカかあんたは」
今ここには、晃・フィア・ロート・エルナ・俺の5人がいる。
もちろん、その他にもチラホラと人はいるのだが…ほとんどが従業員のようだ。
ふ、とロートの方を見ると、口の端を持ち上げてニヤッと笑い、こう言った。
「今夜は楽しくなりそうだな」
エロい意味で!?などと考えてみたが、ちょっと話した感じではこの人は草食だ。
きっとエルナがベタ惚れなんだろう。
「だねぇ…あ、そろそろ来るかも?」
何が来るのかと考えた。

その時だった。



ド    ォ    ン



突然の爆発音と共に、列車が揺れる。


――第二客室内
「っっっしゃ、ショータイムの始まりだァ!」

――第五客室内
「…ッ!?始まってしまったのか!」

――車上
「うわうわ…あれやっぱ爆弾だったじゃん!」
「うるさい、さっさと行くぞ!」

――貨物車両前連結部
「!?」

――食堂
「この列車はいわく付きでな。ほぼ確実に、こういう事件が起こるんだよ」
ロートはあくまで冷静に、だがエルナをしっかりと抱きかかえながら言う。
こういう事件とかで片付けてもいいんだろうか…。




彼らの「愉しい時間」は始まったばかりだった――――――
    ショ ー タ イ ム

       

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