Neetel Inside ニートノベル
表紙

DAYS
7話「長旅の愉しみ方」

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「…ッ!?なんだ!?」
背後からの爆発音と共に、食堂車が揺れる。
見ると、屋根に大きな穴が空いている。
そこから、大勢の人間とも魔物ともつかないような生き物が入ってきた。
「テメェラ、ゼンイン、マルカジリ…ッ!」
と同時に、背後の扉が蹴破られ、黒いローブを被った連中が入ってきた。
「手ぇ上げて伏せろァッ!ヒャハァ!」
と同時に、前方の扉が蹴破られ、色々な服装をした少年達が入ってきた。
「テメェら、全員動くなぁ!」
―――――直後、戦いの火蓋が切って落とされた。
原住民のような生き物は、槍や火薬を武器に使い、
黒ローブ達は魔法のようなものを武器にし、
少年達は弓や剣や魔法を個々勝手に使っている。
たちまち食堂車内は黒煙と破片に包まれた。しかし、これほどの弾幕が張られても
怪我人がいないことが奇跡のようだ。
雷が空を裂き、炎が撒き散らされ、それを冷気が凍てつかせる。
その中を斬撃が飛び、矢が放たれ、火薬が炸裂する。
俺達は、屋根に空いた穴から逃げた。

連結部から下り、客室へ向かう間も破裂音が鳴り止まない。
と、その時、
「…ロート!?」
横を、ロートが走り抜けていった。
そっちは食堂車だ!戦いに巻き込まれるぞ!
そう叫ぼうと思っても、もう遅かった。

いや、厳密には遅くはなかった。
なぜなら…
「ッ!」
ロートが「腕に装着した」大剣が、食堂車の上半分を消し飛ばしていたからだ。
それは、白く輝く、ロートの背丈より少し大きく、真っ直ぐな大剣だった。
斬られた食堂車からは、怒号が飛び交う。
どうやら、戦いの邪魔をしたロートへの文句が飛んでいるらしい。が、
そんな事は気にせず俺達にロートは話をする。
「改めて自己紹介しようか。俺は、人間のロート」
〈私は、天使のエルナ!〉
「俺達も、お前らと同じようにこっちの世界に飛ばされてきたんだよ」
俺達の驚きが最高潮直前に達する。
まさか、この二人も俺達と同じ、「人間」と「天使」だったなんて。
唖然ってのは、今の俺達のことなんだろうな。
…?気になる。
それじゃ、この二人はどこからどうやって飛んできたんだろうか?
「俺達も、オマエと同じ学校の文芸部だったんだよ」
〈それが、四年前にこっちに飛ばされてねー。おかげでこっちに馴染んじゃった〉
「そっちのアルウッドとフィア、んでメリダとミナモ…あとダリアだっけか?
 奴らも、文芸部の一員だったのさ。こっちの世界に飛ばされると、年を取らないんだ。
 それが俺らが出会う目印になってるんだよ」
〈で、私達が海岸で遊んでるとね…これが飛んできたんだ〉
大剣の柄から吐き出されたのは、俺のところに飛んできたものと一緒の矢だった。
「で、ベヒーモだっけ?を倒せって手紙がくくりつけられてあってさ。俺らが調べたところに
 よると、そいつはこの列車の到着駅のマゼンダがある…フォールド大陸にいるのさ」
〈で、私達はこの列車に乗ったってワケ。アンダスタン?〉
色々と驚かされる人達だ。でも、人間と天使ってのは信じざるをえないわけだが。
ロートの大剣は、多分…というか確実に、エルナだろう…。
「ものは相談なんだが…恵一、晃。コネクトしてもらえないか?」
〈君達のパワーを知りたいんだー〉
怪しい!やっぱこの人達怪しいよ!
ポン、と肩に手を置かれ、勇希が現れた。
「――武装連結」
いつも通り、俺の腕に桜色の大剣が装着された。だが、一つ違うことがあった。
勇希は、大剣じゃなかった。
「へぇ…なかなか息が合ってるじゃないか。そんな見事な刀を出せるなんて」
これは、刀だったみたいだ。まぁ、ちょっと大剣にしては細いなーって思ってたけど…。
などと話してるうちに、華菜と晃も連結を済ませていた。華菜も、お前どっから出てきたんだ。
〈こっちは堕天使の嬢ちゃんだねぇー、いいじゃんいいじゃん。パワーのありそうな鎌じゃん〉
俺たちは連結を解いた後、一つ質問をした。
「あの…他のみんなの種族は何だ?」
ウッドは、違う時空から飛んできたって言っていた。だがこの人達は同じ場所から飛んできたって
言っていた。どういう事だ?
「うーん…どうやら天使か悪魔の集まりらしいんだが、詳しいことは分からん」
人間じゃないのか。魔法やら術やらを使えることにも納得できたよ。

などと会話をしているうちに、黒ローブと少年達、原住民の戦いは佳境だった。
少年達は傷つき、残るはリーダー格の一人。残りはどうやら自分の客室に戻ったようだ。
黒ローブは全員いなくなっている。原住民は、
こちらもリーダー格の一人だけだ。
「テメェモ…マルカジリダァッ!」
原住民が、槍を真っ直ぐに突き出す。それを手に持っていたナイフで受け止めた少年は、
続け様に槍に斬撃を当て、バラバラにする。ナイフからは閃光が放たれている。
「へぇ…雷で強化してるよ、あのナイフ」
ロートが、関心を持った。
原住民が火薬を取り出すと同時に、少年はナイフを投げ、次のナイフを後ろから取り出していた。
火薬を前方に投げ、ナイフを牽制し、雷のガードと反応し合って炸裂する。
原住民は火薬とナイフが反応すると分かり、体中から「あり得ない量の」火薬を取り出した。
それを周囲にばら撒き、
少年はその中を的確に走りぬけ、
原住民が新しく取り出した槍と、
少年のナイフが
交差する。
そして、
原住民の
少年の
喉笛に
刃が
刺さろうと
した
その時。

「はーいちょっと待ってください。何やってるんですか?」
俺達が乗車する時に見た、カタギではなさそうな老人が、
指二本ずつで二人の刃を止めていた。
しかも、とても軽く、穏やかな顔をして、なおかつ目で威圧しながら。
「ロベルディ、何をなさっているのです?」
その後ろから、紫の淑女が登場する。
「ごめんね、マリア。ちょっと騒がしかったもので、静かにするように言っていたんですよ」
ロベルディというらしい老人は、妻らしき婦人へと穏やかな台詞で返す。
その後、俺たちの横から黒服が数人抜けていき、
「ちょっとボスー!無茶しないでくださいよー!!」
その四人は、息を切らせながらロベルディに話しかける。
「あぁ、済まなかったね、皆。早速で悪いけど、ペッチョとニルグ、この二人を私達の部屋へ。
 リオとニースは黒ローブのボスを連れてきて」
「「「「はい!」」」」
女二人が、向こう側に走っていき、男二人は先程まで戦っていた二人を連れて行く。
「さて…お兄さん方?」
こちらを品定めするような目で見、
「はじめまして、ロベルディ=アースです。こっちは妻のマリア=アース。
 さっきの黒服は私の護衛で、順にペッチョ・リオ・ニース・ニルグです」
一人ひとり指をさしながら紹介された。
「貴方達も、私の部屋へ来ませんか?」

     

その後、ロベルディの部屋に招かれて俺達が今日知った事。
まず、この列車に乗っている人物は全員異世界からの参入者であるということ。
このロベルディも、俺達とは違う世界から飛んできたようだ。そしてロベルディの仲間達も…。
黒ローブは、敵という認識で合っているようだ。明らかに怪しかったからな。
で、俺達はグループ毎に違う世界から飛んできた…。
少年達は?
「あァ?んだよゴルァ!?」
怖くない。ちぃーっとも怖くない。どう見ても小学生だもの。
なんだかうるさくなりそうだな、と思ったその時、
「あだだだだ!いたいいたいいたい!!」
その頭をロベルディが掴み、そのまま「持ち上げた」。
「君の名は?」
「あたた、答えるから放せオッサン!」
パッ
「いだっ!…急に放すな!」
尻餅をついたり、こういうところはただの子供にしか見えないんだけどなぁ…。
「…ナナホシ。ナナホシ=レイディ」
男の子なのにレディとはこれいかに。
「違う!天道虫だ!」
レイディーバグ、か。
「あと、君の仲間の名前もね。味方は多いほうがいいだろう?」
…このオッサン、味方を増やす気あるんだろうか…。
「ナナホシー!大丈夫かー!」
バン、と大きく扉が開き、男女6人が乗り込んでくる。
「あぁ、うん、大丈夫だ。このオッサンは味方らしいぜ」
「え、味方?」
「そーんなわきゃねぇだろ」
「…ワナ?」
「失礼なこと言わないの、みんな」
「…」
一人を除いて、騒がしい奴らだ…。
「君達、オッサンとは失敬な。私にはちゃんとロベルディ=アースという名があr」
「オッサンなんだからいいじゃない。私はオネエサンだけどね」
いや、十分オバチャンだよ…とは言えなかった。
「ゥホン。…えー、君達、名前は?」
「ペッツ=グラッパ!」
「ジーン=マンティですぅー」
「…キャロ=インセクトよ」
「バルゴ=バターフだ!」
「アイリス=チカダです」
「……」
「あ、こいつはミリア=モスです」
順番にハキハキと自己紹介する少年少女。年は同じくらいなんだろうか。
こうやって見ると、リーダーらしいナナホシが一番年下に見えるが…。
「失礼な!こう見えても16歳だよ!」
同い年だったのかナナホシ。
「それはそうと、君達の名前は?」
ロベルディがふと後ろを向くと、一人だったはずの原住民が三人になっていた。
それに驚く様子もなく…まず、三人になったのを確認していなかったのになぜ「君達」と言えたんだ?
まぁいいか。
「…ラホン=マルティーン、ダ」
「ママロル=パーゴ、ダヨ」
「キヒッ!オレサマ、ヴェルグ=マリャーナ、ッテンダ!ヨロシクナ!」
一人浮いてる。
「…で、君達はロート君とエルナ君だね。」
「ごめーとー」
ロートもエルナも、全く動揺せずに答える。
「…さて、ここからが本題ですよ。あの黒ローブの事は知っていますか?」
数人が、姿は見たことある、と頷く。
「ワタシたちの調べによると、奴らは人間じゃない。メアの作り出した、バケモンだ」
マリアが、冷静にその言葉を発した瞬間、部屋の空気が凍りついた。
誰もが、そんなことあるはずがない。というオーラをかもしだしていたが、ただ一人だけ、動揺を
隠せない様子の人物がいた。
「…どうした?フィア」

     

「どうしたもこうしたもないよ…ロメロの事覚えてないの?」
…それがどうした。
「あれも人間じゃなかったよね?そんで、黒いローブを纏ってた…。あいつらは、奴と同じだってことだよ…」
部屋の空気が変わった。
不安や絶望といった負の空気ではなく、むしろ黒ローブの連中に興味を持っている空気だった。


「なるほど、君達は黒ローブの連中と一度接触し、撃退していると」
「はい、その通りです」
俺、勇希とロベルディの三人が狭めの部屋で話している。
あの黒ローブへの対策を考えるためだ。
「しかも、そのロメロとやらは霧と氷を使っていた、と?」
「はい。あってます」
ロベルディはしばし考え、口を開いた。
「この世界には、5つの属性がある。それは人間にも植物にも、窮めて言えば地球にだって当てはまることなんだ。
ロメロとやらを黒ローブへ含めると、計5人。ロメロは水の術を使っていたのならば、他の属性が残りに当てはまると
考えてもおかしくはないな?」
勇希は、なるほどーっという目でロベルディの顔を見つめている。
俺は…属性の話が出た時点で予測はついた。
「まず火、水、雷、土、風の五属性と、物理属性といわれる炎、氷、金、地、木の話をしよう。」



属性の強弱は、大体こうなってる。

    火
  ┐   ┘
水      風
∧      V
雷  <  土

火は水に消され、水は雷を通し、雷は土を通さず、風は土を舞い上がらせ、火は風によって強まる。
ちょうど、マッチの火に水をかけるようなものだな。
次に、物理属性だ。

    炎
  ┐   ┘
氷      木
∧      V
金  <  地

炎は氷を溶かし、氷は金によって砕かれ、金は地の力で曲げられ、木は地面を割り、炎は木を燃やす。

例えば、地面属性の技…岩を出現させる、地面を割るなどの技に対しては、
木製の武器を持てば多少軽減できる、というわけだ。

さて、ロメロは水と氷の属性を持っていたわけだが…あとの4人も似たような形で持っているとすれば…

その対策が出来ると思うんだが、どうかね?」
俺達は、あっけにとられた。
いきなり属性の話をされてもわかるわけが無い。
「はい、わかりました!」
一人だけ元気のいい奴がいた。

     

俺、勇希、ナナホシはその後、先程天井を切り開いた食堂車へと向かった。
全車両の中央にあるこの車両は、おそらく戦いの中心部となる。と予測し、少しでも自分達が行動しやすいようにしておくことにしたのだ。
おそらく行動力と敏捷性から俺達が適任と判断されたのだろう。ナナホシのダッシュは、勇希のアクセラにも勝る速度だった。
「なぁ兄ちゃん、どうすればいい?」
ナナホシは、車両の中を見てそう言った。
なるほど、切り開かれた天井が中に崩れ落ち、そして原住民の火薬や矢、キラキラと光る粉などがそこら中に散乱している。
この光る粉は、ナナホシの情報によれば「魔法の欠片」、通称「エレメンタル」で、これを使用すると魔法力を増幅することができるらしい。
5属性分全てあるらしいが、その全てを一度に所持すると魔力が暴走して危険なのだそうだ。
「そうだな、とりあえずエレメンタルとやらを踏まないように、爆弾を回収してくれ。俺達はガレキを捨てる」
捨てると言っても、トンネルの中に放り出すわけではない。そんなことをしたら他の列車が走行できなくなってしまうからな。
さて、俺達はどうするか?
正解は、こうするのさ。
「いくぞ、勇希ー」
〔はーい〕
剣にあるオーラをまとわせ、ガレキを斬る。すると、そのオーラによってガレキの山が粉砕され、一箇所にまとまる。
それは、俺の頭上。
斬った側から大量の石ころ、木屑になって俺の頭上へと集まってくる。まるで元気玉のように。
「こんなもんか。それっ」
それを、ロベルディ達の乗る側、食堂車の後方の天井へと投げ、上に乗せる。
ドスン、と大きな音がして、それは安定した。
「おぉ、兄ちゃん凄いねぇ」
同い年なのに兄ちゃんはやめてくれ。
「ふぅ…とりあえずこんなもんか」
手をはたき(はたく手は無いが)、俺達はロベルディの所へと戻ろうとした。
その時、

パチ、パチ、パチ、パチ

木の葉の燃える音がする。
弾かれたように後ろを振り向くと、そこにはやはり、
「どうも、こんにちは。ペスティーラ=ステゴと申します」
黒ローブの一人がいた。
ローブのフードは取り、顔を見せている。
ボーイッシュという表現が似合う短髪に、小さいピアスをひとつ、髪は赤い。
別段人間と変わったところは無いが…ひとつだけ違うところがあった。
「…お前のその体…どうした?」
ナナホシが、ペスティーラの体について尋ねた。
そう、ペスティーラの体は、右半身が焼け焦げていたのだ。
普通の人間なら死に至る程度の大火傷を、今ははっきりと見せている。
「あぁ、気にしないでください。能力の代償ってヤツなんでね」
そう言って、腰にかけてあるサーベルのような武器を抜き、一言。
「私はベヒーモ軍曹長、ペスティーラ=ステゴ!さて、どちらから相手しましょうか?」
「俺からだ!」
動くが早いか、ナナホシはナイフを構えて先程よりも一段速いスピードで突進していった。
「ほう、なかなかの速度ですね。でも、当たらなければ意味がない」
斬撃を、目にも留まらぬ速度で連続で放つが、その全てを紙一重でペスティーラは避ける。
「風のように疾く、金のように鋭く、ですか。しかし、それも長くは続かない」
何度かその流れを繰り返した後、ペスティーラは動いた。
「斬撃というものは、こうやって出すんですよ!」
サーベルの先端から漏れ出た炎が、ペスティーラの右腕を包むほどにまで膨らみ、左腕からは更に炎を追加していく。
これが、先程ロベルディから説明された「属性」とやら、だろう。
炎属性のサーベルに対して、炎を継ぎ足していく度に、サーベルが纏っている炎は回転し、膨らみ、凝縮され、また回転する。
炎のゆらぎさえも見えないほどに速く、速く回転するその炎を、ペスティーラはナナホシに向かって発射する。
「ぅあっ!!」
サーベルから放たれた炎は、金属性のナイフを歪ませ、ナナホシの「追い風」を消滅させる。
「能力と属性っていうのは、こういう使い方もあるんですよ?」
少し残っている炎を、再び回転させる。
俺が攻撃を仕掛けようとすると、例えようも無い、狩人の目をこちらへ向けてくる。
それは、脳裏に「敗北」を思い浮かばせるほどに強烈だった。
「では、さよならです」
サーベルをナナホシの頭上に振り下ろそうとした、その時。

バシャッ

という音がすると共に、ひとつの影がナナホシとペスティーラの間に割って入った。
「大丈夫かい?少年!」
それは、俺たちのよく知っている人物で、元ベヒーモ軍の副隊長であった。



「元ベヒーモ軍遊撃隊副隊長、ダリア!」


     

カナサイド


私とロベルディ、晃は部屋で待機していた。

ドゴッ

鈍い音が、ドアの向こうでした。
と共に、ドアの下側の隙間からは赤い液体が流れてきた。
「…どうした!?」
ロベルディがドアに手をかけようとしたその時、
バンッ
と派手な破裂音がして、ドアノブが吹き飛んだ。
それが私の顔をかすめ、壁に当たったゴンッという音と共に窓が吹き飛ぶ。
次第に、写真立て、額、電灯、テーブル、トランクケースと物が破裂し、吹き飛んでいく。
真っ暗な部屋の中に、私達3人だけが取り残された。
ロベルディは冷静に、ポケットからライターを取り出す。




「…ふぅー……」
おいおい、一服してる暇は無いんじゃないの?
「んーや、大丈夫だ。少し話をしようじゃないか」
何を、と聞き返す間もなく、話は進められた。
「堕天使と、異世界の人間よ」
なにこれ、結構シークレットな情報だったはずなのに知れ渡ってるじゃない。
「私達も、君達と同じ世界から来た。それは分かるかい?」
分かる。でなければ、部屋の中に重火器なんて置いてあるはずがない。
「つい先日のことだ。私と妻、幹部4人で部屋で話をしていた。少し話が弾んできた時の事だ。天井に大きなシミが現れてな」
シミ、人が集まるところ、つい先日。私達と条件は一緒か。
「君達も、4人でこの世界に来たんだったかな。どこに出てきた?」
その質問には、晃が答えた。
「恵一がゼンマイ、勇希がカモレフ、私達二人は…どこかの無人島」
ロベルディは、やっぱり、とでも言いたげなドヤ顔をして、言った。
「その無人島は、テンカイ島とエンマ島という二つの島が繋がって出来た、ニンゲンカイという島らしい。
さて、君達はこの名前を聞いてピンと来ないかい?」
「…?」
晃は、さっぱりといった顔をしている。
私には分かる。その島が一体何を表しているのか。
”天界”と”閻魔”、そして”人間界”。多分だが、それは俺達のいた世界にある天界と魔界、そしてその間にある人間界のことを言ってるんじゃないのか。
「ほう…正解だ」
で、ロベルディはなぜそんな顔をしているんだ?
「いや、実を言うとね、私達もゼンマイとカモレフ、ニンゲンカイに飛ばされたのさ。私とリオがゼンマイ、カモレフにはマリアとペッチョ、ニンゲンカイにはニルグとニースが飛ばされた。」

ロベルディさん、それが一番驚きです。

       

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Neetsha