Neetel Inside 文芸新都
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戦闘短編(仮)
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事前説明

某島国・・・大陸東に位置する。5年前からPDW(拳銃)の所持が義務づけられる。公立施設には自動小銃の設置が義務。

某半島国・・・ショボイ核兵器の狙いを某島国に定めている。社会主義国家。



 学校・・・ 何の変哲もない高等学校で事は起きた。
 
 某半島国から小火器と小型核爆弾を携えて、某島国首都の公立高校に侵入したコマンドたち6人。彼らは東・西・南の各門からツーマンセルで侵入。

9:37


北門(正門)から侵入したコマンドたちは、事務室にいた警備員(25)と事務員(35)に発見される。

「さあ、お茶でもどうぞ。 この寒い中大変でしょう。」
 
 12月半ば、生徒たちは受験のことは忘れてクリスマスムード真っ只中だ。
 
「どうも。ええ、本当に寒いです。今更ですが、銃等法が改正されてから不審者とか強盗とかもめっきり減りましたね。」

「でも、私はこの銃とやらがどうも好きになれませんな。重くて重くて、私のようなデスクワークには無用の長物ですよ。ははは・・・」

 事務員はホルスターをぽんぽんと叩きながら笑う。

「でも、最近はアルミやマグネシウム主体の、軽いモデルもでてますよ?」

「知らないんですか? 今朝の新聞に出てましたよ。破損事故って。射撃場で試射中に薬室がズタズタに裂けてたそうじゃないですか。数発分打つのには問題ないらしいですけど。沢山撃つと危ないみたいです。メーカーはリコールかけてますよ。」

 朝刊にでていた。ニュースだ。
「ああ、私一人暮らしなもので・・・・。 寝坊して危うく遅刻しそうになりまして、今日の朝刊も見てないんですよ。ははは・・・」

「きちんとしなきゃだめですよ(笑)。 折角顔立ちとかは良いのに、恋人とかできませんよ?」

「以後、気をつけますね、ははは・・・」

 他愛ない会話をする二人。


     

=東門のプレハブ防犯詰め所= 


 警備員は一人。彼の後ろには89式小銃が立てかけてある。重くて邪魔くさいアーマーを椅子に掛けて座り、船漕ぎをしている。

「暇だな~。 なんかこう、パーッとしたことないかなー。こんな事なら新刊買っておけば良かったよ・・ ・」

退屈そうにしていると、作業服を着て、工具箱をもった柔和そうな二人の男が訪ねてきた。眼鏡をかけた方が防弾ガラス越しに話しかける。

「すみません、点検の依頼があってきたのですが。」

「えーっと、認識番号を提示してもらえますか?」

 この認識番号制度は銃等法改正の時に同時に取り入れられた制度だ。銃器などの管理に一役買っている。

「これで良いですか?」

 男二人はIDカードをポケットから取り出し、カウンターに置いた。
 警備員はそれらを手に取ると、そばのPCに接続してあるカードリーダーに差し込む。

「ん?お二人方、まだこっちには届出がきてないみたいだけど・・・」

「おかしいですね、もっとよく調べてもらえますか?」

「う~ん・・・。 あ、そういえば今朝伝票をもらってたっけ。ちょっと待っててもらえますか?」

 鼻歌交じりにカウンター下を探り始める。
 すると、眼鏡をかけた作業員がポケットからサイレンサー付きのG18Cを取り出し、防弾ガラスの下側の切れ目に差し込んだ。
 それに気づかず探り続ける警備員。
 そして、伝票を取り出して顔を上げる。

「あったあっ・・・」

 目の前に突きつけられていた拳銃に気づき、反射的に立ち上がった警備員であった。だが、それと同時にG18Cが持ち前の連射能力を発揮し、警備員の胸に6発の弾丸を叩き込んだ。
 警備員は立ち上がった勢いそのままに後ろへのけぞり、パイプいすを跳ね飛ばしながら壁に衝突。鮮やかな血の花を壁に描いて絶命した。

 警備員が動かなくなったことを確認すると、柔和な顔つきから一転、鋭い目つきに変わる二人。
 工具箱を開けると、中には二挺のAK74MNと二つのアサルトアーマーが入っていた。それらを取り出して、装備する二人。用済みとなった工具箱はそばの側溝に捨てた。
 一番最初の目的を達成した二人は、校内に侵入した。


     

=事務室=

 東門の防犯カメラから流れてくる映像に、警備員は違和感を覚えた。
 そう、画像が荒いので判断しづらいが、二人の男が工具箱から棒状のものを取り出し、チョッキのようなものを身につけ始めたのである。
 あれは一体なんだ?・・・警備員に聞いて見なければ。
 
 「すみません、ちょっと南門の詰め所に電話かけてもらえます?」
 
 「ええ、わかりました。」

 事務員はプッシュホンに手を伸ばし、校内専用の回線から詰め所を呼び出す。
 ・・・が、呼び出し音が鳴り続けるだけでつながらない。

 モニターに映る二人の男は何かを持った手を握った手を窓口に突っ込み、数秒の後、取り出した。

 「あれ、切れちゃった。」

     

=2-1教室=

 窓際、後ろから二番目の上等な席に座り、窓の外をぼんやりと眺めていた中島栄子・・・。英語の先生は自分にはわからない異国の言葉を延々と話し、黒板に書き連ねていく・・・。
 視界の端に映る警備詰め所におかしな動きがあった。
 ん? なにあれ? ・・・注視していると、作業員らしき二人組みの一人がピストル(!?)らしきものをポケットから取り出し、窓口に差し込むのが見えた。
 十秒ほど経っただろうか、ピストルをポケットに戻した作業員。すると、今度は大き目の工具箱を開き始め、自動小銃(!!??)を取り出し始めた二人。真っ黒でバナナ型のマガジンがついた見覚えのある銃。
 昨日ニュースで報道してたテロリストについてのコーナーで紹介されてた・・・AK-104・・・だっけ?
なんであんなものを?エアガンなのかな?・・・先生に言うべきなのかな?
考えながら見ているうちに、二人は同じく工具箱から取り出したベストみたいなものを手早く身に着けたあと、工具箱を校門脇の側溝に捨てた。そして、校舎のほうへ走ってきた。
 唖然とする栄子。
 まさか、占拠するつもり!?この学校を!?
 もう訳がわからない。先生に伝えようにも死角に入って見えなくなってしまった以上、夢見てたんじゃないのか?といわれるのが関の山だろう・・・
 栄子は見間違いだったと自分に言い聞かせ、黒板の板書をノートに写し始めた。

     

=事務室=

「つながるまでコールしてみてください。」

「う~ん・・・そういわれても、呼び出し音がならなくなっちゃったよ?」

「え・・・ まさか・・・」

 悪寒が走った。
 何かを握った手・・・棒状のもの・・・チョッキのようなもの・・・
 あれらを考えてみると・・・
 ピストル・・・ライフル・・・ボディーアーマー・・・じゃあないのか?
 いままで繋がらないことなんてなかった電話・・・となると、南門の警備員は彼らに殺されたのか?

 ・・・・・・
 !? この学校を武装占拠する気か!?
 
「・・・配備品のボディーアーマーを着て、隠れていてください。窓口の死角になるように。」

「? なんでそんなことをし」

「早くっ!」

「・・・」

 しぶしぶ事務員は重たいボディーアーマーを身につけ始めた。 
 学校を占拠するつもりなら、ほぼ同時に脅威となる部分を排除するのが奇襲の鉄則だ。しかし、時間がずれているのは・・・敢えてか? 相手に警戒されるのがオチじゃないのか?
 だが、そんなことは直接聞いてみない限りわかりようもない。

 事務員が隠れ終わったのを確認してから、自分は89式小銃のショートタイプをスリングで肩にかける。
実はを言うと、これが本来の正装であって、身軽な姿は黙認されていたに過ぎない。大学や市庁などの警備ではこの格好が義務付けられている。
 多分まじめな警備員とだけ見られて、警戒はされないだろう。 
 
 やはり来た。 
 南門に現れた男たちと同じ服装の作業員二人。ただ、先ほどと違い、一人が大き目のリュックサックを背負っている。

 「もしものことがあったら警察に連絡してください。」

 「・・・? は はい、 わかりました。」
 
そして・・・

「すみません、用があってきたのですが・・・」

「なんでしょう?」
 
 あくまで警戒心を表に出さずに対応する。

「水道管の点検に来たのですが・・・」

 おかしい、こういうときは必ずお上から伝達があるはずだ

「IDカード、だしてもらえますか?」

「どうぞ。」

 ふむ、きちんとした正規品のカードだ。
 備え付けのPCについているリーダにとおす。

「おかしいですね、そのような受注は今日は出てないみたいですが・・・」

「あれ? もっとよく調べてもらえますか?」

 窓口のほうを警戒しながらキーボードを叩いてチェックを続ける。
 
「やっぱり無いで」

 !? 男がサイレンサー付きの拳銃を窓口に差し込んだ。銃口がこっちを向いている・・・

「らあぁっ!」
 
 89式の銃床を男の手に叩きつける。
 突然の反撃に不意を突かれたのか、男は引き金を引かなかった。
 
 ガキン!という音とともにG18Cが男の手から離れ、床に転がる。
 男が腕を窓口から抜き取ると、突然姿が消えた、
 目に入ったのは、窓口から5メートルくらい離れたところでもう一人の男がなにやら丸い物体をまどに向かって投げつける姿だった。
 男が投げた物体が、スライムのように窓に張りつく。
 一体何をしたのか、警備員にはわからなかった。

 だが、次の瞬間に男が姿を消した理由とともに、もう一人の男の行動の意味がわかった。
 
 指向性爆薬だった。
 窓口の防犯ガラスが一気に吹き飛び、警備員を襲う。
 とっさに顔を覆った警備員。だがアーマーをしていない腕に破片が突き刺さるのを感じた。
 爆発のほ衝撃で脳が揺れるのを感じた。足がよろけて、後ろへふらふらと下がる。

 とどめとばかりに、爆弾を投げた男はG18Cで男の胸に数発の弾丸を撃ち込む。
 
 ガラス片の突き立つ警備員の胸を弾丸が襲う。

 勢い良くガラス片の散らばる床に倒れた警備員は、血の花を床に咲かせた。

 警備員は、薄れ行く意識の中でもがいていた。

 ・・・こんなところで死んでたまるか・・・こんなところで、こんな・・・とこ・・・ろで・・・

 視界が真っ白になった。




「迂闊だったな。」
 
 工具箱からAKとアーマーを取り出しながら、爆弾を投げた男が冷酷な声で言う。

「すまない。先を急ごう。」

 身支度を終えた二人は、滅茶苦茶になった事務室に工具箱を放り入れると仲間の待つ場所へ急いだ。

       

表紙

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