Neetel Inside ニートノベル
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パンドラオンライン
ダンジョン

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目標の到達レベル10に達成した。
右手に持っている剣も、昨日までのものとは異なっている。
苦戦を強いられたストーンタートルは、倒れた直後、甲殻石というアイテムをドロップしていた。
それはより強力な剣を作るための、生成するためのもの、つまりはレアアイテムだった。
この剣はその甲殻石で生成したものだ。

ユウには遠くのエリアに足を運んでみたいとショートメールを打ち、私は街を後にする。

しばらくは荒野の中心に作られている街道、モンスターがポップしにくいルートをたどりながら、私は北へと歩みを進めた。
ブラックウルフらと数回のエンカウントを起こしながら、私はやがて、岩壁にぽっかりと入口を広げている洞窟へと辿りついた。
RPGによくありがちなダンジョンと言ってしまえばそれまでだ。
こういうところの最も深いところには何かしら冒険の役にたつアイテムがあるものだが、このパンドラオンラインとて、それは例外ではなかった。
街で不意に耳に入った他プレイヤーの話によれば、この中にはステータスアップのアクセサリーが眠っているらしい。
私はこの噂のアイテムを手に入れることを今日の目標としていた。
今までの経験をいかし、しっかりと残りのアイテム数を確認し、ダンジョンへ踏み出そうとした。
そのときだ。
「こんにちはっ!」
誰かに呼びとめられ、私は後ろを振り向いた。
するとそこにはベビーピンクのショートヘアをし、その髪をゴムで短く結っている小柄な少女が明るい笑顔で私の顔を覗きこんでいた。
「あ、えっと……、こんにちは」
突然の出来事にぎこちなく返事を返す私を見て、少女はクスっと笑みを漏らす。
「いきなり驚かせてごめんね、カナの名前はカナっていうの、えっと職業はモンクだよ」
カナはそう言って私に自己紹介してくれた。
「おねーさん、今からこのダンジョンに潜るんだよね?」
足早にそう付け足すカナ。
「ええ……」
「ならなら、カナも一緒に連れていってよ」
そう言って私に向かい駆けてくるカナ。
ユウと違う意味でやりづらい……
「どうして……?」
「どうしてって、せっかくオンラインをやってるんだから、パーティー組みたいっていうのはとーぜんでしょ?」
カナは首を傾げ、そう私に返すとパーティー要請を飛ばしてきた。
私としても、ユウとの一件があるのでパーティーを組むことに抵抗があるわけではない。
けれども今回はダンジョンの奥のアイテムを取りにいくのだ。
もしそれが一つしかなかったら?
それにモンクと戦士では役割が被っているので、ユウとパーティーを組む程効率が良いとも思えなかった。
「はやくいこーっ!」
けれどもカナは私がまだパーティーを受けていないのにも関わらず一緒に行く気満々だ。
私はすこし迷ったが、小さくため息をついて、パーティーを組むことを了承し、カナの後に続いた。

       

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