Neetel Inside 文芸新都
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「一枚絵文章化企画」会場
「曖昧減速エキスポランドのあらすじ」作:可生鳥

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「エクスポー!エクスポー!」

「エクスポたーん!!」

 アタイの背後から聞こえる数々の叫び声、そのどれもが『エ』と『ク』と『ス』と『ポ』、四つの文字で構成された不快極まりない雑言。だいたいなんなんだエクスポって芸名なのか本名なのか。後者だとしたら親の顔が見てみたいものだ。

 っと、早々にグチを漏らすとはすまない。そうそう、キミはアタイ達のギルドに入りたいとのことだったね。面接をさせていただくミージェだ、よろしく。まぁ、面接などはあってないようなものだよ。このギルドの基本理念が来るもの拒まずだからな。しかし一応形式的にはこなさなくてはならないんだ、面倒だとは思うが理解してくれ。まずはキミの名前を教えてもらえるか?

 ほう、いい名前だ。ではコレを。見学許可証だ。こんな場所だが一応ギルドという場所柄なのか敵も多いんだ。キミの顔がギルドメンバーに広まるまでは護身のために身に着けておいてくれ。さてさっそく我がギルドの案内をしていこうと思う。

「「エークスポ!エークスポ!」」

 外野が五月蝿いな。場所を変えようか、おちおち案内もできやしない。
 え?別にいいって?それよりあの団体はなんだって?う、うむ、アタイにもよくわからないんだが巷で流行の歌手『エクスポ』とやらのおっかけらしい。奴らは病的だ、近づかない方がいいぞ。知らない間にギルド内でああいう病気が流行っていたんだ。もう何も言うまい。TVは一日1時間という掟も守っているようだしな。
 1時間は少なくないか、だと?確かにその点についてはアタイも同情しているよ。好きなことに熱中できる時間が一日にたったの1時間だなんて。だがギルドの掟は絶対なのだ。こういうところの規律が厳格なのはやはりギルドマスターの威厳のなせる業だ、アタイのね。それにあんまりやつらが働かないので一度ギルドが傾きかけたこともある。その事を加味すれば1時間は案外妥当なのかもしれんな。

 では次だ。アタイの後ろにある掲示板を見てくれ。ここには舞い込んできた仕事の情報が列挙される。ギルドに来たときにはまずここをチェックしてみてくれ。今はシーズンオフだから落書きが多いのはご愛嬌だ。
 ん?ハハハ、この『睡眠時間2時間厳守』の貼り紙が気になるのか。これはだな、どんなに忙しくても2時間は寝ろと端的に言ってるんだ。けして2時間しか寝てはいけないということではないから安心しろ。アタイは必ず1日8時間寝るぞ。必ずだ。ただ、一部の連中、あのエクスポエクスポ騒いでいる人間達は本当に毎日2時間ほどしか寝ていないらしい。
 うむぅ、キミはエクスポという言葉にやたら食いつきがいいな。どういうことかだと?基本エクスポとやらが出るTVは深夜らしくてな。TVも1時間しか見れないものだからフラストレーションがたまって眠れないらしい。早く寝ればいいのに本当にアホの集団だ。アタイにとっては働いてくれさえすればどうでもいいんだけど。まさかキミもあのエクスポとかいうやつのファンじゃないだろうな?
 そうか、それならいいんだが。では次だ。作戦会議室を案内しよう。ここでは―――

、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、。、


エクスポーッホワァーーー!エクスポゥーッ!!ホワッホワッ!!

「ミージェせんぱーい、こないだ入った新入りどうなりましたかー?」

「さぁな、きっと背景にまぎれて人の名前らしき言葉でも叫んでるんじゃないか?」

「はぁ、やっぱりですか。アレのおかげで周りのギルドからウチのことなんて呼ばれてるか知ってますか?」

「まぁ、大体予想はつくな」

「ですよねぇ」

「ちょっとエキスポ殺してくる」

「いってらっしゃーい♪」


 ミージェの戦いはこれからだ!あなたはもうエクスポの誘惑から逃れられない!

       

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