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速筆百物語
020_パパとプリキュア

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パパとプリキュア

 あたらしいプリキュアをみていたら、むかし、おわりのうたのときにパパといっしょにおどっていたことをおもいだした。でもパパはプリキュアをみないし、あんまりあそんでもくれない。おかしいなあとなやんでいたら、おふろあがりのはだかのパパがこしをふってちんちんをペチペチならしていたこともおもいだした。
 ママにそのことをいったら、「ちーちゃん、よくおぼえてるね」っていってげらげらわらっていた。「パパもむかしはプリキュアみてたよね?」っていったら、うーん、ってかんがえて、「ちーちゃんはまえのプリキュアがなんだったかおぼえてる?」っていった。

「ドキドキプリキュア」
「そのまえは?」
「スマイルプリキュア」
「そのまえは?」
「えーと・・・・・・えーと・・・・・・スイートプリキュア!」
「そのまえは?」
「えーと・・・・・・えーと・・・・・・えーっと・・・・・・わかんない」
「そっか。スイートプリキュアのまえはハートキャッチプリキュアだよ。おぼえてないかな?」
「うーん、わかんないよ。ちーちゃん3さいだったもん」
「ほらほら、こういうダンス」

 そういってママはそらにパンチしたり、あしをあげながらおしりをぺしぺしたたいたりした。なんとなくしっているようなきもしたけど、やっぱりうまくおもいだせなかった。

「やっぱりわかんない」
「そうかー。あ、じゃあ、ちょっとまってて」

 ママはおしいれからだしてきたDVDをさいせいした。コマーシャルのあとで、ちーちゃんのしらないプリキュアがはじまった。

「このプリキュアおぼえてない?」
「おぼえてない」
「うーん、じゃあ、このダンスもおぼえてない?」

 ママがリモコンをぼちぼちおすと、ででんでんでんで、ででんでんでんで、ででんでんでんで、というおとにあわせてプリキュアがでてきた。それをみたらいっしょにおどりたくなってきた。

「そうそう! おどっておどって!」

 うたにあわせてママといっしょにおどった。おどっているうちにどんどんおもいだしてきて、からだがかってにうごいた。ちーちゃんとママとパパとでいっしょにおどっていた。おどっているパパのかおをみて、あれっておもった。

「そうぞうしいな」

 うしろからパパのこえがした。ちーちゃんといっしょにおどっていたパパはどこにもいない。しんぶんをもったパパはいつもとおなじようにきげんがわるそうだった。

「あら、ごめんなさい」

 ママはDVDをとめた。パパはだまってトイレにいった。

「おもいだした?」

 ちいさいこえでママがきいてきた。

「うん。ママとパパといっしょにおどってた」
「そう」
「でも、パパがちがうひとだったよ」

 ママはちょっとへんなかおでわらってからこういった。

「それ、いまのパパにいっちゃだめだからね」

 なんだかよくわからなかったけど、だまって、うんっていった。ママはいいこだねっていって、いつもはくれないチョコレートをくれた。チョコレートはあまくておいしかった。

       

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