ある日の日
想いそして争い
エミが来てから二週間が過ぎた。
エミは、学校には行かず家で家事してくれている。
平日はエミが掃除、洗濯、食事を担当し。
休日はユミが家事をする分担になった。
いつものように目覚ましの音で起きると。
「エミ~またかよ~」
史樹の布団の中にエミが一緒に寝ている。
「犬!いい加減にしろ~」
そこに、ユミが釘バットを持って入って来るような日が訪れるようになった。
日曜日。いつもより早めに起きた史樹。
「お出かけですか?」
「友達と会って来る」
起きて出ける準備を支度してると部屋にユミが入って来た。
「そうですか、何時にお帰りになりますか?」
「そうだな~そんなに遅くならないと思う」
テキパキ服に着替えて、財布をポケットに入れ部屋を出る。
玄関を開け振り返り。
「行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
待ち合わせの駅に着き時計を見る。
予定をしていた時間より10分早めに着いていた。
「まだ、来てないみたいだな」
それから、5分経った9時ジャスト。
「お~い史樹~」
バスを降りて右手を上げて降りて来る男子。
「時間ぴったりだな」
史樹も右手を上げて応える。
「時間ピッタリによく来れるな直輝」
彼は、史樹の通う高校の隣のクラスの山中直輝。
一学年でケンカが強く付いたあだ名が漆黒のスナイパー。
二人は、電車に乗った。今日は、直輝に誘われたのである。
「ところで今日は、どこに行くんだ?」
「史樹ってさ、動物とかが人の姿になるのとか信じる方?」
隣に座れる直輝が訪ねてきた。
史樹は、その質問に。
「うん、信じる方」
自信を持って言った。なぜなら、すでに似たようなことを知っているからだ。
「実は、今日史樹に会わしたいしたい動物がいるんだ」
「俺に会わしたい動物?」
直輝が言っていることを少し気になった。
二人を乗せた電車は、山の多い方へと向かって行った。
「ここで待ち合わせしてる」
二人は、電車を降りて人気があまりなく、まだ昼頃なのに二人がいる場所は、少し暗い森の入口だった。
「誰を待ってるんだ?」
尋ねても何も言ってくれない直輝。
すると、森の奥から一人の女性が歩いて来た。
その女性は、スレンダーな細い体系、髪は金色。歳は史樹より上だと思われる。
「この人だ史樹に会わせたかったのは」
「え?だって会わせたいのは、動物だって言ってたじゃん」
「もちろん、動物だ。で、その動物がこの人だ」
女の人を見る。
――この人が動物?
二人の目の前に立ち止まり。
「私は、狐です史樹君」
にっこり笑う女性。
「えっ!狐!」
「なんか、昔に史樹にあった事があるんだってよ」
「昔にあった事がある?」
「おそらく、史樹君は覚えていませんよ小さかったですから」
――いつ、どこで、この人と会ったのであろう。
「俺は、この人に頼まれて史樹を連れて来たんだ」
「直輝は、この人とどうやって知り合ったんだ」
「実は、この前俺が散歩してたら橋のところで、寂しそうな顔で川を見てて気になって声をかけて、それで知り合ったんだ」
「へ~それで?」
「どうして、そんな顔してるんですか?って聞いたら、ある人を探してるのって言ってそれが」
史樹に指をさして。
「お前だ!」
腰に手を当てて言った。
「なんで俺を探してたんですか?」
女の人に尋ねる。
すると、顔が赤くなった。
「直輝君・・・」
「じゃ、あとは二人で」
「おい!直輝!」
ポケットに手を入れて帰って行ってしまった。
残った二人。少しした後。
「私は・・・どうしても史樹君に会いたかったんですそして・・・」
「そして?」
「・・・私と婚約してください!」
その言葉に、硬直した史樹。
「えっと・・・今何て」
もう一度聞く。
「私と結婚してください!」
彼女の真剣な目は、ウソを言っていない目で見詰め来た。
「あの、その、あなたの名前は?」
「ルカです」
「ルカさん。いきなりそんなこと言われても」
なんて、言葉を返せばいいのか困り果てる。
「そこまでだ!」
突然の木の上から大声した。二人は、声がした方へ顔を上げる。
「え!エミ」
二人の間を割って木の上からエミが降りてきた。
エミは、二人の間に入ると銀の目と金の目を細くしてルカを睨み付ける。
「暇だから主について来てよかった」
後ろを振り向かずただルカを見続ける。
「誰だお前は!」
「私は、エミ!主、史樹に助けてもらった犬だ」
「犬か・・・面白い」
ひたすらルカを睨み続けるエミ。ルカも睨み返す。
二人の目と目の間に火花が散る。
「お前なんかに主は、渡さない」
「犬なんかにいわれたくないねぇ」
「お前は、狐だろ」
途切れない二人の会話。
「二人ともそこまで熱くならなくても」
冷静になるように二人に言うと。
「史樹君は」
「主は」
「「黙って!」」
完璧にハモッた。一寸の誤差なく。二人の怒声に黙ってしまう。
「貴様が主と結婚したいなら私だって主と結婚したい」
エミの言葉に顔が赤くなる史樹。
「あなたみたいな子に史樹君のお嫁さんに慣れるわけないじゃない」
振り返り史樹を見る。
「主!私と結婚してくれますか?」
「え!」
「史樹君こんな犬より私と結婚してくれますよね!」
史樹に詰め寄る二人。エミは、史樹の右手を両手で握り、左手を両手で握るルカ。
「えっと、その、俺は」
何をどうすれば、いいのか分からなくなる。
「結婚するかどうかは、分からないけど・・・候補ならいいけど!」
「候補・・・」
下を向くルカ。対照的にエミは。
「やった―お嫁さん候補!」
手を離し飛び跳ねるエミ。その顔は、笑顔だった。
「ハァ・・・」
溜息をつく史樹。
――なんか、言っちゃったよ俺
「主、今日はもう帰ろう!」
腕を強引に引っ張る。
「ちょっ、エミ!」
強引に引っ張られ歩き出す史樹。後ろを振り返り。
「ごめん。ルカさん。今度会いに来るから」
何も言わずに手だけを軽く横に振るルカの顔は、寂しそうだった。
家に着いたのは、6時過ぎだった。
ルカと別れたあと色々なところに振り回せれ家に着いたころには、へろへろに史樹がなっていたが。
エミは、ずっと嬉しそうな笑顔だった。
「たっだいま~」
おもいっきり玄関を開けてエミが叫ぶと。家の中からものすごい足音が聞こえてきた。
「こら!犬ってあれ?なんで史樹様もいるのですか?」
腰に手を当てて首を傾げながらユミが尋ねると。
「だってさっきまでデートしてたもん」
史樹の腕に抱きつきながらエミがユミに言うと。
どんどん顔が赤くなり始めたユミ。
「そんなバカな!史樹様は、友達に会いに行くと言っていたはず!」
二人のやり取りをしている中、史樹はずっと下を向いたままだった。
「ホントだもん」
「そうなのですか、史樹様!」
史樹に聞くが何も返事が返ってこない。
「史樹様!」
怒鳴るようにもう一度聞くと。
「・・・うっ」
その場でいきなり倒れこんだ史樹。
「主!」
しゃがみこんで倒れた史樹を仰向けにするエミ。
苦しそうな顔をして口から荒い呼吸をする史樹。
「熱っひどい熱だ」
額に手を当て熱が発症してる事を確認し、史樹をおぶって二階に連れていく。
「おい!猫。急いで氷枕を持ってこい。
階段を上る途中に振り向いてユミに伝えた。
ベットの上に史樹を横にし、頭の下に氷枕を置く。
「主・・・」
以前、苦しそうな顔をしている史樹。エミは、史樹が寝ているベットの横で史樹の右手を両手で握り目をつぶる。
ドアの前に立ったまま史樹を見つめるユミ。
それから、しばらく沈黙が続いた。
「・・・」
しばらくした後、静かに史樹が目を開けた。
「主、分かりますか?」
目を開けたことに気付いたエミ。
「俺はなんでベットに?」
「熱を出して倒れたんですよ」
「俺が熱を?そうか。ずっと傍にいてくれたのか?」
「はい」
「ありがとうな」
「いえ、当然のことをしたまでです。それよりお腹減っていますか?」
「すこし」
手を離し立ち上がって史樹の顔を見て微笑み。
「それでは、おかゆを作ってきますね」
部屋を出る際にユミの隣で不敵に笑って出て行った。
「・・・史樹様」
ゆっくり史樹の隣まで行き座った。
「すまんユミ、心配掛けたな」
「いえ・・・」
下を向いたまま黙ってしまう。
「どうしたユミ?」
黙ってしまった事に気になって聞く。
「私は、何もできませんでした」
「何でそんな事を?」
「だって史樹様が目を開けるまでずっと犬が私がしたいことをすべてやってしまうんです」
「ユミがしたかった事って?」
「ずっと隣にいて、氷枕を変えたり、手を握ったり」
真剣にユミの事を聞いた史樹が上半身を起こし、下を向いたままのユミに。
「でも、ユミは、俺の事心配してこの部屋から出ないでいてくれたんだろ?」
すると、すっと顔を上げた。その目には、涙が輝いていた。
「当たり前です。私は・・・私は、あなたが好きのですから」
ユミの顔を見て史樹は。
――俺の事をこんなに心配してくれるなんて
刹那、ユミを優しく抱きよせる。
「史樹様!」
突然の史樹の行動に驚くユミ。
「ごめんな、ユミが俺の事をそんなに心配してくれてるなんて気がつかなくて」
驚いていたユミの顔は、ゆっくりと優しい顔になり史樹の背中に腕を回す。
「心配したんですよ」
そんな二人の会話を部屋の外で一人聞いている人物がいた。
「やれ、やれ」
家に着いたのは、6時過ぎだった。
ルカと別れたあと色々なところに振り回せれ家に着いたころには、へろへろに史樹がなっていたが。
エミは、ずっと嬉しそうな笑顔だった。
「たっだいま~」
おもいっきり玄関を開けてエミが叫ぶと。家の中からものすごい足音が聞こえてきた。
「こら!犬ってあれ?なんで史樹様もいるのですか?」
腰に手を当てて首を傾げながらユミが尋ねると。
「だってさっきまでデートしてたもん」
史樹の腕に抱きつきながらエミがユミに言うと。
どんどん顔が赤くなり始めたユミ。
「そんなバカな!史樹様は、友達に会いに行くと言っていたはず!」
二人のやり取りをしている中、史樹はずっと下を向いたままだった。
「ホントだもん」
「そうなのですか、史樹様!」
史樹に聞くが何も返事が返ってこない。
「史樹様!」
怒鳴るようにもう一度聞くと。
「・・・うっ」
その場でいきなり倒れこんだ史樹。
「主!」
しゃがみこんで倒れた史樹を仰向けにするエミ。
苦しそうな顔をして口から荒い呼吸をする史樹。
「熱っひどい熱だ」
額に手を当て熱が発症してる事を確認し、史樹をおぶって二階に連れていく。
「おい!猫。急いで氷枕を持ってこい。
階段を上る途中に振り向いてユミに伝えた。
ベットの上に史樹を横にし、頭の下に氷枕を置く。
「主・・・」
以前、苦しそうな顔をしている史樹。エミは、史樹が寝ているベットの横で史樹の右手を両手で握り目をつぶる。
ドアの前に立ったまま史樹を見つめるユミ。
それから、しばらく沈黙が続いた。
「・・・」
しばらくした後、静かに史樹が目を開けた。
「主、分かりますか?」
目を開けたことに気付いたエミ。
「俺はなんでベットに?」
「熱を出して倒れたんですよ」
「俺が熱を?そうか。ずっと傍にいてくれたのか?」
「はい」
「ありがとうな」
「いえ、当然のことをしたまでです。それよりお腹減っていますか?」
「すこし」
手を離し立ち上がって史樹の顔を見て微笑み。
「それでは、おかゆを作ってきますね」
部屋を出る際にユミの隣で不敵に笑って出て行った。
「・・・史樹様」
ゆっくり史樹の隣まで行き座った。
「すまんユミ、心配掛けたな」
「いえ・・・」
下を向いたまま黙ってしまう。
「どうしたユミ?」
黙ってしまった事に気になって聞く。
「私は、何もできませんでした」
「何でそんな事を?」
「だって史樹様が目を開けるまでずっと犬が私がしたいことをすべてやってしまうんです」
「ユミがしたかった事って?」
「ずっと隣にいて、氷枕を変えたり、手を握ったり」
真剣にユミの事を聞いた史樹が上半身を起こし、下を向いたままのユミに。
「でも、ユミは、俺の事心配してこの部屋から出ないでいてくれたんだろ?」
すると、すっと顔を上げた。その目には、涙が輝いていた。
「当たり前です。私は・・・私は、あなたが好きのですから」
ユミの顔を見て史樹は。
――俺の事をこんなに心配してくれるなんて
刹那、ユミを優しく抱きよせる。
「史樹様!」
突然の史樹の行動に驚くユミ。
「ごめんな、ユミが俺の事をそんなに心配してくれてるなんて気がつかなくて」
驚いていたユミの顔は、ゆっくりと優しい顔になり史樹の背中に腕を回す。
「心配したんですよ」
そんな二人の会話を部屋の外で一人聞いている人物がいた。
「やれ、やれ」
「う~んまだ、すこし熱がありますね」
熱を発症から2日経ってもまだ、熱があった。
ずっと、ベットに寝たきりの状態が続いていた。
熱を出してからユミとエミは、史樹の部屋で一緒に寝ている。
史樹は、自分の熱が二人にうつらないか心配していた。
朝8時
「ユミ、今日は、ちゃんと学校行けよ」
「えっ、ですが・・・」
ユミは、史樹が熱を出したため、学校を休んで看病をしていた。
「俺は、大丈夫だから」
少し考え、隣に座るエミを見て。
「・・・分かりました」
「よし!じゃ元気よく行ってこい」
「はい」
立ち上がりドアの前まで行き立ち止まり振りかえった。
「すぐ帰ってきますから」
そう言って出て行った。
ユミが学校に行ってから1時間が過ぎていた。
「悪いな、俺が熱なんか出して」
「全然、逆にこうして主と一緒にいられる時間が増えますから」
若干顔を赤くなった。
「とっところで、ずっと俺の部屋にいるけど」
「今日、やることは、食事を作る事だけです。他の事はすべて昨日うちにやってしまいましたから」
「じゃ、朝飯頼める?」
立ち上がり。
「何にしますか?」
「おかゆでいいよ」
お辞儀をしたまま。
「分かりました。少々お待ちを主」
食事を作りに部屋を出て行った。
ベットに横になったまま天井をしばし見つめる。
――あ~寝ようかな?
言葉には出さずに、自分の中で呟く。
――でもな~今までずっと寝てたから、もう寝ようにも寝れない。
目を閉じたがすぐに開けてテーブルの上に置いてあった体温計を見て。
横になったままテーブルに手を伸ばし体温計を手に取り、スイッチを入れ、左脇に挟んだ。
――熱、下がらないかな。
すると、屋根のから何かが動く音がした。
――うん?カラスか?
眉をひそめた。その直後、音が止んだ。
――やっぱ、カラスか
不快な物音が過ぎてから直後に体温計が鳴った。脇から取って見ると。
「38度か」
軽い溜息が洩れた。
コン、コン
規則正しいノックがし、ドアが開いた。
「主、お持ちしました」
おかゆが入ったどんぶりを持ってエミが史樹の隣にやって来た。
「ありがとなエミ」
「いえ当然の事です」
「よっと」
上半身を起こすと。
「主、横のままでいいですよ」
隣に座ったエミは、おかゆ入りのどんぶりを下に置くと史樹の肩に手を置き横にする。
「私が食べさせてあげます・・・口移しで」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
思いっきり驚く。
「何故、口移し!」
「嫌ですか?」
「嫌じゃないけど・・・」
「それじゃ・・・」
どんぶりの蓋を取りスプーンで、すくいエミ自身がおかゆを口に運びそのまま、史樹に近づいてくる。
「ちょっエミ!マジでするのか!」
徐々に接近してくるエミ。その唇は、おかゆで濡れている。
――やば、やば、やば
目をつぶった史樹。しばらくとすると。
――うぉぉぉぉ
史樹の唇にとても柔らかい物が当たると無理やり、史樹の唇をこじ開けるようにエミの舌が入って来た。
――なぁぁぁぁ
舌をたどっておかゆが史樹の口の中に侵入してきた。
――入って来たぁぁぁぁぁぁぁぁ
もう、史樹の頭の中は、崩壊寸前だった。
流し込みが終わり、二人の距離が離れる。
「おいしいですか?主」
「うっうん」
戸惑いながら言葉を返す。
「そうですか、それでは」
エミは、再びおかゆをスプーンですくう。
「エミまさかまた」
「はい」
「なぜ、口移しなんだ?」
焦りながら聞くと。
「それは・・・」
「それは?」
「私が主の事が好きだからやりたいんです」
沈黙。静かになる部屋。
「聞いてもいいですか?」
「なっ何?」
「史樹は・・・私と猫どっちを愛してるの?」
「今日寝過ぎて眠れないな・・・」
色々あった一日。外は、真っ暗になり月の光が光り輝いている。
目を擦りながらベットから出て、窓を開けて外の空気を吸う。
「やっぱり夜になると少し寒いな・・・」
9月にも関わらず外の気温は、秋並みの気温を感じさせる。
月を見ていると。
後ろから何か視線を感じる。
史樹は、恐る恐る後ろを見てみると。
「気のせいか・・・」
さっきまで感じていた視線がウソみたいに何もいなかった。
ポッとしたと気、ベットの中が一瞬動いた。
ゆっくり、ベットに近づき思いっきり毛布を引っ張るとそこには。
一匹の狐がいた。
「ばれてしまいさしたか」
「君は・・・ルカさん?」
「そうです」
ちょこんと座る狐の姿をしたルカ。
「なんで、俺の家を知っているんですか?」
「内緒、ちなみに今日一日屋根の上で部屋の中を聞かしてもらいました」
「まさか、屋根から聞こえた物音は、ルカさん?」
「そっ私です」
手を頭に当てる史樹。
――今日一日のやり取りをすべて聞かれていたのか!
恥ずかしさからか、顔が赤くなり始める。
「実は、史樹君に話しがって来たのだけどそれがなかなか出来なくって」
「え?俺に話?」
頭から手を離しパッとベットの上にいるルカを見る。
「実は、この間の話なんですけど・・・」
「あ~れ」
ルカの体が金色に光り輝き人間の姿をしたルカが現れた。
「あれ・・・なかったことにしてくれますか?」
「え・・・」
「今でも史樹君が好きですけどこの気持ちを心の奥底にしまうことにしたんです」
言葉が出ないで口が開いたままになる史樹。
「私は、今日一日聞いて分かった事があります。それは、エミさんともう一人の女の子間に私が入るスキがないということ」
再びルカの体が金色に輝き始め狐の姿になったルカは。
「私はしばらく、史樹君の近くで見守ることにします」
「・・・ルカさんがそう決めたなら何もい言わないけど」
すこしした後。
「史樹君、そろそろ君の気持ちを伝えた方がいいんじゃない?」
「俺の気持ち?」
「そう・・・エミちゃんかもう一人の子どっちが好きなのかを」
そう言うとルカは、開いた窓から出て行ってしまった。
「エミかユミかどっちかをか・・・」
朝を迎える。すると、階段を駆け上がり史樹の部屋にユミが入って来る。
「おはようございますってあれ?史樹様起きていたのですか?」
入って来たユミの目の前には椅子に座る史樹だった。
「ん?まぁ・・・」
「体調の方はどうですか?」
「大丈夫・・・」
「じゃ今日から学校行けますね。ご飯出来てますから降りて来てくださいね」
ニッコリしながら部屋を出て行く。が、史樹は、夜の事をずっと考えていた。
自分の気持ちは、ユミなのかそれともエミなのか。
学校の登校中ユミは、ずっと何かを考えてる史樹が気になっていた。
話かけても全然聞いておらず、下を向いたままで、そのまま学校に着く。
授業中もユミの隣に座ってる史樹を見るとずっと窓の外を眺めている。
――史樹様・・・どうしたのでしょう?