テレビの明かりが、この部屋の唯一の光源であった。
フローリングの床に転がっているテレビからは時折愉快な笑い声が聞こえている。
アパートの一室ほどの広さであるこの部屋は、まるで無声映画のように薄暗く、古ぼけた雰囲気であった。
「う…ぐ…ぁ…」
苦しそうな声と吐息が、テレビに照らされて出来た影から聞こえてくる。
部屋の真ん中に若い女性が倒れていた。
ダンゴ虫のように体を丸めて、苦しげに息をしている。
「…次は足だ」
低い男の声と共に、女性の足に長い棒のような物が振り下ろされた。
ばきゃっ
「ぐぅううっ!」
一瞬、彼女の体がびくんと震えた。
ばきっ
「がぁっ!」
ばきごぎっ!
「……」
3度目の殴打で、彼女は動かなくなった。
「おいおい、もう終わりかよ…」
不満そうな声とともに、彼女の頭にバットが降ってきた。
がんっ、と鈍い音がしたが、彼女の反応はない。
「…まぁいいや、今度もまた虐めさせてもらうぜ。…ひひひ」
男は楽しそうに笑うとテレビのスイッチを消し、部屋を深い闇に包んだ。