殺人事件研究クラブ
斎京町密室殺人事件
『第1話、殺人事件研究クラブ』
とある県の住宅街に囲まれた斎京町の澄長高校に入学して、もう6日が立つ…にも関わらずやっている事は中学とそう変わりはしない毎日が続いていた。
別に期待していた訳ではないが、本当に何も起こらない事に気付くと、少しでも期待していた自分が恥ずかしくなる。
何かきっかけさえあれば俺だって…俺だってきっと…
「南条…おい南条!聞いているのか?南条 悠木!」
「え、え…あ!はい!?」
ボーっとしていた悠木に担任の先生が声をかける。
「先生の話を聞いていたのか?南条」
クラスが皆がクスクスと笑いだした。
普段の悠木はこんな風にドジっ子ではないし、クラスの悪ガキでもない、どちらかと言えばあまり人と話さない近寄り難い性格をしていた。
「すいません…注意します」
「…っと言うわけで、もう部活に参加している奴もいるが、今日から1週間の間に部活動の入部届けを先生まで出しに来ること。いいな?それじゃ朝礼はこれで終わりだ」
クラスの連中が席から離れ思い思いの休憩を楽しむ中、悠木は部活動一覧の紙を見ながら悩んでいた。
「部活か…体育系は疲れるし、文化系は何か陰湿なイメージがあるからなぁ。」
悠木自身、自分も十分陰湿だと思っていたが、何故か知れないが文化系は入る気がしなかった。
かと言って、体育系で頑張れる自身もないし…
結局の所は帰宅部で落ち着くんだろうなと、自分の中で勝手に決め付けていた。
『何かきっかけさえあれば俺だって…俺だってきっと…』
こんな言葉、結局はきっかけが無いと何もしない証拠じゃないか…
『きっかけ』に期待したら負けなんだ、期待してしまったら、本当に『きっかけ』が来なかった時に気持ちが落ち込んでしまう…だから俺は初めから逃げる道を選択する。
初めから色々な事から逃げてしまえば、自分は傷つく事はない、だから俺はあまり人とは関わらないように生きてきた、部活だってそうだ今まで所属した事はない、最低限の事さえ出来ていれば後は逃げたって…
悠木は入部届けの紙をクシャクシャ丸めた。
その時…
「南条くんは何の部活に入るの?」
急に自分の世界から一気に現実に引き戻された感覚がして悠木は戸惑った。
「いや、別に…特に考えてないけど」
帰宅部だと言うつもりが、ついつい別の事を言ってしまった。
彼女の名前は天川 セナ、中学の頃からの同級生である。
特に仲の良いわけでもなくただ中学3年間と同じクラスだっただけだ。
「南条くんなら……卓球部とか似合いそうなのにね」
大きなお世話だ。
そこはお世辞でもバスケとか、せめてテニス位は言って欲しかった所だな。
「天川さんはもう部活決めたの?」
「うん。わたし、その部活があるからこの高校に進学するのを決めたんだ!親にも言って無いのよ」
「へーそうなんだ。吹奏楽?いや、弓道とか?それともメジャーなの?」
特に悠木自身は興味が無かったが、話の流れじょう聞くしかなかっので参考までにと言うか、大体女子と話す機会があまり無かったので聞くことにした。
だが、悠木はその部活名に衝撃を覚えた事は今でも忘れない…
「違うよ、殺人事件研究クラブって言うの。知ってる?」
「……え!?」
「だから、殺人事件研究クラブだって。部活動一覧にも書いてあるよ」
悠木は速攻で部活動一覧の紙をチェックした。
体育系と文化系の欄から少し離れた所に書いてある。
「『みんなで沢山の殺人事件を解明しましょう!!! 部長:篠原』」
「ね?面白そうでしょ!」
「とてもフレンドリーだね…」
悠木はとてつもなく怪しい臭いを感じていた。
それもそのはず『殺人事件研究クラブ』は殺人事件に遭遇する事を前提に話が進んでいる、もし3年間に1度も殺人事件に遭遇出来なかったら、一体どうするつもりなんだろう?と
言う疑問さえも持たせてくれる部活だからだ。
「ねぇ南条君。もし暇なら一緒に見学に行かない?」
「(これはもしかして俺がずっと待っていた『きっかけ』って奴なのか?……だけどその部活が殺人事件研究クラブってどーよ?)」
悠木は考えていた。
これは神様が俺にくれた最大のチャンスなんじゃないかと…だが、そのチャンスはバスケ部でもテニス部でもない、もちろん卓球部でもない…そのチャンスは殺人事件研究クラブに与えられたのだ。
「まぁ、見学位なら行っても良いから…」
「ほんと!?ありがとう!友達誘っても誰もOKしてくれなくて困ってたんだ。それじゃぁ、約束ね」
「(そりゃそーだ、普通の生徒なら必ず断るよな…)」
休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った。
突然クラスの女子から殺人事件研究クラブへの見学を進められた悠木は次回遂に殺人事件に遭遇する…
とある県の住宅街に囲まれた斎京町の澄長高校に入学して、もう6日が立つ…にも関わらずやっている事は中学とそう変わりはしない毎日が続いていた。
別に期待していた訳ではないが、本当に何も起こらない事に気付くと、少しでも期待していた自分が恥ずかしくなる。
何かきっかけさえあれば俺だって…俺だってきっと…
「南条…おい南条!聞いているのか?南条 悠木!」
「え、え…あ!はい!?」
ボーっとしていた悠木に担任の先生が声をかける。
「先生の話を聞いていたのか?南条」
クラスが皆がクスクスと笑いだした。
普段の悠木はこんな風にドジっ子ではないし、クラスの悪ガキでもない、どちらかと言えばあまり人と話さない近寄り難い性格をしていた。
「すいません…注意します」
「…っと言うわけで、もう部活に参加している奴もいるが、今日から1週間の間に部活動の入部届けを先生まで出しに来ること。いいな?それじゃ朝礼はこれで終わりだ」
クラスの連中が席から離れ思い思いの休憩を楽しむ中、悠木は部活動一覧の紙を見ながら悩んでいた。
「部活か…体育系は疲れるし、文化系は何か陰湿なイメージがあるからなぁ。」
悠木自身、自分も十分陰湿だと思っていたが、何故か知れないが文化系は入る気がしなかった。
かと言って、体育系で頑張れる自身もないし…
結局の所は帰宅部で落ち着くんだろうなと、自分の中で勝手に決め付けていた。
『何かきっかけさえあれば俺だって…俺だってきっと…』
こんな言葉、結局はきっかけが無いと何もしない証拠じゃないか…
『きっかけ』に期待したら負けなんだ、期待してしまったら、本当に『きっかけ』が来なかった時に気持ちが落ち込んでしまう…だから俺は初めから逃げる道を選択する。
初めから色々な事から逃げてしまえば、自分は傷つく事はない、だから俺はあまり人とは関わらないように生きてきた、部活だってそうだ今まで所属した事はない、最低限の事さえ出来ていれば後は逃げたって…
悠木は入部届けの紙をクシャクシャ丸めた。
その時…
「南条くんは何の部活に入るの?」
急に自分の世界から一気に現実に引き戻された感覚がして悠木は戸惑った。
「いや、別に…特に考えてないけど」
帰宅部だと言うつもりが、ついつい別の事を言ってしまった。
彼女の名前は天川 セナ、中学の頃からの同級生である。
特に仲の良いわけでもなくただ中学3年間と同じクラスだっただけだ。
「南条くんなら……卓球部とか似合いそうなのにね」
大きなお世話だ。
そこはお世辞でもバスケとか、せめてテニス位は言って欲しかった所だな。
「天川さんはもう部活決めたの?」
「うん。わたし、その部活があるからこの高校に進学するのを決めたんだ!親にも言って無いのよ」
「へーそうなんだ。吹奏楽?いや、弓道とか?それともメジャーなの?」
特に悠木自身は興味が無かったが、話の流れじょう聞くしかなかっので参考までにと言うか、大体女子と話す機会があまり無かったので聞くことにした。
だが、悠木はその部活名に衝撃を覚えた事は今でも忘れない…
「違うよ、殺人事件研究クラブって言うの。知ってる?」
「……え!?」
「だから、殺人事件研究クラブだって。部活動一覧にも書いてあるよ」
悠木は速攻で部活動一覧の紙をチェックした。
体育系と文化系の欄から少し離れた所に書いてある。
「『みんなで沢山の殺人事件を解明しましょう!!! 部長:篠原』」
「ね?面白そうでしょ!」
「とてもフレンドリーだね…」
悠木はとてつもなく怪しい臭いを感じていた。
それもそのはず『殺人事件研究クラブ』は殺人事件に遭遇する事を前提に話が進んでいる、もし3年間に1度も殺人事件に遭遇出来なかったら、一体どうするつもりなんだろう?と
言う疑問さえも持たせてくれる部活だからだ。
「ねぇ南条君。もし暇なら一緒に見学に行かない?」
「(これはもしかして俺がずっと待っていた『きっかけ』って奴なのか?……だけどその部活が殺人事件研究クラブってどーよ?)」
悠木は考えていた。
これは神様が俺にくれた最大のチャンスなんじゃないかと…だが、そのチャンスはバスケ部でもテニス部でもない、もちろん卓球部でもない…そのチャンスは殺人事件研究クラブに与えられたのだ。
「まぁ、見学位なら行っても良いから…」
「ほんと!?ありがとう!友達誘っても誰もOKしてくれなくて困ってたんだ。それじゃぁ、約束ね」
「(そりゃそーだ、普通の生徒なら必ず断るよな…)」
休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った。
突然クラスの女子から殺人事件研究クラブへの見学を進められた悠木は次回遂に殺人事件に遭遇する…
『第2話、殺人事件は突然に…』
朝礼後の休み時間に隣の席の天川 セナに殺人事件研究クラブと言う怪しげなクラブに見学を誘われてしまった南条 悠木は結局断る事も出来ないまま、放課後になってしまった。
[放課後]
「南条くんは準備できた?」
「準備は出来たけど…部室ってどこにあるの」
「地学室よ。さぁ行きましょう」
地学室、それは地学を勉強する者が集う場所で、クラスのある教室棟とはまた別の特別教室棟の3階の一番奥にある教室である。
とはいえ、地学と言う科目自体ずいぶん前に廃止しており、今は誰も使う事のない教室である。
そして、悠木自身女子と二人で歩くなんて事は小学生以降から体験してしていないので、かなり緊張していた。
「ここよ」
「ここが地学室か…」
そこは確かに地学室と書いてあったが『地』と言う文字が擦れていて、殆ど『地』とは読めない状態だった。
でも本当に陰湿な所だ、殺人事件研究クラブには色々とお似合いな所かもしれない…
ガラガラガラ…
「遅くなりました!先輩」
「いや~待ったよセナ君!今日も来てくれるなんて、先輩嬉しいぞ。ん?セナ君その人は…」
「先輩紹介しますね。この人は今日見学に来てくれた。同じクラスで隣の席の南条 悠木
くんです。」
「そうか!私はこの殺人事件研究クラブの部長をやっている篠原 正治だ部員は私とセナ君だけだが、これからもよろしくな!」
「こちらこそ…」
まさか、こんなテンションの高い人が部長だなんて、ある意味期待を裏切られた感じがした。
もっと、自分みたいにネクラな感じでミステリー研究会みたいに暗いドンヨリとした雰囲気だと思っていたからだ。
「じゃぁ、初心者の悠木君に殺人事件研究クラブの活動内容を説明しよう!この部活は毎日の様に起こる殺人事件を我々部員全員で解き明かし、犯人を捕まえる事を最終目標に活動している部活だ」
「ちなみに、実際に犯人を捕まえたことは?」
「ない!」
「やっぱり…」
「実際に現場に行くと小説みたいに上手い様に行かないんだよ!でも、惜しい所までは行ったんだぞ」
普通の殺人が小説や漫画みたいにセオリー通りに行くわけない事ぐらい、小学生でも知っている世の中なのに、ここに居る高校生は一体何をバカな事を言ってるんだ。
「あぁ!!!今、悠木君部長の事を馬鹿にしたな!!!『セオリー通り行くわけない』とでも思ったんだろ?良いだろう…僕と推理勝負だ!!」
「先輩、それ面白そうですね!」
「そうだろ、セナ君。そして、もし悠木君が勝ったら殺人事件研究クラブに入部することを認めよう…」
「別に入りたくな――――」
「そーか!!そんなに嬉しいか。わたしは強いぞ?昔、父の書斎にあった推理小説を全部読んだ記憶がある…」
「記憶があいまいじゃねーか!それでよく殺人事件を解明出来ると思ったな…」
何故、こんな事になったのか解らないが、いきなり見学早々に部長と推理対決をする事となった。
大体そんな都合よく殺人事件が起こる分けないだろ…
君が~いるから~守り――――
「もしもし、こちら殺人事件研究クラブ部長の篠原…なんだと!!!学校の近くで人が死んでる!?わかったすぐに行く」
「え!?今なんて…」
「聞いての通りだ。行くぞ」
急に2人が走り出した。
「推理対決なんか面倒臭いよ。…今までの様に逃げてしまえば……逃げてしまえば…これからも……」
悠木は皆の後を追って走り出した。
以前の悠木なら絶対にしない行動だ。
だが、自分でもよく解らないが自分の中で何かが変わろうとしていた。
「(そうだ!俺はきっかけを待っていたんじゃないか。どんな形でも良い…俺はこの神様がくれたきっかけを全体に逃さない…)」
現場はすぐに解った。
そこにはとんでも数の生徒の野次馬が居たからである。
「遅かったじゃないか…悠木君。てっきり、逃げたと思っていたよ」
「逃げるのには飽きましたからね。推理対決負けませんよ」
「頑張ってね、南条くん」
「でも、学生何かに現場とか見せてくれるんですか?」
「知らないの南条くん?部長のお父さんは警視総監なんだよ」
「篠原って…もしかしてあの篠原 誠二郎?警視総監の?」
「うん。だから、今まで現場とか見せて貰えてたんだよ」
いくら、警察のお偉いさんでも息子には弱いんだな…
3人は現場を見せてもらえる事になった。
「し…死んでるよ。人が死んでる…」
そこには天井の高い所にロープで円を描いており、見た感じではどう考えても自殺である。
悠木は始めて死体を見たが、もっとグチャグチャにされていると思っていた。
そして、人と言うのはああも簡単に死ぬんだなと改めて感じた。
「今のところの状況は?」
「はい!発見したのは此処のアパートの管理人である、伊藤 高男さん43歳で家賃の取り立てに向かったが返事が無いので合鍵を使ってドアを開けたら伊藤さんが首を吊って死んでいた。死亡推定時刻は今から1時間前の午後5時半です」
「って事は自殺だな。窓の鍵も内側からキチンと閉まっていたし」
すると、篠原が急に真面目な顔をして語り始めた。
「ちょっと、待って下さい刑事さん!これは殺人ですよ」
「篠原さん一体何を根拠に…」
「根拠ならあります。それは吊っている位置ですよ、普通あの位置で首を吊ろうとしたら、何かを踏み台にしなきゃいけない。なのに現場には首を吊った位置には何も落ちてない。…これは他殺ですよ」
「さすが先輩です。…って事はこれは…」
「密室殺人事件…と言う事になる。」
その言葉に全員が息を呑んだ。
だが、そこには篠原と同じ考えを予測していた人間がいた。
「死体を見る限り、目立った外傷が見られない…おそらく死因は毒殺でしょう。そして、犯人は被害者の身内か知りあいになるでしょうね」
「どーして、そんな事が解るの?」
「普通知らない人間を自分の部屋上げないでしょ?使ったすればカップ何だが…もう犯人が処理したかもな。とりあえず、アパートの住人に事情聴取と言った所ですかね」
その場にいた全員が悠木を見つめる。
警察は皆驚き、セナはキラキラした目でこちらを見ている。
そして、篠原は…
「な…中々やるじゃないか!!これでこそ推理対決だ悠木君」
「でも、アパートの住人じゃない可能性も…」
「この近くは住宅街になっている、しかも午後5時半なんて頃は買い物帰りの主婦が
井戸端会議してたりするだろ?聞き込みでもすればアパートから出てくる怪しい人がいたかどうか検討がつくよ」
「南条くんすごい!!探偵みたい」
自分でもびっくりしていた。
まさか自分でも此処まで出来るなんて夢にも思ってなかったからだ。
セナのキラキラした目に調子に乗り現場を調べていた、その時急に頭痛が悠木を襲い、その痛さに思わず倒れてしまった。
「南条くん!?きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
現場にセナの悲鳴が響いた。
朝礼後の休み時間に隣の席の天川 セナに殺人事件研究クラブと言う怪しげなクラブに見学を誘われてしまった南条 悠木は結局断る事も出来ないまま、放課後になってしまった。
[放課後]
「南条くんは準備できた?」
「準備は出来たけど…部室ってどこにあるの」
「地学室よ。さぁ行きましょう」
地学室、それは地学を勉強する者が集う場所で、クラスのある教室棟とはまた別の特別教室棟の3階の一番奥にある教室である。
とはいえ、地学と言う科目自体ずいぶん前に廃止しており、今は誰も使う事のない教室である。
そして、悠木自身女子と二人で歩くなんて事は小学生以降から体験してしていないので、かなり緊張していた。
「ここよ」
「ここが地学室か…」
そこは確かに地学室と書いてあったが『地』と言う文字が擦れていて、殆ど『地』とは読めない状態だった。
でも本当に陰湿な所だ、殺人事件研究クラブには色々とお似合いな所かもしれない…
ガラガラガラ…
「遅くなりました!先輩」
「いや~待ったよセナ君!今日も来てくれるなんて、先輩嬉しいぞ。ん?セナ君その人は…」
「先輩紹介しますね。この人は今日見学に来てくれた。同じクラスで隣の席の南条 悠木
くんです。」
「そうか!私はこの殺人事件研究クラブの部長をやっている篠原 正治だ部員は私とセナ君だけだが、これからもよろしくな!」
「こちらこそ…」
まさか、こんなテンションの高い人が部長だなんて、ある意味期待を裏切られた感じがした。
もっと、自分みたいにネクラな感じでミステリー研究会みたいに暗いドンヨリとした雰囲気だと思っていたからだ。
「じゃぁ、初心者の悠木君に殺人事件研究クラブの活動内容を説明しよう!この部活は毎日の様に起こる殺人事件を我々部員全員で解き明かし、犯人を捕まえる事を最終目標に活動している部活だ」
「ちなみに、実際に犯人を捕まえたことは?」
「ない!」
「やっぱり…」
「実際に現場に行くと小説みたいに上手い様に行かないんだよ!でも、惜しい所までは行ったんだぞ」
普通の殺人が小説や漫画みたいにセオリー通りに行くわけない事ぐらい、小学生でも知っている世の中なのに、ここに居る高校生は一体何をバカな事を言ってるんだ。
「あぁ!!!今、悠木君部長の事を馬鹿にしたな!!!『セオリー通り行くわけない』とでも思ったんだろ?良いだろう…僕と推理勝負だ!!」
「先輩、それ面白そうですね!」
「そうだろ、セナ君。そして、もし悠木君が勝ったら殺人事件研究クラブに入部することを認めよう…」
「別に入りたくな――――」
「そーか!!そんなに嬉しいか。わたしは強いぞ?昔、父の書斎にあった推理小説を全部読んだ記憶がある…」
「記憶があいまいじゃねーか!それでよく殺人事件を解明出来ると思ったな…」
何故、こんな事になったのか解らないが、いきなり見学早々に部長と推理対決をする事となった。
大体そんな都合よく殺人事件が起こる分けないだろ…
君が~いるから~守り――――
「もしもし、こちら殺人事件研究クラブ部長の篠原…なんだと!!!学校の近くで人が死んでる!?わかったすぐに行く」
「え!?今なんて…」
「聞いての通りだ。行くぞ」
急に2人が走り出した。
「推理対決なんか面倒臭いよ。…今までの様に逃げてしまえば……逃げてしまえば…これからも……」
悠木は皆の後を追って走り出した。
以前の悠木なら絶対にしない行動だ。
だが、自分でもよく解らないが自分の中で何かが変わろうとしていた。
「(そうだ!俺はきっかけを待っていたんじゃないか。どんな形でも良い…俺はこの神様がくれたきっかけを全体に逃さない…)」
現場はすぐに解った。
そこにはとんでも数の生徒の野次馬が居たからである。
「遅かったじゃないか…悠木君。てっきり、逃げたと思っていたよ」
「逃げるのには飽きましたからね。推理対決負けませんよ」
「頑張ってね、南条くん」
「でも、学生何かに現場とか見せてくれるんですか?」
「知らないの南条くん?部長のお父さんは警視総監なんだよ」
「篠原って…もしかしてあの篠原 誠二郎?警視総監の?」
「うん。だから、今まで現場とか見せて貰えてたんだよ」
いくら、警察のお偉いさんでも息子には弱いんだな…
3人は現場を見せてもらえる事になった。
「し…死んでるよ。人が死んでる…」
そこには天井の高い所にロープで円を描いており、見た感じではどう考えても自殺である。
悠木は始めて死体を見たが、もっとグチャグチャにされていると思っていた。
そして、人と言うのはああも簡単に死ぬんだなと改めて感じた。
「今のところの状況は?」
「はい!発見したのは此処のアパートの管理人である、伊藤 高男さん43歳で家賃の取り立てに向かったが返事が無いので合鍵を使ってドアを開けたら伊藤さんが首を吊って死んでいた。死亡推定時刻は今から1時間前の午後5時半です」
「って事は自殺だな。窓の鍵も内側からキチンと閉まっていたし」
すると、篠原が急に真面目な顔をして語り始めた。
「ちょっと、待って下さい刑事さん!これは殺人ですよ」
「篠原さん一体何を根拠に…」
「根拠ならあります。それは吊っている位置ですよ、普通あの位置で首を吊ろうとしたら、何かを踏み台にしなきゃいけない。なのに現場には首を吊った位置には何も落ちてない。…これは他殺ですよ」
「さすが先輩です。…って事はこれは…」
「密室殺人事件…と言う事になる。」
その言葉に全員が息を呑んだ。
だが、そこには篠原と同じ考えを予測していた人間がいた。
「死体を見る限り、目立った外傷が見られない…おそらく死因は毒殺でしょう。そして、犯人は被害者の身内か知りあいになるでしょうね」
「どーして、そんな事が解るの?」
「普通知らない人間を自分の部屋上げないでしょ?使ったすればカップ何だが…もう犯人が処理したかもな。とりあえず、アパートの住人に事情聴取と言った所ですかね」
その場にいた全員が悠木を見つめる。
警察は皆驚き、セナはキラキラした目でこちらを見ている。
そして、篠原は…
「な…中々やるじゃないか!!これでこそ推理対決だ悠木君」
「でも、アパートの住人じゃない可能性も…」
「この近くは住宅街になっている、しかも午後5時半なんて頃は買い物帰りの主婦が
井戸端会議してたりするだろ?聞き込みでもすればアパートから出てくる怪しい人がいたかどうか検討がつくよ」
「南条くんすごい!!探偵みたい」
自分でもびっくりしていた。
まさか自分でも此処まで出来るなんて夢にも思ってなかったからだ。
セナのキラキラした目に調子に乗り現場を調べていた、その時急に頭痛が悠木を襲い、その痛さに思わず倒れてしまった。
「南条くん!?きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
現場にセナの悲鳴が響いた。
『第3話、埋もれていた才能』
「な……なんじょ……」
誰かが俺を読んでいる。
暗い闇の中から声が聞こえる…僕その声に聞き覚えがあった…昔から…中学の頃から…聞き覚えがあった。
「南条くん!!!南条くん!!!」
俺はその声で目が覚めた。
名前を読んでいたのは天川 セナだった。
「天…川さん…?」
「良かった…びっくりしたんだぞ、悠木君急に倒れるんだから」
泣きそうな顔でこっちを見つめるセナ。
「そういえば、俺一体何を…!?」
急にすべてを把握した悠木は、現場に走っていた。
現場では篠原や刑事さんがまだ調べている。
「悠木君!?もう体の具合は…」
また、頭痛が始まった。
やはりこの現場には何かがある…何だこのざらついた違和感わ。
一体何が俺を呼ぶんだ…すると、悠木の目にレンタルビデオ屋のDVDが止まった。
「これは…」
「これ、近くにあるGAOのって言うレンタルビデオ屋のDVDらしいよ」
「南条くん倒れてたから聞いてなかったけど、警察の人が『被害者の松尾 亮二さん(無職)はレンタルビデオ屋から帰って部屋に居る時に襲われた』っていってた。」
「わたしが思うに…このレンタルビデオ屋が怪しいと思うんだよ」
すると、警察が事情聴取を終わらせたみたいで、この2階建てアパートに住んでいる4人がやって来た。
容疑者は現場の部屋の2つ隣りに住む永田 加奈子(26歳):ホステス
被害者の上の階に住む武田 剛(35歳):喫茶店営業
被害者の隣の部屋に住む田中 宗一(23歳):大学生
そして、武田の隣の部屋に住む管理人の伊藤 高男(43歳)
「みなさん、アリバイは?」
「あるわけ無いじゃない!!みんな、自分の部屋に居たんだから…」
「大体、その殺された松尾って言う男の事も知らなかった位ですよ」
「わたしは…アルバイトに出てました」
「管理人さんが、アルバイトですか?」
その、伊藤さんのバイト先と言うのがレンタルビデオ屋のGAOである。
GAOからこのアパートまでが走って片道5分、往復でも10分かそこらなので、全然犯行は可能。
「という事は、管理人さんは被害者がDVDを借りに来るのを目撃しているって事ですか?」
「はい。覚えてますよ」
「ねぇ刑事さん、もう良いでしょ?わたしこれから仕事なのよ」
「僕も明日締め切りのレポート提出しなきょいけないんです」
「ちょっと、待って下さい。まだ色々と聞きたい事が…」
そんな中まだ、悠木の頭痛は治まっていなかった…
その頭痛も激しくなる一方で全然治まる気配を見せない。
「悠木君、密室のトリック解ったかい?」
「全然ですよ」
篠原は何か掴んでいるらしく、不敵な笑みを浮かべながら悠木を見つめた。
「じゃぁ、もう今日は帰って良いですから。明日また話を聞かせて下さい」
「篠原さん。容疑者達があの様子なので今日はここまでにします」
「じゃぁ我々も帰ろうか」
全員部屋から出て、最後に悠木が出ようとドアノブを持った時、頭痛が一気に高まり、それと同時に悠木はある事に気付いた。
「こ…このドアのロック方法って…鍵を閉めたらドアノブが回らなくなるタイプ何ですか?」
「え!?」
「ほら、2種類あるじゃん。内側からカギを閉めたら、ストッパーが出てきてドアノブは回るけどそのストッパーが邪魔で開かないって奴との2種類」
「なるほど…それとドアについてもう少し解った事があるが、地面とドアの間に少しだけ隙間がありますね」
「そりゃぁ、隙間位ありますよ。このアパートもだいぶ古いですからね」
その後3人はここで解散になった。
篠原は車が迎えに来ており、その車で家まで帰っていった。
そして、悠木とセナは…
「じゃぁ俺、こっちだから…」
「わたしもそっちよ。良かったら一緒に帰らない?」
「べ…別に…良いけど…」
異性と下校を共にするなど、悠木の記憶上始めての事なのでやけに落ち着かなかった。
何を話したら良いかも解らず、沈黙の時間が過ぎていた、すると遠くの方からGAOと大きくて光っている看板が見えた。
「あれが、管理人さんが働いているレンタルビデオ屋?」
「そうだと思う。でも、斎京町だけでもレンタルビデオ屋なんて3つもあるし全部会社は違うんだよ」
「ふぅーん」
「じゃぁ、わたしこっちだから。また明日ね」
そう言って、セナは走っていた。
ものの10分だったが、1時間位の時を感じていた。
「すごく疲れた。久しぶりのあんなに人と話したからかな?」
[翌日(土曜日)]
現場に皆が集合した。
もちろん、容疑者達も集まっている。
「刑事さん何か進展は?」
「有りましたとも。全員被害者の松尾を殺す動機が見つかりました。まず永田さんは被害者からしつこくストーカー被害のあっていたらしいですね?事件前日も口論があったとか」
「……」
「昨日『松尾なんて男は知らない』と言っていた武田さん。あなた、自分の経営している喫茶店でよく松尾さんと揉め事になっているそうで」
「それは…あいつが…」
「まだまだありますよ、田中さんは両親が多額の借金を背負わされているようで。管理人さんは11年前の娘さんがひき逃げ事件でその重要参考人が松尾だったが、証拠不十分で逮捕まで出来なかった様ですよ」
「全員の殺す動機があるって事ね」
このアパートに渦巻く松尾をめぐる人の意志が交差する中、篠原と天川は困難をしいられていた。
「この事件例え密室のトリックを解決しても容疑者が多過ぎて犯人の特定が出来ない…」
「このアパートの住人にはアリバイが無いしね…」
その頃、悠木は鑑識の人に話を聞いていた。
「鑑識さん、少し聞きたい事があるんですが…」
「なんだい?学生さん」
「被害者の財布か何処かにGAOの会員カードがありましたか?」
「他のレンタルビデオ屋の会員カードならあったが、GAOの会員カードは見つかってないが」
「え!?(GAOの会員カードが無いだと?)他に変わった事はありませんでしたか?」
「そーだな…あぁ、そーいえば…指紋が殆ど拭き取られていてたな。細かい所を見れば被害者の指紋は見つかるが、ドアノブとかきれいに拭き取られていたからね」
指紋がきれいに拭きとられる事は殺人事件ではよくあるが、この事件でドアノブに指紋が無いのは明らかにおかしいと悠木は感じていた。
「後、この事は篠原先輩には秘密ですよ」
ここまでの整理
・密室の謎
・容疑者全員にアリバイがなく、動機はある
・ドアの鍵、隙間
・消えたGAOの会員カード
・拭きとられたドアノブの指紋
「な……なんじょ……」
誰かが俺を読んでいる。
暗い闇の中から声が聞こえる…僕その声に聞き覚えがあった…昔から…中学の頃から…聞き覚えがあった。
「南条くん!!!南条くん!!!」
俺はその声で目が覚めた。
名前を読んでいたのは天川 セナだった。
「天…川さん…?」
「良かった…びっくりしたんだぞ、悠木君急に倒れるんだから」
泣きそうな顔でこっちを見つめるセナ。
「そういえば、俺一体何を…!?」
急にすべてを把握した悠木は、現場に走っていた。
現場では篠原や刑事さんがまだ調べている。
「悠木君!?もう体の具合は…」
また、頭痛が始まった。
やはりこの現場には何かがある…何だこのざらついた違和感わ。
一体何が俺を呼ぶんだ…すると、悠木の目にレンタルビデオ屋のDVDが止まった。
「これは…」
「これ、近くにあるGAOのって言うレンタルビデオ屋のDVDらしいよ」
「南条くん倒れてたから聞いてなかったけど、警察の人が『被害者の松尾 亮二さん(無職)はレンタルビデオ屋から帰って部屋に居る時に襲われた』っていってた。」
「わたしが思うに…このレンタルビデオ屋が怪しいと思うんだよ」
すると、警察が事情聴取を終わらせたみたいで、この2階建てアパートに住んでいる4人がやって来た。
容疑者は現場の部屋の2つ隣りに住む永田 加奈子(26歳):ホステス
被害者の上の階に住む武田 剛(35歳):喫茶店営業
被害者の隣の部屋に住む田中 宗一(23歳):大学生
そして、武田の隣の部屋に住む管理人の伊藤 高男(43歳)
「みなさん、アリバイは?」
「あるわけ無いじゃない!!みんな、自分の部屋に居たんだから…」
「大体、その殺された松尾って言う男の事も知らなかった位ですよ」
「わたしは…アルバイトに出てました」
「管理人さんが、アルバイトですか?」
その、伊藤さんのバイト先と言うのがレンタルビデオ屋のGAOである。
GAOからこのアパートまでが走って片道5分、往復でも10分かそこらなので、全然犯行は可能。
「という事は、管理人さんは被害者がDVDを借りに来るのを目撃しているって事ですか?」
「はい。覚えてますよ」
「ねぇ刑事さん、もう良いでしょ?わたしこれから仕事なのよ」
「僕も明日締め切りのレポート提出しなきょいけないんです」
「ちょっと、待って下さい。まだ色々と聞きたい事が…」
そんな中まだ、悠木の頭痛は治まっていなかった…
その頭痛も激しくなる一方で全然治まる気配を見せない。
「悠木君、密室のトリック解ったかい?」
「全然ですよ」
篠原は何か掴んでいるらしく、不敵な笑みを浮かべながら悠木を見つめた。
「じゃぁ、もう今日は帰って良いですから。明日また話を聞かせて下さい」
「篠原さん。容疑者達があの様子なので今日はここまでにします」
「じゃぁ我々も帰ろうか」
全員部屋から出て、最後に悠木が出ようとドアノブを持った時、頭痛が一気に高まり、それと同時に悠木はある事に気付いた。
「こ…このドアのロック方法って…鍵を閉めたらドアノブが回らなくなるタイプ何ですか?」
「え!?」
「ほら、2種類あるじゃん。内側からカギを閉めたら、ストッパーが出てきてドアノブは回るけどそのストッパーが邪魔で開かないって奴との2種類」
「なるほど…それとドアについてもう少し解った事があるが、地面とドアの間に少しだけ隙間がありますね」
「そりゃぁ、隙間位ありますよ。このアパートもだいぶ古いですからね」
その後3人はここで解散になった。
篠原は車が迎えに来ており、その車で家まで帰っていった。
そして、悠木とセナは…
「じゃぁ俺、こっちだから…」
「わたしもそっちよ。良かったら一緒に帰らない?」
「べ…別に…良いけど…」
異性と下校を共にするなど、悠木の記憶上始めての事なのでやけに落ち着かなかった。
何を話したら良いかも解らず、沈黙の時間が過ぎていた、すると遠くの方からGAOと大きくて光っている看板が見えた。
「あれが、管理人さんが働いているレンタルビデオ屋?」
「そうだと思う。でも、斎京町だけでもレンタルビデオ屋なんて3つもあるし全部会社は違うんだよ」
「ふぅーん」
「じゃぁ、わたしこっちだから。また明日ね」
そう言って、セナは走っていた。
ものの10分だったが、1時間位の時を感じていた。
「すごく疲れた。久しぶりのあんなに人と話したからかな?」
[翌日(土曜日)]
現場に皆が集合した。
もちろん、容疑者達も集まっている。
「刑事さん何か進展は?」
「有りましたとも。全員被害者の松尾を殺す動機が見つかりました。まず永田さんは被害者からしつこくストーカー被害のあっていたらしいですね?事件前日も口論があったとか」
「……」
「昨日『松尾なんて男は知らない』と言っていた武田さん。あなた、自分の経営している喫茶店でよく松尾さんと揉め事になっているそうで」
「それは…あいつが…」
「まだまだありますよ、田中さんは両親が多額の借金を背負わされているようで。管理人さんは11年前の娘さんがひき逃げ事件でその重要参考人が松尾だったが、証拠不十分で逮捕まで出来なかった様ですよ」
「全員の殺す動機があるって事ね」
このアパートに渦巻く松尾をめぐる人の意志が交差する中、篠原と天川は困難をしいられていた。
「この事件例え密室のトリックを解決しても容疑者が多過ぎて犯人の特定が出来ない…」
「このアパートの住人にはアリバイが無いしね…」
その頃、悠木は鑑識の人に話を聞いていた。
「鑑識さん、少し聞きたい事があるんですが…」
「なんだい?学生さん」
「被害者の財布か何処かにGAOの会員カードがありましたか?」
「他のレンタルビデオ屋の会員カードならあったが、GAOの会員カードは見つかってないが」
「え!?(GAOの会員カードが無いだと?)他に変わった事はありませんでしたか?」
「そーだな…あぁ、そーいえば…指紋が殆ど拭き取られていてたな。細かい所を見れば被害者の指紋は見つかるが、ドアノブとかきれいに拭き取られていたからね」
指紋がきれいに拭きとられる事は殺人事件ではよくあるが、この事件でドアノブに指紋が無いのは明らかにおかしいと悠木は感じていた。
「後、この事は篠原先輩には秘密ですよ」
ここまでの整理
・密室の謎
・容疑者全員にアリバイがなく、動機はある
・ドアの鍵、隙間
・消えたGAOの会員カード
・拭きとられたドアノブの指紋
『第4話、真実は変わらない…』
斎京町で起こっているこの密室殺人事件の捜査はかなりの困難な状況になっていた。
容疑者の全員に被害者を殺す動機があり、そしてアリバイもない…
殺人事件研究クラブの入部テストのために部長の篠原と推理対決をする事になった主人公の南条 悠木ははたして犯人を見つけることは出来るのか…
「GAOの会員カードが無くなっていた?…どーして…」
「何か解ったかね?悠木君」
「それが、さっぱり」
篠原の方も何か引っかかっているらしく、まだ答えまでたどり着いていないようだ。
悠木は何か手掛かりを探して、部屋の中を見て回る。
すると、急に何かがにぶつかり悠木はバランスを崩して戸棚に激突した。
その衝撃で戸棚にある物が落ちて、その場に散乱してしまった。
「ご、ごめんなさい。悠木君大丈夫?」
「あ…うん、平気平気。天川さんこそ大丈夫だった?」
「ちょっと、現場荒らすのはやめてくれよ!後で怒られるのは警察の俺なんだから…」
「「すいません」」
2人が散乱した物を拾い集めていると、また悠木に頭痛が走った
何だ?今度は何が俺を呼んだんだ…
悠木は必死に周りを探した、そして目に止まった物は…
「セロハンテープの入った袋にハサミ?…」
「どーしたの?」
「…いや、何でも…ない…と思う」
悠木は袋とセロハンテープをハンカチで手に取り、よく観察した。
セロハンテープの入った袋には何かで切り裂いた後、これはおそらくさっきのハサミだろう…
「どーして、わざわざハサミで切ったんだ?普通にギザギザの所から開ければ良かったのに……そーか…そー言う事か」
悠木は急いで容疑者と話をしている警察の所へ行き、耳元である事についてに調べて貰う様に頼んだ。
「管理人さんの部屋に………」
「別にいいけど…どーしてそんな事を?」
「証拠になるかもしれないからですよ」
刑事さんは急いで調べ始めた。
その動きに気づいたらしく、篠原が悠木の所にやってきて事件について問いかける。
「悠木君。何か掴んだんだね?」
「はい……大体の見当はつきました…」
「何をそんなにためらっているんだい」
「そりゃ、そーですよ…僕みたいな何の苦労も経験したことない高校生ごときが、他人の人生を狂わせる権利なんて無いじゃないですか!!!」
その言葉に篠原は返す言葉が思いつかなかった…
自分は今まで殺人事件をただ『トリックを見破り、犯人を捕まえる』としか考えていなくて、悠木の様な考えは思いもつかなかった。
悠木は思った。
俺は何者だ?…自分の言った言葉で誰かの人生を狂わせてしまう…例えそれが人殺しでも、何か理由があるに違いない…何か…
「自分はさっきまで…ただ犯人を捕まえればそれで良いと思ってましたよ…人の人生を決める決定権なんて自分には無いのに……神様にでもなったつもりだした…」
「それは例え神様でも、人の人生を決める決定権なんて無いのかもしれないな…」
「そんなこと無いです!!」
セナは二人に向かって叫んだ。
「人を裁けるのは人だけです!犯人が捕まって悲しんだ人もいるかもしれないけど…被害者の松尾が死んだせいで悲しんでいる人もいるですよ……この事件を解いてしまった南条くんは犯人を捕まえる権利が与えられたんです」
「犯人を捕まえる権利…」
「人を殺して許されるわけないじゃないですか…」
重苦しい空気の中
調べ物を頼んだ刑事さんがやって来て、悠木に耳打ちした。
「……やっぱりあったんですか」
「君の睨んだ通り、確かに30分休憩をとっているし、毛糸の手袋も見つかったよ」
「そーですか…」
ここまでの最終整理だ
・密室の謎
・容疑者全員にアリバイがなく、動機はある
・ドアの鍵、隙間
・消えたGAOの会員カード
・拭きとられたドアノブの指紋
・セロハンテープの袋とハサミ
・手袋
・30分の休憩
これで全ての謎が解ける…はたして君は犯人が解ったかな?
「皆さんを、ここに集めて下さい…」
少しすると容疑者の4人が集まり、ざわめきだした。
「ちょっと!何なのよ、こんな所に全員集めて」
「わたしもこれからGAOのバイトが…」
「自分も…」
悠木は深呼吸をした後、少し間をおいて話し始めた。
「今から、この密室殺人事件の全貌をお話します…」
その言葉に容疑者4人全員が驚いた。
「本当に解ったの?こんな子供が…?」
「子供の遊びには付き合ってられないぞ!」
「い、一体だれが犯人なんです?」
「その前に1つ聞いて良いですか?ここにいる容疑者の皆さんは、1度も最近この部屋に入った事は無いですか?」
全員がうなずいたのを確認して、セナと篠原が見つめる中、話を続けた。
「犯人は…」
少しためらったがセナ言葉を思い出し、悠木は人差し指を立てて、ゆっくり丁寧に右腕を高く上げて、少し静止させた後思いっきり振り下ろした。
「犯人…あなたです…管理人さん!」
他の容疑者3人や警察そして、部員の2人も一斉に管理人の方を向く。
「…管理人さん…あんたが…」
「ち、違う…わたしじゃ無い!大体、わたしにはGAOでアルバイトをしていたって言うアリバイがあるじゃないですか?」
「それも完全に裏が取れてますよ…あなたは30分間だけ休憩の時間がある事もね」
「なるほど、アルバイトだと言えばアリバイがあると一時的に認められ、その後に同じ時間にいた店員と口裏を合わせれば良いからね」
「案の定、中々口を割ってくれませんでしたよ…」
管理人さんは急に挙動不審になり、きょろきょろと周りを気にしはじめた。
「でも、そんなの憶測でしょ?確かに30分休憩がありましたよ。言うのをわ、忘れただけです…」
「あなたはまず、片道5分を使ってアパートに帰ります。そして、松尾さんの部屋のドアを叩いた、管理人である貴方なら何か理由をつけて部屋に入れるでしょう。何らかの方法で毒殺して松尾さんを首つり自殺に見せかけた。」
「じゃぁ、密室のトリックは?どう説明するんだよ」
ここが1番の難所である。
トリックの方法が見破れない限り、この事件は永久に迷宮入りになってしまう。
「ここからはあくまでも俺の憶測だけど…まず使うのはGAOのカード」
「あぁ、無くなっていたって奴か」
「まずGAOのカードにこの部屋にあったセロハンテープで固く糸を取り付ける、この糸は恐らく管理人が事前に用意していたんでしょう」
実際に悠木はカードにセロハンテープで糸を取り付けた物を用意して、ドアの方へ行き実演し始めた。
「ここで重要なのは、ドアのロック方法です。ここのドアはロックを掛けるとドアノブが回らなくなるタイプなんですが、このタイプの弱点はドアをちゃんと閉めた時…正確に言えばランチボルトの部分が伸びきらないとロックがかからないんです。」
悠木はランチボルトの上にさっきのカードをセロハンテープで軽く止め、糸をドアの下の隙間に通した。
「この状態ででドアを閉めるんです。そうするとランチボルトが止まっているせいでドアにカギがかからない。この状態で糸を引く!」
そうすると、カードが剥がれたおかげでランチボルトが回り、ドアは完全にロック出来き、そしてカードは糸をたぐる事で回収できる。
悠木以外のその場にいた人間全員が息を飲んだ…
「これが密室のトリックだ!!!」
「…南条くん…す、すごい…」
「まさか、ここまで出来るとは…」
「で、でもそんなんじゃ自分が犯人だって言う証拠にはならない!」
そう、これはいわゆる状況証拠でしかない。
今、この状況で密室のトリックを暴いた所で何にもならない事は悠木自身重々承知だった。
「そーです…実際、指紋なんて出てきやしませんでしたよ。綺麗に拭き取られていました……でも、これって可笑しくないですか?」
「指紋を拭き取るのは殺人現場でよくある事だが」
「見落としていませんか?どーして、第1発見者の管理さんの指紋も出て来なかったんですか?呼んだが返事が無くて合鍵を使ってドアを開けたんですよね」
「!?」
その時、管理人さんの体がビクっと反応した。
汗まで出てきている。
「指紋をつくのを恐れて貴方は、ハンカチか何かを使ったんじゃないですか?」
「……わ、わたし冷え性な者で…だから手袋をしていて…」
目が完全に泳いでいる。
「それはこの手袋ですか?」
その、手袋はさっき警察に頼んで管理人さんの部屋から調べて貰った物を見せた。
「そ、そう!それです、それ私のです!」
「貴方は今、自分で自分の罪でを認めましたね…」
「え!?」
「俺はずっと疑問でした…どーして、セロハンテープの袋がハサミで開けられていたのかを…普通は袋を開ける際にギザギザの部分があってそこから開けたり引っ張ったりしますよね?」
「まぁ、普通なら私もそーするわ」
「でも、管理人さんは開ける事が出来なかった。それは限られた30分の間にやり遂げなければならなかったプレッシャーから、手袋を着けていた管理人さんはその場にあったハサミで袋を開けたんだ…」
「馬鹿らしい。そ、それがどーしたって言うんですか!証拠にでもなるって言うんですか?」
「でも、管理人さんは1度だけ手袋を外してしまった時がある。それは、セロハンテープを剥がす時だ!!!セロハンテープを貼り付ける時は手袋をはめたままでも出来るが、剥がす時だけはリスクよりも時間を優先した貴方は素手でやってしまったんだ。その後いくら拭き取った所で、セロハンテープの粘着部分を鑑識に回せば貴方の指紋が出てくるでしょう」
「……そ、それは前に松尾さんの家賃を取り立てに――――」
このごに及んでまだいい訳を続ける管理人さんはとても醜く感じた。
人はこんなにも正気を失うと惨めになれるのだな…悠木はその態度に我慢できなかった。
「いい加減にして下さい!!!!」
「!?」
「そのいい訳、可笑しいとは思わないんですか?初めに聞きましたよね?一度もこの部屋に入った事はないですか?そして…貴方はうなずいた…」
「……」
「いくら、いい訳したって…真実は……真実は変わったりしないんだ!!!!」
「南条くん…」
その場に少しの静寂な時があった。
「…あいつは…あの男だけは絶対に許せなかったんだ!!!お前らに大切な娘を失った気持が解るか!!!こんな状況に陥れば誰だって、お前だって殺すだろ?」
その答えの合否は今の3人には解らなからない…
結局、悠木は一人の男の人生を終わらせてしない、その重さはこれからの人生一生背負わなければならない事だと実感していた。
「…僕なら……その人殺すかもしれません…でも……貴方の様なヘマは絶対にしない…」
[後日]
「ねぇ、南条くん。もしあの時、粘着部分から指紋が出て来なかったらどーするつもりだったの?」
「その時は…密室のトリック時にランチボルトを止めるために使ったセロハンテープがあっただろ?もし、手袋のままでそのセロハンテープを貼り付けたら普通は手袋の糸が付着してるハズ、それを鑑識に回せばあの手袋の奴だって解る」
斎京町密室殺人事件、解決
斎京町で起こっているこの密室殺人事件の捜査はかなりの困難な状況になっていた。
容疑者の全員に被害者を殺す動機があり、そしてアリバイもない…
殺人事件研究クラブの入部テストのために部長の篠原と推理対決をする事になった主人公の南条 悠木ははたして犯人を見つけることは出来るのか…
「GAOの会員カードが無くなっていた?…どーして…」
「何か解ったかね?悠木君」
「それが、さっぱり」
篠原の方も何か引っかかっているらしく、まだ答えまでたどり着いていないようだ。
悠木は何か手掛かりを探して、部屋の中を見て回る。
すると、急に何かがにぶつかり悠木はバランスを崩して戸棚に激突した。
その衝撃で戸棚にある物が落ちて、その場に散乱してしまった。
「ご、ごめんなさい。悠木君大丈夫?」
「あ…うん、平気平気。天川さんこそ大丈夫だった?」
「ちょっと、現場荒らすのはやめてくれよ!後で怒られるのは警察の俺なんだから…」
「「すいません」」
2人が散乱した物を拾い集めていると、また悠木に頭痛が走った
何だ?今度は何が俺を呼んだんだ…
悠木は必死に周りを探した、そして目に止まった物は…
「セロハンテープの入った袋にハサミ?…」
「どーしたの?」
「…いや、何でも…ない…と思う」
悠木は袋とセロハンテープをハンカチで手に取り、よく観察した。
セロハンテープの入った袋には何かで切り裂いた後、これはおそらくさっきのハサミだろう…
「どーして、わざわざハサミで切ったんだ?普通にギザギザの所から開ければ良かったのに……そーか…そー言う事か」
悠木は急いで容疑者と話をしている警察の所へ行き、耳元である事についてに調べて貰う様に頼んだ。
「管理人さんの部屋に………」
「別にいいけど…どーしてそんな事を?」
「証拠になるかもしれないからですよ」
刑事さんは急いで調べ始めた。
その動きに気づいたらしく、篠原が悠木の所にやってきて事件について問いかける。
「悠木君。何か掴んだんだね?」
「はい……大体の見当はつきました…」
「何をそんなにためらっているんだい」
「そりゃ、そーですよ…僕みたいな何の苦労も経験したことない高校生ごときが、他人の人生を狂わせる権利なんて無いじゃないですか!!!」
その言葉に篠原は返す言葉が思いつかなかった…
自分は今まで殺人事件をただ『トリックを見破り、犯人を捕まえる』としか考えていなくて、悠木の様な考えは思いもつかなかった。
悠木は思った。
俺は何者だ?…自分の言った言葉で誰かの人生を狂わせてしまう…例えそれが人殺しでも、何か理由があるに違いない…何か…
「自分はさっきまで…ただ犯人を捕まえればそれで良いと思ってましたよ…人の人生を決める決定権なんて自分には無いのに……神様にでもなったつもりだした…」
「それは例え神様でも、人の人生を決める決定権なんて無いのかもしれないな…」
「そんなこと無いです!!」
セナは二人に向かって叫んだ。
「人を裁けるのは人だけです!犯人が捕まって悲しんだ人もいるかもしれないけど…被害者の松尾が死んだせいで悲しんでいる人もいるですよ……この事件を解いてしまった南条くんは犯人を捕まえる権利が与えられたんです」
「犯人を捕まえる権利…」
「人を殺して許されるわけないじゃないですか…」
重苦しい空気の中
調べ物を頼んだ刑事さんがやって来て、悠木に耳打ちした。
「……やっぱりあったんですか」
「君の睨んだ通り、確かに30分休憩をとっているし、毛糸の手袋も見つかったよ」
「そーですか…」
ここまでの最終整理だ
・密室の謎
・容疑者全員にアリバイがなく、動機はある
・ドアの鍵、隙間
・消えたGAOの会員カード
・拭きとられたドアノブの指紋
・セロハンテープの袋とハサミ
・手袋
・30分の休憩
これで全ての謎が解ける…はたして君は犯人が解ったかな?
「皆さんを、ここに集めて下さい…」
少しすると容疑者の4人が集まり、ざわめきだした。
「ちょっと!何なのよ、こんな所に全員集めて」
「わたしもこれからGAOのバイトが…」
「自分も…」
悠木は深呼吸をした後、少し間をおいて話し始めた。
「今から、この密室殺人事件の全貌をお話します…」
その言葉に容疑者4人全員が驚いた。
「本当に解ったの?こんな子供が…?」
「子供の遊びには付き合ってられないぞ!」
「い、一体だれが犯人なんです?」
「その前に1つ聞いて良いですか?ここにいる容疑者の皆さんは、1度も最近この部屋に入った事は無いですか?」
全員がうなずいたのを確認して、セナと篠原が見つめる中、話を続けた。
「犯人は…」
少しためらったがセナ言葉を思い出し、悠木は人差し指を立てて、ゆっくり丁寧に右腕を高く上げて、少し静止させた後思いっきり振り下ろした。
「犯人…あなたです…管理人さん!」
他の容疑者3人や警察そして、部員の2人も一斉に管理人の方を向く。
「…管理人さん…あんたが…」
「ち、違う…わたしじゃ無い!大体、わたしにはGAOでアルバイトをしていたって言うアリバイがあるじゃないですか?」
「それも完全に裏が取れてますよ…あなたは30分間だけ休憩の時間がある事もね」
「なるほど、アルバイトだと言えばアリバイがあると一時的に認められ、その後に同じ時間にいた店員と口裏を合わせれば良いからね」
「案の定、中々口を割ってくれませんでしたよ…」
管理人さんは急に挙動不審になり、きょろきょろと周りを気にしはじめた。
「でも、そんなの憶測でしょ?確かに30分休憩がありましたよ。言うのをわ、忘れただけです…」
「あなたはまず、片道5分を使ってアパートに帰ります。そして、松尾さんの部屋のドアを叩いた、管理人である貴方なら何か理由をつけて部屋に入れるでしょう。何らかの方法で毒殺して松尾さんを首つり自殺に見せかけた。」
「じゃぁ、密室のトリックは?どう説明するんだよ」
ここが1番の難所である。
トリックの方法が見破れない限り、この事件は永久に迷宮入りになってしまう。
「ここからはあくまでも俺の憶測だけど…まず使うのはGAOのカード」
「あぁ、無くなっていたって奴か」
「まずGAOのカードにこの部屋にあったセロハンテープで固く糸を取り付ける、この糸は恐らく管理人が事前に用意していたんでしょう」
実際に悠木はカードにセロハンテープで糸を取り付けた物を用意して、ドアの方へ行き実演し始めた。
「ここで重要なのは、ドアのロック方法です。ここのドアはロックを掛けるとドアノブが回らなくなるタイプなんですが、このタイプの弱点はドアをちゃんと閉めた時…正確に言えばランチボルトの部分が伸びきらないとロックがかからないんです。」
悠木はランチボルトの上にさっきのカードをセロハンテープで軽く止め、糸をドアの下の隙間に通した。
「この状態ででドアを閉めるんです。そうするとランチボルトが止まっているせいでドアにカギがかからない。この状態で糸を引く!」
そうすると、カードが剥がれたおかげでランチボルトが回り、ドアは完全にロック出来き、そしてカードは糸をたぐる事で回収できる。
悠木以外のその場にいた人間全員が息を飲んだ…
「これが密室のトリックだ!!!」
「…南条くん…す、すごい…」
「まさか、ここまで出来るとは…」
「で、でもそんなんじゃ自分が犯人だって言う証拠にはならない!」
そう、これはいわゆる状況証拠でしかない。
今、この状況で密室のトリックを暴いた所で何にもならない事は悠木自身重々承知だった。
「そーです…実際、指紋なんて出てきやしませんでしたよ。綺麗に拭き取られていました……でも、これって可笑しくないですか?」
「指紋を拭き取るのは殺人現場でよくある事だが」
「見落としていませんか?どーして、第1発見者の管理さんの指紋も出て来なかったんですか?呼んだが返事が無くて合鍵を使ってドアを開けたんですよね」
「!?」
その時、管理人さんの体がビクっと反応した。
汗まで出てきている。
「指紋をつくのを恐れて貴方は、ハンカチか何かを使ったんじゃないですか?」
「……わ、わたし冷え性な者で…だから手袋をしていて…」
目が完全に泳いでいる。
「それはこの手袋ですか?」
その、手袋はさっき警察に頼んで管理人さんの部屋から調べて貰った物を見せた。
「そ、そう!それです、それ私のです!」
「貴方は今、自分で自分の罪でを認めましたね…」
「え!?」
「俺はずっと疑問でした…どーして、セロハンテープの袋がハサミで開けられていたのかを…普通は袋を開ける際にギザギザの部分があってそこから開けたり引っ張ったりしますよね?」
「まぁ、普通なら私もそーするわ」
「でも、管理人さんは開ける事が出来なかった。それは限られた30分の間にやり遂げなければならなかったプレッシャーから、手袋を着けていた管理人さんはその場にあったハサミで袋を開けたんだ…」
「馬鹿らしい。そ、それがどーしたって言うんですか!証拠にでもなるって言うんですか?」
「でも、管理人さんは1度だけ手袋を外してしまった時がある。それは、セロハンテープを剥がす時だ!!!セロハンテープを貼り付ける時は手袋をはめたままでも出来るが、剥がす時だけはリスクよりも時間を優先した貴方は素手でやってしまったんだ。その後いくら拭き取った所で、セロハンテープの粘着部分を鑑識に回せば貴方の指紋が出てくるでしょう」
「……そ、それは前に松尾さんの家賃を取り立てに――――」
このごに及んでまだいい訳を続ける管理人さんはとても醜く感じた。
人はこんなにも正気を失うと惨めになれるのだな…悠木はその態度に我慢できなかった。
「いい加減にして下さい!!!!」
「!?」
「そのいい訳、可笑しいとは思わないんですか?初めに聞きましたよね?一度もこの部屋に入った事はないですか?そして…貴方はうなずいた…」
「……」
「いくら、いい訳したって…真実は……真実は変わったりしないんだ!!!!」
「南条くん…」
その場に少しの静寂な時があった。
「…あいつは…あの男だけは絶対に許せなかったんだ!!!お前らに大切な娘を失った気持が解るか!!!こんな状況に陥れば誰だって、お前だって殺すだろ?」
その答えの合否は今の3人には解らなからない…
結局、悠木は一人の男の人生を終わらせてしない、その重さはこれからの人生一生背負わなければならない事だと実感していた。
「…僕なら……その人殺すかもしれません…でも……貴方の様なヘマは絶対にしない…」
[後日]
「ねぇ、南条くん。もしあの時、粘着部分から指紋が出て来なかったらどーするつもりだったの?」
「その時は…密室のトリック時にランチボルトを止めるために使ったセロハンテープがあっただろ?もし、手袋のままでそのセロハンテープを貼り付けたら普通は手袋の糸が付着してるハズ、それを鑑識に回せばあの手袋の奴だって解る」
斎京町密室殺人事件、解決