夏の暑い陽射しがジリジリと人の頭を焼いていく。
ヘッドホンからは一昔前の夏のヒットソングが流れてくる。
路地を歩くと前から一人の青年が歩いてきた。
「あれ、また会いましたね。」
「あれ、会いましたっけ?」
「会いましたよ、覚えてないんですか?」
「何処に行くんですか?」
「いや、ちょっと過去に。」
「あなたも行ってみます?楽しいですよ。」
「き、今日は遠慮しておきます…」
近所の青年はしばらく見ないうちに頭の中がさわやかになっていたらしい。
今度から話さないようにしようかな。
いや、よく考えたら一回目に会ったのはさっきの青年の未来の姿なのかな。
頭がこんがらがってきたので私は考えるのをやめた。