わたしは雨が大っ嫌いだ!
何が嫌いって、傘を差しても結局濡れてしまうし、何より嫌なのが……
「よ、ようじょに傘の組み合わせ……実に可愛いじゃないか……」
この変態の存在だ。
このゴミ虫野郎は、悲しい事にわたしのお兄ちゃんなわけで、ただでさえ存在が気持ち悪
いのに何故か幼女と傘に異常な反応を示す。
小さな女の子に傘の組み合わせ。この組み合わせの何がお兄ちゃんの琴線に触れているの
か分からないけど、とにかく気持ち悪い事だけは確実だよね。
「ようじょ。ようじょ。可愛いようじょ♪」
幼女、幼女って連呼するな!
ほんと、どんだけ幼女が好きなのよ? 身体中の細胞や組織まで幼女で出来てるんじゃな
いのかな。
「ああ……ようじょらしい傘を持ってる娘も素敵だが、小さい身体に似合わない大きな傘を
一生懸命差しているようじょも、また可愛い」
はぁ……ほんと死んでくれないかな。
お兄ちゃんの戯言を延々と聞かされる方の身にもなって欲しい。
こんな苦行とも言える時間を過ごさないといけないなんて最悪だよ。
何でわたしが戯言を聞かないといけないの? 家族だから?
もし、そうなら今すぐ家族の縁を切りたいわよ!
それか大好きな幼女に殺されればいいんじゃない?
案外お兄ちゃんもそれを望んでいるかもしれないし。
「ようじょ最高――っ! ひゃっほー♪」
はぁ……早くなんとかしないといけないわね。
わたしは雨が心底嫌いだ!
永遠に雨が降って欲しくないくらいに嫌い。
そして変態過ぎるお兄ちゃんが――
世界で一番嫌いだ!