Neetel Inside ニートノベル
表紙

ニーノベ三題噺企画会場
お題③ /それも愛だよ!/ゆずきっち

見開き   最大化      

 熱い熱いキッスを交わした後に、僕、セイと恋人のアンナはベッドに二人で寄りかかっていた。
「あの葉っぱが枯れて落ちるころには私はもうこの世にいないのかな」
 アンナは元々病弱で、しょっちゅう入退院を繰り返していた。そんなアンナは、今年の春に突然の余命宣告をされたのだった。
「大丈夫!アンナは生きるって!俺が保障する」
 俺は拳を強く握ってアンナに向かって強気で言った。本当はそんなことはわからない。医者でさえわからない病気だというのに、僕になんかがわかるはずも無いのだ。
「ありがとう……セイ。私、私ね」
 アンナは突然顔を赤らめて話し出した。俺はそれを真っ直ぐ見つめて耳を澄ました。アンナからの言葉を一字一句聞き逃さないで、心に刻むんだ。
「セイのことが、す……すき」
 ごつん!
 俺は後ろから何者かに頭を殴られた。誰なのだ、今最高に盛り上がるシーンを描いているというのに。
「なんであたしが死ぬのよ!?あんたが死になさいよ」
 後ろを振り返るとリアルのアンナが立っていた。相当ご立腹なようで。
「はは……漫画、いいよね漫画」
 俺は笑って原稿用紙を隠した。中堅クラスの漫画家な俺は、暇を持て余して、好きで好きでしょうがないアンナをヒロインに漫画を描いていたのだ。漫画のアンナとリアルのアンナが違うのは、誰が見てもわかるだろう。酷いくらいの暴力女だ。
「あんた、一回死んでみる?ねぇ」
 どう見ても超ド級のサド。そんな彼女になぜか俺はすごく好意を抱いていた。
「漫画の方がおしとやかだな」
 ついうっかりそんな言葉を吐いてしまった。するとアンナは余計に腹を立て、顔を真っ赤にしてまるで赤鬼のようだった。そして手を大きく上げて……パチン!
「セイ、何か言うことはないの」
「はんせいしてまーす」
 それでも愛しています、アンナ。

       

表紙

みんな 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha