あの娘は今何をしているのだろうか?
あの時変態に連れ去られてしまったあの娘は元気だろうか?
あの変態は自分の嫁にするって言っていた。
嫁にして、あんな事やこんな事をするって言っていた。
実に羨ましいかぎりだけど、本当にあの娘は無事なんだろうか。
私が言える立場じゃないのは分かるけど、無事であって欲しい。
ほんとうに…………
「ふふ……今日のご飯はオムライスよ」
「あ、あの……」
「何かしら?」
目の前に出された料理に手をつけずに少女は質問をする。
「お家に帰してくれないの?」
メグミの前で攫われてすでに三日ほど経過していた。
その間少女は何もされていないが、何もさせてもらえてもいないのだ。
「ごめんね。君をお家に帰す事は出来ないの」
「え……何で?」
彼女の言葉に少女は涙目になりながらも問いかける。
「君は私のお嫁さんになるから帰すわけにはいかないんだよ」
「お嫁さん……?」
突然の嫁宣言に戸惑う。いくら幼い少女だとはいえ、お嫁さんという概念は理解している。
だからこそ彼女の宣言に戸惑う。
そんな戸惑っている少女を無視して彼女は話を続ける。
「私のお嫁さんになって、私と楽しい事や気持ちいい事をたくさんするのよ。そして最終的には――」
話していてどんどんテンションがあがってきたのか、声が甲高くなり表情も気持ち悪く……は、
少々言い過ぎかもしれないが、口元がイヤらしくつり上がっている。
「お、お姉ちゃん……?」
完全に違う世界に飛び立とうとしていた彼女を呼び止めるために声をかける。
「―――――お姉ちゃん?」
予想外の言葉をかけられて彼女は逝きかけていた思考を元に戻す。
「お、おお、お姉ちゃんっ!?」
我に返った事で少女にかけられた言葉の意味を理解する。そして、身体をぷるぷると震わせていく。
甘美な言葉。幼女に言われて嬉しい言葉。その言葉をかけられた彼女は感動していた。
「……」
黙って身体を震わせている彼女を見て少女は心配になり、彼女の顔を覗き込むと――
「も、もも、もう一回今の言葉を言って!」
突然少女の肩を掴み恐ろしい形相で懇願してくる。
「え、えっと……」
「さぁ! もう一度、私にお姉ちゃんと!」
血走った瞳。荒過ぎる鼻息。まさに変態である。
「お、お姉……ちゃん?」
「はふぅ~~~~~~~ん♪」
怯えながら発する少女の声と言葉に発狂する彼女。
全身をクネクネと動かしながら身もだえているその姿は、幼い少女に軽いトラウマを残すような動きだった。
「もうお姉さん我慢出来ないわ♪ さぁ、私と一緒に燃えあがりましょ!」
「ひぅ……っ」
暴走しきっている彼女は止まらない。
少女が彼女に落ちるまで止まる事はないだろう。
ただ己の欲望を満たすためだけに彼女は行動する。
いたいけな少女を嫁にするために――
メグミが救う事が出来なかった少女の苦難は続く。