Neetel Inside ニートノベル
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玉子焼き。
玉子焼き

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「・・・・・・・・・・・・そういえば、最近玉子焼き食ってないな。」

卵焼き――いい響きだ。
俺の大好物であり、それを口に含んで飲み込む間の時間はまさに天国にでも行った様。
おそらくは、天国という場所は、建物やら木々がすべて玉子焼きでできているのだろう。

しかし、ここの所食えていない。何故かというと、だ。
玉子焼き作れないんだ。いや、玉子焼きくらい作れるだろ、とか思うな。
作れないもんはしょうがない。どうしてもスクランブルエッグになる。すこぶるまずい。
主に玉子だけなのに、なんかまずい。
いや、他の人が作ったスクランブルエッグは上手い。なんか俺が作るとまずい。
お腹壊す。毎回壊す。

そして、何回もチャレンジしたあげくに、作るの諦めればいいんじゃねという結論に至った。

と言っても、玉子焼き食べたい。それでスーパーなんかに寄ってみるんだが、無い。
なんで玉子焼き無いんだよ、と店員に激を飛ばしたが、追い出された。
そして俺に、一言こう言った。

「もう来ないでください」

それ以来、俺はあの店に行ってない。なんか店員の目すごい冷たかった。怖かった。
だからもう行ってない。

他の店に行っても、田中焼きはあるのに玉子焼きがない。

ああ、田中焼きってのは俺の近所の名産で、田中って人が禿げててバーコード頭だったのにちなんで、ノリをバーコード状に刻んで、接着材でごはんにくっつけて、焼いたものだ。
基本食えない。てか普通は食えない。接着剤だもの。

アマゾンでも探したけど、ない。
あやしげな通販で二十万円で売ってたのを頼んだのに一週間たっても届かない。

そろそろ我慢の限界だ。

今日こそは、今日こそは玉子焼きを食ってやる!
友達作って、そいつに玉子焼き作らせてやる!


俺の決心は固い。たとえ台風がこようと、二分くらいは揺るがないだろう。ひょっとしたら三分我慢できる勢いだ。

小さい頃、タイフーンごっこで鍛えたおかげだ。

ああ、タイフーンごっこってのは俺の近所で流行ってた遊びで、最近ゲーム化されたポップな遊びで、田中って人の頭が禿げてたので、そのバーコード状の髪を、ただでさえ少ない髪を、息で吹き飛ばして、どれだけ抜けさせれるかを競うものだ。ちなみに俺のベスト記録は298本だ。正直そんなに髪あるとは思わなかった。恐るべし、バーコード。

それはさておき、まず玉子焼きを食べる前にすること・・・・友達づくりだ。
さあ、始めようか・・・っ!!

       

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