ルーリングワールド
第4ターン
【王様】結晶石タイル24枚 勝利まであと12ターン
南の街から支援要請がきた。水、食料ともに足りてないらしく、餓死者は過去最大に膨れ上がっているとの事だ。大臣は今すぐに国庫から支援金を出すべきだと強く主張したが、王はそれを拒否した。
涼しい顔をしながら、「明日には気が変わるはずだ」と予言めいた事を口走り、それは見事に実現した。
・黄のレベル2、灰のレベル2タイルを設置
南の街から支援要請がきた。水、食料ともに足りてないらしく、餓死者は過去最大に膨れ上がっているとの事だ。大臣は今すぐに国庫から支援金を出すべきだと強く主張したが、王はそれを拒否した。
涼しい顔をしながら、「明日には気が変わるはずだ」と予言めいた事を口走り、それは見事に実現した。
・黄のレベル2、灰のレベル2タイルを設置
【鍛冶屋】勝利まであと:6100G 作成した武器:なし
常に人々に慕われ、期待に応え、優しいが甘くはない。悪に悪と言う勇気を持ち、物腰は強気だが、その隙間に見せる笑顔は人の心を掴んで離さない。誰もがグレンを頼りにしていた。どうにかしてグレンの助けになれないだろうかと、皆がいつも考えていた。
「毎度毎度すまないね」
グレンは御者(馬車の操縦士)に、そう声をかけた。声の色には卑屈な所など微塵も無く、ただ持っているだけの感謝を言葉にしたような純粋さがその短い台詞に含まれている。
「いやはや、もったいないお言葉ですだ。グレン様の役に立てるなら、何日だって馬車を走らせまさあ。お気になさらず、眠ってくだせえ」
御者はそう答え、手綱をしっかりと握った。馬を急がせつつ、なるべく揺れを抑える。
グレンは微笑みながら、馬車の窓から外を見た。三日月がグレンに顔を傾けて、グレンはこう問われているように感じた。
『お前は何を欲する?』
グレンにはその答えが分からなかった。
西の街で結晶石を採取し、夜馬車を使い一晩で帝都に戻ったグレンは、ある自然学者を尋ねた。石造り2階建ての大きな家で、学者の住処としてはかなり上等といえるだろう。王からの依頼で、魔物を退治する武器を作る事になったグレンには、とにかくまずは情報が必要だった。
「魔物とは、つまり何です?」
グレンの率直な質問に、学者は少しの間を置いて応えた。
「難しく、深い質問ですね。ですが答えは単純です。我々の想像を遥かに超えた存在。ただそれだけです」
学者は、自然学から錬金術、魔術呪術の類に精通していると有名だった。
「……では、質問を変えます。魔物は人にとって害なのか」
「どちらかといえば、そうでしょう。魔物の中には人を喰う種類もいますし、基本的に人間を殺すのに抵抗がありませんから。全部が全部そう、という訳ではありませんが……」
その時、グレンは学者の表情に、若干の躊躇いを認めた。気づかないフリをして、続けて質問する。
「魔物の弱点は何でしょう?」
「弱点……そうですね。これも種類によるとしか言えません。例えばこの間から帝都に出没しているウーズの弱点は、黄金と言われています。金に触れると同化して、やがて消滅してしまうと言います。しかし全ての魔物に共通した弱点というのは……」
そこまで言いかけて、学者は何かを思い出したように2階に上がり、1冊の古びた本を持っておりてきた。
「これは魔界から魔物を召喚する儀式について書かれた本です。ここを見てください」
差し出されたページには、魔法陣と、髑髏のあしらわれた杖、それから古代文字で延々と書き連ねられた呪文のような物が並んでいた。そしてページの中心には、見覚えのある石があった。
「魔物を召喚するのに使う『結晶石』という石をご存知ですか?」
グレンは顔色を変えず、冷静に答える。
「名前を聞いた事くらいは」
「そうですか。では詳しく説明しましょう。結晶石というのは、本来ならば魔界で取れる石の事です。膨大なエネルギーを秘めた石で、魔界にいる魔物は結晶石のエネルギーを吸い取って生きています。
ですが、非常に脆い物質らしく、地上に持ち帰ってもすぐに壊れてしまうと、ある本では書かれていました。おそらく、地上には無い物質で作られている為、形を保っていられないのでしょう」
グレンはすかさず指摘する。
「矛盾していますね。地上に魔物を召喚する為に使うその結晶石が、地上に存在できないというのは」
「ええ、私もそこに昔から疑問を感じていました。様々な資料を調べてみましたが、はっきりとした答えは未だに出ません。魔界にしかない結晶石を、『何らかの方法』で地上に持ってくる事が出来る。それだけは確かです」
グレンは破滅の井戸についても尋ねてみようかと思ったが、やめた。
「弱点の話に戻ります」
学者は1枚のメモを取り出して、読み上げる。
「ある日突然、帝都にデーモンが現れた。デーモンは民を人質にとって、王に取引を持ちかけた。取引の内容は今となっては不明だが、王はそれを拒否した。激昂したデーモンは、帝都の民達を無差別に殺し始めた。するとそこに、空から突然巨大な隕石が落ちてきて、一瞬でデーモンを殺した。隕石はすぐに跡形も無く消滅した。……その瞬間を偶然目撃した画家の描いた絵がこれです」
学者が懐から取り出した絵に描かれていた隕石は、先ほど別の資料に描かれた結晶石にそっくりな見た目をしていた。
「この話は、所々欠けていたり、ページが抜け落ちたりしていて不十分な資料から、私が時間をかけて選別し、繋ぎ合わせた物です。サンパドレイグ2世が即位していた時代。つまり、今から200年ほど前でしょうか。事実と間違っている可能性はありますが、私はここから1つの仮説を立てました。
魔界から召喚された結晶石は、結晶石に弱い。つまり、あなたの知りたがっている弱点です」
グレンは学者の目をじっと見据えて、穏やかな口調で尋ねた。
「その仮説、自信あります?」
「……あります。ですが、証明する方法が無い」
グレンは、今上着の内ポケットに入っている結晶石を学者の前に出したら、さぞや驚き、喜ぶだろうと想像しながら、苦笑いを浮かべた。
「ところでグレンさん、例の少年には会われましたか?」
「ええ、会いましたよ」
「……どう思われました?」
やや予想外の質問。グレンは意図を測りつつ、丁寧に答える。
「素直で無欲で、少年らしい少年というか……そうだな、瞳から希望が溢れているようでしたね」
学者はにっこりと笑い、同意して続ける。
「彼は私の知り合いの学者が拾って育てた子なのですよ。私は、あの子がこんなに小さかった時から知っています。グレンさん、あなたは力を持っているお方だ。どうかあの子の役に立っていただけませんか」
グレンはしっかりと答える。
「もちろん。良い武器を作ってみせますよ」
「それを聞いて安心しました。しかしそれにしても無責任な王だ……自分の国が魔物に襲われているというのに、たかだか10代半ばの少年に全てを任せるなんて」
学者が愚痴っぽく言ったので、グレンは1つ気になっていた事を思い出した。
「そういえば、彼にはどうしてウーズの居場所が分かったんでしょう」
学者は一瞬ぎょっとして、グレンから視線を逸らした。グレンはそれを見逃さなかったが、何も言わずに学者の言葉を待った。学者はグレンの態度を見て、諦めたように語りだした。
「あの子は昔から動物に好かれる性格でした。乗っていたライドドラゴンは見ましたか? 絶滅に瀕しているああいうドラゴンは、普通人間を嫌って近づかない物ですが、あの子は特別だった。傷ついたドラゴンを拾ってきて手当てをした時、まるで会話が通じてるようにドラゴンは大人しく、傷が癒えた後も、2人は兄弟みたいにじゃれあっていたんです」
グレンは礼を言い、学者の家を後にした。帰り道、頭の中を整理しながら、これから自分はどうすべきなのかを自らに問いかけた。
確かに、少年には何か特別な力がある。グレンもそれには気づいていた。しかしそれにしても、王のあの態度は気になる。何か隠しているような、後ろめたい事がある風だった。突如として湧いた資源の近くに、なぜかいつも落ちている結晶石、それと同時に帝都付近に出没し始めた魔物、竜に乗って地を駆ける少年、人に破滅をもたらすという謎の井戸……。全てが繋がっているような気がして、自分さえもそれら謎を回す歯車のような気がして、怖気さえした。
自宅に帰ったグレンは、使用人に「もしも客人がきたら日を改めるよう頼んでくれ」と指示して、工房に篭った。
グレンが誰かの為に武器を打つのは久々の事だった。火をくべて、赤く光る鉄を眺めていると、駆け出しの頃を思い出す。失敗続きで、親方にゲンコツを喰らってばかりいた時分、政治や金の事なんて、真剣に考えた事などなかった。日がな1日鉄を打ち続け、汗だくになりながら飯をかっくらい、大いびきをかいて大の字で眠ったあの頃。貧乏だったし、今のように慕ってくれる人はいなかったが、剣を1本打つ度に自分が変わっいく気がした。
当然の事ながら、結晶石で武器を作る事など初めてだったが、結晶石は驚くほど加工しやすく、鉄との親和性も抜群で、まるで武器を作る為にあるような素材だとグレンは思った。
数時間後、工房から出てきたグレンは出来上がった剣を掲げ、満足げに頷き、名前をつけた。
『飛剣 ライトリーハート』
常に人々に慕われ、期待に応え、優しいが甘くはない。悪に悪と言う勇気を持ち、物腰は強気だが、その隙間に見せる笑顔は人の心を掴んで離さない。誰もがグレンを頼りにしていた。どうにかしてグレンの助けになれないだろうかと、皆がいつも考えていた。
「毎度毎度すまないね」
グレンは御者(馬車の操縦士)に、そう声をかけた。声の色には卑屈な所など微塵も無く、ただ持っているだけの感謝を言葉にしたような純粋さがその短い台詞に含まれている。
「いやはや、もったいないお言葉ですだ。グレン様の役に立てるなら、何日だって馬車を走らせまさあ。お気になさらず、眠ってくだせえ」
御者はそう答え、手綱をしっかりと握った。馬を急がせつつ、なるべく揺れを抑える。
グレンは微笑みながら、馬車の窓から外を見た。三日月がグレンに顔を傾けて、グレンはこう問われているように感じた。
『お前は何を欲する?』
グレンにはその答えが分からなかった。
西の街で結晶石を採取し、夜馬車を使い一晩で帝都に戻ったグレンは、ある自然学者を尋ねた。石造り2階建ての大きな家で、学者の住処としてはかなり上等といえるだろう。王からの依頼で、魔物を退治する武器を作る事になったグレンには、とにかくまずは情報が必要だった。
「魔物とは、つまり何です?」
グレンの率直な質問に、学者は少しの間を置いて応えた。
「難しく、深い質問ですね。ですが答えは単純です。我々の想像を遥かに超えた存在。ただそれだけです」
学者は、自然学から錬金術、魔術呪術の類に精通していると有名だった。
「……では、質問を変えます。魔物は人にとって害なのか」
「どちらかといえば、そうでしょう。魔物の中には人を喰う種類もいますし、基本的に人間を殺すのに抵抗がありませんから。全部が全部そう、という訳ではありませんが……」
その時、グレンは学者の表情に、若干の躊躇いを認めた。気づかないフリをして、続けて質問する。
「魔物の弱点は何でしょう?」
「弱点……そうですね。これも種類によるとしか言えません。例えばこの間から帝都に出没しているウーズの弱点は、黄金と言われています。金に触れると同化して、やがて消滅してしまうと言います。しかし全ての魔物に共通した弱点というのは……」
そこまで言いかけて、学者は何かを思い出したように2階に上がり、1冊の古びた本を持っておりてきた。
「これは魔界から魔物を召喚する儀式について書かれた本です。ここを見てください」
差し出されたページには、魔法陣と、髑髏のあしらわれた杖、それから古代文字で延々と書き連ねられた呪文のような物が並んでいた。そしてページの中心には、見覚えのある石があった。
「魔物を召喚するのに使う『結晶石』という石をご存知ですか?」
グレンは顔色を変えず、冷静に答える。
「名前を聞いた事くらいは」
「そうですか。では詳しく説明しましょう。結晶石というのは、本来ならば魔界で取れる石の事です。膨大なエネルギーを秘めた石で、魔界にいる魔物は結晶石のエネルギーを吸い取って生きています。
ですが、非常に脆い物質らしく、地上に持ち帰ってもすぐに壊れてしまうと、ある本では書かれていました。おそらく、地上には無い物質で作られている為、形を保っていられないのでしょう」
グレンはすかさず指摘する。
「矛盾していますね。地上に魔物を召喚する為に使うその結晶石が、地上に存在できないというのは」
「ええ、私もそこに昔から疑問を感じていました。様々な資料を調べてみましたが、はっきりとした答えは未だに出ません。魔界にしかない結晶石を、『何らかの方法』で地上に持ってくる事が出来る。それだけは確かです」
グレンは破滅の井戸についても尋ねてみようかと思ったが、やめた。
「弱点の話に戻ります」
学者は1枚のメモを取り出して、読み上げる。
「ある日突然、帝都にデーモンが現れた。デーモンは民を人質にとって、王に取引を持ちかけた。取引の内容は今となっては不明だが、王はそれを拒否した。激昂したデーモンは、帝都の民達を無差別に殺し始めた。するとそこに、空から突然巨大な隕石が落ちてきて、一瞬でデーモンを殺した。隕石はすぐに跡形も無く消滅した。……その瞬間を偶然目撃した画家の描いた絵がこれです」
学者が懐から取り出した絵に描かれていた隕石は、先ほど別の資料に描かれた結晶石にそっくりな見た目をしていた。
「この話は、所々欠けていたり、ページが抜け落ちたりしていて不十分な資料から、私が時間をかけて選別し、繋ぎ合わせた物です。サンパドレイグ2世が即位していた時代。つまり、今から200年ほど前でしょうか。事実と間違っている可能性はありますが、私はここから1つの仮説を立てました。
魔界から召喚された結晶石は、結晶石に弱い。つまり、あなたの知りたがっている弱点です」
グレンは学者の目をじっと見据えて、穏やかな口調で尋ねた。
「その仮説、自信あります?」
「……あります。ですが、証明する方法が無い」
グレンは、今上着の内ポケットに入っている結晶石を学者の前に出したら、さぞや驚き、喜ぶだろうと想像しながら、苦笑いを浮かべた。
「ところでグレンさん、例の少年には会われましたか?」
「ええ、会いましたよ」
「……どう思われました?」
やや予想外の質問。グレンは意図を測りつつ、丁寧に答える。
「素直で無欲で、少年らしい少年というか……そうだな、瞳から希望が溢れているようでしたね」
学者はにっこりと笑い、同意して続ける。
「彼は私の知り合いの学者が拾って育てた子なのですよ。私は、あの子がこんなに小さかった時から知っています。グレンさん、あなたは力を持っているお方だ。どうかあの子の役に立っていただけませんか」
グレンはしっかりと答える。
「もちろん。良い武器を作ってみせますよ」
「それを聞いて安心しました。しかしそれにしても無責任な王だ……自分の国が魔物に襲われているというのに、たかだか10代半ばの少年に全てを任せるなんて」
学者が愚痴っぽく言ったので、グレンは1つ気になっていた事を思い出した。
「そういえば、彼にはどうしてウーズの居場所が分かったんでしょう」
学者は一瞬ぎょっとして、グレンから視線を逸らした。グレンはそれを見逃さなかったが、何も言わずに学者の言葉を待った。学者はグレンの態度を見て、諦めたように語りだした。
「あの子は昔から動物に好かれる性格でした。乗っていたライドドラゴンは見ましたか? 絶滅に瀕しているああいうドラゴンは、普通人間を嫌って近づかない物ですが、あの子は特別だった。傷ついたドラゴンを拾ってきて手当てをした時、まるで会話が通じてるようにドラゴンは大人しく、傷が癒えた後も、2人は兄弟みたいにじゃれあっていたんです」
グレンは礼を言い、学者の家を後にした。帰り道、頭の中を整理しながら、これから自分はどうすべきなのかを自らに問いかけた。
確かに、少年には何か特別な力がある。グレンもそれには気づいていた。しかしそれにしても、王のあの態度は気になる。何か隠しているような、後ろめたい事がある風だった。突如として湧いた資源の近くに、なぜかいつも落ちている結晶石、それと同時に帝都付近に出没し始めた魔物、竜に乗って地を駆ける少年、人に破滅をもたらすという謎の井戸……。全てが繋がっているような気がして、自分さえもそれら謎を回す歯車のような気がして、怖気さえした。
自宅に帰ったグレンは、使用人に「もしも客人がきたら日を改めるよう頼んでくれ」と指示して、工房に篭った。
グレンが誰かの為に武器を打つのは久々の事だった。火をくべて、赤く光る鉄を眺めていると、駆け出しの頃を思い出す。失敗続きで、親方にゲンコツを喰らってばかりいた時分、政治や金の事なんて、真剣に考えた事などなかった。日がな1日鉄を打ち続け、汗だくになりながら飯をかっくらい、大いびきをかいて大の字で眠ったあの頃。貧乏だったし、今のように慕ってくれる人はいなかったが、剣を1本打つ度に自分が変わっいく気がした。
当然の事ながら、結晶石で武器を作る事など初めてだったが、結晶石は驚くほど加工しやすく、鉄との親和性も抜群で、まるで武器を作る為にあるような素材だとグレンは思った。
数時間後、工房から出てきたグレンは出来上がった剣を掲げ、満足げに頷き、名前をつけた。
『飛剣 ライトリーハート』
【魔王】支配モンスター:ウーズ(黒1)×2 ゴブリン(緑2)×1
所持モンスター:ゴブリン(青2)×1
敵の気配が離れていった。ネイファは不思議に思う。自分の気配を察知して避けたのか、あるいは南に向かったゴブリンや東に向かったウーズを追いかけたのか、それとも他の事情があったのか。今ゴブリンを帝都に召喚すれば、その辺の事情が分かるかもしれない。しかしそれなりの危険も伴う。今手駒を減らす事は、致命傷になる可能性がある。
むしろ事情はどうであれ、敵が離れてくれた事を利用すべきだ。ウーズを西に向かわせ、自分は再度北に進路をとった。あと2日……2日あれば、西、南、東の街を、召喚したモンスターのみで占領する事が出来るはずだ。
・ウーズ2体、ゴブリン1体、魔王を移動
所持モンスター:ゴブリン(青2)×1
敵の気配が離れていった。ネイファは不思議に思う。自分の気配を察知して避けたのか、あるいは南に向かったゴブリンや東に向かったウーズを追いかけたのか、それとも他の事情があったのか。今ゴブリンを帝都に召喚すれば、その辺の事情が分かるかもしれない。しかしそれなりの危険も伴う。今手駒を減らす事は、致命傷になる可能性がある。
むしろ事情はどうであれ、敵が離れてくれた事を利用すべきだ。ウーズを西に向かわせ、自分は再度北に進路をとった。あと2日……2日あれば、西、南、東の街を、召喚したモンスターのみで占領する事が出来るはずだ。
・ウーズ2体、ゴブリン1体、魔王を移動
【勇者】武器:レベル1 所持金:400G
少年は帝都を出発する前にグレンを尋ねたが、あいにく留守のようで、使用人から日を改めて再度きてもらえるように言われた。
今の所、東西南北どちらからも魔物の気配はしているが、南と北にいる魔物はウーズよりも遥かに強そうだと思った勇者は、仕方なく東に進路をとろうとした。
帝都の門をくぐろうかという時、少年の背後に声がかかった。
「待ってくれ!」
そこにいたのは、汗だくになりながら走るグレンの姿だった。普段の冷静で抜け目の無い大人というよりは、無邪気で屈託の無い子供のような表情をしている。
「これを買ってくれないか」
グレンは今出来たばかりの剣を差し出す。それは眩いばかりに光る、細身の剣だった。見るのさえ辛いくらいで、思わず少年は目を細めた。すると、微かではあるが剣から音がした。
それはまるで雲の中でとどろく雷鳴のような音だった。少年はグレンから剣を受け取り、代金を払った。そして、進路を南に変更した。
・飛剣ライトリーハートを購入、-300G
南へ移動
少年は帝都を出発する前にグレンを尋ねたが、あいにく留守のようで、使用人から日を改めて再度きてもらえるように言われた。
今の所、東西南北どちらからも魔物の気配はしているが、南と北にいる魔物はウーズよりも遥かに強そうだと思った勇者は、仕方なく東に進路をとろうとした。
帝都の門をくぐろうかという時、少年の背後に声がかかった。
「待ってくれ!」
そこにいたのは、汗だくになりながら走るグレンの姿だった。普段の冷静で抜け目の無い大人というよりは、無邪気で屈託の無い子供のような表情をしている。
「これを買ってくれないか」
グレンは今出来たばかりの剣を差し出す。それは眩いばかりに光る、細身の剣だった。見るのさえ辛いくらいで、思わず少年は目を細めた。すると、微かではあるが剣から音がした。
それはまるで雲の中でとどろく雷鳴のような音だった。少年はグレンから剣を受け取り、代金を払った。そして、進路を南に変更した。
・飛剣ライトリーハートを購入、-300G
南へ移動