Neetel Inside ニートノベル
表紙

コンピューターシティ
6,筋トレってすごい

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~前回までのあらすじ~
『コンピューターシティ』でプロ野球選手となった主人公加藤だったが、現実のソフトボールでもリア充をドン引きさせる程のプレイを連発! あれ? 西川さんの説明と違わね? まあいいか。その一方、いじめられて不登校になってたアイツが突然覚醒して・・・? 


           ☆

 西川さんの説明だと、ゲーム内でやってるトレーニングはあくまでゲームの話で、現実の肉体には影響を与えないはずだった。ただ全く影響がない訳じゃなくて、運動神経がよくなって、多少プラスの影響があるくらいで、こんなに劇的な変化がある筈じゃなかった。
「どういうことなんです?」
ログイン時、俺は西川さんに訊ねた。
「いやそういうこともあるみたいだな。いやいや」
西川さんはにたにたと笑った。俺は少しイラッとした。
「ふざけないでくださいよ。西川さんはゲームと現実の関係、ちゃんとわかってるんでしょ? わかってて俺に隠してたんじゃないんですか?」
「ホントのことを言うと、ゲーム内でのトレーニングが、現実に与える影響っていうのは、まだ実験中でわかってなかったんだ」
俺は実験台だったって訳か。
「理論上は、最初に俺が説明した通り、ゲームの中のトレーニングで現実の肉体が鍛えられるはずはないんだ。でも実際、お前の体には影響が出てるみたいだな。人体の神秘ってやつかな。人間ってホント面白いな。どんなゲームよりも面白い」
「そんな無責任な」
「無責任? お前なんか勘違いしてないか? 別に『コンピューターシティ』で体が弱くなった訳じゃないんだぞ。ゲームでやったトレーニングで現実のお前がムキムキになるなら、いいことじゃないか」
確かに。
「あ、後もう一つ。俺以外にもこのゲームやってる高校生っているんですか?」
「ん? なんで?」
「いや、俺の同級生なんですけど、明らかに突然パワーアップした奴がいるんですよ。たぶんそいつも『コンピューターシティ』やったんだと思うんですけど」
「いるかもな」
「かもって・・・」
「いや他のプレイヤーについては教えられないんだよ。お前だって、他の奴に、加藤何とかっていう奴がこのゲームやってるらしいぜってバラされたら嫌だろ? 個人情報保護はこのIT社会じゃ基本となりつつあるからな」
「じゃあ、質問をかえましょうか。西川さん以外にも、『コンピューターシティ』のプレイヤー集めをやってる人はいるんですか?」
「お、いい質問ですね~。それが、実は、いないんですね~。私一人で勧誘を行ってるんですよ~」
なぜ池上彰風なんだ。
「今まで何人くらい勧誘したんですか?」
「100人くらいかな。正確には覚えてないけど」
「100人・・・それって、全員、今もプレイし続けてますか?」
「いや、飽きてやめた奴も相当数いるな。このゲームって結構疲れるしさ、お前みたいにハマる奴はハマるし、やめちゃう奴は割とすぐやめちゃう。結構人によって評価がわかれるみたいだな。まあ、別にゲームをやる『義務』はないからな」
このゲームの性質上、現実世界でまともに働いてるような人間は、プレイする時間がとれないはずだ。プレイ対象となるのは、高校生、大学生、無職、ニート、フリーター、定年後の老人、そんな層。要するにダメ人間。
「なあ。お前もしかして、そのクラスメイトがマジで『コンピューターシティ』やったと思ってんの?」
「え?」
西川さんが小馬鹿にしたような顔で言ってきた。
「そいつどんな奴なの?」
「いや、前はなんかおどおどしてて、入学して割とすぐいじめのターゲットにされた奴で、しばらく不登校になったと思ったら、突然なんかすごい自信つけちゃって、いじめてた奴らの前で椅子床に叩きつけたんですよ」
「ははは」
「何がおかしいんですか」
「いやいや、大麻厨が、突然性格が明るくなった知り合い見て、『あああいつも大麻始めたんだな』と思うのと、一緒の思考だなあと思って。『士、三日会わざれば刮目してみよ』って言葉知ってるか? 人間なんて案外簡単に変わるんだよ。特に高校生なんてなあ・・・一番変わる時期だぜ? そいつだって、いじめられるのが嫌で、学校休んで必死で格闘技でもはじめたか、筋トレで肉体改造したか・・・もしかしたら『コンピューターシティ』かもしれないけど、まあ確率的に考えればほとんどないわな。日本人の人口は1億2千万人いるが、『コンピューターシティ』人口はその中のたった100人前後。一方空手人口やボクシング人口はその何倍だ? 正確には知らねーけど」
「西川さんは、じゃあ、そいつが『コンピューターシティ』以外の方法で鍛えたっていうんですか?」
「いやわかんねーけど。そっちの方が確率が高いって言ってんの」
・・・いや、あの豹変の仕方は、普通の方法じゃ無理だ。

           ☆

 オールスター以降、俺は二番セカンドが定着した。横浜のオーダーはなかなか定着しなくて、その時々で調子のいい選手を使うという感じだった。しかし結局投手が西川以外総崩れになって、大型連敗を積み重ねていった。西川だけが早くも二桁勝利と気を吐いていたが、それ以外が負けまくりだった。三位にいて、「今年は違う」と騒がれたが、結局順調に順位を落として行って、定位置に落ちた。・・・やっぱ横浜はダメだ。

           ☆

 翌日も学校ではちょっとした騒動が起きた。リア充たちはいじめられっ子が突然椅子を叩きつけたのにビビっていたが、尚いじめをやめる気はなくて、更に陰湿な方法でいじめるように計画を練っていた。遠巻きに聞こえるように陰口を言って、精神的に追い詰める作戦をとったらしい。いじめられっ子が教室に入ってきたら、
「うわー、椅子クラッシャーの登校や~」
とわざとらしく大声で言った。
「まーた今日も椅子壊すのかな^^」
「学校の備品壊すのはいけないよね。ごめんなさいしなきゃいけないよね(´・ω・`)」
「ちょっと体鍛えたからって、いきなり調子こきすぎだろ。うざー」
いじめられっ子はそれをきいて、カバンを机に置くと、リア充の群れに近づいていった。
「な、なんだよ」
「俺達何もしてねーだろ」
少しビビってやがる。情けない。
「ごめんな。教室の空気悪くしちゃって」
文字にすると印象が少し違うが、実際この言葉は根暗特有のボソボソした話し方で言われたから、リア充たちはむしろ「こいつ中身は変わってないな」という印象を受けた。体は鍛えて変えることができるが、性格はそうすぐには変わらない。
「ははは。何こいつ話しかけてきたんですけど」
「うける~」
リア充達はそんな余裕アピールをした。
「お詫びに、面白いもの見せるよ」
と言うと、リア充の一人の両方の脇の下をがっと手でつかんだ。リア充達が声を上げる間もなく、いじめられっ子はリア充を天井に向かってバスケットボールでも投げるように、垂直にぶん投げた。リア充は抵抗しようとしたが、いじめられっ子の凄まじい腕力に逆らうことが出来なかった。そのままリア充は天井に頭から突っ込んだ。頭が天井に突っ込んだまま、体が「気をつけ」でぶら下がっているという、シュールな光景になった。しかし誰も笑う者はいなかった。
「いい加減立場が変わったって気付こうな?」
いじめられっ子がそういうと、リア充達は青い顔して震えていた。

 西川よ、これは格闘技とか筋トレとか、そういうレベルじゃないだろ。

           ☆

 結局その年も横浜は最下位でシーズンを終えた。しかしいくら地元だからって酷いチームに入ってしまった。俺の記憶の中にある横浜ベイスターズは、子供の頃に見た「マシンガン打線」の時代で、佐々木が守護神だった頃の割といいイメージが未だに残っているせいで、まさかここまで酷くなっているとは思っていなかった。打線はそんなに悪くない。内川、村田を中心とした打線は、他の球団と比べて、よくもないが、そんなに悪くない。問題は投手陣だった。とにかく先発で5回任せられる奴がいない。中継ぎは当然崩れる。抑え? 何それ美味しいの状態。10点とったら11点取られる、勝てないチームの教科書のような投打の噛みあわせ。オールスター前の三位が怒涛の大型連敗によっていつの間にか例年通り90敗の大台に乗せてしまった。
 ただ俺個人は一軍に定着して、契約更新では年俸2000万円をもらえることになった。もちろんゲームの中の話だが、これでゲームの中で金の心配をする必要はなくなった。もう山崎パンのバイトもやめた。西川は横浜の先発で唯一二桁勝利の11勝9敗という成績で、新人賞を獲得した。一気にスタープレイヤーの仲間入りだ。年俸も9000万になったらしい。俺の背番号は「33」に、西川は何とエースナンバーの「18」をつけることになった。大出世だ。

 『コンピューターシティ』と現実世界の二重生活のせいで、毎日一日三時間くらいしか寝ない慢性的睡眠不足の生活になった。そのせいでなんとか平均点を保っていた成績は下降線をたどっていたが、赤点は全力で回避していた。他には何も変わらない。現実の横浜ベイスターズも似たように90敗してやがった。おまけに買収騒動まで出てきた。幸い買収は避けられたが、いやいや酷いチームだ。

           ☆
 
 オフシーズンになると暇になった。ビジネスエリアで何かイベントがあるかと思ってうろついてみたが、ただスーツ着たサラリーマンがうろついているのとすれ違うだけだった。ビジネスエリアは話しかけても誰も返事を返さない。西川さんに「やることないんですが」と相談すると、
「オフシーズンなんだから休めよ」
と言われてしまった。
 仕方ないので俺は肉体改造に着手することにした。ジムのインストラクターに相談すると、かなり重めのトレーニングメニューを組んでくれた。今まで現実では部活に入ってたことすらないから、こんなに本格的な筋トレはしたことがなかった。筋トレは筋肉を壊す作業だ。何度も壊して、何度も再生させる。再生のたびに筋肉は強靭になっていく。

           ☆
 
 オフシーズンになって、暇な時間も多くなったので、学校の勉強もちょっとはするようにしたら、成績は『コンピューターシティ』をはじめる前よりもなぜかよくなった。教師の言う、「部活をがんばる生徒は勉強もできるようになる!!!」理論みたいなことかもしれない。
 東大寺さんとは相変わらず「血の池」の前で昼飯を一緒に食べる、くすぐったい関係が続いていた。
「絶っ対、加藤君腕太くなったよー」
「そうだね。成長期なのかな」
『コンピューターシティ』内でのトレーニングが現実の肉体に影響を与えることは、もう疑いの余地がなかった。東大寺さんにはテキトーにごまかしてたけど、もはやそういうレベルの変化じゃなくなってきた。
「触っていい?」
「うん」
無遠慮に東大寺さんが俺の上腕二頭筋を揉む。ちょっとうれし恥ずかしい。
「ほらー。すごい太い」
ていうか『コンピューターシティ』をやる前と後とで、明らかに体型が変わってるのを自分でもわかる。ゲーム内で運動神経が鍛えられたのが現実に影響が出たとか、そういうレベルじゃない。今まで普通に着てたTシャツがぴっちぴちになって、ワンサイズ大きいものに買い換えなきゃならなくなった。
「加藤君部活入ってないよね?」
「うん」
「なんか筋トレしてんの?」
「うん。暇だから、最近筋トレが趣味なんだ」
「へえ~」(もみもみ
そろそろ隠し通すのがきつくなってきたな。かといって『コンピューターシティ』の説明しても信じてくれないだろうし。

           ☆

 買収されかかったのを契機に、横浜の雰囲気を変えようと、村田があのきたねえヒゲと金髪をやめて、全力疾走宣言をしだした。もっともぐだぐだなチームの雰囲気は変わらない。春季キャンプではグラウンドでサッカーして遊んでやがった。そりゃ負けるわ。 内川がソフトバンクに移籍したせいで、真面目に練習してる奴は移籍組だけになった。ちなみに『コンピューターシティ』内でのシーズンは現実世界の一年とリンクしていて、開幕は現実同様の三月終盤頃になる。そして十月になると終了。それは現実と何も変わらない。ただゲーム内は現実の5倍の早さで時間が流れるから、「ナイターなら現実世界の午後6時試合開始」というスタートは同じだが、終わるのはゲーム内の方が早い。そしてそこからゲーム内では数日あけて、「現実世界の翌日午後6時」から次の試合ということになる。多少ご都合主義のような気もするが、そうしないとホントに廃人しかプレイできなくなってしまう。
 現実世界のそして選手の移籍とか怪我とかも現実同様にトレースされている。西川さんの説明によると公式サイトの選手情報から直接とっているらしい。試合の結果なんかも現実が反映されていて、「プレイヤー」の活躍で微妙に変わってくるらしいが、もし「プレイヤー」が一人もいないような試合だと現実そのままになるそうだ。通りで横浜はやたらと負けまくる訳だ。
 最近は現実でもプロ野球に興味が出てきて、特集番組も録画して見るようになった。移籍した内川が横浜のことをボロクソに言いはじめたが、まあ無理もない。
「僕自身横浜を出ていく喜びもあった」
「ずっと最下位のチームにいて指導者になっていいのか」
「ここにいたら自分がダメになると思った」
「横浜の時は借金から始まっていた」
「いなくなって初めてその存在の大切さみたいなものに気付くんじゃないですか」
「セでは味わえなかったドーンときてガシャーンとやられる感覚」
「去年まで負けても自分のせいではないと思うこともあった」
「昨年までは優勝にかかわることがなかったので、今年初めて交流戦にMVPがあることを知った」
「今まではやろうと思っても、まあいいかと流していた」
「横浜では誰を信用して良いか分からなかった」
「横浜だと勝っても借金が多くて喜べなかった」
「SBからの連絡でスタートラインに立てた」
「打ち過ぎて申し訳ない」
「ソフトバンクに来て良かったと心から思った」
ちなみに内川はこの輝かしい畜生発言の数々でネット上でのあだ名が「チック」になった。

           ☆

 高校二年に上がった。いよいよシーズン開幕ということで、村田がはりきっている。俺は肉体改造の成果もあって、オープン戦から内川のかわりに三番を打つようになって、打率512、本塁打3本、12打点の大活躍をした、投げては西川、三浦が絶好調。開幕から連勝を続け、セ・リーグ首位になって、「春の椿事」なんて言われた。今年は何かが違う、そう思わせるには十分なスタートだった。

           ☆

 またゲームではプロ野球選手、現実では高校生の過酷な二重生活がはじまった。と言っても前よりも練習の効率が上がってきて、試合で打つためにはこの程度練習すればいいという、いい意味での「流し」ができるようになってきた。今シーズンは睡眠時間を少し増やして、六時間くらい寝るようにしても試合で活躍できるようになった。

           ☆

 二年の最初の方の体育で体力測定があった。100m走の去年のタイムは覚えていないが、一緒に走ったメンバーの中でビリだったのは覚えている。しかし『コンピューターシティ』内では一応走攻守揃った選手として活躍しているくらいなので、今年はちょっと違うだろう。何となく横浜の採用テストを思い出すな。
「よーい」
ピッ! と体育教師の笛が鳴らされた。現実でランニングすることはあんまりなかったせいで、スタートでいきなりずっこけた。リア充どもから笑いが起こる。
「ははは」
「ははは」
「おい大丈夫か~」
俺は恥ずかしくなって、すぐ起き上がると全力疾走した。すると一緒に走ってる奴らの背中はすぐに近づいてきた。こけた奴に追いつかれて恥ずかしくないのかこいつらはと思いながら、更に加速していくと、余裕で追い抜けた。やはり『コンピューターシティ』のおかげで走力もアップしているらしい。ゴールが見えてきた。俺がゴールすると、何か空気がおかしくなった。どうやら追い抜かれた奴は陸上部でそこそこ速い奴だったらしい。まあそんな奴が一回こけた奴に追い抜かれたら、そりゃあやばいわな。
「タイムは?」
「10秒11・・・」
へえ、すごいな。・・・ん? 100m走のタイムってどんぐらいだっけ?

           ☆

 その後俺はぶっちぎりで体力測定でリア充どもを追い抜いていった。1500m走では陸上部で県大会出場経験があるとかいういつもリレーのアンカーをやってるエースに一周差つけて余裕のゴール。ソフトボール遠投は引かれた白線より遠くに飛んだ。途中から周りが騒然としはじめたのに気づいて、手を抜き始めたが、遅かった。休み時間になると俺のもとに部活の勧誘が殺到した。体育教師には呼び出されて不正が疑われた。
「いやしてません」
体育教師も混乱していた。そりゃ体力測定でドーピングするような生徒なんかいないのはわかっていたが、去年100m走19秒台だった帰宅部が一年でなぜかタイムを9秒縮めたら、何があったんだと思うわな。現実的に考えられるのは記録の改竄だが、体育教師も目の前で俺が走るのを見ていた。
「でもお前、記録伸びすぎだろこれ」
「実は家で鍛えてたんです」
と言うと、体育教師は、
「そうかあ・・・」
と納得できなさそうな顔をしていた。
「なあ、俺は陸上部の顧問をしてるんだが、お前の脚なら全国を狙える」
「いや、あの、部活はいいです」
「今回の記録がインチキじゃないんなら、これはすごいことだ。お前は日本の宝だぞ」
「あの・・・そういうのいいんで、教室戻っていいっすか。失礼します」

           ☆

 いつも通り昼休みは「血の池」に行こうとしたが、部活の勧誘がうるさくて、なかなか抜け出せなかった。
「是非君は野球部に! 甲子園に出ればそりゃすごいことになるぞ!」
「いやバスケだろう! 君の身体能力はバスケでこそ活きる!」
「水泳に興味はないか?」
「卓球は確かに地味なスポーツかもしれない。しかし君がそれを変えてくれることを願ってる!」
「サッカー! サッカー部に入ろうぜ! な?」
俺は弁当を抱えて、トイレの個室に入った。さすがに個室までは入ってこなかったが、個室の扉の前まで群がってきた。
「おい! テニス部に入れば便所飯なんて絶対にさせないぞ!」
「便所は飯を食う所じゃないぞ加藤君!」
個室には窓がある。人一人通れるくらいの小さな窓だ。問題は二階なのと、飛び降りたら弁当がぐちゃぐちゃになるということだった。しかし何となく俺は
「このぐらいの高さなら飛び降りても平気だな」
という変な自信があった。
 窓から、俺は飛び降りた。空中で弁当を真上に投げる。どうやって着地するか迷ったが、ちょうどグラウンドに鉄棒があったので、それをつかんで一回転して、衝撃を吸収してから着地した。弁当は慣性の法則か何かしらないが、鉄棒より遠くに飛んでたので猛ダッシュして受け止めた。幸い無回転で投げることに成功したから、中身は無事だった。
 ふぅ、と一息つくと、誰かがパチパチと拍手をした。見ると、一連の着地を偶然目撃した東大寺さんが、引きつった笑顔を見せながら拍手していた。
「すごいね加藤くん。筋トレが趣味だとそんなこと出来るようになるんだね!」
「す・・・すごいっしょ」
「うん。ねえ、色々聞きたいことあるから、早く行こ」
「・・・はい」 

       

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Neetsha